海外に住んでいて「日本の情報を手に入れ、TV番組や映画を見たい」と思う人は多いはず。
今までの歴史
かつてはNHKワールドの衛星配信を「受信機を設置」してNHKに毎月視聴料を払ったり、国や地域によっては「それを放送している【ケーブルテレビ】と契約」をするというのが主流でしたね。我が家も長い間、そこそこ大きなパラボナアンテナを庭に設置してNHKワールドを見ていました。
でもこれでは飽きてしまって「民間の放送も見たい」と思うようになる。その場合は、今は一切姿を消したけれど、「日本のTV番組を録画したビデオをビデオレンタル屋から借りる」ことが世界中で一般的だった(違法)。その後、インターネットが普及し「日本にテレビ受信機内臓のパソコン(あるいはそれに準じるもの)を設置」して、そのパソコンをインターネットを通して遠隔操作をして「番組を録画」し、そのデータを海外の家に転送する、あるいはライブ放送を見るという方法を取るようになった。我が家も友人宅に「テレビパソコン」を置かしてもらい、それを使っていたのは前からブログに書いていた通り。
ところがいつの頃からか、テレビパソコンを自分で用意することなく、「企業が設置したシステムを利用する」形が出てきた。私はこれはビッグビジネスになると思い、日本で事業化しようと動いたことがあるのはブログに書いたことがある。ところがこれは「日本の著作権法をクリアできない」ので一瞬にそのビジネスモデルは消えた。企業が設置したシステムは駄目でも「個人のテレビパソコンを【預かる事業】は【個人利用の範囲であって】良いのではないか」と誰しも考えるわけで、そういうサービスプロバイダも出てきた。その業者が機器の販売、ネット接続、アンテナ接続、PCのメンテもやる。これなら大丈夫だろうと言われていてその方向で話を進めていたら、そのサービスをいち早くやり始めた企業がすぐに提訴され、著作権法違反という結論が出て、このビジネスモデルでも日本ではできないのがはっきりした。
ところが著作権法なんて無視する国、違反を放置する国があって、「その国にメインサーバーを設置し、世界に配信するサービス」が出てきた。データは当然、日本国内で受信し、それを海外のその国に送る。
今、このサービスは拡大し、これを使う人達は多い。マレーシアも同様。
インターネット上で簡単に視聴できる時代が来た
ただ、世界の放送も変化してきて、テレビ受信機ではなくて「インターネットを介して視聴できるサービス」が普及してきた。そして今までなら、「映画はDVDレンタルショップで借りる」のが当たり前だったのが、「ネット上のオンディマンド」で見れるように世界は動き出した。
つまり、DVDレンタルで有名なTsutayaでさえも「ネット上で見れる」ようにする動きが加速。この手のサービスは多くあって、昔からあったGyaoのような業者がどんどん増えた。彼らがカバーする映像は、「映画」「ドラマ」だけではなくて単発の番組や自社の独自映像にも広がっている。
しかし海外からのアクセスは簡単にはいかない
これらにアクセスできれば非常に便利だけれど、「海外からのアクセスには制限がある」のが普通。それは売っているDVDにリージョンコードがあって、違う国では見れないようになっていたり、NHKでも「著作権の為、放映できません」とロゴが出て何も見れないことが頻繁にあるのと同じ。例えばオリンピックの映像もそうだけれど、全ての映像、コンテンツには「著作権」があり、「著作権者が許可をした地域でしか放映・放送・販売はできない」んですね。
だから「海外からのアクセスには制限を掛ける」ことになる。日本でもし全てのテレビ放送がネットで見れるようになったとしても、あるいは「映画見放題」なんていうサイトがあっても「海外からはそれを視聴できない」のが普通。
サービスプロバイダサイドでは「国内からか」「海外からか」をどう見分けているんでしょうか。それはインターネットに接続したパソコン全てが持つ「IPアドレス」を見ていると言われている。ネットに接続されたパソコンには全て「固有の住所(IPアドレス)」が振り分けられていて、それによって特定できるから「コンピュータ同士で通信ができる」わけですね。ネット上に行き交う膨大なデータには「それぞれIPアドレスが付けられている」わけで、中継点はそれを見て割り振りするし、末端のサーバーやパソコンも、「相手が特定できるからデータ交換が可能」となる。
このIPアドレスを見ると「どの国か、どの地域か」ってのが当然わかるわけで、「映画やドラマを配信するサーバー側」もそれにアクセスする我々が「どこからアクセスしているのか」がわかる。そして「海外からのアクセスであれば、視聴を拒否する」ことができる、とまぁ、簡単に言えばそういうシステムになっている。
VPNを使えばどうにかなる
ただこのネットの世界にはVPNってのがあるんですね。これは「Virtual Private Network」で「仮想専用線」と呼ばれている。なんでそういうものがあるのかの細かい説明はパスしますが、一般的なインターネット接続は「誰でもが走ることが出来る世界中に広がる一般自動車道路網」だとすれば、セキュリティのためにもその一般的な道路網ではなくて「閉鎖的で一般には公開されない専用道路」があったほうが便利なわけです。そしてその専用道路上にサーバーもあれば安全。
ここで面白いことがあって、そのVPN上のサーバーにアクセスし、そこからまた外部にアクセスするとどうなるのか。ここがポイントで、外部サイトは「そのVPNサーバーからアクセスがある」と認識する。データもそのサーバーとやりとりするんですね。でも実際はそのサーバーはそれが設置されている場所ではないところのユーザーとも繋がっている。だからそのサーバーが日本にあれば、「海外からのアクセスは出来ないサイトでも問題なくアクセスできる」ということが起きる。
ただこれもいろいろあって、大本のアクセスはどこからなのかが全くわからないように出来ていたり(これをハッカーは利用する)、大本がどこからなのかわかる仕様になっているものもあるらしい。このへんの詳しいことは私にはわからず。
だから「海外からのアクセスには制限をかけているサイト」でもVPNを経由すれば問題なく映画やドラマを見れることになるんですね。我が家はかつて日本にテレビパソコンを置いていたと上に書きましたが、まさにこのパソコンをサーバーとして、そこを経由すれば海外からのアクセス制限をしていたGyao等も問題なく見れたわけです。
でも自分でサーバーを日本に設置するなんて、コスト的にも我々一般が簡単には出来ない。我が家の日本のテレビパソコンもかなりのお歳になったので引退。
だからVPNサービスを使えばOKとなる。
これも無料で開放されているところがいろいろあって、それを経由すれば問題がないのだけれど、「ただより高いものは無い」ってわけじゃないけれど、一般的にはそれを使いこなすのは結構難しい。
もしどうしても無料に拘りたいのであれば、検索すればいろいろ出てくるし、無料VPNサーバーを探すソフトもあって、日本を含む世界中からそれを探すことは出来る。例えばこんな感じ。クリックすると拡大して表示します。
でも映画やドラマを見る場合、データ転送量って結構大きいわけで接続はできても「十分な帯域(スピード)が確保するのは難しい」ってことが簡単に起きるんですね。そしてその時その時、安定しているVPNもあればそうでないものもあったり。
だから「有料VPNサービスを使う」のが良いと私は思う。これも世界中をカバーしている大手が多数存在するし、料金は月々400円~1200円程度か。
各社、VPNからのアクセスを排除する動きがある
ところがですねぇ、こういうサービスを利用する「海外からのアクセス」が増えていて、それの対策に会社動き出したんですね。ここが重要で、「有料のVPNサービスを使えば問題がない」とは言えなくなってきた。今までアクセス出来ていたのに「海外からの視聴はできません」と表示されることが増えてきた。
こうなった理由はいろいろあるみたいですが、主だった有料VPNサービスが使う「個別の住所であるIPアドレス」もある程度の範囲が決まっているので、そのリストを映像供給側は作って、そこからのアクセスを排除しているのではないかと。
つまり、もし我々が日本在住で、そのままアクセスすれば問題がないサイトでも、もしそのVPNサーバーを介してアクセスすると、「視聴不能」になるんじゃないですかね。
じゃぁどうする?ってことになりますが、「有料VPNサービスが使うIPアドレスとは全く違う【個別のIPアドレスを入手する】ことで解決する」。つまり映像提供側からすれば、有料VPNサービスではないと判断するようなIPアドレスをゲットすれば良いことになる。
【個別のIPアドレスを入手】できればOK
そんなVPNサービスが存在するのか?あるんですね。
私が使っているのは「インターリンク」の「マイIP」というサービス。(サイトはここをクリック)
このマイIPというサービスの特徴は「グローバル固定IPアドレス」であるってところだと思います。
ただし、例えばAmazonプライムという映画見放題サービスを見るとして、前には問題なく接続できたVPNサービスが最近は繋げられなくなったとかの報告は多く出ていますが、それは決して「全てのVPNサービスがつながらない」という意味ではなくて、大丈夫なサービスもあるんでしょう。またAmazonプライムではなくてネットフリックスを始め、様々なサービスプロバイダによっても繋がる、繋がらないのは別のはず。
私としては「映像サービスプロバイダが、VPNサービスからの接続を拒否しだしたのは間違いがない」わけで、この動きは広がると考えるのが順当だと考えています。そういう意味でも、インターリンクのVPNサービスが良いと判断しました。でも今後どうなるかはわからず。
設定後に使うのは簡単で、VPNを使いたい時にはWindows10のタスクバーに出ているインターネットアクセスのアイコンをクリックすると、Wifi接続のところにVPN接続のアイコンが出てきますので、それをクリックして接続・切断をするだけ。当然、接続中のWifiはそのままでいじらない。
またこの「グローバル固定IPアドレス」が入手できるということは、今回の映画やドラマを見るということではなくて、セキュリティが厳しい社内ネットワークなどにアクセスするには便利なんですね。IPアドレスによってアクセス権が決められている場合、出先・旅行先からアクセスすると入れないなんてことが起きるわけですが、「グローバル固定IPアドレス」を使えれば、どこからでもアクセスできる。
定額見放題は本当か?どのサービスが良い?
そして次の問題。
映画見放題をうたうサービスプロバイダはいろいろありますが、どこを選ぶべきか。これは「何を見たいのか」によって変わるはずですが、私はAmazonプライムを使っています。これはAmazonプライムが良いという意味ではなくて、私がもともとAmazonプライムの会員ですから、映画やドラマも見れるなら見ようということで、映画などを見るのが目的のためにAmazonプライムに加入したわけではありません。
そして我々が気をつけないとならないのはこの「見放題」という言葉の意味。
これってどうしたって「月々の会費を払っていれば、なんでも【無料で見れる】」と思うじゃないですか。
ところが事実は全く違っていて、「有料(別料金)のものが多い」ということ。これには私もちょっとがっかりで、見たいものを自由に見れるという状態ではありません。ただし、無料のものは大量にあるといえば大量にあるわけですが、「アバターをまたみたいなぁ」とか自分が興味がある映画は有料ってことが結構多い。ただし、「時間つぶしに映画やドラマを見る」のであれば、無料のものは十分にあると言って良いかもしれない。
例えば、古い映画ですが、私の好きな「ベン・ハー」という映画。これは無料です。
でも「ミスターグラス」という映画はレンタルで500円。買うと2500円。
ドラマの場合、有料だととんでもないことになります。
例えば、「天皇の料理番」ですが、全部で12話ですが、一話324円です。これを12話の全部を見れば3888円となる。
うまい話には気をつけろってのはここでも同じ。(笑)
結論
海外からのアクセスを拒否するサイトでもVPNを使えばどうにかなる可能性は非常に高い。でもどこを使うべきかは、VPNサービスも映画・ドラマの視聴サービスプロバイダも、「自分で色々試してみる」しかないんじゃないですかね。
結婚・離婚を何度も繰り返すうちに、「自分にとっての」最良の伴侶が見つかるんじゃないかと。でもその幸せも永遠に持続するわけではないという覚悟が必要なんでしょう。(笑)
おまけ 安くてもっと良い新技術もある様子
読者の方から、VPNサービスの進化したものがあると教えていただきました。
これは安くて良さそうです。使ってみないとわかりませんが、14日間の無料試用期間があるのでそれで試してみるべきですね。料金は月々4.90ドル。年間39.90ドルで、上に紹介したインターリンクのマイIPというサービス(月々1080円)より安い。
Smart DNS Proxy + SmartVPN + VPN(ここをクリック)