先週末に海外での蔓延が出てきたこと、そしてアメリカのCDCもIMFも注意喚起を出した。
これで世界は慌てたようですが、なんだかちょっと反応が遅い感じがしたのは私だけでしょうか。
ま、私は心配症ですからそう思うだけかもしれませんが、こういう「ゴジラが襲ってくるかもしれない」様な時には、「ゴジラが出る」とショートするのは早とちりでしか無いものの、「ちょっと離れて静観しよう」という行動を選んでも良さそうなもんですよね。
でもそんなことを考え実行できるのは、我々みたいな「超小型ボート」に乗っているからで、「大型タンカー」に乗っているプロや機関投資家には出来ないことなのかもしれない。
また私達は、「ひらめきで行動する」ことが出来るけれど、彼らにはそれが出来ないんじゃないですかね。
いつも書いているように、彼らが個人で判断できる範囲って広くないはずですし、必ず「説明責任」があるはず。つまり「上司」や「顧客」に説明し、納得してもらわないとなりませんから、私達みたいに「ゴジラが出るかもしれないからポジションを外しました」なんて言えないし、そんな理由を口に出したらプロ失格で、速攻で首じゃないんでしょうか。
上司や顧客が納得の行く説明ができる状況じゃないと「動けない」ことが起きるんじゃないかと私は想像しています。大きな金額の運用を任されているトレーダーもそうでしょうし、ファンドマネージャーとて同じじゃないですかね。
かと思うと、我々から見てプロに見える人でもろくでもない人もいる。
随分昔ですが、ある証券会社の私の担当が「ソニーを買いましょう」というんですよ。「理由は?」と聞いたら、「今、任天堂が上がっているのでそれからの連想です」という答え。
その時、このアホには二度と聞くまいって思いました。(笑)
でもこれもその上に書いたのと同じことなんですよね。その担当は「これは絶対間違いがない。ソニーは上がる」と信じていたのかもしれない。でも彼は私を説得することは出来なかったわけです。その後、ソニーがどうなったか覚えていませんが、もしかしたらソニーも暴騰したのかもしれない。
でも「任天堂が上がっているから、それの連想で買いましょう」なんて言われて、はいそうですか、とはなりませんよねぇ。
これがもし「任天堂が急落しているので、ソニーも危ないから保有しているものは一旦、撤退しましょう」ならまだわかるんです。「新規の買い」と「撤退の売り」では、買いと売りが逆って言うだけじゃなくて、基準にする考え方が全く違うのはわかりますよね?
それはコロナウィルスも同じで、「世の中の雰囲気がおかしいです。危ないかもしれない」と思っても、そういう感覚的な読みで上司も顧客も説得するのは簡単ではないんでしょう。
でも先週末には「各国での局地的な蔓延」「CDCやIMFの注意喚起」となれば、「いや、ここは大丈夫です。保持して我慢しましょう」なんてことも通らない。「ここは逃げましょう」という判断は、「だれでもそれに納得する」わけですから、そういうときにしか彼らは動けないのかな、みたいな気がしています。
何が言いたいのかと言うと、相場を動かしているのは「ビッグプレイヤー」だけれど、私達は彼らと違う論理で動けて小回りがきくってことを忘れてはならないはずで、なおかつ彼らの論理が理解できれば「先回りも出来る」ってことじゃないかと。
で、世の中が慌てだして大きく市場が動いた時は、「そこが利益確定の場所」であることも多く、実はその後の動きのほうが大きかったなんてことも日常茶飯事ですが、「市場の動きにくっついて右往左往するのは良い選択ではない」のは間違いがない。初心者はそこの理解が浅く、「流れに乗る」ことをしているつもりで、「高値を買ったり」「底値で売ったり」することが起きる(私も昔はそんなことは普通にありました 笑)
でもそれって「気まぐれ」に果てしなく近い判断になる危険性もあるし、「思いつき」じゃうまくないんですね。
だからやっぱり「チャートを見る」のは大事で、「兆候なくして大きな動きは無い」ということ。
たとえ天変地異が起きたとしても、あるいは戦争が起きたとかある国が重大なことを発表したにしても、「必ず情報筋」や「最初にそのニュースを知った人」が市場に影響を与えるのね。だから「上がっていたものが突然下がる」とかその逆も起きないわけで、必ず「予兆は見える」ことを忘れてはならないと思うんです。
アメリカのダウ。日足。
そしてビッグプレイヤーは「その予兆」だけで判断することは難しいという上に書いた話に通じていく。
私達のような「吹けば飛ぶようなトレーダー」だからこそ有利な点がいろいろあるってことだと私は考えています。
でも逆に、「我々には入らない情報」や「大手には伝わっていた情報」も間違いなくある。インサイダー情報もその中に入りますが、それを我々は手に入れられないことを憂う必要もないのね。
なぜなら、「彼らが動けば、それは必ずチャートに出る」わけですから。
ただし、「日足を重視する手法でも、日中足の動きは絶対に観察しなくては駄目」なのね。日足で初動を掴むのは難しい出来事もあるから。そういう時に日足で見えるのは「結果」であって、少なくとも「4時間足を見るべき」と私がいつも書くのはそういう理由があるからです。
ダウ。4時間足。
ダウ。15分足。こういうチャートを見ると、日足で下がりだした時点で「買いポジション」を持っていたら全くおかしなことであるのもわかる。
なーんて考えると、細かい時間足を見れば良いのかってなってしまいますが、それも違うのね。
ここはまさにどういうトレードをするのかによってまるで見方が変わる。また24時間、チャートを見張ることは出来ない。でもチャートにはアラート機能がついていて、自分が気になるような動きが出た場合は「アラートを鳴らす」のは簡単だし、もう一歩進んだ考え方として「自動で撤退する」ことも可能。(出撃はまた全く別の話し)
どちらにしても我々には説明責任もなく、全ては自己責任ですから、「理由がわからない初動に乗る(初動で降りる)」ことも可能なのね。で、「世の中で何か起きたみたいだけれど、詳しいことは全くわからない」という状態でも「市場に参加できる」わけです。そして時間とともに、たとえば「ツイッター」に情報が出てきて、そしてメディアの速報、テレビのニュース、新聞へとニュースは伝わっていく。
そんな頃に、「なるほど、そんな事が起きたのか」と【後になって】わかるわけですが、それはそれで何の問題もない。「他人の動き、思惑は必ずチャートに出てくる」のですから。
ところがそれが出来るのはチャートアナリストだけで、ファンダメンタルズ重視だとどうしても遅れるんじゃないですかね。
でもそれはそれでまた投資方法も違うわけで、彼らは超短期で利益を出そうとしているわけじゃなくて、「週明けに波乱含みで値は下げたけれど、これからどうなるのか」が彼らの一番の関心事じゃないでしょうか。
だから全く発想も売買手法も違う多くのプレイヤーが市場に参加しているわけで、どれが良いのか、どれが一番なのかって初心者は考えてしまいがちですが、そんなことは関係なくて、それぞれがそれぞれのやり方で利益を出そうと考えているだけのはず。駄目なのは「自分のトレード法」が自分の中で確立していないのに、チャート見て悩んでみたりファンダメンタルズを知りあたふたすることじゃないでしょうか。
だから私は「チャート分析が一番」だとも考えていないんです。
でも私達は、「チャート分析に加えファンダメンタルズ分析」の二刀流もできるってことを忘れちゃ駄目だと思っています。(逆にファンダメンタルズを重視するトレーダーも、チャートで必ずタイミングを見ているはず)