私が「石油を買うのも良いんじゃね?」と書いたことから、関連金融商品を買ったと私に連絡をくれた方が若干名いらっしゃいます。
石油価格が低迷するとOPECプラス(ロシア含む)もアメリカもヒジョ~~~~~~~~~~に困るわけで、トランプ氏も解決に動くと表明しましたし、OPECプラスでかなりの量の「減産」を9日に発表。
ところがトランプ氏の時も、今もマーケットは反応しない。というか、「上がっても下がる」。
この理由を上の日経新聞のニュースではこの様に説明。
9日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は反落した。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で、期近の5月物は前日比2.33ドル(9.3%)安の1バレル22.76ドルで取引を終えた。主要産油国が大幅な協調減産で合意するとの期待から買いが先行したが、減産しても需要縮小を補い切れないとの見方が次第に強まり、売りが優勢となった。
ま、それも正しいとは思いますが、そもそも石油価格は「マーケットの需要と供給」で決まっているのかどうか。
私はそうは考えておらず、まさに今回のように「減産」「増産」を産油国が行い、「供給量を調節」しながら価格をコントロールしているものだと考えています。今までの石油価格の上下はそれで決まったんじゃないですか?
で、今回は日量1000万バレルの減産を決めた。これは全体の10%に相当する。
これってこれまた微妙な数字ですよね。そしてコロナでの世界の需要は20%減と言われている。
ただし問題はここではなくて、OPECプラスのこういう「合意」とはどういう合意なのかが問題。
「合意しようぜ?」「オッケイ。それで行こう」
「ところで誰が減産する?」「そりゃお前だろう。俺はやだよ」
とまぁ、こういう組織らしい。それを市場参加者は皆、知っていると。
つまり合意は合意でも、「どの国がどのくらい減産」とか「皆で20%減産とか」、そういう具体的なことが簡単には決まらないのがOPEC+で、その具体的な各国の減産数字が決まらないと、「何もきまらないのと同じ」ということ。
そもそものサウジとロシアのやりとりを考えてみてください。
「この値じゃ俺たち厳しいよね。減産しよう」と集まった会合で、「俺はやだよ」と言い出したのがロシア。そしてブチ切れたサウジが、なんと「増産を始めた」からもっと安くなったというのが今の状態。
とまぁ、私はその様に解釈しております。
確かにコロナの影響で需要は大幅に減っている。でもOPEC+で「大幅な減産を具体的に決めれば値は上がる」んじゃないですかね。でも決まらない。
さて、皆さんがどうお考えになるかは皆さんの勝手。
ただし、皆さん、私の考えや動きをあてにしないでくださいね。
私は情報提供を仕事としているわけでもないし、何も知らせずに、説明もせずに、「先週、撤退しました」と書く可能性があるのを忘れないでください。
というか、私はいつも書いている通り、「読者の方々も自分の足で立って歩く」のを目指しております。だからあえて、情報を流さないこともあるかもしれないぐらいに考えてください。
私にメールを送ってきて、いろいろ相談をしても、私はその方に優先的になにか情報を流したり、私の手の内を晒すこともありません。
ご自分で考えてくださいね~~~~~。(^_^)v
でも間違いがないのは、
◯ 世界は石油なしには動かない
◯ 今の価格レンジで生き延びることが出来る産油国は無い
いやいや、サウジの生産コストは10ドル以下ですよと言う人もいるでしょう。アメリカやカナダのシェールも40ドル以上じゃないと採算が合わないとか、それは各国まちまち。
でも重要なのは生産コストではなくて、「石油による収入をあてにして国家運営をしている国の、死守しないとならない価格はいくらか」が何よりも大事じゃないんですかね。
そりゃ大昔のサウジなら10ドルでも大儲けでしょう。
でも今のサウジは石油収入がごっそりあるのを前提として国が動いている。
ここが何よりも大事じゃないですかね。他の国も同様で、「どの価格まで耐えられるか」は生産コストには関係がないと言ってもいいはず。そして各国の限度はそれぞれ違う。
要は「チキンレース開催中」だと私は思っていて、いつか40ドル以上の値に戻さなければならない時が来る。
この値幅だけ見ると、なんだか随分細かいなぁと思うかもしれない。
でも比率を考えてくださいね。今、23ドルが40ドルになるだけでどれほどのゲインとなるか。
23000円の株価が40000円を超えるというのと同じ。
でもその価格の時に「これじゃやっていけないから減産しよう」と話し合いを持ったのがOPEC+。
彼らは55ドル~65ドルの価格帯は間違いなく欲しいはずでそのレンジを狙っているはず。
いつかコロナも一服して、世界が動き出した時に石油をこのプライスレンジに放置するほど彼らはマヌケではないはず。
あるいはもし経済も戻らず、石油の需要がこのまま続いたとしたら?
いつまでもチキンレースを続けますかね。
私としてはそれは無いだろうと考えたいし、もしサウジの裏の狙い通りにシェール産業が崩壊するようなことがあると、シェール産業が発行しているすでにジャンク化したボンドを組み込んでいるファンドも壊滅的被害を受ける。これってリーマンショックのサブプライムローンの再来となってしまうわけで、これを世界は放置しないんじゃないですかね。
何が起きるかと言うと「世界恐慌」なわけで、当然、トランプ氏の再選も難しくなる。逆にトランプ氏がこれを解決できれば、国内のシェール産業を助けるだけでなく、世界の金融市場を助けることになる。そしてアメリカにはどう中東にコミットメントするかのネタ、カードはいくらでもあるわけで、私はやっぱりトランプ氏がキーパーソンとなるんじゃないかと見ています。
ただし、石油の値が上がると「伏兵のイランを喜ばせることにもなる」わけで、トランプ氏はそれはやりたくないであろうことも考えられる。
どちらにしても今以上に石油価格が下がれば、私は迷うこと無くナンピンで良いと思っています。