いや~~、こんなことがあるんですね。びっくりなんてもんじゃない。
先物の価格がマイナスの値をつけた。史上初だそうです。
株式でもなんでも価格がゼロというのはわかりますが、マイナスですよ、マイナス。先物を買う時にお金が受け取れる。
CL May(5月限)
1時間足。
これは一体なんだったんでしょうね。需要が少なく在庫が積み上がっている状況で、5月限の先物を買っている場合、反対売買をしないかぎり【現物を受け取る】ことになりますが、【その現物を貯蔵する場所もない】と。だから先物は売らないとならないわけですが、【そういう状況にあるのを知らないプロがいるわけがない】じゃないですか。なんで月曜日まで何もせずに【突然売る】のですか?おかしいでしょう。(Independentのニュース)
私はこれは【狩り】だと思います。
石油価格がこんなに安いままのはずは無いと世界中のトレーダーが集まってきているはずで、「そういう私みたいなトレーダーをビッグプレイヤーが【狩ろう】と狙った」のだと思います。そして多くは狩られちゃったはず。20ドル辺りから一気にマイナス40ドルってことは60ドルの動き。これって先物1枚で6万ドルの動き。つまり、1枚に付き「証拠金(Margin)」は1万ドルちょっとでしたから、そして1万ドルというのは10ドルの動き。だから20ドルの値がついていれば0に下がっても2万ドルですし、まさか値が0になるなんてあり得ないと思うのが普通ですから、口座に1枚に付き2万ドルもあれば十分だろうと誰しもが考える。
ところが値はどんどん下がり、多くの人はストップロスを入れていてそれがヒットしたはずですが、ストップロスを入れていなかったらどうなるか。当然マージンコールが掛かりますし、下げのスピードが早いですから【強制ロスカット】となる。これは「成り行きの売り」で、売りが売りを呼んで買い手はおらず、マイナス40ドルまで下がった。つまりたった一枚で6万ドルのマイナスとなったトレーダーがごっそりいただろうと推測できる。
怖い世界ですね。
またこの様な動きがあったのはCLの5月限のみ。
CLの6月限。
やられちゃった方、いらっしゃいます?
石油を勧めた私としては責任を感じています。
ただ、先物ってのは限月があって、5月限なら6月7月に値上がりしても関係ないわけです。だから「将来的な値上がり」を期待するのであれば、その限月を買うということは私は書きましたよね。年末には値が上がるだろうと読むなら、それより後の限月を買う。でもロールオーバーという手があって、限月を乗り換える手もある。それをやるつもりだったトレーダーは月曜に狩られてしまった可能性が大きい。
そして私はS/Lは出撃する時点で入れるべきだといつも書いています。下がったらナンピンもありとは言え、S/Lを入れるという作業は常にするべき。
でもナンピンもありと書きましたから、15ドルあたりに買い注文を入れていた人もいるかもしれない。その場合、当然それはヒットし、なおかつマイナス40ドルまで持っていかれたわけですから、強制ロスカットになった可能性は高い。でも自動でS/Lを入れることも可能なのは誰しもご存知のはず。
まさかこれは千載一遇のチャンスなんて5月限を10ロットぐらい買って放置していたなんて読者はいらっしゃらないことを願っています。たった一日で6千万円近く吹っ飛んだはず。
でも十分に資金を口座に持っていた人は強制ロスカットにはならないにしても、現在の値は1ドル35セントだからマイナスは大きい。
石油の値は必ず上がるとしても、限月を考えないとならないと書いたのはこういうこと。
私に「石油関連商品を買いました」と連絡をくれた読者が数名いらっしゃいますが、お一方はETFを買われたのがわかっています。この場合は限月がありませんからそれを持つ続けていれば良いことになりますが、私はそのETFのことは全くわかりません。ただ石油の値と「連動していない」ような話は聞いたことがあります。
このブログの読者で「相場関係」に興味がある方もいろいろのはずで、「なにか儲かるネタはあるかな?」という見方をしていた人はここで大損したかもしれない。でも私は「注意するべきこと」をうるさいぐらいに書いてきたはず。それを読み飛ばしで儲けることばかり考えていた人は真っ青でしょう。でも「注意点をしっかり読んでいた人」は問題なかったはず。
儲けるチャンスなんかいくらでも転がっているんですよ。でもそれには「損」も対になっているわけで、そこのバランスを見れない人、負けを想定した出撃方法を考えない人はいつか必ず【大きく】やられる。今回はそれがよくわかる例かもしれませんね。
しかし、先物の値がマイナスなんてことがあるとは想像したことさえありませんでした。
また今回は需給がどうの、曜日がどうのと言われていますが、私は「それをチャンスと見た【狩りが行われた】のは間違いない」と思っています。
「狩りってなんだ?」と思う初心者も多いと思いますが、去年の1月にもたったの数分間に円が4円値上がったときも「これは狩りだろう」と書いたことがあります(ここ)。それも確かシドニーの取引時間帯。みんながボーッとしている時間帯を狙われた。また過去には「豪ドルを買うのが大好きな日本人」を狙った狩りが何度か起きたことがあります。ミセス・ワタナベというのを聞いたことがありませんか?豪ドルを買うことしかしない日本人のあだ名で、「カモ」という意味。
こういうのは昔の日本の「商品相場」の世界を知っている人なら常識なのね。常に「仕手状態」みたいな、騙し合いの世界。
相場の世界とはこういう世界。
でもこういうこともあるとわかっていれば対処はいくらでもできる。
911や311、その他の暴落を経験したことがある人なら、S/Lをタイトに入れておく癖が付いていると思いますが、儲けることばかり考えていると必ずどこかでやられるのがこの世界。
私の戦略?
石油はいつか必ず値を戻すという考え方になんの変更もありません。でもそれが「いつか」は全くわからず。想像はしますが、想像で出撃すればそれはギャンブルとなる。
ところで一般論ですが、中長期投資なら安心で、超短期売買は危険だと考えている人は多いはず。そういう風に「業界の人間」は必ず言うのは昔から。
理由はわかりますよね?
株式の世界でも「皆がBuy and Hold」してくれるのが何よりも嬉しいから。つまり「(損しても売らない)安定株主がいないと成り立たない世界だから」ということ。
今回、株式市場も暴落していますが、「私は中長期投資で【良い銘柄】しか買っていないから構わない」と損切りしない人も多いはず。それどころか、「安いところは拾います」と。
そういう方って、1980年代、1990年代も株式投資をしていたのか気になります。バブル崩壊後に株式投資をしていたのか?という意味ですが、意外にそれも経験せずに「中長期投資とは我慢も大切」なんて誰に教わったのか知りませんが、それを信じているとしたら危ないと思います。あの当時でも多くの投資家は株式市場は「V字回復するはず」と思っていたんですよ。嘘みたいでしょ?
いやいや、バフェットを見てみろと仰るかもしれませんが、それは野球少年にイチローを見てみろというのと同じ。あるいはバフェットが凄いと思うなら、バフェットに投資すべきで、「彼の教えを・・」なんてことで勝てるなら、世の中に苦労する投資家はいないと私は思う。タートルズ、FAI、中源線も同じ。
まぁ、頑張ってくださいとか言いようがありません。
今は「関ヶ原の戦い」だと認識してください。
もし家康側に付いても多くの武将が死ぬ。相場も同じ。
そしてまだ勝負は序盤戦。