この2年は金(ゴールド)が上昇しましたよね。
でもここで「不正」が行われたのではないかと、アメリカが調査をしていましたが、それを決着させるために【ドイツ銀行】が1.3億ドルを支払ったと。
ドイツ銀行は、貴金属先物市場を操作した疑いなどを巡る当局調査を決着させるため、1億ドル(約104億円)を支払うことに合意…
どういう不正かというと、大昔から世界中で行われていた不正ですが、「見せ玉」を入れるんですね。例えば、相場が5000円で推移しているときに、4900円で大量の買い注文を入れる。株式でも先物でも「板情報」というのがあって、いくらでどのくらいの注文が入っているのか参加者には見えるようになっているわけです。
で、現在値より低い値に「大きな買い注文」が入っていれば、「ビッグプレイヤーが大量に買い付けるつもりだ」と市場参加者は思うじゃないですか。すると売り注文は引っ込み、ジワジワと値は上がっていく。
ところがですね、上の例で言えば、もし下がって4900円に値が近くなったら【突然、その買い注文がキャンセルされる】としたらどうします?
こういう「見せ玉」を使って【値を吊り上げる方法】って昔からあるんですね(大きな売り注文で逆のこともする)。でもそれは「違法」。
でもわざと値を釣り上げるつもりはなくても、考えが変われば「注文を引っ込めることはある」わけで、その辺の微妙な動きというのは常にある。でも頻繁に、それも決まった買い手がそれをやれば、「値を吊り上げる意図がある」と判断される。
これをドイツ銀行がやっているという疑惑が持たれ、調査が入っていた。でもその結果が出る前にドイツ銀行は1.3億ドルを支払い【手打ちをした】という報道。
昨年、2020年には「JPモルガンチェス」が同じことをやり、9億2000万ドルを支払った。
つまり、業界ぐるみで「値のつり上げをやっていた」ということですね。
金価格の推移。
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こんなことをされたら冗談じゃないですよね。ましてや銀行や証券会社に「買い推奨」されて買っていた投資家は真っ青。
でも歴史的に見るとこういうのは「当たり前」だと思って良くて、「新規顧客を集める為」「損させた顧客の救済の為」に「価格操作をする」なんてことも普通に行われた時代があります。営業マンが「推奨銘柄」を持って顧客開拓をするわけですよ。「本当に上がるのか?」なんて思いながらちょっと付き合ってみたら、本当に上がる。「じゃぁ、もっと突っ込んでみるか?」なんて思うじゃないですか。こういう状態をわざと作る。
こういう操作はかつては「(日本の)商品相場」ではかなり頻繁にやられていました。大豆、小豆、金、銀、灯油、ゴムだとかあるでしょ。あの類。商品の場合は「仕手」が付くことも多いし、「価格操作は比較的簡単だった」のね。(これは40年も前の話で、今はそれはないかもしれない)
私も40年前の20代の中頃だったですか。そういう動きがあるのがわかって、商品に手を出したことがあります。XX物産とかXX商品の営業の動きを見ているとなんとなくわかることがあったんですよ。で、粗糖でちょっと儲けたり。
だからこういう不正は「あって当たり前」と考えたほうが良いと思っています。当然、違法ですが、蛇の道は蛇で、皆さんいろいろなことを企む業界だと思うべき。
そんなの許されるべきではないなんて、そんな理想論を言ってどうなることでもないじゃないですか。
そういう業界には近寄らないほうが良いと思うのはある意味、正解だと思いますが、世の中には鵜の目鷹の目で「カモがネギ背負ってプラプラしているのを常に探している」ハイエナがいるわけですよ。中には「何か儲かる話はない?」なんて飛んで火に入る夏の虫もいるし、こういうブログでも「儲かるネタ」を探し歩く人も決して少なくないのね。
ま、「カモが常に流入しないと成り立たない世界」と言っても過言ではなくて、投資をするなら「嘘つきばかりがいる世界」だと覚悟するべきじゃないですかね。これは自分が信用している銀行や証券会社の担当も同じで、あるいはプライベートバンクも信用するべきではなくて、「彼らには彼らの都合がある」のと、「誰かに任せて儲かることはありえない」と思うべき。
だから彼らを利用する立場に常にいないと駄目ってこと。彼らの推奨銘柄を「空売りしたらどうか」と考えるぐらいがちょうどよいと私は考えています。彼らの動きを見ることは重要で、なにか見えてくることが必ずあるのね。そして彼らの脳みそも利用させてもらうのが良いと思います。「無視するべき」と言っているんじゃありません。
今回みたいな、不正にあったらどうしよう~~?
なんて考えても無駄で、そんなことは事前にわからないわけですから。
だから私がいつも言っているのは「チャートをちゃんと見ることが重要」ってことなのね。
上がると言われても上がっていなければ、その動きが見えるまで待つべきだし、かなり上がっていて危ないと思えば、それ以上、上がるかも知れないなんて欲を出さずに見逃すとか。あるいは証券会社が持っている「仕込み玉」を「客にはめ込んで売り逃げようとしている」と考えるべきかとか、チャートを見るだけでいろいろなことがわかるわけです。
これはすでにポジションを持っている場合も同じで、常に冷静に「ポジションを持っていないつもりで考える」のが重要かと。
そして「必ずヘッジができるようにする」事が重要。
私がかなり前から「金ファンド」を持っているのはこのブログにも書いていますが、頻繁に売買することはありません(かなり昔に買ったきりで一度も売買していない)。でも金であるならば、先物でもCFDでも「ショート(空売り)が可能な金融商品」っていくらでもあるわけで、そちらを利用するわけです。レバレッジも効きますから少資本でもできるし、レバレッジを使うのが嫌なら、同じ額を投入し【両建て】状態にすればよいわけです。
たとえば持っている金なり金ファンドの値が「かなり上がった、売ってもいいかな?」と思った時には、先物なりCFDで「ショート(空売り)」すればよいわけです。その後はそれ以上上がっても「利益は、現物の利益と空売りの損失で相殺される」から出ませんが、値が下がっても「ショート玉」には利益が出ますから、損も出ない。その後はどの様に動いても「利益も損も出ない」。つまりポジションがない、利益確定の為に売ったのと同じ。
あるいは「一部分だけ利益確定をする」考え方でも良いし、かなり下げると読むのなら(下げトレンドに間違いがないとか)、多めにショートするとか。いろいろな手が使える。当然、「損の拡大を防ぐ」ためにも利用できる。
プロは常にそうやって「ヘッジを考えている」と思って間違いがなくて、これにオプションを足したりして、リスクは極力減らし、利益はマキシマイズできるようにポジションを常に変えていると考えても良いんじゃないですかね。
この辺は私の脳みそでは理解ができる世界ではありませんが、簡単なヘッジをするだけで、かなり変わるのは間違いがない。
ここは大事なところで、「自分が今やっている投資は【ヘッジが可能かどうか】を考える」のはとんでもなく重要だと思います。
私が一切、不動産投資をしないのはここに理由があります。
「借金で購入+賃貸+節税」で利益を出すスキームが多いと思いますが、そうではなくて「値上がり期待の不動産投資」ほど恐ろしいものはないと思っています。値が上がればいいですが、下がりだしたらそこから利益を出す方法がないじゃないですか。「空売り」なんてできませんし、では売って逃げようと思っても「今日中に売る」なんて不可能だし、不動産は持っているだけでいろいろと経費が掛かりますし、利益が出た時の税金も高く、「万が一の時には引っ剥がして持って逃げることもできない」し、私には「値上がり期待の不動産投資」って「マゾヒストか?」と思うくらい。(笑)
ド素人に取っては「買う時には高く、売るときには安い」のも当たり前で、不動産投資って半端じゃなく難しいと思います。
でもま、私の友人でもインド系のシンガポール人ですが、不動産投資でとんでもない資産を作ったのもいますし、やっぱり【ノウハウが大事】なんだろうとは思うものの、私にはさっぱりわからない世界ですので、「ああ、買っておけば・・」と思うことは私の人生で何度もありましたが、それに手を出す度胸はありません。
でももし、不動産投資に「ヘッジの方法」があれば、やっても良いかも知れないと思ったり。
ですから、株式、先物投資でも債券投資でも、「ヘッジが可能な対象」なら、【どうやってヘッジをするのか】を知っておくべきだし、すぐに出動できる体制を常に組んでおくことは重要じゃないですかね。
ヘッジをするには当然、資金が必要ですが、レバレッジを掛けられるのが普通だし、手数料もかなり安いので、保持している現物を売ったり買ったりを頻繁にするよりはるかにメリットが有る。
またもし「定期預金」だとしたら、為替にも変化が起きても【すぐに解約なんて不可能】じゃないですか。あるいは担保に入っていていじれないとか。それは株式でも同様のことってあるはず。でもヘッジ玉を使えば売るのと同じこともできるわけです。
そして【チャートの読み方】を学ぶことも重要。
私の場合はチャートアナリストだと自分で思っていて、チャートを何よりも重視しますし、世界の動きをファンダメンタルズから読むと常に外れますし(笑)、【余計なことは知らないほうが良い】という私なりの結論が出ています。でも本来は「ファンダメンタルズ分析とチャート分析」は【車の両輪】だとは思っています。私の場合は、ファンダメンタルズの利用方法がわからないだけの話。
どちらにしても「ヘッジをどうするか」は常に考えるべきことですし、少なくとも「ショート(空売り)」ができる状態にするのは重要だと思います。
古い人は「空売りなんて相場師がやるものだ」と考える人が多いですが、若い人はFXを知っていますから、「買うのも売るのも同じ」ですよね。この感覚を手に入れた現代の人たちって、アドバンテージがあるのを忘れては駄目で、「株は買うもの」なんて考えたら、やっぱりそれは「飛んで火に入る夏の虫」だと思って良いと思います。
で、ヘッジをやっているとある時、フト気がつくんですね。もしかしたら「現物には投資しなくても良いかも・・・」と。(笑)
そしてそういう人たちはいわゆるトレーダーになっていくんじゃないですかね。上がると思えば買う。下がると思えば売る。これを繰り返すだけで、「このままこの株を持ち続けたらどうなるんだろうか・・・」なんて悩みから開放される。
ただ私が思うに、「買うだけ」→「ヘッジを始める」→「波動の動きで利益を出す」という【変化の順番】も大事だと思っていて、【基本はチャート読む】のは同じでも、やっぱりそれぞれ違いがあるわけで、それを理解するのが大切だと思うから。あるいは、FXから入った人でも「買うだけの投資」を経験するのは大事だと思うんです。
つまりですね、ボクシングだとすれば、「買うことしか知らない人」は【片手で戦う】。「ショート(空売り)」を覚えれば【両手で戦う】。そして他の考え方を覚えれば、【キックも使える】みたいな。(笑)
でも最初から全て使おうなんて調子の良いことを考えると、いつになっても「何も出来ない」かもしれないのね。やっぱり「階段は一段づつ上がる」のは大切だと思っています。
とにかく「チャートを見る」癖をつけるのが大事だと思います。どこの誰が何を言おうとそれが事実かどうかもわかりませんよね。ファンダメンタルズの読みも同じで、それがどう値に影響を与えるかを知るのはかな~~~り難しい。
ところがチャートというのは【事実しかそこには無い】わけです。これは誰がなんと言おうと「チャートは常に正しい」のね。でもそこからわかるのは【過去と今だけ】です。
でもそれだけわかれば十分。
道路を歩いている時に、道路は上がったり下がったり曲がったりしていますが、それは「見ればわかる」じゃないですか。そして普通は、「上がり始めた道路はそのまま上りが続くのが普通」で、上がったかと思ったらすぐ下がったりということは珍しい。カーブも同じ。右に曲がり始めた道路が、突然、左に大きく曲がるということも珍しい。
つまり「見えているトレンドに乗る」ってこと。で、トレンドが見えない、わからないと思うなら【何もしなければ良い】という単純な話なんですよ。常に動きがわかるなんてことは絶対にありえない。
でもポジンションがあったらどうする?
現物を持っていて、「これから先の動きが見えない、不安だ」と思ったら、そこでとりあえず「ヘッジ玉」を入れておくとか、その量も調節すれば、臨機応変、動きについていけるってことなのね。
だから今回みたいな不正があろうと無かろうと「関係ない」ってこと。気楽でしょ?(笑)
それどころか不正によって「上昇トレンドが作られた」としたら、我々にとっては好都合じゃないですか。でもそれがバレて問題が起きたとしても、慌てて投げ出すこと無く、きっちりチャートを見ていればどうするべきか見えてくる。とりあえず「ヘッジ玉を入れる」のも良いだろうし、「下げトレンド」がはっきり見えたら、「ショート玉を増やす」ことをすればよいだけ。もちろん、現物を売るのも良いけれど、現物とかファンドを売買すると「手数料も大きい」ですよね。だから「長い目で見てロング継続」という基本路線があれば、ヘッジ玉を入れるなり、それの増減で調節すればどうにでも対応できる。
でももしヘッジが出来ないと仮定して、どうするべきか考えてみてください。かな~~り怖いことになると思いませんかね。
でも簡単にヘッジができる状態にあれば、別になんてこともないわけです。
やるべきことは常に決まっていて、「値動きの方向性とその強弱を見る」だけ。そしてトレンドに着いていく。
でもね、これもなかなか出来そうで出来ないんですよ。それはチャートの読み方ではなくて、「自分の中の欲望と恐怖」が悪さを常にするのね。
あえていうとすれば、相場に勝つ秘訣は唯一つ。「自分の欲望と恐怖をいかにコントロールするか」。これだけ。
そしてその次に大事なのが「チャートの読み方」だと思っています。
これがわからない状態で、四季報を隅から隅まで読もうが、何百冊の専門書を読もうが、天才トレーダーにノウハウを教わろうが、超有名な学者、専門家のセミナーに通おうが、ウォーレン・バフェットを徹底的に研究しようが、絶対に勝てるようにはならない。断言できます。
なぜ断言できるか?
それはみんな同じ道を通るからなんですよ。(^_^)v
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