海外所得には課税するという話ですが、どうも「マレーシア国内に持ち込んだ分」に課税するという意味みたいですね。
タイは「世界所得に課税する」のだと思っていましたが、これも「タイに持ち込んだものだけに課税」とのことです。
私はこういう税制って今まで全く知らなくて、先進国の多くの「世界所得に課税する」のと同じだと思っていました。つまり、その利益を国内に持って入ろうがどこに置いておこうが、所得は所得なので課税するという方法。
でも「国内に持ち込んだものだけに課税」だとするなら、私は大した問題にはならないような気がしています。
課税される場合ですが、源泉国とマレーシアと租税条約が結ばれていれば、またそれも国によって違うものの、「源泉国で税金を支払った場合」はマレーシアで「その額はマレーシアでの税金から控除される」のが普通でしょう。(税額控除)
これによって「二重課税の防止」をしているわけで、源泉国でも源泉国の税率で課税され、マレーシアはマレーシアでマレーシアの税率で課税されたら大変なことになりますものね。
でも二重課税防止というのは、「A国で払えば、B国では【一切】払わなくても良い」ということじゃなくて、第一課税権がある国(普通は源泉国)がまず課税し、その次、居住国のマレーシアでの課税では「先に支払った税額分が控除される」ことによって、二重には支払わないで済むということじゃないですかね。(要確認)
でも租税条約が取り交わされていない国が所得の源泉国だとややこしいことになるでしょうし、所得の源泉国でも「非居住者は非課税」の様な所得もあれば、一律の源泉徴収であったり、累進課税だけれど所得税だけで地方税は支払わないで良いとか様々なんでしょう。
またマレーシアでは定期預金などの金利には課税されませんし、株やFXなどのキャピタルゲインにも課税されない。では、海外にある定期は?海外の株式売買益は?配当は?とかわからないことばかり。
でもマレーシアに送金しなければ、課税されない。
そしてもっと私がわからないのは、「マレーシアに送金したお金が【所得】なのか【すでに持っていた資産】なのかの判別」ってどうするのかってこと。
例えば日本を含む複数の国で収入があったとして、それぞれ課税済みだったり非課税のものなどをまとめて「第三国」で保持しているとします。例えば香港であったりシンガポール。
でもマレーシアに居住をしていて、その所得をマレーシアに移さなければ「マレーシアにおいて課税はされない」わけですよね。で、マレーシアでの生活費は「すでに持ち込んであった資産を切り崩して使う」としましょう。で、たとえば香港のお金は定期にしておくなり、債券でも買っておく。
その利益で生活をしなくてはならないにしろ、その利益をマレーシアに移さない場合、マレーシアの資産はどんどん減っていきますが、その分、香港の資産は増えるわけで、プラマイゼロ。
そして数年が経ち、手持ちの資産も減ってきたので「香港からまとまった金額を移す」としましょう。で、香港では定期が満期になったとか、あるいは解約したとか、その証拠はありますよね。
マレーシアにそのお金を持ち込んだ時に、「このお金は前から私が持っていたお金です。証拠があります」と税務署に申告した場合、そこに嘘があるでしょうか。この時にマレーシアの当局はどう判断するんですかね。
実は前の日記のコメント欄に書いたことですが、オーストラリアは「海外所得に課税される」国なんですが、【海外から自分の資産をオーストラリアへ送金】しても、【これは所得ではないのか?】とかなりの頻度でお尋ねが来るんですよ。
私はそれで課税されたことはないのですが、取引銀行の担当から、「ある日本人が自分の資産をオーストラリアへ送金した時に課税されたから要注意」と言われて、だろうなと思いました。
ですから海外送金はかなり気を使うのが癖になりましたし、一番良いのは「送金しないこと」なんですね。でも現実的にそれはできないわけですが、「送金は極力減らす」のと、「これは所得ではないか?」と聞かれるのを前提として、対策を常に考えていました。一番駄目なのは、「頻繁に、それも同額を送金し続ける」ことなのね。こういう送金パターンをAIがピックアップして当局からお尋ねが来るんでしょう。
また、マレーシアに来てからこんな事がありました。
去年のことですが、私にマレーシアの税務署からお尋ねが来たんですよ。私は後ろめたいものはありませんが、やっぱり税務署から連絡が来るとドキッとするわけです。(笑)
一体なんのことかと思ったら、CRS(Common Reporting Standard)絡みでした。CRSとは何かわからない方は検索してください。
マレーシアの税務署は「私がある国で、その国の非居住者として持っているお金の存在を知った」わけです。それはCRS機構から(私の居住国である)マレーシアの当局に「私の情報が流された」わけですね。私はマレーシアの納税義務者であると、現住所とともに海外の銀行には申告してありますし。
で、税務署は「そのお金はマレーシアで申告すべき利益ではないのか」と聞いてきたわけです。(手紙でした)
そのお金はマレーシア国内で商取引をして得たお金でもないですし、過去から持ち続けている債券でしたので、「その銀行の3年分の口座の記録」を添付し、「これは過去から持ち続けている資産」で、その運用益で私達は生活をしていると、メールで返事をしました。そして「私達はMM2Hビザでマレーシアに滞在しており、マレーシアにおいては仕事もしていないし、給料をもらったり、マレーシアの企業や個人から利益を得たことはない。そもそもそういう活動は許可されていない」と書き添えました。
でも私としてはマレーシアの税務署は根掘り葉掘り聞いてきて、あの種類を出せ、この書類も出せ、XXを証明しろとかいろいろ言ってくるであろうことを想定していました。
一週間経っても返事がないので、担当者に電話をして聞いてみたんですよ。そうしたら、「はい、問題はありませんでした」という返事。それで終わり。簡単。その後は一切、税務署からの連絡は無し。(実はその後、長男にも同じ様に税務署から連絡が入りましたが、同じ様に対応して何の問題もなしでした)
もしもですね、私が何らかの収入をマレーシアで得て(課税対象)、それを申告せずに国外に持ち出し、そこで運用していたとしましょう。そして3年以上経った時に、税務署からお尋ねが来た場合、まさに私がやったのと同じことをすれば、それで済んでしまうってこと。
ちゃんとCRSは機能しているんだというのがわかりました。でもあんな調べ方なら、悪い連中をあぶり出すのは不可能だとも思いました。前にも書きましたが、やっぱりこのシステムは「素人の脱税予備軍を思いとどませる」程度の効き目しかないんじゃないかということ。本気で悪いことを企む人は、そもそもCRSで自分の資産が表に出ない方法を考えるはずですし。
ま、それは横においとて、「海外で収入を得ている」としても、「それを直接マレーシアに持ち込まない」ようにすれば、いくらでも課税されない方法はあるんじゃないですかね。
だからやっぱりマレーシアの税法の改正は、「企業を前提に考えている」と私は思うんですよ。国際的な企業の場合は「金額は凄いことになる」だろうし、企業の場合は「会計上の縛りがある」から適当なことはできないし、海外で利益が出れば利益が出たというのはすぐにわかる。当然、税理士や公認会計士、監査人はその手の「課税対象になる所得」を分別し確認しなくてはならないはず。
しかし、もし企業が海外で利益を出して、その利益は海外事務所に溜め込んでマレーシアの本社には送金しなかったらどうなる?でも会計上はマレーシアにある本社の利益として計算されれば課税対象となる?
でもそれとて、手広く世界で仕事をしている企業なら、マレーシア国内の仕事だけをする子会社を作り、「海外での所得はその子会社の所得ではない」形を取ればよいだけのことじゃないんですかね。そして子会社でその所得(資金)が必要なら、海外の同系企業からの貸付けとするなり、増資をすればよいだけじゃない?
そもそも海外所得でも本国に送金しなければ課税対象とならない、なんてのが私にはなんでそんなのがアリなのかがわかりません。
でもま、世界の動きとしてそうせざるを得ない国の立場があるのは理解できるし、体裁だけでも「課税しています」「法制度も変えました」というのが大事なんだろうと思ったり。
もしちゃんとした法制度にするなら、「送金しようがしまいが、世界所得に課税します」というのが世界の常識だと私は思うし、海外に子会社を作って利益を分散しようとしても「合算しなければならない」ということにもするんでしょう。日本もそうなっていて、タックスヘイブンに子会社を作ってそこに利益を落としても合算して課税されるような仕組みになったのはもう30年近い歴史がある。
でも蛇の道は蛇でそういう中でも企業はあの手この手を使って法律の目を掻い潜ってグレーゾーンを使ってでも節税しているのが現実じゃないでしょうか。
ただし、個人がカツカツで生活をしていて、海外での所得を毎月なり定期的にマレーシアに送らなければ生活ができないとするなら、使える手はあまり無いんじゃないですかね。
でもま、一般的には「日本の年金受給者がどうなるのか」ってところだろうと思いますが、私は年金を受給していませんし、海外在住の場合の税金はどうなっているのかも詳しくありませんが、【日本で源泉徴収される】んですってね。20%ちょっとですか。
ですから、マレーシアで課税されるとなってもその税率が20%を超えないのであれば全く問題はないし、源泉徴収をされているのなら「租税条約によって、その所得に関してはマレーシアでの納税義務は無し」となっているのかもしれない。この辺は私にはわからず。
ただ、日本を含む数カ国で「不動産投資をしていて賃貸の収入がある」とか、「リモートワーク、フリーランス、あるいはノマドで海外の企業から収入を得ている」とか、「税金が低いどこかの国、あるいはオフショアに会社を持ち、無税、あるいは非常に低い税率で給料なり配当等の収入がある」とか、そして【その収入のすべてをマレーシアに送っている】とするならかなり面倒なことになるんじゃないですかね。
でも「マレーシアに送らなければ課税されない」。
いろいろなことが頭に浮かんできますが、それは頭の体操レベルで抑えて、ちゃんとした【資格、免許を持つ専門家】に相談するのがベストですよね。
絶対に駄目なのは、私みたいなわけのわからないオヤジの話を真に受けること。
ダボの言うことはいい加減で信用できない、と思うくらいが丁度よい。(笑)
私もそのうち、マレーシアの税理士に話を聞いてみます。でももう少し話が煮詰まってからね。今の時点では彼らも概要しかわからないはずですから。
でもさぁ、今日は11月1日。今年はあと2ヶ月で終わり。
それなのに来年2022年の1月から「海外所得には課税します」って・・・・
新MM2Hのときも同じでしたよね。とんでもない新たな条件を出して、10月からこれで行きますと宣言した。あれは何月でしたっけ?8月でしたっけ。
マレーシアでは「2ヶ月の猶予期間があれば良い」ということなんですかね。