株式市場、為替市場のことは横においといて、これからのアメリカ、米ドルの行方が気になる人は多いと思います。
「アメリカはもう終わった」とか「覇権はなくなる」とか良く言われますが、「アメリカの何が終わるのか」「覇権とは何か」と私は思うわけで、なんだか世の中で言われていることがピンと来ないんですよ。
アメリカの危機を言う人達の心配の根本は「アメリカ株式市場の崩壊」であり「米ドルの下落」であるわけで、私はそれを「アメリカの崩壊」とは全く考えないし、「覇権の喪失」とも思わない。
ただし「位置が変わる」のは多分、間違えないだろうと思っていて、それは、要は相場の話で「為替、株式市場」の「アメリカの位置が変わる」のだろうと思っています。
そしてそれは「長い歴史」では常に起きていることでしか無くて、そもそも米ドルは360円の固定相場から変動相場制に移り、260円台だった時代もから70円台というとんでもない「ドル安円高」の時もあった。それは日本から見ても「日本に大きな変化があった」という意味で同じこと。そしてそれは「株式市場」も同じ。
こういう変化って「常に起きている」ことでしかなくて、覇権がどうじゃ、アメリカの時代は終わるとか、それっておかしな考え方だと思っています。
そもそもプラザ合意の時も、日本がイケイケでそれを潰そうとした日米構造協議、年次報告書の話が出た時も「アメリカは悲惨な状態」だったわけで、私に言わせれば「アメリカが危ない状態」「下り坂を転げ始めたなんてのは1980年代から何も変わっていない」んじゃないかと思うくらい。
ただアメリカは「金持ち」で「影響力があって」「眩しく輝くアメリカ」というイメージを持っていたとしたら「それが変わる」ことはあるだろうし、「アメリカの終焉」と感じるのかもしれない。
でもそれを言うなら、それこそ昔のブラックマンデーしかり、世界の最先端を走っていた「ITバブルの崩壊」も「リーマンショック」も、その時点では「アメリカの終わり」を感じるぐらいだったはず。
でもBRICSがどんどん大きくなり、マレーシアのような国々もBRICSへの参加を表明し、G7とBRICSの「経済規模」を見ると、そりゃBRICSの勢いには目を見張るものがあるし、「アメリカは終わった」ようにも感じるのは当たり前。
ただ「BRICSの自国通貨の取引が増える」にしても、それが「米ドルの崩壊」と言えるのかどうかは疑問。
私が注目するのはそのへんじゃなくて、例えばどの国にしても「儲けたお金をどうするか」が気になります。「金(ゴールド)を買う」のもありでしょうが「どの通貨でお金を持とうとするか」を考えた場合、私はやっぱり「米ドル」だと思う。あるいは「ユーロ」「ポンド」「日本円」かもしれなくて、「中国元」「インドルピー」「ブラジルレアル」で莫大な資産を持とうと思うかどうか。
「貿易でどの通貨を使うか」と「お金をどの通貨で保有するか」って全く違うわけで、私としては「持ちたい通貨」こそが【力のある通貨】だと思っています。
そして世界は「借金経済で回っている」のは間違いがないけれど、「企業や政府」が【借金をする場合、どの通貨を選ぶか】も非常に重要で、ブラジル企業が借金をする場合「ブラジルレアル」で債券を出すのか。中国が「中国元」、マレーシアは「マレーシアリンギット」で【世界からお金を借りる】ことを選ぶか?
これは「投資家がどの通貨を選びたいか」が問題であって、それは私達も同じで、「インドルピー、ブラジルレアル」の債券を積極的に買おうと思いますかね。
そもそも中国の一帯一路の問題点として「アジアインフラ投資銀行(AIIB)の利子が高い」のは前から言われていることで、だからこそ中国は日本とアメリカを取り込もうとしたじゃないですか。日本とアメリカが一帯一路に名を連ねていれば、「元本の調達利子が下がる」から、一帯一路で投資を受ける、借金をする国々も「低金利で借りられる」からでしょう。日本が主導する同じ様な銀行(アジア開発銀行(ADB))の方が利子が安いのは大きな違い。
また企業が自ら「投資を呼び込もう」と【株式市場に上場をする】にしても、なぜ世界の企業は「アメリカ市場を目指す」のか。
当然、「米国市場が世界最大」で「米ドル」が一番流通していて資金を集めやすいからに他ならない。
「アメリカはもう終わりだ」「米ドルの覇権は終わる」と、では【インドで上場して投資家を集めよう】と思いますかね。また私達もBRICS諸国の聞いたこともない企業がブラジルで上場していたとして、その株を買おうと思いますかね。
やっぱり「金持ちが持っていたい通貨」「借金しやすい通貨」「利子が安く安定している通貨」が【強い通貨】であって、BRICSが貿易するのに米ドルを使うのをやめようなんてのは「大した問題じゃない」と私は考えています。
アメリカの没落、米ドルの終焉を言う人達は【為替の下落、株式市場の下落】を心配しているだけだと私は思っています。
でも長い歴史を見れば、「スペインが世界を牛耳る時代」が「イギリスの時代」になり、そして「アメリカの時代」になり今に至るように、とてつもなく大きな変化は間違いなくあるし、それは将来も同じだろうとは思うのだけれど、近年、言われている「アメリカの覇権は終わる」という論評は「相場が崩れる」ことを危惧しているだけに私には思えます。
実際にアメリカの世界に占めるGDPは下がり続けているし、BRICSが台頭しているのは「貿易」も同じでしょうが、私は「アメリカの優位性、米ドルの優位性」はそう簡単に変わることはないと思っています。
でも「相場が崩れること」は過去に何度もあったように、近未来に起きる可能性があることは私もそう思っています。
つまり「アメリカは終わるから逃げよう」と考えるのではなくて、常に起きる「相場の下落にどう対処するか」が重要ということだけだと思っています。
キモはそこだけ。私達が心配するべきはそこだけだと思っています。
でもそれは「投資家目線」でしかなくて、「貿易業」だったり「製造業」「小売業」だったりする場合は、【お国替え】【商売相手を替える】ことを真剣に考える必要があるだろうし、それで各国、各企業は食っているわけだから「アメリカがどうなるか」というのは大問題なのはわかる。
でも「投資家」、それも「アメリカの株式市場に投資」しているとか「米ドルの債券を持っている」程度の投資家だったら【アメリカがどうなるか】を悩むのは【地球がどうなるのか】を悩むのに似ていて、「話を大きくしすぎ」に私は感じます。
「アメリカの株式市場の下落」「米ドルの下落」が起きれば、ダブルパンチでやられるわけですが、そんなのは「いつも起きている相場の動き」でしかないし、【それに対処する】ことだけに注目すればそれで済むことだろうと思っています。
でももし、貿易業、製造業や小売業の場合「アメリカ以外の国を重視しよう」と考えるのは当然重要で、今でも日本の飲食業が中国や東南アジアに進出するのも同じで、そういう立場の人たちと、「アメリカインデックスを持っている」「米ドル建ての債券を持っている」程度なら、【下落にどう対処するか】だけが問題じゃないんですかね。
「アメリカの衰退」「米ドル覇権の終焉」なんて話を大きくして考え悩んでも意味がないと思う。
重要なのは「相場の変化に乗るスキル」であって、【それがない】とするなら「アメリカはもう駄目なのか」「米ドルの覇権は終わるのか」と気になって「撤退するべきか否か」と悩むのだろうと思う。
でもそれも所詮「的外れ」でしかないんじゃない?
アメリカが終わろうと米ドル覇権が終わろうと、「相場の変化で利益を出すこと」が重要で、【変化の原因を突き詰めても意味がない】と私は考えます。また「アメリカは危ない」と言われ続けてきたのに「米ドルは強く、株式市場は上がり続けてきた」じゃないですか。これはこれで「その流れに乗って利益を狙う必要がある」わけで、「アメリカの将来が~~~~、覇権が~~~~」なんて言っていても全く関係ない。
これは日本も同じで「これからの日本がどうなるか」思い悩んでも「日本の株式」で利益を出せるかどうかは【関係ない】と考えるべきで、もし「日本の将来は危うい」と考えたとしたら、では【上がり続ける日経225】に売り向かいますかね?
自分が経済、金融の学者や専門のアナリスト、大企業の経営者になったつもりで考え悩むのは「猿真似」かもしれない。
私達一般が考えるべきことは「今日明日の天気だけで良い」のと同じで、【雨が降ったら傘をさす】【雨が降りそうなら傘を持って出かける】【天気が良ければ傘はささない】だけで良いのかもしれない。
でも「一般常識を持つ」のは重要で、それを完全に無視するのも難しい。
だからやっぱりこういうことは知っておくべきだし、「長期的に考える」には必要なことだと思う。でもこういうことに詳しくなったからと言って「投資で利益を出せるようになる」こともない。
私の信条は「トレンドを探してそれに乗る」「逆張りはしない」「予想はしない」ということだけ。
【雨が降ったら傘をさす】【雨が降りそうなら傘を持って出かける】【天気が良ければ傘はささない】
でももし貴方が「学者」「専門家」「大企業の経営者」「機関投資家」「評論家」、あるいは「視聴者を集めて利益を出すインフルエンサー」なら、「理屈をこね回す」のも重要だとは思う。
「上がっているから買う」「下がっているから売る」なんて言ったら【バカ扱いされる】でしょう。
でも「相場で利益を出す」のが目標だとしたら、重要なのは「上がっているから買う、下がっているから売る」スキルだけだと思う。
私達は「競馬の予想屋、天気予報士じゃない」のだから。
世の中は「予想するのが大好きな人」「それで食っている人が多い」ことは忘れないほうが良いと思う。そして「そういう人たちを師と仰いだらどうなるか」を冷静に考えるべきかと。
本当にアメリが目に見えるように衰退し、米ドルが下落しても、米ドルに関してはトランプは「下げたい」意向が強いわけで、私達ゴミ投資家が心配しても出来ることはなにもない。
何が起きても、起こらなくても、「常に変化する相場の流れについて利益を追求するしかない」と思うんですけどね~。