マレーシアのスーパーにも「レベルの違い」が間違いなくあるものの、生鮮食品の場合はどうなのか私は良くわからなかったんですよ。
例えば「鶏肉」にしても【有名ブランド】がマレーシアにはいくつかあって、それを扱うスーパーは多くて、どこで買っても同じかもしれない。
それは「オーストラリア産牛肉」も同じで、店頭に切り分けて並べている状態では「ブランド」がわからないけれど、「ブロックが欲しい」というと冷蔵庫から出してきますが、その場合は「真空パックされた状態」が多く、ブランド名もそこからわかるので、大体どこでも同じようなものを扱っているであろうことがわかる。
でも「扱い方」は各店いろいろで、どこのスーパーでも生鮮食品の売り場は「作業台が見える」事が多く、それを観察していると「恐ろしい」と思う店もあれば、「ちゃんと扱っているな」というのがわかる店もある。ただ、冷蔵あるいは冷凍品でも「流通」が問題で、流通過程の一箇所ででも変な扱いをしたらアウト。また途中で「常温においたままの時間が長い」なんてのもアウトだけれど、そこまでは私達にはわからない。
また冷凍品の中には「これって一度解凍しちゃったんじゃない?」みたいなものもあるし、「霜が降りたようになっている」ことも多い(グレーズというわざと氷で覆うのは別)。だから我が家のヨメさんは「真空パックでなおかつ霜が降りていないもの以外、絶対に買うな」とかなり煩く言います。でも通販で買うとそれもわからないんだよね~。
だから同じ店で同じようなものを買っても「当たりハズレがある」し、店が変われば「いつもギャンブル」みたいな感じがしています。
特に冷凍品は「マイナス60度」にはなる冷凍庫を使っている業者と、せいぜいマイナス30までの冷凍庫の業者とではかなり「品質が違う」のも近年わかってきた。この違いは「輸入和食材の冷凍品」に顕著で、ましてやその食材が「個別の真空パック」がなされていない(バルクで販売される商品)場合は「冷凍焼け」や「臭う」ものまで中にはあって、「価格」での比較は全く意味をなさないのね。だからどうしても「決まった業者から、決まった食材を買う」事になったり。
またマレーシアでは日本みたいに「地鶏やブランド豚」を丁寧に時間を掛けて育てるという文化そのものが「ほぼ無い」(消えた)ような感じがする。少なくともそういう食材を私が見つけるのはかなり難しい。
また前にも書きましたが、ビレッジグローサーという有名な「日本人御用達」みたいなスーパーでも「支店によって品揃えが全く違う」のね。当然、その地域の「売れ筋」を揃えるわけで、モントキアラの店が標準なんてことは全く無い。前にサイバージャヤに行った時に行った「Village Grocer @ Tamarind Square」ではモントキアラの店舗とは違う、ぜんぜん違う品揃えで、「牛肉」に関して言えば「私が欲しいものばかり並んでいた」し、当然それは「安い部位」で(笑)、牛肉はこの店で買いたいと心底思いましたっけ。
この手のブロックの牛肉がズラ~~っと並んでいた。この写真はオーストラリアの有名ブランドの「穀物飼育牛の肩ロース(冷蔵)」で、我が家はこれで全く文句無しで、他の牛肉も殆どがこんな価格帯。ブロック状だけれど、当然、切り分けて売ってくれる。同じビレッジグローサーでもモントキアラではこの2倍ぐらいの価格の肉が多い。
難しいのが豚肉で「ブランドで選ぶ」ことはほぼ不可能だし、どこのどんな豚なのか全くわからないから「買ってみて試す」しか方法がないのね。で、マレーシアでは鶏もそうだけれど、「豚も若いほうが好まれる傾向が強い」のは間違いがなくて、私の好みの「成熟した豚や鶏」を手に入れるのは非常に難しい。売っているものはどれも人間で言えば「中学生か?」みたいな若くて小さいものが多い。でもそれは日本の「若鶏がもてはやされる時代が長かった」のと一緒だと思う。やっぱり若くないと「硬い」し、「臭う」ことも多いからでしょう。それは豚も同じ。またそのくらいの成長時期に出荷するのが一番「効率が良い」のだろうと思う。日本でもある養鶏場で「1週間長く育てるだけで味がかなり良くなる」と言っていたけれど、その一週間伸ばしただけで「コストアップ」するし「回転が悪くなる」。
ブロイラーはふ化後、およそ50〜60日で出荷するから(日本の場合)、7日間伸ばすコストアップと回転が悪くなるのは馬鹿にできない。でもマレーシアの鶏は日本で一般的に売られている鶏より「一回り小さい」からもっと育成日数は短いかもね。
私達が主に食べる鶏って「ブロイラーという品種」で、これも常に品種改良が進んでいて「早く大きくなる」新種がどんどん作られて、今の日本で50~60日という生育期間もかつてはもっと長く、50年前に比べると(重さの比率で)4-6倍もの違いがあるそう。あまりにも生育スピードが早く、自分の足で体重を支えきれなかったり(倒れたら立てない)、心疾患も多く、寿命も短いとのこと。
かつてはマレーシアの伝統的な育て方(放し飼い)の「カンポンチキン」も売られていたけど(鶏の種類も違う)、最近はそれも少なくなったし、やっぱり「ブロイラー種を狭いゲージにぎゅうぎゅうに押し込んで、一生をそこで終わらせる」ような育て方が一般的で、なおかつ「薬剤付け」(使わないと育ちも悪く歩留まりが悪くなる)にするのがコストダウンになるんでしょう。世界的には「そういう育て方はやめよう」という動きがあるけれど、マレーシアではまだそういう時代にはなっていない様子。
ブロイラーとは、日本の肉用鶏のほぼ100%を占める、急速に成長する種のことだ。 一日でも早く太るよう品種改変さ…
また鶏を絞めた後にすぐに体温を下げる必要があって(衛生上の問題)、冷水につけるのが多いけれど「冷風で冷やした鶏(Air chilled chicken)」もあって、それは水を吸い込まないから一味違うのだけれど、そういう鶏も最近は見なくなった。やっぱりマレーシアでは「安さは正義」なんだろうと思う。
またコロナ禍以降はレストランもコストダウンをしているのがわかるような動きが顕著で、「値は上げず質を落とす」傾向があるのは「和食材の輸入卸商」も同じ。
ま、そんな事をいつも考えながら「どこで買おうか」と悩む私ですが、今回、近年できた「高級スーパー」と言われる「Qra」からデリバリでいろいろ買ったんですよ。Qraの発音は「キューラ」(ラの発音はR)。
このQraの実店舗には一度も行ったことがないけれど、デリバリは何度も取ったことがある。
Qra (pronounced Q-ra), is a modern neighbourhood grocer, tho…
いつもの必需品を買いましたが、フト「鶏のキモ」で【レバ刺しもどき】を作ろうと閃いたのね。で、「鶏のキモ」を買ったのですが、早速作ろうと思ってパッケージを開けた時に「いやにレバーがしっかりしている」と思ったし、掃除をしますが、「ほとんど血の固まりがない」んです。
レバ刺しもどきの作り方はこれ。
古いエントリーが表示されているかもしれないので、是非、「投稿日」を確認してください ダボ 「おーーい、出来たぞ~~。食べ…
血の塊がほとんど無いって非常に珍しいことでレバーを切れば「血が固まったものがある」のが普通。でも非常に少ないのね。
またレバーには「心臓」も付いていて、それだけ外して、切り開いてみても「血の塊がない」のね。これって本当に驚きで、なぜ心臓を切り開くかと言うと「中に血の塊があるのが普通」で、それを取り除きたいから。
「これって鶏を絞めるときの【血抜き】がほぼ完璧なんだろう」と思いました。
レバーはいつもの通り低温調理に掛けて、またいつもは63度で40分が私のレバ刺しもどきを作るときの基準ですが(65度を超えるとドリップが増え、68度になると粉っぽくそして固くなる)、今回は60度で1時間+としてみました。温度と時間の関係があって、十分な殺菌、滅菌をする場合にはどうするかという基準が存在する。温度は当然、中心温度。
低温調理をセットした後に、中途半端な数しかない「心臓」を塩胡椒をして炒めてごま油で食べてみました。
これが激ウマ!!
こんな美味しい鶏のハツを食べたことがないと思った。この「ハツだけ」欲しいと思ったけれど、マレーシアでは「鶏のハツだけ」を売っているのは見たこともないし、探しても見つからない。
このハツが激ウマなのは偶然なのか、それとも「高級スーパーでは標準」なのかはわからない。でも「高級スーパーである」ことを自ら言うスーパーですから、業者の選定や商品の基準にはかなり厳しいものがあるのかもしれない。
「血抜きは徹底的に行う」のは美味しさの原点だと私は思っていて、それは魚だって同じで、この「Qra」という店にはそういうこだわりがあるのかもしれない。でもレバーに限って言えば「血を食らう食材」だと私は思っていて、レバーそのものがもつ血まで抜いちゃうと全く美味しくない(調理温度が高いとその血が抜ける)。
そんな鶏のレバー+ハツなら「高いのか?」と思うじゃないですか。
でも価格は他と同じ。500グラムでRM3.25(約114円)で、キロ単価はRM6.5(230円)という激安。
鶏肉やレバーを1キロ、2キロ単位で売る卸業者の価格とほぼ変わらない。
これ良いなぁ。これが「高級スーパーの実力か?」と思う。
出来上がった「レバ刺しもどき」ですが、オーストラリアから帰ってきたばかりの長男と「味見」をしたのですが、レバ刺しもどきが好きな長男も「美味しい~~~」と大喜び。
本来は冷やしてから「ごま油と塩コショウ」で食べるのがいつものことですが、今回は500グラムの鶏のキモ(出来上がりは350グラムぐらいか)を二人でペロリと食べてしまいました。
本当に美味しかった~~~~。大成功~~~。
また近々、「Qraの鶏レバーは美味しいのか」を調べてみる予定。やっぱり実店舗に行くべきだろうと思う。
また話は長くなりますが、今回、初めて(最近使い出した)「トレハロース」という【糖の一種】を調理前にまぶしてみたのね。トレハロースは火を入れても「水分を保持して柔らかく保つ」機能があるし、実験してみたかったから。
これがですね、実は出来上がりの「見た目まで変わってしまった」のには驚いた。
写真を撮らなかったのもそのせいで、「固まりが崩れてしまっていた」のね。
こういうことは過去にはなくて、鶏レバーを潰してペーストを作っている途中みたいに塊が無くなって崩れている。でもそれはクリーミーで舌触りも抜群で美味しい。
AIに一体何が起きたのか聞いてみたところ、それはやっぱり「混ぜたトレハロース」と鶏のレバーにある「トレハラーゼ酵素」の働きでそうなったのだろうとのこと。
どういう成分がどう働いてという理屈はここには書きませんが、もう一つの作用として「ブドウ糖が増える」こともあって、その甘味が美味しさを助けたのかもしれない。
ここでハタとひらめいたのですが、鶏レバーのパテも真剣に作ると結構面倒なのね。でもこの「レバ刺しもどき」に「煮詰めた赤ワイン」と「多めのフランスの美味しい発酵バター」「若干のハーブ類」を混ぜて冷やすだけで「絶品のパテになる」ような気がした。もし必要なら玉ねぎを炒めて足すなりすればもっと良いかもしれない。
我が家で作る「鶏レバーパテ」ですが、フランスの有名シェフの作り方がユーチューブにあって、下の画像はそれをできる限り再現したもの。赤いのは赤ワインの色。これも生のものを65度までの温度で火入れするのが重要で、それ以上の温度だと全くの別物になってしまうのね。
今回のレバ刺しもどきは私も息子も「パテみたいになっちゃったね」と思ったことから生まれた新たなアイデア。
これで時短、面倒なこと無く作れればよいし、パテとしては全く問題ないと思う。
ま、そんなこともあったQraから買った「鶏のレバー」が美味しくて驚いたという話でした~~~。
明日にでもすぐに買いたい。(笑)
もしも「鶏レバサシもどき」「鶏レバーのパテやペースト」に興味がある方は63度での調理を是非実験してみて欲しいです。
世の中でその温度に拘るプロは本当に一握りですし、一般的なパテや個人が作るパテはその温度を遥かに超えていますから「テクスチャーが粉っぽい」のが普通。それは「レバーを炒めても焼いても同じ」ですよね。ほとんどが70度を大きく超える温度で調理する。
これじゃ美味しくないのはわかっているけれど、「安全性を考えた場合」はその高い温度を推奨するのが当たり前といえば当たり前で、それはお店も同じで、「お前のせいで食中毒になった」なんて事が起きたら一大事ですから。
でもある種のトップシェフたちは「限界を探る」のね。
それでも63度~68度で、63度以下の冒険はしないし、68度以上ではぶち壊しになるからやらない。
ここでもっと突き詰めると、63度、65度、68度という分類ができて、63度は本当に限界を探る方法で「リスクも取る人たち」でしょう。では65度というと一般的に混ぜる「卵の白身」が固まるのに必要な温度で、その温度だと多少「レバーは変質を始めている」としても「バターと卵の白身」でどうにか滑らかなテクスチャーを維持できると考える「バランス派、実務派」でしょう。そして68度を使うのは「安全第一の現実主義者」みたいな感じがします。でもそれ以上の温度は「論外」となる。
今回は60度というもっと低い温度なわけで、その場合は「調理時間を長くすればまぁまぁOK」という温度で、これは私がローストビーフを作る時に55度で5時間とか、57度で3時間というのと同じことで、それは科学的な根拠がある。ただし厚生労働省が指針をだしているわけで、63度(芯温)で30分以上。70度で1分以上とか。
私はこれは厚労省の立場があるから「安全を考慮した基準」だと思っていて、現実的にはもっと低い温度が使われているのは「ステーキのレア」や「牛のたたき」も同じ。ましてやかつては「生のユッケ」も販売されていたわけですから。
そういう意味で「自己責任」で60度、あるいは58度というチャレンジも出来るわけで、その温度で作ったパテ(レバ刺しもどき、ペースト)は「まず入手不可能、お店にもない」とも言えるかもしれない。
でも「絶品」なのは間違いがない。
特にマレーシアでは注意しないとならなくて、どんな食材にしても「生で食べる」歴史は無いに等しいし、衛生観念が日本と全く違うのは「生産者、流通、販売店、レストラン」もそうで、私は信頼できる日本人の職人がいない店で「生モノ」を食べる勇気はない。でも自分が大丈夫だと思える食材は「ナマ」で食べるのは魚介類、や牛肉も同じ。卵もそう。あるいは「自分で殺菌する」。
で、一般論としてレバーをナマっぽい状態で提供しないのは、そこまでプロがやろうとしなくても「63度での安全を確保できていれば、問題なく美味しい」ということなんでしょう。
私も「不安がある場合」は湯通し(熱湯消毒)したりするし、鶏肉は、マレーシアにおいては「必ず流水で洗う」のが習慣化した。これだけで「出来上がりは結構違う」のね。良い店で「鍋物」を食べると「肉や魚を湯通してある」のと同じ発想。肉や魚が「(マレーシアではよくある)ヌルっとしている状態」で鍋に入れて美味しいはずもない。そしてそれは唐揚げでも焼いても煮ても同じだと私は思う。
また大手の製造業者は加工品を高い温度で製造しても、「増粘多糖類(キサンタンガムなど)、加工デンプン、乳化剤、植物性油脂やもろもろの添加剤」を加えて、「美味しさ、テクスチャーを作り出している」世界なんだろうと思います。
それはスーパーでも売っているような「レバーパテ」も同じでしょう。大量生産、大量販売で「危ない温度で調理することはありえない」はず。
でも「安全性を無視すること無く」、【美味しさの追求】を自己責任でおこなうのは本当に楽しいと思います。
今ではもう削除されてしまいましたが、フランスの有名シェフが「鶏レバーパテの作り方」をユーチューブに出していて、【絶対に65度を超えてはならない】としつこく言っていたのが忘れられないし、その動画をたまたま見つけたのが私の「パテ作りの原点」です。
それと出会うことがなかったら、粉っぽいパテを食べながら、「これが普通。これで美味しい」と思っていたのは間違いがない。
ただ60度でパテを作る場合、「固めることが出来ない」のね。卵の白身を入れてもその温度では固まらないし、バターやゼラチンを足して「冷めると固まる」にしても、気温が30度に近くなれば形は崩れてしまう(でもテクスチャーは良くなる)。寒天だと寒天臭さがあるし。
ということで「固める」のは諦めるか、また新たな添加剤を入手しないとならない。
でもま、瓶詰めで作って「トーストに塗るバターピーナッツ」みたいな、パテじゃなくて【ペースト】でも十分良いかもしれない。
やっぱり簡単で手がかからないのは非常に重要で、そうじゃなければ家庭で常備するなんてことは不可能ですよね。