海外在住者で様々な投資活動をなさってる方は多いと思います。そして、仲間内で良く出る話として、
日本の証券会社に口座が開けない
ということがあります。これは一体どういうことなのか、また税金はどうなるのか、その辺を再度調べてみました。
私も海外を中心に投資活動をするようになってそろそろ20年になるのですが、北米、ヨーロッパの株や金融商品(債券、ファンド、先物、オプションなど)はアメリカの証券会社。その他アジア中心の株や金融商品はシンガポールの証券会社に口座を持っており、何の不便もありませんでした。
ところが問題は日本なんですね。日本の株式や金融商品の売買をするに当たって、新規に日本国内で非居住者に口座を開いてくれるところはまずないのが普通。(例外有り、後述)
私の場合、日本の株式等は香港の日系証券会社を通すことによって可能になっていますが、使い勝手が悪いし、手数料も高く、妙味がありません。人それぞれの投資方法に寄っては使い道があるとは思いますが、私の場合、損益の中の手数料の占める割合が多いような投資方法、あるいはデイトレードには全く使い道がないと言ってもいいくらいだと思います。その投資対象、投資手法が良い悪いは全く別の話です。
そこで、どうにか昨今の手数料の安い、そしてオンライン注文システムが充実した日本の証券会社を使いたいと思うのですが、これが簡単にはいかないわけです。まず、非居住者は断られます。
どうして?
これをはっきり知りたいと思いました。4,5年前にも当局に問い合わせて、その時はその時の答えをもらっていたのですが、最近はまた変わっているかもしれないと思い、再度確認をしました。
答えは以前に聞いたことと同じでした。それは
★ 非居住者が証券会社に口座を作ってはいけないという法律は存在しない。
と同時に、
★ 非居住者が日本の株、金融商品を売買してはいけない法律は存在しない。
これは、金融庁と日本証券業協会でも同じ答えでした。(4,5年前に調べたときには、証券局の担当者が、非居住者が口座を開けないという現状さえ知りませんでした。)ただ、
★ 口座に関しては証券会社が内部規定としてそのような決まりを設けているのが普通。
その理由は、証券会社は投資家本人と連絡を密にし、たとえば取引報告書であるとか、利子、償還金などを間違えなく本人に受け取ってもらう義務があるけれど、非居住者とはそれが難しいと考えているから。とのこと。(日本証券業協会)
税金に関してですが、
★ 非居住者に対し株式、金融商品の売買利益に対して課税はしない。申告の義務も無い。
これは東京国税局に確認しました(ここは注意が必要。株式売買は無税でも、先物、オプションなどはカテゴリーが違う可能性大)。非居住者は無税というのはタックスヘイブンに限らず大体どこの国でも同じですが、個人なり法人が居住する国、地域での税法に従う義務は当然残っています。マレーシア在住のMM2Hなら無税ですね。
以上のことから、非居住者が日本国内に口座を開けない理由は無いと言うことになりますが、まぁ、証券会社からしてみれば、結構面倒なことになる可能性があると考えるのは理解できます。
例外として、非居住者でも家族が日本にいるとか、間違えなく本人と連絡が付く住所がはっきりしていれば証券会社は非居住者の口座を保持することはあるとのことです。これは証券業協会の説明でしたが、たとえば、普通に口座を持って投資していた人が海外勤務になったとします。3年か、5年かわかりませんが、本人は非居住者になるわけです。その場合に、国内に連絡が付く住所があれば問題ないと言っておりました。
どちらにしても、口座開設にあたり、法律的な決まりが無く、投資を禁止する理由も無いので、口座を開こうと思えば開ける道があるのはわかりました。つまり、法律的には居住者も非居住者も区別が無いわけですし、口座を開くときに住民票を見せる必要も無いわけですから、どうにかできるということです。具体的にはどうするのか、ご自分で考えてみてください。
かつて私は、日経225の先物取引のために、ある証券会社に口座を開きました。そこはオーストラリア在住でもOKで、しかし、日本の住所を届けるというやり方をしていました。あとで、私はこれが法律違反であるかもしれないと言われ解約してしまいましたが、事実はOKでなんの問題も無かったわけです。また、口座が開ければ良いってもんでもなくて、システムの使い勝手は非常に大事ですので、好きな所に口座が開けないと意味がない。ですので、法律的に問題があるのかないのかを確認するのは大事だと思います。
何度も書きますが、口座を開いてはいけない、売買してはいけないという法律は存在せず、口座が開設できないのはあくまで証券会社の社内事情であるということです。
どうです?道があるのがわかりますよね?
今思い出しましたが、アメリカ在住の友人が、長期保有していた株を、長く取引のあった証券会社を通して処分したのですが、その時に5000万円ほどの利益が出たらしいのです。彼は非居住者にも関わらず、居住者としてそれを申告して税金を払ったそうです。
この話を聞いたときに、納税義務は無いのにと私は言ったのですが、海外在住者は売買してはいけないという法律があるらしくて、面倒なことになるのもイヤだから居住者として納税したとの答えでした。もったいないですよね。
海外在住者の中には、今更日本の金融商品に投資するなんてバカらしいと考える方も多いと思います。日本の居住者で海外での投資に目の色を変えている人が多いのに、何で今さら日本なのかという方もいらっしゃるでしょう。
海外の投資に目を向ける方々は海外に存在する多くの金融商品に魅力を感じるのでしょうが、私のやり方では、海外の商品が日本の代替になることはあり得ません。
日本に利益を出せる投資対象があれば、日本でやる。
それだけのことです。ですので、日本国内でも敏速に動ける状態を持つというのは、私は当然必要なことだと思っています。
ただ、面倒な思いをしてまで日本に口座を開くのが嫌で、でも日本の金融商品に投資したい、そしてもし投資資金が1億以上はあるぞ、という方なら、香港の日系でもいいと思います。ただ、頻繁な売買向きではないと思います。また、私のようにそういう額を入れていないとイジメに遭います。 www
最後に、何度も繰り返しますが、私のこのブログも含めて、インターネット内の情報を鵜呑みにするのは止めてくださいね。私は情報の出所は書きますので、ご自分で必ずご確認ください。
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追記
オリックス証券では海外在住者でも口座開設できるという情報を見つけました。オリックス証券には直接確認はしていません。