冬ソナのことを書いて思い出しました。
私のだーーーーーーーーーーーーーーーーい好きな曲が冬ソナの中で使われています。
第16話。サンヒョクがユジンの事を思いながら酒を飲む場面で出てきます。まさにその時サンヒョクが感じている想いそのままの曲だろうと思います。
是非、聞いてみてください。
Chet Baker の I’m a fool to want you という曲。←をクリックすると聞けます。
一年に一曲ぐらい、好きで好きでたまらなくてそればっかり聴く曲が出てくることがあります。それがこの曲。歌っているのは「下手ウマ」の元祖という汚名?があるチェットベイカー。女性ではない。男性のトランペッターであるのだけれど、彼独特の投げやりとでも言える歌い方に特徴があると思う。
たった一人で聴いていると、心にじわーーっと染み込んでくるいい歌を歌う。この曲の録音は1986年。1988年に他界(多分自殺)しているので、最後の最後の録音と言っていいかもしれません。私はこれより後の彼の録音を知りませんが、声がちょっと以前の彼と違うのがわかります。口が麻痺してるような、腫れているような声。薬のやりすぎかな、と思いました。彼には薬におぼれた過去があるし、2年後には自殺(多分)。苦しい時期だったのかもしれない。
芸術家には我々凡人にはわからない辛さがあるのだろうと彼を見ていると感じます。たった一枚の枯葉が落ちるのを見て涙する感性がきっとあるのでしょう。触ったらはじけてしまうような、あるいはピリピリしていつも痛みを感じる心があるのかもしれない。ガラスの様な壊れやすい心。だからいい音楽が生まれるのだろうと思います。
この曲の作詞はフランクシナトラ。1950年代の作品だけれど、フランクシナトラ自らが歌い、世に出た曲。当時シナトラはエバガードナーにぞっこんだったらしい。その歌はシナトラの最高傑作と言われるくらいの出来だったとのこと。エバガードナーを想う気持ちを歌に込めたのでしょう。残念ながらそのシナトラが歌うこの曲はどこを探しても見つかりません。いつか一度でもいいので聴いてみたいなぁ。
その後シナトラはエバガードナーと結ばれ結婚。そして離婚。その後1980年代にもこの曲を録音したらしいが、出来は50年代の録音の方がはるかに良かったとのこと。ただその曲も私は聴いたことがありません。
その後、この曲は多くの大御所と言われる歌手が歌っています。有名どころではビリーホリデー、ビリーエクスタインなど。ただ、私としてはこのチェットベイカーが歌っているものが最高だと思ってます。
彼女を思い続けて、頭も心も身体も彼女一色になってしまい、悩み疲れて放心状態になってる様子が見えてくるような気がします。やせ細り、顔もやつれて、何も手につかず、ベッドに倒れ込んでも彼女を呼び続ける恋心が伝わってきます。
君をほしがるなんて私は愚か者だ
私は君をほしがる愚か者さ
決して実を結ぶことがない(君との)愛を求めている
その愛は他の男に向けられているのに
君を抱こうとするなんて私は愚か者だ
私は君を抱こうとするほど愚か者さ
私だけのものにはならないキスを探しもとめ
悪魔のキスでさえ分かち合おうなんて
何度も何度も君と別れると私は言った
何度も何度も私は去って行った
でも、今また君を必要なときがきて
私はこの言葉を言わなければならない
君をほしがるなんて私は愚か者だ
私は君を必要とするなんて哀れだな
間違っているのはわかっている、きっと間違っている
でも、正しいとしても、間違っているとしても
私は君なしでは生きていけない・・・