債券を調べれば調べるほど迷路に入ったようでわけがわかりません。私は債券といえば一般的な国債に代表されるように、いわゆる発行体が借金をする。そしてその債権を持ってる人が決まった金利を受け取る。その債権の証拠となる債券は売買できると単純に考えていました。
ところが金融の世界はそう単純じゃなさそうで、債券の中にもいろいろ種類があり、株式に近い物があるというのを初めて知りました。つまり債券は借金ですよね。ところが株式は借金ではない。つまり増資は借金ではないわけで、そのかわり株主には配当が支払われる。
ややこしいのはこの債券と株式の中間に存在するものがこれまたいくつかあるようで、私の頭では理解できそうもないです。借金でもないし株式でもない存在なんて想像できます?その商品を買った人は債権者なのか株主なのか、なんて呼ぶんでしょう。またもらえるお金は利息なのか配当なのかそこもわからない。また株式だとすれば配当はその時その時決まるわけですが、募集の時点で配当を決めたものがある。これも理解に苦しみます。それって借金と同じに思えます。
ま、そういうことで債券と株式の両方の面を持ったものが存在する。これをどうもハイブリッド証券と業界では呼ぶようです。
こういうややこしいことに興味のある方はこれを読んでください。ここがわかりやすいかも。
で、私が買ったのは三井住友の社債だと単純に信じていたのがどうもこれらしい。だから普通の債券を売買するところでは出てこないのかも知れません。
ではそういう物だとして、一体どんな物があるのか調べてみました。
私が買ったのはこれのようです。
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三井住友FG<8316.T>、米ドル建永久優先出資証券の発行条件決定=総額18億ドル
海外特別目的子会社による米ドル建永久優先出資証券の発行条件を決めたと発表した。
永久優先出資証券は自己資本比率規制における基本的項目(TierI)に算入される予
定。
発行総額 18億米ドル(円換算:約1888億円)
配当率 年8.75%(固定)
発行価格 1証券あたり1000米ドル
[優先出資証券の概要]
発行体 SMFG Preferred Capital USD 2 Limited
(英国領ケイマン諸島に新たに設立した、同社が議決権を100%保有す
る海外特別目的子会社)
証券の種類 米ドル建配当非累積的永久優先出資証券
発行総額 18億米ドル
資金使途 発行代わり金は、最終的に同社の子銀行の三井住友銀行への永久劣後特約
付貸付金として全額使用する予定。
発行形態 ユーロ市場における募集、米国市場における適格機関投資家向け私募
上場 シンガポール証券取引所(予定)
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これは今年の5月ですが、その後にこんなのも出してます。
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三井住友FG<8316.T>、米ドル・英ポンド建永久優先出資証券の発行条件決定=総額1975億円
海外特別目的子会社による米ドル建・英ポンド建永久優先出資証券の発行条件を決めたと
発表した。発行総額は円換算で約1975億円。永久優先出資証券は自己資本比率規制に
おける基本的項目(TierI)に算入される予定。
米ドル建永久優先出資証券:
発行総額 13.5億米ドル(円換算:約1445億円)
配当率 年9.50%(2018年7月まで固定)
2018年7月以降は変動
発行価格 1証券あたり1000米ドル
英ポンド建永久優先出資証券:
発行総額 2.5億ポンド(円換算:約530億円)
配当率 年10.231%(2029年1月まで固定)
2029年1月以降は変動
発行価格 1証券あたり1000ポンド
[米ドル建永久優先出資証券の概要]
発行体 SMFG Preferred Capital USD 3 Limited
(英国領ケイマン諸島に新たに設立した、同社が議決権を100%保有す
る海外特別目的子会社)
証券の種類 米ドル建配当非累積的永久優先出資証券
発行総額 13.5億米ドル
資金使途 発行代わり金は、最終的に同社の子銀行の三井住友銀行への永久劣後特
約付貸付金として全額使用する予定。
発行形態 米国市場における適格機関投資家向け私募、ユーロ市場における募集
上場 シンガポール証券取引所(予定)
払込予定日 7月18日
格付け BBB+(S&P)
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米ドルで9.5%。英ポンドで10.231%ですって。
5月のは8.75%ですが、この7月の方が率が良い。ただよく見てみるとこの9.5%は2018年7月まで固定でその後は変動。
私はこれを買った銀行からは劣後債だと聞いています。ただこれには永久優先出資証券とある。債券なのか証券なのかどっちなのだ~~~~~~~~~、と考えてもわかるわけがないですが、この劣後債と優先出資証券はどうも一番近い兄弟のような存在で、私の頭では違いがよくわからない。銀行側も説明してもわからないと思ったので劣後債と言ったのかも知れないし、これは劣後債なのかも知れない。
まぁ、一生この%がもらえるということと、それを売買したければ売買できるというのは間違いがない。
どうですか?こんなのに興味があります?こういう物が存在するってご存じでした?
どこで誰相手に売り出したのかというと、ユーロ市場における募集、米国市場における適格機関投資家向け私募とのこと。って良く意味がわかりませんが、日本国内ではなくてユーロ市場、いわゆるオフショアマーケットで売り出した。また同時に米国では一般向けではなくて機関投資家向けに売ったということなんでしょうね。
わけがわからないことに関してはちょっとストレスがありますが、もらえる物がちゃんともらえて、売買可能であるならば、利回りがいいのは大歓迎です。
どちらにしましても一般投資家向けではないというのがわかりますが、こういうのに興味がある方はいらっしゃいます?買えるなら買いたいという方はいらっしゃいますか?きっと普通の銀行や証券会社では扱っていないだろうというのは想像できますが、こういう未知の世界、機関投資家の世界で同じように投資してみたいと思う方はいらっしゃいますか?
私は機関投資家ではありません。当たり前です。でもこういう物が買えるというのは私は良いことだと思います。我々が買い物をする時には一般商店で買いますが、卸商でもっと安く買えると嬉しいじゃないですか、あれと同じような感じがするんですが、本来は一般投資家の知らない世界、入れない世界。
私もこの世界に入ってみたいと思う方がいらっしゃったら内緒コメントを下さい。
ただ一つ注意点があります。これが劣後債だとしてもその名の通り劣後であるということ、また優先出資証券だとするなら、それはやっぱり証券に近い分配の順位であること。このリスクを受け入れる必要があるということです。つまり、この例でいうと三井住友が破綻したとします。その時に余っている資産を債権者で分配するわけですね。誰にどれだけ返すか。ここがポイントです。一番最初は定期預金や普通預金でしょうか。その後は普通の債券。これをシニア債と呼ぶようです。そしてメザニン債・ジュニア債と順番が降りてくる。このジュニア債というのが劣後債とのことです。そしてその次の順位のハイブリッド証券、そして最後は一般証券、つまり我々が知っている株主で分配するわけです。
この辺はややこしいと思いますが、一応そういう順序でリスクの違いがあります。これを受け入れるのかどうかということですね。リスクを取るのがいやなら定期預金。いやリスクがあっても良いというのなら配当(?)の高い証券に近い物がいいということになります。
で、私としては前にも書きましたが、三井住友が破綻する時にはもう終わりぐらいの腹づもりです。残余資産の分配順位が1番だろうが3番だろうが5番だろうが、破綻したら返ってこないつもりでいます。定期預金でもそうですよね?潰れたらもうアウトのつもりで定期を組みませんか?もし、その腹づもりが出来ているなら、これだけの利回りの商品があると理解して良いと思います。
全財産をこれにつぎ込むわけでもなく、どの銀行、会社を選ぶかという方法でリスク管理をしようと私は考えているのであって、同じ銀行の中の順位でリスク管理をしようとは思いません。きっとこの辺が素人の素人たる所以なのだろうと思いますが、私は三井住友がこの%をくれるというのならこのリスクは喜んで受け入れます。
一般的な米ドルの利回りは今3~4%でしょうか。それなのにプロや機関投資家の間ではこういう高利回りのものが取引されていたなんてやっぱり驚き以外の何物でもありません。機関投資家は一般投資家に低い金利を提示しお金を集め、こういうものに投資するという図式が見えてきそうです。
銀行のBIS規制ってありますよね。銀行業務を遂行するにあたって自己資本率が問題になる。債券でお金を借りてもそれは自己資本にはならない。かといって普通の増資をすると議決権の問題がある。では議決権を渡さない変わりに高利回りの配当を約束する。これは銀行に取っても嬉しいし、投資家にとっても嬉しい。その双方が嬉しい商品がこれだということなんでしょう。まぁ、良く考えたもんです。この手の商品は2006年頃に欧米で始まったそうです。
一つ思い出しました。これを奨められた時に私はある金額を提示しました。ところが発売日に完売で私が欲しかった分は買えなかった。その後若干値上がりしてその金額なら買えた(若干利回りが落ちる)のですが、その時点では買いませんでした。そしてその後、この金融危機でこの債券だか証券は値下がり。今現在この8.75%の物は現在9%以上の利回りだそうです。そんな利回りがいいのなら世界の投資家が買うだろうと思うのですが、今はそうじゃなくて、こういうもの売ってでも現金が必要で各銀行は大あわてをしているわけです。未だに銀行間取引の金利も高く、銀行間でのお金の融通がほぼストップした状態は続いたまま。
もし今の金融危機が収まって世の中にお金が回るようになってくるとこのような高金利の商品にお金が向いていくのだろうと思います。そして値上がりをして、最終的な利回りは世の中の金利に近くなるのかもしれません。もし4.5%ぐらいになるとすれば、この債券だか証券の値段は倍になっているという意味で、その時売却すれば100%の利益になりますし、売却せずにそのまま9%をもらい続けてもいいわけです。
まぁ、今日の話はかなりややこしいですが、世の中の仕組みを垣間見たような気がしませんか?そしていかに定期預金が面白くないかというのもわかります。我々は定期で利益を出そうとしますが、相手はその%を払ってどうやって運用して利益を出しているのか、その仕組みがわかったような一日でした。
あ~~、頭がウニになりそうだ~~~~~~~~~。
<追記>
利回りが良いと喜んでいていいのかどうか、ちょっと今ある心配を書いておきます。
とにかく今回の金融危機は半端じゃなくて、これがどういう方向へ動くのかはまるでわからず。ただ巷で言われていることは、米ドルが基軸通貨である今の体制を変えようという動きがあるということ。次に基軸通貨になるのがなんなのかも当然わからないわけで、バスケット型になるのか、イギリスが提唱しているようなユーロの世界型とでもいうような新世界通貨が創設される可能性だってあるわけです。
どうしてそういう案が出てくるのかというと、それはまさに米ドルはもう駄目だという考え方がバックにあるわけで、もしかすると、米ドルの大幅な急落がある可能性はかなり大きいかもしれません。米国は今度、今回の対策のために巨額の赤字国債を発行するはずで、それの買い手がいないだろうとも言われています。つまり国債はどんどん値が下がる。そして結果、利回りが大幅に上がると言うことです。
20数年前を思い出します。当時も米国国債の買い手がなく、日本だけがせっせと付き合いで買っていましたね。で、ドルの急落もあって、そんなことをしてどうするんだと日本政府や銀行がやりだまにあがっていたじゃないですか。あの当時の米国国債はなんと15%に回っていたんですよ。30年国債です。割引債ね。ゼロクーポンですから毎年金利をもらえるわけじゃなくて、償還時にごっそりまとめてもらえる。
当時、日本政府や銀行がやりだまになっていましたが、私はそんなことより、その米国の長期債を私も買いたいと思いました。15%の複利ってことは、100万円が30年後にいくらになると思います?10年後に404万。20年後は1636万。そして30年後はなんと6621万円。これをどうにか買いたくて近所の証券会社、銀行に相談しました。ところが売ってないというんですよ。変じゃないですか。買ってるのは日本の銀行なのに、それを我々は買えないと言うんですから。でもその後、1単位だけお売りできますと連絡がありました。その1単位ってのがどのくらいの大きさか忘れましたが、それっぽっち買ってもしょうがないという大きさだったような気がします。
うろ覚えですが、当時アメリカドルは200円以上していたと思います。250円かな。それが150円ぐらいにその後急落しました。でも15%で回っていればドルが大幅に下がっても平気だと私は考えていました。当時、もし1000万円買えていたら、今、米ドルは当時の2.5分の1になっても円換算で億単位になっていたのは間違いないです。
つまり、今後、米国が発行する長期債が10%以上になり、米ドルは未体験ゾーンの60円、70円という時代が来るかも知れない。そんな時に、今回書いたような債券だか証券だかを持っていても、紙切れみたいになる可能性もあるということです。そういう動きがあったときに、臨機応変に動ける自分であるとは、私は考えていないのです。これが素人の悲しいところで、今回の豪ドルの急落をだまって見ていただけのことと同じ事がおきそうな気がしないでもありません。
そうはいうもの、9%の利回りを今確保できると言うことは、債券そのものの円換算で価値が半分になったとしても、つまり米ドルが50円になったとしても、日本円換算で4.5%の利回りは確保できるという事。これでも今の日本円で持ったままよりは良いことになりませんか?もし、米国がこの金融危機をうまく乗り越えてドルの下落が無ければ面白いことになります。
どちらにしても、私のような素人は、日頃のお金を稼ぐことは出来ても、大きなお金や資産を大きな動き中でどう運用して、あるいは守るのかというところが弱い。今回の波乱の経験を元に、今後こういう事が起きた時にはもう少し賢く立ち回りたいとは思うのですが、きっと無理でしょう。諦めるのも悔しいですが・・・・・・