オークションでシグマのDP2というカメラを買ったのは前の日記に書きましが、昨日やっと届いたので、本日医者の定期検診の為に町に出たついでにちょっと撮ってみました。
このカメラは今まで見た事も触ったことも無かったのですが、とにかく小さい、軽い。まさにコンパクトデジカメそのものです。この小さなカメラの中に一眼レフと同じ撮像素子が入ってるなんて、まぁ、見た目からは全く想像できません。(ソニーのNEX5を見た事さえないけれど感激するんだろうなぁ)
ボディやレンズも見るからに安物という感じで(そうでもないかな^^;)、こんなカメラで本当に良い写真が撮れるのか?というのが第一印象でした。
このカメラはオタク用と言っても良いと思うのですが、実際に撮ってみた印象は、半端じゃなく難しいということ。
まず、今時のカメラなのに単焦点レンズであること。これは写りを優先すればそういうことになるわけですが、これしかないという状況は最近のズームが当たり前の環境に慣れた私には使いづらかった。一眼レフでももちろん単焦点を使いますが、それ一本だけしか使わないということは無く、ズームレンズも持ち歩くのが普通ですので、単焦点一本のみというのは撮りたい被写体があったにしても、どう構図を作ればいいのかわからず結構焦りました。
ただ、一般的にズームを使えば自由に構図が作れるわけですが、そればかりだと自分の写真のパターンが決まってしまうということに気がつきました。単焦点ですからかなり制約がある。でもそれを乗り越えるところに、自分の癖、欠点を直すチャンスがあるのかもしれない。
また、最初からわかっていたことですが、高感度がまるで駄目。今時のコンパクトデジカメらしくない性能です。ですからシャッタースピードを稼ぐことが難しく、手ぶれのオンパレードでした。ただこれも実用範囲が狭いと言うことで、今まではあまり考えなかった光の状態を良く見る癖が付くからいいかもしれない。また手ぶれのしない撮り方を真剣に考えさせられるカメラでもあるということ(外付けファインダーがあったら安定するかも)。
手ぶれ防止装置がない。これだけでいかに自分が下手くそかというのが思い知らされます。
なんだか訓練用のカメラみたいな感じもしてくるのですが、それだけ撮影者の技量が問われるカメラということで、カメラ好きにはたまらない魅力があるのでしょう。シャッターを押せば綺麗に撮れますというカメラではないので、一般向けではないのも間違いなし。
なんだかカメラのイロハを最初から勉強し直せと怒られているような感じさえしました。このカメラは良い教師になりそうです。
私がこのカメラの作例をインターネットで見た時に、なんて凄い質感を表現できるんだろうと感激したわけですが、そのような写真は今日は一枚も撮れませんでした。
普通に撮れば普通に写るカメラで、それではこのカメラの良さを引き出せないことも良くわかりました。まぁ、手ぶれも凄く、なんてことのない写真が多く捨てるものばかり。かなり歩留まりが悪かった。これって勝負カメラとして安心して使えるようになるまでには何年も掛かりそう。
また、バシャバシャと数多く撮るという感じではなくて、ワンショットワンショット気をつけて考えながら大事に撮らないとならない難しさを感じました。
まぁ、ろくな写真は撮れませんでしたが、その中でもこのカメラは良いなぁ、と思った例をいくつか出してみます。
あえて標準で撮影、RAWからの現像も標準、補正は一切していません。
写真をクリックすると別枠で大きく表示されます。
この空の色合いですが、怖ろしいほどのブルー。偏光フィルターは使っていません。私はこの手の色を吐き出してくれるカメラが好きです。またこの写真ではわかりづらいと思いますが、細部も綺麗にくっきり出ています。私が持ってるコンパクトデジカメでは細部がモヤモヤとした感じになる。解像度の違いを感じました。
これもなんてことのない写真ですが、草木、車の質感や立体感が出ているので良いと思いました。同じ状態で他のカメラとの比較はいつかやってみようと思っていますが、意外にこの質感、立体感が私の他のカメラ+レンズでは出てきません。でもこの例でははっきり見えませんねぇ。元画像だと結構それがわかるんですが。
これは大道芸人が銅像の真似をしているところの写真ですが、これも結構質感が出てました。それと大事なところですが、周囲の人達や背景がボケてますよね。だから中心である茶色の被写体が浮き出る。この被写界深度の薄さってのがこのカメラの良さでもあると思います。普通のコンパクトデジカメですと、この距離だと他の人達や背景にもピントが合ってしまって主役が背景の中に埋もれてしまう。
それとオートフォーカスエリアが中央固定ですので、被写体をどうしても真ん中に持ってきてしまう傾向に気がつきました。この写真も構図としては微妙。
これは医者のところで写した血圧計ですが、この近さまでしか寄れません。まだもうちょっと寄れましたが、大体こんな程度。つまり普通のコンパクトデジカメならSTARTと書いてあるスイッチだけ大きく写すことも可能ですがこのカメラでは無理。マクロモードという今時どんなコンパクトデジカメにも付いている機能がこのカメラには無く、28センチまでしか寄れません。コンパクトデジカメでは0センチまで寄れる物もあるのにね。
これではちょっと困るので、クローズアップレンズを買いました。ただオークションで買ったのはセットで1500円程度の安物ですのでどうなることやら。
ただ、このボケ具合には大満足です。100点満点をあげたい。コンパクトデジカメでこのボケが出るなんてびっくりです。やっぱり撮像素子の大きさ、そしてF2.8というレンズの威力だろうと思います。(F2.8を最大限利用したいので、ND4フィルターも買いました)
これらの例を見てわかるように、残念ながらこのカメラの良さを引き出すような写真は一枚も撮れませんでした。上に書いたような若干の良さはこの例でははっきり見ることが出来ないはずですし、もしそんな程度なら、あえてこのカメラを使う意味がありません。正直なところこの程度の差なら今持っている他のカメラの方が使い勝手は数段上ですから、それで充分です。
でも私がこのカメラの作例を見て感激したのは同じくインターネット上に出ている写真ですから、要は私が下手だという、予想したとおりの結果です。(爆)
言えることはこのカメラの良さを出す写し方ってのが存在するのでしょう。それにはなんとなく気がつきました。当たり前ですが、ただ写せば良いってもんじゃないんですね。今日思ったのは、どうも明るすぎても駄目、暗すぎても駄目、しっとりした明かりの中だと素晴らしい階調を見せるんじゃないかと、そんな気がしました。まぁ、どうにか試行錯誤で他のお上手な方々の作例を参考にしつつ、このカメラの良さが出る写し方を探して行こうと思います。
このカメラだからこそ写せる写真。いつかそのような写真を撮って、DP2の使い手だと言えるようになってみたいもんです。
ま、お散歩カメラとしては小さく、そして軽く、かなり面白いカメラだと思います。ああ、最後にひとつ。液晶がバリアングルだったら良いなと思った。それと電池の持ちが悪いのは大きな問題。100枚撮れませんでした。箇条書きにしておきましょうかね。
このカメラの欠点として
● AFを含めて動作が遅い
● 電池の持ちが非常に悪い(100枚撮れなかった)
● ホールドが悪い(外付けファインダーは必須かも。安定するはず)
● 高感度が使えない
● RAW専用
● 動画がまるで使えない。オマケ以下。
● 手ぶれ防止装置がない
● 顔認識など最近の機能が無い
● オートフォーカスエリアが中央固定
取りあえず今日感じたのはこんなところでしょうか。
これら一世代前のカメラを思い出させるような多くの欠点がありますが、それらを吹き飛ばすほどのポテンシャルがあるのは間違いなさそう。使いこなすのは難しいけれど、魅力あるカメラだと思いました。
しかし、近年出てきたマイクロフォーサーズの小型のカメラ、そしてソニーのNEX5を考えてみると、この程度の写真なら問題なく写せるはず。ということは、性能的にはかなり上のそれらのカメラの方が良いということになってしまう。
今のところ私にとっては、DP2はたまに90点(満足度の意味)の絵を出してくれるけれど、撮る難しさから平均点としては70点以下しか出せない。NEX5は持っていないけれど平均点80点の絵は出てくるだろう。また、私が持っているパナソニックのGH1も平均点80点はたたき出すし、大きさ重さがGH1の方が不利であることを加味しても、GH1に軍配が上がってしまう。
いかにDP2で平均点をあげ、たまに100点を撮る技量を習得しない限りこのカメラはお蔵入りになってしまう可能性が高い。
やっぱり下手くそが持つカメラではないというのを実感した。
良い写真って下手くそに取っては偶然でしか無く、上手い人は狙ってそれを撮る。この差って計り知れないほど大きいと思った。
落ち込んでます・・・・ (T.T)
オマケのスナップ。