MM2Hには税金面で大きなメリットがあるのだけれど、それに関して多く語られることがないのでそれに関してまとめてみたいと思います。
● マレーシアはMM2Hに取ってはタックスヘイブンである。
基本的にマレーシア国外を源泉とする所得には課税されない。また、マレーシア国内においても預貯金を含む金融商品から産まれる所得には課税されない。(就労、事業、その他の投資から産まれる所得には課税)
ただし収入の源泉国(日本を想定)で課税されるのは基本。しかしながら
● 非居住者である場合は非課税である所得。
年金が該当する。住民税。
● 非居住者であっても課税される所得。
給与所得、不動産所得など。
● 非居住者には軽減税率が適用される所得。
預貯金の分離課税20%の内、住民税分の5%は免税。
つまり、年金と預貯金の金利が主な収入源である場合、預貯金を海外に出してしまえば日本、マレーシア共に税金は一切掛からない。
自分の関係する会社から給与所得がある場合は、給与という形ではなく、また毎月一定額を出さずにコンサルタント料、相談料など他の名目で不定期な支出の形を取ると日本では課税されない可能性が考えられる。(マレーシアでは非課税)
ここで大事なのは、マレーシアの居住者(日本の非居住者)となる必要があるという点。ただし
● 住民票を移しただけでは日本の非居住者と判定されることはない。
● 一年の内、半分以上海外に滞在すれば日本の非居住者になると巷でよく言われることは間違い。
● 判定基準に明確な物はなく「客観的な生活の拠点はどこか?」という極めて曖昧なことが最重要視される(裁判の判例から)。
(この上記3点はなかなか理解しづらい点ではあるものの、サラリーマンの海外駐在とは違って、非常に複雑かつ重要で、簡単に考えるべきではないと思う)
ここさえクリアーできて日本の非居住者(マレーシアの居住者)となればメリットは大きく、少なくとも居住費、場合によっては生活費全てを税金分でまかなえるケースもあるはず。
注意点として
● 相続・贈与はマレーシアでは課税されないものの、日本の非居住者になってから(相続人、被相続人共に)5年以上経ないと居住者と同じく日本において課税される(租税回避対策の法律)。
つまり、日本国内には夫婦の共有財産という概念はなく夫婦の資産は別々。それを共有名義にしたり、他方(あるいは子ども、同居人)の名義に替えたりした場合、厳密には贈与という判定をされる可能性がある(現実的には、大きな金額を動かし、意図的に海外を利用しての相続・贈与税回避を狙わない限りは問題ないと言われている)。しかし5年以内の死亡は日本での相続税申告義務がある。
(海外を利用した節税対策を計画する人は少なくないが、この点には注意が必要。)
その他、頭の隅に入れておくこととして
● 住民税は次の年の1月1日にどこにいたかということであるからして、不動産の売却など大きな収入があった場合、その年に海外に出てしまうとその収入に対する住民税分は納付する必要がなくなる。額によってはこの分だけでマレーシアの生活費数年間分が出るケースもある。
● 株式等の売買による所得も非課税。
ただし、日本では非居住者には口座を持たせない証券会社も多く、非居住者を受け容れる証券会社に代えるか、あるいは今では海外の証券会社からも売買が可能なので、株式(や金融商品)も海外に移すことを考えるのも良し。ただしその場合、株主優待は捨てることになる。
● 不動産所得がある場合、その資産を売却し海外に資金を移し金融商品投資などに替えるケースのシミュレーションをしてみる価値はあるはず。
● 日本の納税義務者のまま海外に資産を移した場合、預貯金の分離課税(20%)は適用されず、総合所得となる。
MM2Hでマレーシアに渡る場合、とりあえず数ヶ月滞在して様子を見よう(日本の居住者のまま)という考え方は非常に良いとは思うものの、最初から日本を出て日本の非居住者になるという選択肢は税金面、生活費の確保という点では大きな利点があると思われる。
月々の生活費は15万で足りるのか、いや30万はかかる、20万ならどうにかできるという話があるが、日本の非居住者となり税金対策がちゃんとできれば、(公的保険料等の支払いも無く)かなりの額の生活費の足しになり、場合によっては日本在住時に比べて実質的には支出ゼロ(あるいはお釣りが出る)というケースもあり得る。
私としてはここはMM2Hを語る上で非常に大事なポイントだと思っています。つまり毎月30万掛かるとしても実質的にはもっと下になるということ。(良く30万で60万以上の生活が出来ているとおっしゃる方がいますが、実際には30万で60万+税金分ということになる。意味わかりますよね?)
その他に考えておくべき事って何かありますでしょうか?またおかしな点、皆さんのお考え等を是非聞かせてください。
(税金面に関することは納税者としての一般的必要知識に関する話であって、税務に関してはプロに相談するべきであるということ、かつ一般人が税務アドバイスすることは法律的に認められていないのを大前提としています。)
そして最後に重要なことを書きます。これは私がいつも書いていることですが、今ここに私が書いたことも含めて、インターネット上の情報を絶対に信用しないこと。必ず専門家の指示をあおいでください。
そしてどの専門家に聞くかということですが、町の税理士さんではこの件には詳しくない人もいますので、税理士さんなら安心だとは思わないこと。