発展するマレーシア

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ある方の、急速に変貌する都市KLというレポートを読みました。短期間にどんどん発展しているとのこと。きっとこれはマレーシアに住んでいる方は肌で感じていることと思います。

しかし、正直なところこれを聞くと痛し痒しのところがあります。

マレーシアの発展を望まない人はいないでしょう。それはインフラだけでなく文化にまで影響するはずで、いろいろな意味で近代国家としての体をなして欲しいと思います。

でもねぇ、日本もそうでした。台湾もそうだった。韓国しかり。発展と物価高ってセットになってるんですよね。著しく発展して、しかし物価は上がっていない国ってどこか知ってます?

そして国力が上がると為替も強くなる。日本がそうでしたよね。360円の固定制から変動相場制に移り、250円かそこらで落ち着くかと思ったらあっと言う間に100円台になり100円も割った(今の話ではない)。あの当時は面白かったですね。今と逆で円高になると株が上がり、いつか日本はアメリカを追い抜くのではないかという夢に酔いしれた。そして近年また100円を切った。今の日本の為替が日本の国力を表しているとは思わないのですが、かつて為替がマネーゲームの対象でなかった頃の動きを思い出すと、為替とは国力を表す物に見えました。

中国の発展は誰でも知ってるとおりで、この数年間、切り上げろと言う圧力がずーっと掛かっている。

まぁ、為替って本当に難しいと思っていまして、単に国力だ金利との関係、貿易収支、そんなことでは全くわからないようになってきた。というか私には全くわかりません。動いた後の説明を聞くとなるほどと思う物の、では将来をきっちり言い当てられる専門家がいるのかどうかは疑問です。ましてやいつ動く?となるとそれは神の領域であるとさえ思えてきます。

そういう意味で、単純にマレーシアの発展が今後も続くという前提で考えれば、マレーシアリンギットの上昇圧力は常にあると考えて良いのじゃないかと思っています。

逆に日本の為替はどう動くのか。私には日本円が高い理由が全くわからず、というかこれは世界の不景気からの回復競争に負けた結果であって、為替管理政策の失敗だと思っています。どこの国も為替を安い方向へ誘導し、輸出で稼ごうとしている。アメリカも中国もそう。ドイツはユーロ安で輸出の伸びが半端じゃないと聞きました。日本と逆。そしていつか日本の国債が暴落するときが来ると思っていて、それを切っ掛けに日本の名のつくもの、つまりリーマンショックの時にアメリカという名の付いたものが全て売りたたかれたのと同じように、日本の名の付いた通貨、株式、債券、その他が大崩れする時が来るような気がしています。

でも今、日本の円があるべき位置を考えますと、私としては150円ぐらいが良い所じゃないかと漠然と考えています。根拠を示せと言われてもそれはありませんし、逆にアメリカの衰退という考え方は考慮していません。でもま、国力という意味でその辺ではないかと。とにかく、今の円高は本来有り得る位置じゃないというのが私の考えで、世の中が一段落してくれば、日本の内情を考えても円が買われるとは思えないのです。この円高誘導が日本に対する他国の戦略だと考えれば、その戦争が一段落したときにどうなるのかも気になるところ。

つまり、長いスパンで考えるとマレーシアリンギットは高くなり、円は安くなるであろうという、まぁ、多くの人が考えているのと同じです。そしてマレーシアの物価はスカイロケットのように上がる可能性がある。

この恐怖は私はオーストラリアで味わいました。かつてオーストラリアの物価は安かった。今のマレーシアで多くの日本人が感じる物と似ているかもしれません。そしてオマケに金利も良かった。私の知っている限りでは短期金利ではなんと16%も付きました。長期で12%。その後落ち着いてきても10%なんてのは普通にあった。この頃でしょう。オーストラリアが良いと宣伝されて、我々のような移民や退職者が我も我もとオーストラリアを目指した。金利分を使い切れないよとニコニコしてる日本人が溢れていた。

当時を思い出しますと、町を走っている車はポンコツばかりでドアだけ一枚色が違うとか、窓ガラスが割れていてゴミ用のビニール袋を張っていたり、日本なら若者が乗るような小型車を大事にしてピカピカに磨いているオヤジさんも少なくなかった。何を買っても安く、このブログにも書きましたが、当時のBBQパーティは伊勢エビ、鮑、なんてのも普通に食べたもんです。日本人は金持ちともてはやされ、逆に日本人は帰れと排斥運動が起きた事もありました。

ところがその後、日本ではとっくにバブルがはじけていましたが、オーストラリアでも急速に景気が後退し、金利は落ちて5%を割るようになり、しかし物価はどんどん上がった。多くの日本人が首を絞められるような思いをしたことでしょう。当初の計画なんか無惨に崩壊した。ただ救われたのはその頃より円は上昇傾向にあったということ。日本円を持っている人は助かった。しかしオーストラリアへ全財産を移した人は、もう二度と日本に帰れないと覚悟を決めたはずです。資産は減り、なおかつインフレで目減りし、収入も激減し、そして円高の四重苦です。日本から進出していた企業も悲惨でした。当時は多くのコンドミニアム、ホテル、そしてゴルフ場が日本資本下でしたが、それらは叩き売られ、円高という不利な為替で金を持って帰った。

まぁ、これはバブルの崩壊に関係することで日本を含む世界中で起きたことでしょう。ただ、オーストラリアはその後もどんどん物価は上がり、ましてや一昨年のリーマンショックではオーストラリアドルは忘れもしない2008年10月24日に半年前の約半分である54円台まで下がった。この極端な動きは統計的に言うと40億年に一度の確率だそうです。バブルの崩壊には関係のなかった私ですが、このリーマンショックでは相当打ちのめされました。もう日本へは帰れないと思った。

明日の天気は誰にでもそこそこ想像は付きますが、来週のことはわからない。来年の天気なんかさっぱりわからない。それとこの話は同じだと思うんです。

だから私が常に思うのは、資産なんかいくらあっても駄目で大事なのはその時代に合わせた収入だと言うこと。金利収入が多くある人でも、インフレ分を想定せずに金利を使ってしまえば10年20年のスパンで考えるとあっというまに元金は減価してしまう。オーストラリアに早くから渡って来た人達は皆これを経験しているはず。マレーシアでもオーストラリアでもインフレ率の発表を見た事あります?3%台なんて年があるでしょ?だから5%6%で回してもそれは安心できる%じゃないし、3%4%じゃただのカモだし、それで食っていこうなんて考えるのは自殺行為に思えます。

正直なところ、私はマレーシアの金利は低いところに抑えられていると感じています。常に金融緩和状態。だからあちこちで開発も進んでいるんじゃないでしょうか。コンドミニアムにしてもモールにしても供給過多に見えます。でもそうやってバブル状態をキープ、車で言えばアクセル全開状態のような感じです。だからインフレ率はかなり高く、マレーシアの金利との差が小さい、下手をすると逆転しているときもあるんじゃないでしょうか。だから私としてはリンギットでの定期預金はかなり危険だと思っています。

しかし日本のゼロ金利とデフレが頭にある人は3%4%で喜んじゃう。そりゃ良いでしょう、日本で生活するのなら。それも今の時点ならOKってことで将来はわからず。というか、低金利、デフレという意味で日本は安定していたとも言えると思います。でも世界はもっと激しく上下しながら動いていて結果的にどうなるのか検討が全く付きません。

日本の経済状態、過去の動きを念頭に置いてマレーシアの金利を考える。こういうトンチンカンなことを多くの日本人がやっているように見えます。マレーシアに渡ったらマレーシアの経済状態を見ながらどのくらいの金利が妥当か、自分のターゲットはどこにおくべきか考えるべきですよね。

また日本国内の先輩達、つまりこの20年に退職した身近な方々を見ても参考にはなりません。もらえるものはしっかりもらっていますし、この20年、退職者には好都合のデフレが続いていたのですから。もし我々が参考にするとしたらもっと前の時代。昭和40年代に退職した方々でしょう。100万円が大金だった頃の退職者はどうやって低収入、インフレと闘ったのか。

自分自身(そして年金)には何の変わりはなくても、自分を取り巻く環境はどんどん変化を続ける。インフレ、為替、そんなことで自分の将来が左右されるのは腹が立つけれど、それが現実。低金利、デフレの中で20年以上過ごしてきた日本人には理解しずらい事かもしれませんが・・・。

でもマレーシアにおいては我々が金融から得た利益、海外からの収入には課税されないという恩典。これって半端じゃなく凄いことだと思います。もしマレーシアにこの恩典がなければ私は絶対に行きません。ではどこ?シンガポールか香港しかないだろうなぁ。あそこには似たような恩典があります。でも生活費がメチャ高い。その他のタックスヘイブンに住みたいような国はないし。

どちらにしろ退職という言葉は私は忘れようと思ってます。退職したのではなくて転職しただけ。やっぱり頑張って稼がなくてはならないのは何も変わっていない。一生続くんだろうなぁ・・・・。

ま、そんなことでマレーシアに関してはどんどん発展して欲しいという気持ちと共に、適当なところで物価も為替も安定していて欲しいと自分勝手に考えています。そしてやっぱり不動産投資、あるいは住まいの確保も真剣に考えないと駄目なのだろうか。この辺が我々のマレーシアでの20年後の泣き笑いの差になりそうな気もします。

いつかマレーシアも住みづらくなって困る時が来るかもしれない。これってその時代に沿った収入を得ることが難しい退職者の宿命みたいなものでどうなるかわかりませんが、マレーシアの先にあるもの、そんなものも考えてみようかと思っています。

この先、何十年も生きる訳じゃないってのが唯一の救いだったりして。(笑)

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