HSBCから投資の勧誘メールが来た

マレーシアの銀行に口座を持っていると、様々な金融商品を勧められますね。定期的その情報がメールで送られてきます。

先日、HSBCマレーシアからのメールにその手の物が入っていました。で、ちょっと気になったのでその話題を。

これはノックイン債とか仕組み債と言われる商品で、数年前日本でも詐欺だのなんだの大手銀行を相手取って訴訟が起きたり大騒ぎになったのと同じようなやつ。どんな内容かというと、

○ 「香港の株(ハンセン指標)に投資をして、株価(指標)がどう動こうと2年間は年率6.55%計算で毎月配当をもらえる」
○ 「スタート時の値の70%をノックインバリアとし、
     1 その値まで下がることなく2年が過ぎればどんな値だとしても原資は100%戻る。
     2 その値まで下がったとしても、満期時にスタート時より高くなっていれば原資は100%戻る。
     3 その値まで下がり、なおかつ満期時にスタート時より低い場合はその下げた割合と同じ割合で原資が戻る。 ←ここが注意点」
○ スタート時の104%の値が着いた場合、そこで全ては終了。

簡単にいうとこんな感じ。

つまり、ハンセン指標が30%以上下がることがなければ、投資金額は全額戻り、毎月、年換算6.55%の配当がはいるという商品。ただし、104%に値上がりしたらその月で終了で投資金額とその月の配当がもらえる。

これって良さそうに見えますよね。年換算6.55%ですし、ハンセン指標が30%以上値下がりしなければ元本はそのまま返ってくるんですから。そしてこの商品の説明の中には、香港株は今後有望であると説明している。日本でも同じようなのが随分売られていました。日本の場合は日経平均でしたが。

まさか2年のうちに30%も下がることはないだろうと考える人はこれに飛びついちゃう。でも考えてみるとどんどん上がったところでそれは自分の利益にならず、年換算6.55%という利益の上限が決まっている。ましてや104%上がったらそこで終わりというわけのわからない条件が着いているから、上がったら上がったでそこで終わってしまう。でも損にはならないからいいやと考えるのでしょう。

ところがもし30%下のノックインバリアの値がヒットしてしまうと恐ろしいことになるわけです。満期時にどんな値がついていようとスタート時より低い場合はそれは全て投資家の負担。損となる。しかしもし満期時にスタート時より高い値がついたとしても投資家が受け取るのは投資金額プラスお約束の配当だけ。投資家の利益はこれだけで最大2年間で13.1%。ところが損が出た場合は30%50%どこまで原資が減るかわからないというあんまり面白くない話。

でも、一般的な金利は低く、これの6.55%は魅力的だし、ハンセン指標も30%以上下がらなければ良いわけだから、投資しようという人もいるんでしょう。でもこれってギャンブルでしかないですよね。利益限定で損した場合はいくらでも大きくなるというギャンブル。

これってそもそもどんな商品なのか考えてみる時に、相場をかじった人ならピンと来るはずです。利益は限定で損失は無限大みたいな投資って聞いたことがあるでしょ?そうそう、オプションの売りです。この商品って見るからに香港の指標(先物?)に投資する投資信託のようですが、実は香港株にもハンセン指標の先物にも投資はしていないんですね。客は高利回りの債券を買ったつもりでいても実はプットを売ってるだけ。デリバティブを操作するだけの話で、単にスタート時の30%下の値、ノックインバリアの値のプットオプションをショートしてそのそのプレミアムがこの商品の配当の原資になるのでしょう。

実際の仕組みはそんな単純ではないはずですが、いくつかのパターンが考えられます。この商品の売り手としては、投資家の逆をやるわけでプットオプションの買い手に回る。ただこれだとリスクがあるから先物を買って、いわゆるデルタヘッジのポジションを取る。株価がノックインバリアに近づくと先物ヘッジが増えてややこしくなりそうですが。

どちらにしても投資家に支払うべき金は満期時に最大投資金額プラス6.55%X2年分でしかないから、その金利分だけ確保できれば投資金額を自由に運用できるお金集めの方法かもしれない。また、もし途中でノックインバリアを超えることがあればそれは投資家の損になるわけで、その損を売り手の利益となるようなポジションを組めば、非常に面白いことになる。つまりデルタヘッジしている売り手のポジションをノックインの値になった瞬間に変更、ヘッジの先物を解消するということ。そうすれば値下がり分、つまり売り手が買っているプットに利が乗ってくる。もしかするとそれを得るために、わざとノックインバリアがヒットするように売り浴びせるなんて事があるかもしれませんね。それじゃ詐欺そのものだけれど、そもそもこの商品は市場で債券や先物を購入しているわけじゃなくて、売り手と投資家の相対取引みたいなもんですから、うまくやられる可能性もなくはないと私は勘ぐります。

まぁ、どう転んでも売り手、この場合はHSBCは損はしない。それどころか場合によっては大きく儲かるシステムになっているかもしれない。いや、HSBCは単なる仲介でしょうね。売った時点で手数料が入るのでしょう。

常識的に考えてどうしてハンセン指標が値上がりした場合、たったの104%で終了としてしまうのか。この辺は想像でしかありませんが、もしプットオプションのショートでプレミアムを稼ぐビジネスモデルだとすれば(それに間違いはないはず)、値上がりするということはノックインバリアの行使価格から大きく離れることを意味します。つまりプレミアムはどんどん小さくなるわけで、それを売っても大した利益が出ない。つまり、6.55%の配当を出すのが難しくなるということではないでしょうか。だから上がったら止めちゃう。

この商品の対象者は、香港のハンセン指標が上がると考えている人向けのように書いてありますが、実は上がってしまうと儲けが出ない、配当も出せないからくりになっていることが想像できます。だから本来は上がれば嬉しいはずだし、もっと配当が増えてもいいはずなのに、104%になったら終了というわけのわからない条件がついているのではないでしょうか。

今回のこの商品は香港のハンセン指標を元にしたものですが、日本では日経平均を元にしたもの、あるいは為替を元にしたもの、つまりオプションが存在するものならどんな株価指標だろうが個別株だろうが、商品でも為替でもこういう商品を組めるってことなんですね。また今回はハンセン指標が30%下がったところがノックインバリアになっていますが、これの逆もできるのでしょう。つまり、これから下がると読んでいる場合、30%上がった場合は損をするような仕組みも作れるわけです。これは簡単で今回はプットのショートですが、コールのショートに変えるだけのことでできるはず。ちょっと調べたところ、こういう商品のカスタムメイドもあるそうです。小額ではだめでしょうが、こういう指標でこういう条件だったら何%つけてくれる?と聞けばそれにあわせて作ってくれるらしいです。

またこれと似たような商品で、ダブルカレンシーのもありますね。たとえば円と豪ドルの商品で、ある一定の値を決めておいて、その値にならなければ何%の配当と元金が円で支払われて、その決められた値がヒットした場合は償還は豪ドルでとか。つまりこれも利益限定で損した場合は客負担というやつ。

こんな商品に手を出すくらいなら自分で先物とオプションをいじったほうがはるかにいいと私は思います。まさにこの商品が104%の値がついたら終わりということは逆を返せばノックインバリアを突破することなく、しかしその辺りでふらふら動いた場合、非常に大きなプットオプションのプレミアムが入るということ。で、ノックインバリアがヒットした瞬間が本当に投資を始めるときで先物を買うときでしょう。つまり、スタートの現在値が元ではなくてノックインバリアの値が基準値ってことなんですね。

こういう投資家の誤解を招くような、あるいはちょっと頭を使えば自分でもっとうまく運用できそうな方法なのに、いかにも貴方にとって有利な最高の投資商品をお勧めしますという銀行には腹が立ちます。以前私が信用しているメイン銀行の担当が、為替を基にしたこのノックイン債を勧めてきたことがありました。確かその事をこの日記にも書いたはずですが、こういう客を馬鹿にするような商品はもう二度と勧めないでくれと真剣に怒ったことがありました。でもま、HSBCに関しては何も言わずに彼らの顧客に対するサービスを見ています。どんなにうまいことを言っても結局彼らは我々の見方では決してなく、我々こそが彼らの飯の種であるのが良くわかります。

こういう商品には手を出すべきでないと言ってくれる担当が私の求める銀行ですが、そんな銀行ってないのかもね。

注) この商品のからくりは私が想像しただけで実際はちがうかもしれません。私としてはほぼ間違いがないと思っていますが、でも上に書いたほど単純ではないでしょう。

きっと私の勘違いもあるはずですが、お前、そこのところは違うぞというご指摘は大歓迎です。是非教えてください。

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上の説明だとわかりづらいかもしれませんので、もっと簡単に理屈だけ説明します。

もし上の商品と似たようなことを自分でやるとすれば、まず100の投資金額のうち、80を定期なりなんなりに入れます。これである程度の%が確保できます。

残りの20%を証拠金としてで現在値より30%低い行使価格のプットオプションを売ります。もしSQ日(オプションや先物の決済日)にそのオプション行使価格より値が上なら損はなく、売ったプットオプションのプレミアムが利益となる。(これが上の商品の配当の原資)

もしSQ値が行使価格を下回った場合、つまりスタート時点より30%下の価格を下回った場合、その時に初めて損失がでる。つまりスタート時より40%値下がりしても損は10%だけ。上の商品の場合は40%の損。

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実はあるSNSでこの件を書きました。するとなんと、この手の商品を買ってる人がぞろぞろ・・・・

中には私のこの書き込みで不安を感じる人も出てきて、ちょっと書き方を考えるべきだったかと反省しています。

でも、契約時にこれのリスクははっきり理解していたはずだし、そのリスクを取ろうと決心して契約したのは間違いがないわけですから、ダボの野郎~~って思う人は是非その時のことを思い出してください。契約時と今とリスクが変ったわけじゃないし、私の書き込みでリスクが増大したわけじゃないですからね~~。

でも、どうしてこういう商品を買おうと思えるのか、私には不思議です。まさかそこまで下がってノックインバリアにはタッチしないだろうとどうして思えるのか。もしタッチしたらどうするつもりでそれを買うんでしょうか。

私にはそんな度胸はありません。

ただ、この商品を考えたときに、すぐに頭に浮かぶのはオプションですが、これのようにファーアウトオブザマニー(FOTM)というとんでもなく離れた行使価格のオプションを売る戦略があります。これって利益は小さいのですが、勝率が半端じゃないんです。ほとんど負けない。

ところがですねぇ、負けたときが恐ろしいんです。もしその戦略で毎月コンスタントに50万稼いでいたとします。これ、マジで簡単にできます。ところがですね、負けたときは1千万ぐらい一瞬で吹っ飛ぶことがあるんですよ。

毎月50万稼げるならたまに一千万損しても採算は合うだろうなんて考える人もいるでしょうが、これって理屈抜きに難しいと思いますよ。地雷が埋められている原っぱで小さな野いちごでも拾っている感じです。でも開き直ればできるのかもですね。私には無理だけれど。

また、一般的にはそういう戦略は駄目だと言われています。というか、オプションの売りを始めると誰でも最初に考える戦法で誰でも一度は手を染めるのですが、ある日ある時、心臓が止まる思いをしてやめるケースが多いと思います。

ま、そんな戦法と今回の商品ってイメージがダブるんですよ。まさかそんな価格にはならないだろうって思っても、想定外の事って起きるんですね。で、そんな危険を冒さなくても利益を出す方法があるのだからそれを学ぼうという方向へ普通の人は動く。

ま、そんなことが頭にありますので、この手の商品には過剰反応してしまうのかもしれません。

でも、マジでこの商品を買うなら自分でオプションいじったほうが間違いなく儲かると思います。

     
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