本当に世の中はどんどん変わっていて、私のような頭の固いオヤジには着いていけない部分が多いのですが、昨日、またわけのわからんものを発見しました。
Spread Betting。スプレッドペティング。
FXのスプレッドが小さければ小さいほど参加者は得をするわけで、スプレッドの小さな業者を探していたときにこのスプレッドベティングとやらに遭遇しました。
なんじゃこれ?
どうみても普通のFX業者にしか見えません。ドル円にしてもスプレッドが1ポイント(PIP)で、上がると思えば買って、下がると思えば売って、いつかそれを反対売買して利益(損)が確定するとのこと。なんだこれとFXとどう違うんだ?
調べてみると、その対象商品は為替、株、指標、先物などありとあらゆるものがあります。これってCFDと同じ。
そもそもこれの発祥は?と調べてみるとスポーツ。
そかそか、ギャンブルの盛んなイギリス発祥で、トトカルチョみたいなものがいくらでもあるわけですが、その対象がファイナンシャルの世界にも広がったということ。
でもこれって今のFXやCFDでも同じなわけで、なぜあえてスプレッドベティングなのか?
その辺はよくわかりませんが、イギリスでは投資は課税対象。ところがこのスプレッドベティングは非課税とのこと。そういう税制の国はヨーロッパにいくつか存在するらしい。
この出現が単に税制によるものだとすれば、我々外国人(海外の税制に従う者)には関係がないのですが、まぁしかしいろいろ考えるものだと本当に関心します。
この図を見ると、どんな業者がどんな商品を持ち、スプレッドはどのくらいかとかわかりますが、これらの業者はFX業者でもあり、一体FXやCFDとスプレッドベティングの違いがどこにあるのかいまいちわからず。
これらの業者を調べてみると、FXやCFDの説明とはちょっと違うニュアンスを感じます。
つまり、FXやCFDというとやっぱり「投資」というイメージがありますが、スプレッドベティングは「ギャンブル」「娯楽」のイメージがある。
多分ここが大きな違いかな、と。
投資には無縁だった人がいつの頃からか株式投資や先物に手を出し、時代はFX。誰でも手軽に手を出すようになった。しかし業界としてはもっと参加者の裾野を広げたいのだろうと思いました。
野球やサッカー、その他スポーツのギャンブルに手を出す人数は凄い数いるのでしょう。これってイギリス、あるいはヨーロッパの話ですが、日本で言えば多分パチンコ。
やっぱりFXやCFD、株式や先物でも、それとパチンコってイメージとしてダブルことはないのだけれど、業界としてはパチンコマニアもこの際、引き入れようという魂胆に見えてきます。
経済も景気もそういうややこしいことは抜きにして、上がるか下がるか、それに賭けてみませんかという、非常にわかりやすい商品。
ああ、バイナリーオプションなんていうのもありましたね。
規制緩和ってなんでもありってことですが、本当にそれでいいのかどうか私としては気になります。市場原理に任せておけばいいのかどうか。
しかし、世の中には売春や麻薬が合法の国もあるわけで、おっと、オーストラリアは州毎に法律が違うのですが、私の住んでいるクイーンズランド州では売春は合法(管理売春は違法)。
同じ事をやっても合法か違法かでまるで違うわけで、例えば売春を職業としている人がいたとする。あるいは娘がその職業に就こうとしたとする。
まぁ、大騒ぎになると思いますが、それを無理やり止めたり、あるいはその職業に就くことを罵倒でもしたら、我々が犯罪者になるということ。合法ということは、その職業は社会的に認められているわけで、当然社会保障も受けられるし、銀行から融資も受けられるってこと。誰からも文句を言われる筋合いはなし。
FXやCFD、そしてバイナリオプションだスプレッドベティングにも私はこれと似たようなものを感じます。
本当にそれが合法でいいのかどうか?
いつも書いていますが、FXの多くは相対取引。そしてその事実さえ知らずに売買する人が多いと思うんです。相対取引ということは、わかりやすく言えば競馬のノミ屋と同じで、ちゃんとした市場に通した取引じゃないってこと。ただ取引市場も存在するし、先物市場もあるけれど、基本的には我々が一般的に考える大きな取引所を介した売買ではない。
例えばソニーの株を買うとする。これって誰しも東証を通して売り手から買うわけですよね。そして株主と登録され、株券も所有するし、配当も受けるし、経営にも株主として参加する。
ところがそういう市場とは別に、我が社からソニー株もどきを買いませんか?というのが存在するって事ですよね。CFDがそれ。そういう会社が街にいくつもあって、それぞれが勝手に売買している。株券なんかないし、株主でもなければ経営参加もなし。売り買いを通して損益だけ決済するという投資。いやギャンブル?娯楽?
FXも同じ。米ドルを買ったとしても売り手はその会社で、簡単にいうとノミ屋から買ったのと同じ。
それのどこが悪いの?
って言われると私も実はよくわからんのですが、どうも、別にいいじゃん?とは思えないわだかまりを感じます。
そもそも、かつては株の空売りや先物も同じように冷たい目で見られて、まともなやつが手を出すものじゃないと言われた時代がありました。そして投資は投資、投機とは違うと一線を引いて、投機はギャンブルと同じ扱い。
でも投資と言っても、高くなりそうなら買うし、安くなりそうなら売り飛ばすわけで、投資家だ、株主だ、社会貢献だなんてのはまやかしだと私は思っていましたけどね。
でも「育てる」ことに注目した投資って間違いなく存在するわけで、そしてそれこそが世界を良くする行為であって、売買差益を狙う行為そのものがどんどん巨大化していくってのは私としてはそれの存在価値ってのは言われているほど大きいとは思えません。
猫も杓子も儲かればいいじゃんと利益ばかりを追求する世界に見えてきます。
この20-30年でも投資の世界は随分変って、今では投機、あるいはギャンブル、娯楽というまるで違う分野までも巻き込んで大きなお金を動かそうと企む業界人がいて、そしてお金が動くことそれが経済なのだと国はそれを認め、あるいは推奨し、そしてそれに飲み込まれていく一般大衆。
なんだかなぁ、って感じがします。高校生の頃から株式投資に興味を持ち人生の大半は相場の渦の中でもみくちゃになった私ですが、やっぱりこの世界ってまともじゃないとずーーっと思っています。
これから数十年経ったらどうなるんでしょうか。
私は30年後の世界には生きていないでしょうが、30年後の世界を見たいとはどうにも思えません。
私は製造業に就いたことは一度もないのですが、私は「経済の要は製造業である」という考え方を持っています。でも原料、材料は相場で動き、売値も相場で動く、そして海外取引となれば為替に翻弄され、そして企業そのものは株価に大きな影響を受ける。どんな業種でも同じですが、つまり相場から離れて生きることは絶対に出来ないわけですが、仕事も生活もそういう相場に左右される生き方ってとんでもないと思います。
本当は相場なんか関係ない世界に住みたいくらい。
ということで、またわけのわからないスプレッドベティングなる新種を見つけたという話。(笑)
Spread Betting の説明ビデオ。