今日出かけたのですが、知人と会って話をしている中で、資産税の話になりました。日本は資産に対して課税をする動きになっていると。
そうなんですかねぇ。本当ですかねぇ。
オーストラリアに資産を動かしてる人はゴマンといるわけですが、その内容を日本の当局が把握しようとする動きが実際にあるそうです。具体的にどういうことなのかわかりませんし、私は興味もないので聞きませんでしたが、そういう動きがあると。
まぁ、この日記にも話題にしたことがありますが、海外資産が5000万円以上ある人は報告義務ができましたね。税制改正で。
それと海外に出ようとした人が資産と債務の明細を出せと当局に言われた話を聞いて、大騒ぎした一部の早とちりコンサルタントとか、またその話を又聞きして慌てた人もいましたが、こういうのって本当に大変なことなんでしょうか。
まず資産と債務の明細ですが、収入が2000万円以上の人は確定申告し、その明細書の提出は前から義務付けられているんじゃありませんでしたっけ?昨日今日始まったことじゃないでしょ?これを知らなかった人は、大変だ~~、政府は資産税を導入するつもりだ!なんて騒ぐのだろうと思います。一般の人ならまだしも、コンサルタントでさえそれを知らない人がいるから我々は注意が必要だと思います。
また海外資産が5000万円を超える人の報告義務もそれの延長だと思えばまったく不思議でもなんでもないと思いませんか?
それどころか、じゃぁ、今まで野放しだったの?って私は思うわけで、それこそが問題ではないでしょうか。(ちなみに日本の非居住者はこの報告義務はありません。ここが重要)
結局この話で騒ぐ人は、資産税の導入を恐れているんじゃないんですね。大体、そんな税制が導入されたら国がひっくり返るぐらいの大騒ぎになるでしょ。個人は勿論企業もなだれのごとく海外に出て行くと思います。当然、海外から入ってくるはずの資金も恐れをなして近づかなくなる。
ましてや国はそんなバカな税制を作るより、やることがいっぱいあるじゃないですか。また、そんな皆がびっくりするようなことをしなくても、政府はインフレ政策という伝家の宝刀があるわけです。税金を取らなくてもインフレにしてしまえば、資産は目減りするわけですから、税金を取ってその金を市中にばらまいたのと同じ効果がでる。ましてや国の借金も目減りするわけで、インフレ政策ほど借金だらけの政府にとって嬉しい政策はないと思っています。
また、資産に課税するということは、金を使えっていう意味ですから、投資奨励策なり何なりを出すのが順序ですよね。企業の減価償却の年数を極端に短くするとか、研究開発費の額、割合に合わせて減税するとか、個人なら贈与税を緩和して子供や孫にお金を使わせるようにするとか、いくらでもやることはあると思うんです。そういうのを通り越して、金を持っている人には課税するなんて泥棒みたいなことをするとは私には思えません。
これは資産税の導入だと騒ぐ人もそんなことはわかっているはずで、でもどうして資産や負債の明細を出すのを嫌がるのか。そこですね、問題は。資産を把握されては困ることがあるからでしょ?特に海外へ出した資産に関して。
かなり前ですが、私の友人でハワイに別荘を持っているのがいました。で、アメリカの不動産バブルの前ですがそれを手放してかなり儲けた。でもアメリカでは納税したものの、ばれやしないだろうと日本では申告しなかったそうです。ところがある日、税務署からお尋ねが来たと言っていました。ハワイの不動産を売却しましたね?というお尋ね。
その友人はどうしてわかったのだろうと頭をひねっていましたが、私はもうそういう時代だと思うんですよ。どこの国も海外利用の脱税にはかなり神経質になっていますから、お互い情報交換をしていると聞きます。
またオーストラリアは定期の利回りが良いですから、こちらに遊びに来るたびにお金を持ってきてせっせと銀行に積み立てている人がいて、知り合いになったことがあります。開業医ですが年に二度はゴールドコーストに遊びに来るのですが、来るたびに1千万持ち込んでいると寿司屋のカウンターで自慢げに言っていました。そんなことをする人っているんだぁ?じゃなくて、半端じゃない数の人が似たようなことをやっているんですね。
これは退職者も同じで、かつてはこちらの銀行の日本人スタッフが、退職者ビザで来ている人は税金を払う必要がありませんなんて公言していまして、それじゃぁとごっそりこちらに持ってくる人はいくらでもいました。若い人でさえ、日本でお金を持っていてもしょうがないからと観光で来たのにこちらの銀行口座を作る人も決して少なくなかったんです。
前にも書きましたが、オーストラリアでは日本の居住者の、オーストラリアでの利子所得に対しては10%の源泉分離課税です。オーストラリアで申告義務がありません(日本では当然収入となって申告義務がある。総合課税。)。これを利用して、放って置けば知らないうちにお金が増えるとニンマリする人は今でも多くいると思います。
こういう人たちが、最初に書いた「資産と負債の明細提出」を毛嫌いするってことでしょうね。つまり脱税の確信犯ってこと。
でも国もバカじゃありませんから、私はそういうことはするべきではないと思います。そもそも10%の源泉分離課税ですが、これは日本とオーストラリアの二国間の二重課税防止条約(仮称)によってそうなっています。ではこの二重防止課税条約と言われるといわれる租税条約ですが、それの目的を読んでみたらドキッとするはず。
日豪租税条約ですが、それは何かというと「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオーストラリアとの間の条約」です。
税金をダブって掛けないようにするだけじゃなくて、脱税防止に関しても手を繋いでいるってこと。
だからこちらで日本の居住者として銀行口座を開き、日本の居住者だから10%の源泉分離課税を選ぶということは当然そのレコードが日本に渡っても全くおかしくないどころか、渡ってしかるべきものだと考えるべきじゃないでしょうか。
また別荘を売買したとか、現地で仕事を始めたとか、投資をしたとか、そこで収入が生まれれば当然、日本の居住者であればオーストラリアで税金を納めた後も日本での課税義務がなくなるわけではありませんから、それをしなければ脱税以外の何物でもないわけです。(二重課税防止とは片方で払えばもう片方で払う必要がないという意味ではなく、課税権の優先順位を決め、他国で納税した分は自国で税額控除を受けられるシステムだと考えるべきでしょう)
でも海外は脱税の温床として長い間手付かずと言って良い位だったんでしょうね。
政府は銀行に眠ったままの国民のお金に手をつけたいくらいですから(あのニュースを聞いて嘘だろって思いましたが 笑)、本来取ってしかるべき海外での所得にたいする税金の課税強化をするのは当たり前の帰結だと思います。
またITの時代ですから、国を超えた名寄せも簡単に出来るはず。今後背番号制になれば間違いなくそういう方向で課税は強化されますね。でも税金は払うのが当たり前なのですからこれは良いことだと思います。
長い間サラリーマンとしてガラス張りで取られるばかりだったと考える人は多く、今、退職して、今まで税金も素直に払っていたのだから多少のことは許される権利があると私に言った方もいらっしゃいましたが、私はその考え方は絶対に間違えていると思います。でもそういう考えの人は少なくなく、同じような考えを持つ人同士で情報交換がなされている現状があります。
私としてはこういうブログで情報発信はしていますが、そういう多少のことは目をつぶれとか、わからなければ良いだろうとか、そういう考え方は一切持っていませんし、脱税に繋がるような情報は一切だしませんのでその辺はご了承いただきたいと思います。
ただ、こういう情報の中には、あ、これ使えるな、とニヤリとする人も多いわけで、私としても全てオープンにしない方が良いと思う内容も多々あるのです。まして、昨今のマレーシアブームを知らない人はおらず、興味を持っている人も半端ではない数いらっしゃる。そしてマレーシアは実はタックスヘイブンであるということがわかれば、いろいろ計画する人が出てくるであろうことは明白。
ってそういうことを書くこと自体うまくないのかもしれませんが、でも法に則って節税することは悪いわけではありませんし、節税方法はいくらでもあるわけです。日本を出て、マレーシアに渡ることによって多額の贈与相続税を節約することもできますし、またマレーシアに渡るだけで、所得税がゼロになる人もいるわけで(私がそれ)、決してインチキすることなくまともな線で私は行きたいと思っています。
ということで、巷で資産課税が始まるとか言う人の話を真に受けないこと。これは大事だと思います。でも海外所得に対する課税強化には間違いが無いですが、まもとに生きている人には全く関係ない話です。慌てる必要なんかないでしょ?それとも慌てますか?(笑)
このブログにも何度か書いていますが、昔から海外を使って租税回避を狙う人はたくさんいて、それを止める、あるいは裁判になったときの法的根拠にするのでしょう、「海外に出て日本の非居住者になっても5年間は贈与・相続の申告義務が残る」という内容の法律があります。これを知らない方が多くいると思いますので注意が必要でしょう。
海外に出てすぐ、不動産や定期の名義を簡単に移すと、その時点で日本の贈与税の対象になるって事です。また、海外に出て5年以内に不幸にも相続が発生した場合、日本に相続税を納める必要があるということ。(そうじゃなかったら、死にそうになったら急いで本人と財産を持って相続人ともどもマレーシアに渡れば相続税がゼロになっちゃうわけです。あるいは親子でマレーシアに渡り、贈与を済ませて帰って来ればOKなんてそんなうまい話は無いわけです。)
これも近年の海外資産から生まれる利益に対する課税強化、租税回避防止の一環でしょう。今回の話にしてもそういう方向へ動いているのは間違いはないと思います。そしてそれは我々が嘆くべきことではなくて、国として当たり前のことをしているだけだと言うこと。また、こういう動きを資産そのものに対する課税の始まりだと騒ぐのは的はずではないでしょうか。