写真の話です。
タイムラプスが近年流行ってきています。日本ではインターバル撮影とか微速度撮影とか言うあれで、わかりやすく言えば早回し、コマ落としでしょうか。
これができるカメラもあって、つい最近買ったペンタックスQや小型の割にはかなり良いといわれるニコン1にもX秒ごとに撮影する機能が備わっています。でもその手の機能を使っただけのタイムラプスって出来が悪いんですね。チカチカするフリッカーが入ったり、動きがカクカクしたり、なかなか感動するような作品を作るのは難しいのが現状。
興味のある人はネットの中でうまい人を見つけて、その人のノウハウを盗むわけですが、これまた簡単ではありません。日本人ってなんでもそうですが、「隠す」人が多いのね。自分が苦労して見つけたことを簡単にはオープンにしない。相場もそうですが、そういう点では海外の方がオープンで情報交換も盛んです。
でも惜しげなくノウハウを出してくれる日本人が全くいないわけでもなくて、何人かの先人がノウハウを公開してくれています。私が勉強になると思うブログ、HPはここらへんです。
HIGH-DEF(はいでふ) ← クリック
Celestial Spells ← クリック
a moving sight ← クリック
この3箇所をしっかり読み込んで勉強すればかなりのことがわかるはずです。
その他、タイムラプスをやっている方は少なくないので検索すればいくらでも出てきますが、大事なことはやっぱり上手な人のウンチクを聞くべきで、下手な人も多くいますので注意が必要だと思います。
そしてやっぱり良い作品を見ること。いろいろ見て出来の良し悪しがわからないようじゃ自分が良いものをつくれるわけもありませんから。そういう意味で、私が目標としていて(追いつけることがないのはわかっていますが)、この人の右に出る人はいないだろうと思うのが mockmoon という方で、ブログはここ。
continuous shatter ← クリック
こういう作品を作っています。
海外に目を向けると上にも書いたようにかなり良いサイトがあるのですが、つい最近、タイムラプスのバイブルと言っていいような E Book が発売されました。これは14ドル99セントですが、絶対に買って損はないと思います。まだ私は買って読んでいませんが(笑)買いました。紹介ビデオを見ただけでも内容の濃さはすぐにわかりましたし、これほどまで詳しく説明されたものは私は始めて見ました。またタイムラプスを学ぶためのサイトもあって、そこを読むだけでもかなり勉強になると思います。
Learn Time-Lapse Photoguraphy ← クリック
そのバイブルと言って良いと思う E Book はこのページ ← クリック
そのE Bookの紹介ビデオ。どういう内容かがわかります。
タイムラプスはやってみるとすぐにわかりますが、X秒毎に撮った写真をつなげればそれで出来上がりというほど簡単ではなくて、というか手を加えると見違えるように素晴らしくなるわけですが、その為に高価なソフトを買わなくても出来るのがわかりました。Virtualdubという無料ソフトがあり、これに必要な機能のプラグインを入れるとかなりのことが出来ます。もし金銭的に余裕があるのでしたらアドビのアフターエフェクトというソフトを買うと良いと思います。そして出来ることならTwixtorというプラグインも。ただこれだけで20万円近くになるはず。でも何度も書きますが無料ソフトでもちょっと面倒ではありますがかなりのところまでは出来ます。
写真の整理やエディタとしてアドビのLight Roomというのがありますが、私はこれだけはお金を払って手に入れるべきソフトだと思います。写真も増えると整理そのものが大変ですが、このソフトがあれば何万枚でも全く問題がありません。このソフトは独自のデータベースを構築しますから、元の写真はどこにどのように保存してもそれには全く手を加えることなく、自分の思うままにグループ分けを何重にも出来るので非常に便利です。
またトーンカーブをいじるなんて程度は当然のこととして様々なエディット機能を持っています。これが非常に便利。何百枚の画像にエフェクトを加えたり調整するのも簡単に出来ます。そしてここが大事なのですが、そのエディットはこのソフトが構築したデータベースの中で行われるということ。つまり元の画像には一切変化を与えることなく、自由自在にいじれるのです。つまりどういう手を加えたのかということだけを記憶しているんですね。
これって重要で、普通なら元の画像をいじってそれを保存したりしますが、それだとデータが何倍にも増えてしまうわけです。またいじったものを元に戻すことは不可能ですが、このソフトを使うと元に戻すどころか手を加えた順番も覚えていますから、途中まで戻して違う効果を加えるなんて手品みたいなことまで出来ちゃうわけです。
その他、プリントをする場合、どのプリンタを使ってどういう紙にプリントするかによってできばえが違うわけですが、それのシミュレーションもできますし、プリンタ・紙に合わせたエディットもの簡単にできます。
まぁ、写真をいじる人ならこのLight Roomは必需品だと私は思います。
で、これはアドビの製品ですが、ご存知のようにアドビにはフォトショップという超高機能の画像処理ソフトがありますね。このLight Roomはそれとデータのやり取りをしたり連動させることも可能。まぁ、凄いソフトです。
そしてもうひとつ。このLight Roomで動かすタイムラプスのプラグインというかソフトを開発した人も出てきて、これがまた凄いんです。無料ですが、これを使うと今までですとたとえば同じ画像処理を何千枚にするのは簡単ですが、では一枚ずつ少しずつ明るくするとか処理を変えることは不可能だったわけですね。ところがそれが出来るようになったということ。意味がわかりますかね。まぁ、詳しいことはここを見てください。
LRTimelapse ← クリック
こういうソフトを使えば、明るさが大きく変わる場面でもソフトでそれをうまく処理して綺麗につながるようにできるものの、どうしたって無理がある。やっぱり日が昇るにつれてシャッタースピードを早くするとかしなくては対処できません。ところが1枚毎に変化をつけるのは手作業では無理だし、変えたところは前後で大きく写りが変わるから目だってしまう。
ということで、単にX秒ごとに撮影するというだけではなくて、一枚撮るごとにシャッタースピードを微妙に早くする(遅くする)機能を備えたインタバロメーターも存在します。これがあれば、真っ暗な夜から日が完全に昇るまで途切れのない映像が作れるということ。これも画期的でこういう装置がない限り、明るさが大きく変わる場面をつなげることは不可能。
Little Bramper ← クリック
そして、これは必需品だと思うのが、動画を作るときに使う機能である「フレーム補完」。どういうことかというと、タイムラプス動画で真っ先にどうにかしたいのはカクカクした動きです。これの理由は二つあって、ひとつはfpsが低いとどうしたって情報量がないのだからカクカクしますよね。ぱらぱら漫画と同じで、一定の時間内に多くの枚数をめくればスムーズですが、枚数が少なければカクカクしてしまう。でもだからといって撮影間隔を短くして多くの枚数を撮るのも難しいわけです。だったら、カクカクした動画から本来存在しないフレームをソフトで作ってしまうぜというのがこの手のソフト(あるいはプラグイン)。
これって普通の動画からスローモーションを作る技術と同じです。たとえばこんなのがありますが、これはスローモーションとして撮影したのではなくて、1コマ毎の前後の動きから存在しないフレームを作ってスローモーションとしています。本来なら1秒に2000フレームぐらい撮らないとこのスローモーションにはならないわけですが、これは普通の60fpsの動画からスローモーションを作っています。
つまり、カクカクしたタイムラプスも理屈は同じで、これを使えばスムーズな動きになってしまうわけです。ただし、人が動くようなのはデジタルで作った画像だというのがすぐわかってしまいますが、雲の動きでしたら違いがわからないはず。
つまり、本来なら1秒間隔で撮るべきものを10秒間隔で撮って、それを普通の動画にしたらたった2,3秒で終わってしまうようなタイムラプスでもそれを10秒20秒のスムーズな動画に出来る可能性があるってこと。この撮る枚数が少なくてすむというのは非常に大事だと思います。
これを発展させるとこういうことも可能になるはずです。
星空を撮る人たちですが、長時間撮影はデジタルではせずに、短時間に何枚何十枚、あるいは何百枚撮ったものを比較明合成というデジタル処理をするわけです。フィルムの時代なら600秒露光したとしたら、デジタルでは10秒露光したものを60枚撮って合成すれば同じことという考え方です。
凄い時代になったもんです。ところが彼らにも悩みがあって、たとえば10秒ごとでも30秒ごとでもどんどん写真を撮るわけですが、その間隔が途切れとなって現れてしまうんですね。これは知らない人にはびっくりな話で、あんなにゆっくり動いている星(地球ですが)を30秒間隔で連続で撮るときに、そのシャッターが開いていない一瞬の動きは写らないのは理屈ではわかりますが、まさかそれが理由で星の動きが線ではなくて点線(破線)になってしまうとは思えませんよね。でもそうなってしまう。
ここで上に書いた補完技術を使うことができるはずなんですね。写ってない光跡をデジタル処理で作ってしまおうという考え方。
たとえば300枚の写真で動画を作ると30fpsなら10秒の動画にしかならない。これを元にして補完フレームを作って60秒の動画にします。つまりフレーム数としては30fpsが60秒ですから1800フレームとなります。本物は300枚ですが補完技術で新たに作られたものは1500枚。
さて、この1800枚を1フレームごと今度は取り出します。1800枚の画像ができるわけですが、それを普通に撮った場合と同じように比較明合成に掛けたらどうなるか?
面白いでしょ?
きっとまともな人はこういうインチキを考えないと思いますが、私は出来上がった映像が綺麗ならそれで良いと思うタイプなので、こういうことをどんどん利用してやろうと思います。
それとついでですから書いておきますが、映像でカクカクすると多くの人はfpsが低いからそうなるのだと言います。ビデオにしても30pより60pの方が良いと。それは間違いないとは思いますが、私はもっと大事なことがあると思っています。それはシャッタースピード。
30pじゃカクカクすると言う人は、では今まで映画を見てカクカクすると思って見ていたのでしょうか。映画は24pでしかないのに。
ここなんですね。大事なところは。映像をかじった人なら常識的なことでも知らない人はまったくわからない。
どうして1秒間に24枚のフレームしかないのに映画はカクカクしないのか。それはシャッタースピードが遅くて、一枚一枚のフレームを見ると、みんなぼけているからだとと言って良いんじゃないでしょうか。
動画から静止画を切り出したことがある人ならわかると思います。動画は綺麗なのにある一瞬を切り出すとボケていて使い物にならないと思ったことがあるはず。走っている車を(人でも良いですが)、それを遅いシャッタースピードで写真を撮ると動いている部分がボケ(ブレ、流れ)ますよね。当たり前の話。で、実はこのボケがあるからこそそれのつながりの動画を見たときに、自然に動いているように我々の目には見えるってことなんですね。
はい、これが答え。
タイムラプスでカクカク見える場合には、シャッタースピードを落とせば良いってこと。写真ばかりやっていた人はシャッタースピードを早くして止まっているように綺麗に写る方が良いと錯覚してしまいがちではないでしょうか。でもそういう画像だとカクカク見えるってことなんですね。ですから映像の世界ではモーションブラーという動きの方向にボケるエフェクトをわざと掛けたりするんですね。アニメも同じでしょう。動きが自然になる。
映像の世界ではシャッタースピードとは言わずにシャッターアングルというようですが、これはシャッターの構造が回転盤でスリットが入っているところだけ露光する。そしてそのスリットが入っている角度がカメラで言うシャッタースピードに相当するってことでしょう。つまり、1秒に1回転する回転盤に90度の角度でスリットが入っていれば360分の90。つまりシャッタースピードは4分の1秒となるわけです。これを90度と呼ぶようです。
で、タイムラプスは180度が良いとかそういうことが言われているようです。180度。つまり360分の180ですから。2分の1秒。映像で言えば、もし30fpsでの撮影だとすると60分の1秒のシャッタースピードが良いということ。
ここで一番上に出したユーチューブの映像をちょっと見てください。よーーく見ると、人や車の映像もボケて(流れて)いるのがわかりますよね。これって映像だから流れて見えるんじゃなくて、1フレーム毎に写っている車がそもそも進行方向に対してボケている(流れている)んですね。わざとそうなるように写しているし、そういう風になっているからこそカクカクせずにスムーズに流れているように見えるわけです。昼間の映像も同じで、昼間にはあえてNDフィルターを使ってシャッタースピードを落としてボケる(流れる)ように撮るわけです。
タイムラプスも奥が深いでしょ?
でもポイントを押さえればいいものが出来ると思います。
私はというと、まぁ、昼間のタイムラプスなら良い物を作れるようになりましたが、まだカメラの問題もあって星空には手がでません。こればかりは安物カメラじゃ無理。
それとですね、撮り方、作り方はわかりましたしできるようになったものの、問題は作品として仕上げる能力が私には全くないということ。これは大問題。どういうショットをどういう風に並べるべきかとか、当然BGMも必要だし、それを考えると熱が出てきそうです。
もし興味のある人がいたら私と共同でつくります?
私が素材を提供しますから、それをどうにか編集して見れるものに作ってくれる人がいたら大歓迎です。
また私がタイムラプスのやりはじめに思ったことなんですが、まず1秒間隔なら1秒間隔の元絵を手に入れるのが大変なんですね。いろいろ実験したいのだけれど、一番元になる数百枚~数千枚の写真がないわけです。当然、自分で撮るしかないのですが、最初は何がなんだかわかりませんから無駄も非常に多くなる。
またカクカクさせないためにはシャッタースピードが大事だというのもわかりましたが、ではどのくらいのシャッタースピードのをどのくらいのfpsで動かせばどうなるのかのテストも簡単にはいかないんですね。そのテストデータだけで数千枚になりますから。
そういう意味で、テスト用に写真のデータが欲しいと思う人もいると思います。そういう方がいらっしゃったら遠慮なく言ってくださいね。ろくでもないものばかりですが、テストに使うなら十分な元データはいくらでもありますから、ぜひ使って実験して見てください。
私のいつもの手順はこうです。
1 カメラあるいはビデオで撮影し(ffmpegで1フレームずつ取り出す)、元データ(1シーン300枚~1200枚程度)を作る。
2 Light Roomで画像のサイズを変更、クロップ、水平だしをしたり、また色相、明るさを変えたり(部分的にいじることも可能)、ノイズ消し、エフェクトを加えたりする。
3 場合によってはImagemagickでフレームをブレンドする。(スムーズに見えるようになる)
4 ffmpegで静止画から動画を作る。(他のソフトでも可能)
5 Virtualdubでフリッカー除去、揺れ除去(スタビライズ)、その他、動画素材としての最終エディットをする。
6 動画編集ソフト(私のはCorel Videostudio X5)で様々な素材を使い、テキスト、BGMなどを入れて編集。
7 Youtubeなどの動画投稿サイト用にエンコードする。このとき出来る限りビットレートを高くすることが大事。私の場合は12,3Mbps程度。H.264で1920X1080。
私の機材ですが、
○ パナソニックGH1(マイクロフォーサーズ機)。ptoolを使いファームウェアをハック。画質向上させるのと同時に、MJPEGで2fpsの動画撮影を可能にしてある。
○ Gopro HD HERO2。テレビ番組の「いってQ」などでタレントがヘルメットにつけているカメラ。かなり小さくておもちゃみたいだけれど使い道はかなりある。ただし光が十分にないと色が全くでない。水中でも撮影可能で、動画、単射、連射、インターバル撮影が出来る。
○ PentaxQ。インタバール撮影機能があるので、そしてかなり小型のナノ一眼レフなので、Goproより使い道があると思って購入したものの、処理スピードが遅く撮影インターバルをかなり大きくしないと途中で止まる。また温度に弱く、これまた途中で止まる。電池の容量がかなり小さく不便。レンズ3本手に入れてしまったものの、返品できるなら返品したい。でも使える場面を考えて使うしかないか・・・。一眼レフの機能を小さなカメラに・・といううたい文句は誇大広告なのは間違いなし。