子供が大人になったときのビザ

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海外での子育てってなかなか簡単にはいかないというのが私の考えで、巷の無責任な人たちの「海外で子育て出来たら素晴らしい」という安易な物言いに乗ったら大変だというのはこのブログで何度も書いています。

これって根が深くて、こういう私も実はそういう風に思っていたのを今、白状します。

子供が生まれた時に気になるのは健康の事。まず五体満足か心配するのが普通。そしてそれなりの年月になれば歩けるようになるのかとか、話せるようになるのかとか、そんなことを考えるようになる。口が遅い、重い子の場合は将来それがどう影響するのか結構悩んだり。

幼稚園や小学校の歳の頃は、協調性はどうかとか、友達は出来たのか、イジメには合っていないかそんなことばかり親は考える。そして、もちろん健康第一。

私達がオーストラリアに来たのは長男3歳、次男が1歳の時。計画をしたのは丁度一年前だったろうか。

子供達がオーストラリアに馴染めるのかどうか、そればかり心配していましたっけ。初めて幼稚園に登園した日のことは長男のときも次男のときも忘れられません。二人とも泣きながら私を追おうとしていた。

でもそんなのは初日だけで、幼稚園とは遊ぶ場だと彼らは認識していたはず。我々もそれで良いと思ったし、とにかくオーストラリアという地に馴染んで欲しいとそればかり考えていました。

それと英語。

この考え方って小学校に入っても同じで、自分の子供がどんな成績を取るのか全くわからないわけで、多少アホでも元気で逞しく、そして優しい子に育って欲しいと思っていました。もし成績が悪くてもオーストラリアで育てばバイリンガルにはなるだろうし、それで十分だと思っていたくらい。

ところが小学校高学年から中学になると考え方がガラリと変わりました。良い成績が狙えるのがわかればその方向でガンガン飛ばして欲しいし、英語に関しては全く心配していませんでしたが、問題は日本語。彼らにとって日本語は外国語になったわけですから。だから元気に育ってくれれば良いなんて思ったのは過去の話になっちゃうのね。競争社会から離れて生きるのは難しいし、子供もやる気が出てくるのを「そこまで頑張るな」という親もいないし。

またバイリンガルの難しさがわかるようになるのもこの頃なのね。小さいときには親以上に日常会話がうまい子供を見て、親はニンマリするのが普通だと思うのだけれど、日常会話って日常会話でしかないのね。話せないより良いという程度でしかなくて、こんな言語能力じゃ大人になってもどうにもならず。

ま、日本語が問題になることはオーストラリアに来る前からわかっていたので、我が家では英語は絶対禁止でしたし、テレビも日本の番組ばっかり。漫画も日本の漫画。そんな育て方をしたら英語が・・・って思うかもしれないけれど、これって親が勝手に心配しているだけで、子供はどんどん英語を吸収していくから全く問題はありませんでした。それどころか日本語を学ぶチャンスを逃すとアウトで、日本語補習校にしても高学年になると現地校と両方の勉強があってそれが原因でドロップアウトするなんてのが普通。

この辺は、補習校の学年別の人数を調べてみるとすぐにわかる。完全なピラミッドの形になっていて、ちゃんと中学三年まで終わらせるのは簡単では無いのがすぐわかるし、それは小さい頃からきっちり計画して育てないと、「行きたくない」と言い出した頃に慌ててもどうにもならず。

ま、どの家庭でもこんな感じで進むのだろうと思うのですが、問題は無事に学校が終わった後の就職。

就職も大変だけれど、ここで考えなければならないのはビザなんですね。就労ビザ。

永住権を持っていれば全く問題はないのだけれど、就労可能なビザじゃない場合はうまくない。また親が就労ビザを持っていても子供が働くようになれば彼らがまた就労ビザを取らなければならない。これはMM2Hの子供も同じだし、子供が留学ビザ、親はそれにぶら下がってきても同じ。

さて、就労ビザって簡単に取れるんだろうか。

ここは私は簡単じゃないと思っていて、例えばオーストラリアにしてもこちらで大学を出ればどこででも仕事ができると思ったら大間違い。そりゃかなり出来る子なら話は別だけれど、現地の優秀な子でも就職が難しいのに、外国人、ましてや就労可能なビザ(要は永住権)がないというのはかなり大きなハンディになる。

世界中それはどこでも同じだと私は思っていて、外人にそう簡単に永住権も就労ビザは出さないのが普通。自国の失業率アップに繋がってしまうわけだから、働きたい人に就労ビザをくれるのは当たり前のことじゃなくて、特別措置だぐらいに考えるのがよいと思うくらい。

で、一度就労ビザをもらえば良いかというとそういうことでもなくて、当然2年とか4年とか期限がついているし、他の会社に勤めることは不可能。これって結構酷くて、例えば日本の会社が現地に支店を出して、本社からスタッフを送り込みたいとしても決して簡単じゃないのね。職種、人数に制限があるし、酷いときにはそのビザの延長、書き換えもできなかったなんて話も決して少なくないこと。当然、日本に帰るしかない。

さて、マレーシアですがどうなんでしょうか。少なくともオーストラリアの場合は、プラっと来て就職するのはほぼ不可能だし、こちらに留学させて就職も・・・なんて考えてもなかなか思うようにはいきませんが、マレーシアはどうなんでしょうか。

その辺のことを書いているブログがあります。KLではそれなりに有名な日本人のはずですが、マレーぐまさんという女性です。その方のブログにビザのことが書いてあったので紹介します。

マレーぐまの業務日誌@厚木インフォテック  ←クリック

気になる部分ですがこんなことが書かれています。たとえば

「本人は資格さえ取れば他のマレーシア人と同じように就職できるはず、マレーシア人が就職できるのになぜ外国人はダメなのか、そんなはずはないと納得できないでいます。」

「でも実際私の知っている範囲でルール的にはビザが出るとされている学部を卒業し(学士を取って)ルール的にはビザが出ると言われている業種の会社に無事就職が決まっても、実際には就労ビザがおりなかった子がいますし、普通に日本人相手に手広く商売をしている日本人が実は就労ビザが取れていない綱渡り生活というのも本当によく聞く話です。」

「つい最近も何年も商売をしている人が今だに3ヶ月で出たり入ったりしていると聞きびっくりしたこともあります。

「その就職先は決まったもののビザが取れなかった子は諦めて国に帰ることもできず出たり入ったりで通訳などをしているそうです。」

「そのうちマレーシア人と結婚でもすれば配偶者ビザで(手続きすれば)働けるようになる可能性は高いですが、将来が見通せない不安定な状態ではあります。」

そして話は「我が子にはそんな思いはしてもらいたくありません」と続くのですが、彼女はマレーシアに長いですし、その辺のことは良くわかっているってことですね。

問題は親なのにその辺がわかっていない場合はどうなるかってところ。親の責任は重いと思います。

駄目なら日本に帰れば良いじゃないか、なんてのは話になりませんね。もし親がそういう考え方だとしたら、海外に子供を出すべきじゃないと思います。もし最初から日本で就職を考えているのなら良いですが、海外で育った子供が日本の会社風土に合うのかどうか。そもそも日本で暮らしたいと思うのかどうか。

私達は永住権が取れたのを確認してからオーストラリアへ来ました。永住権が取れなければ絶対に来ません。またこちらに来て起業しましたが、もし永住権がなかったとしたら絶対にそれを取るべく動いたと思います。

ビザとは、海外に出たら命の次に大事なものだと私は考えています。これがないとその場にいることさえ出来ないのですから。

私はマレーシアの永住権がどういうものか全く知りませんが、もし取れるものなら取るべきだと思います。お子さんが小さい場合、ビザが問題になるのは10年20年先でしょうが、その時に慌てることがありませんように。

夢を持って海外に出るのは良いですが、子供が犠牲にならないように万全の準備、計画は必要ですね。本人が好きで根無し草になるのは勝手ですが、子供にそれを強要することはできないわけですから。

グローバルという言葉が独り歩きして、またグローバル化と言えば良いものだと錯覚し、人間もグローバル化、つまり国際人だのなんだのそんな人間は世の中に存在しないし、そんなカテゴリーもないのに、そこに夢を持つのは絶対に間違えていると思う私。

あえて国際人というのなら、それは国際的根無し草(笑)を言うのではなくて、日本人なら日本人としての文化、言語を理解し、アイデンティティをしっかり持った上で、外国人をも理解できて一緒に歩むことが出来る人のことをさすのでしょう。そしてこれは海外で育てばどうにかなるってことでもなくて個人の才能に依存するのでしょう。ましてやビザで問題が起きるようじゃどうにもならず。

ちなみに私自身はマレーシアに永住する予定もありませんし、MM2Hがあれば十分。ただ、親の我がままで長男の日本での就職を止めさせてマレーシアに一緒に行こうということになった今、将来的に彼の、あるいは彼の子供達のビザが問題になるであろう事は想像できます。

当面の我が家の問題としてはオーストラリアの永住権をどうするか。5年の内2年はオーストラリアにいないと永住の意思無しと判断され、消滅してしまいます。先が短い我々夫婦はどうでも良いにしても、息子の永住権は保持できる状態が望ましい。

永住権って取れちゃえばOKってわけでもなくて、それの維持にはそれなりの条件があって、国外に住みながら永住権の維持は簡単じゃないのね。オーストラリア、アメリカ、シンガポールも同じ。でもマレーシアの永住権って取ってしまえばあとはお好きにどうぞ、という永住権らしい。こういうのって良いですよね。

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