「カニを食べたいねぇ」
「そう言えばここのところ食べてないわね」
「だよな。買ってくるか?」
「うんうん」
てなもんで、カニを買いに行ってきました。フェリーロードマートの中の魚屋さん。無ければないで、同じ場所の肉屋で買いたいものがあったので良いかと。
売ってました~~。値段は1パイ12ドル。水槽にかなりの数の蟹が入っていました。また茹でた状態のも売っていました。でもどういうわけか同じ値段(笑)。
我が家でカニを食べたいというとこのカニの事です。Spanner crab(スパナクラブ)。日本で言うアサヒガニで南九州や高知では普通のカニ。楽天でも買えます。
1パイ12ドルって値段ですが、これが不思議でインフレが凄いオーストラリアでこれだけは昔と値段が変わりません。鮑じゃロブスターなんて3倍4倍に値上がりしているのに。
で、1パイ12ドルですが、水槽の中から(彼らが)捕ったカニはこんなに大きさが違う。おかしいじゃないですかねぇ。見た目でこれだけ違うと重さは倍違いますから。もしかするとこれって大と小なのかもですね。で、1パイ12ドルというのは中の大きさで考えているのかも。
ま、ヨメサンが「私は大きいほうね」って言わなかったので、私としては安心しました。 (笑)
我が家ではカニは茹でずに蒸します。2ハイとも一緒に大きな鍋で20分蒸しました。半分に割った状態がこれ。
甘みがあって美味しかった~~~~。
ヨメサンは二杯酢にショウガを入れたり自分でツケダレを作りましたが、私はいつも何もつけずにこのまんま。なぜか昔からカニには何もつけないのが習慣になっています。
このカニって変な形をしていますが、オーストラリアのカニの中では私は一番好きです。味が淡白なのね。だから和食にも合う。ただ淡白って言っても味が弱いんじゃないんです。味は薄いけれど強いというべきでしょうか。京都の出汁と同じ。薄味だけれど味は強いのね。
かつてはマッドクラブばかり食べていました。自宅の真ん前の川に桟橋から仕掛けを下ろしておけばいくらでも捕れましたから。こういうカニ。マッドクラブ=泥蟹ですが、マングローブ蟹とも言われていて、マングローブが茂るような汽水域のドロ地に生息しています。(海の沖に出て捕まえる蟹じゃない)
この蟹ですが、ハサミが半端じゃなく大きくて強く、指を挟まれると千切れることはないにしろ、かなり酷いことになります。この蟹って非常に攻撃的で、人間にも威嚇して来ますが、その代わり興奮すると足が取れてしまう(筋肉が収縮しすぎるのでしょう)ので、逆にそれを利用して、足でとりあえず踏んづけてハサミを取ってしまうようにします(下手に甲羅を掴もうとしても危ないです。甲羅のギザギザで切られてしまいます)。この下の写真は蟹同士で争ってハサミが取れているのがわかります。本当に攻撃的な蟹で、仕掛けを仕掛けてもまず一度に二匹入ることはありません。縄張り意識も強いのでしょう。だから同じバケツに入れるといつまでも喧嘩しています。(笑)
かなり大きくて味もしっかりしているのですが、いささか食べ飽きました。捕れるときには甲羅が20センチぐらいあるのが4,5杯捕れますから、友達を呼んで一人1パイずつ食べたり。あの時はいささかみんなげんなりして、実は我が家でマッドクラブを捕まえたのはそれが最後となりました。もう10年になるかなぁ。
このマッドクラブって一応有名で、ゴールドコーストに観光で来る人達の多くは食べた経験があると思います。ほとんどが中華かな。このカニって味が濃いと言えばよく聞こえるんですが、野性味が強いのね。だから中華のように炒めて濃い味をつけても負けないのね。クアラルンプールのカニが美味しいという店で食べたのも同じカニ、マッドクラブでした。ただ大きさが小さいのね。あれは子供で、もしあの大きさのマッドクラブをこちらで捕まえると、そしてそれがパトロールしている海上警察に見つかると結構面倒なことになります。メスも捕ってはいけないことになっていまして、罰則はかなり厳しいです。
でもマレーシアはそんなことは関係なく、小さなものや(卵を抱えている)メスも食べられるのがなんか不思議で後ろめたい感じさえしました(笑)。カニはどうもスリランカから来ていると聞いた覚えがあります。
今日食べたスパナクラブはこのマッドクラブとまるで違う味のカニ。和食にもあうカニですが、もしマッドクラブを日本式の鍋に入れたとしたら臭くなるかもです。でも中華風なら味が負けなくて美味しいのね。
もしゴールドコーストに来るチャンスがあったら是非このスパナクラブを食べてみてください。
でも観光客が行くようなお店で食べたら美味しくないかも。これは世界中どこでも同じですが、観光客が行く店ってろくな店がないのね。値段も高いし。あれって旅行会社と繋がっているからそういうことになるんだろうと思います。もしガイドがいたら、「あなた個人ならどこで食べる?」と聞くのがベスト。これも世界共通ですね。(笑)
余談ですが、マッドクラブを食べるときのヒントがあります。一人1杯ずつ食べるなんてことは大きな蟹ですからまずないはずで、中華でも4人で頼んでも1杯だけってのが普通。でもハサミの部分は左右二本しかありませんよね。だからお客様とか目上の人に薦める事が多いです。でもね、実はこのハサミの部分って当たり外れが大きくて、身がしっかり詰まっていることもありますが、スカスカの時も結構多いんですよ。だからこのハサミの部分が回ってきても喜んではいけない。(笑)
上の写真のハサミの部分を拡大してみてみましょう。
一番美味しいのは付け根の部分です。ここはどういうわけかスカスカということはなくて、身がしっかり詰まっているのが普通。ですから、もし知り合いに爪を勧められて、「いやいや、ご遠慮なく、私はここで良いですから」なんて元の部分を取る人がいたら、その人こそ一番ずるい奴だと思って間違いなし。 (笑)
それとマッドクラブを選ぶときには汚く見える蟹を選ぶこと。緑っぽい蟹はまだ脱皮してから日が浅く、身が詰まっていません。その代わり、色は茶色で汚く見える方は甲羅も固く、身もしっかり詰まっています。これは生け簀を持っているような店で蟹を選ぶときにも重要なポイントですから、覚えておいたほうが良いかもです。
もう一つオマケ。魚屋で蟹を買うと、活の場合はそのままですが、茹でた状態のものですと
「掃除をするか?」(クリーンするか?)
と聞いていくるのが普通。あるいはすでに掃除済みのものを売っているところもある。彼らは蟹のミソの旨さなんてわからないわけで、きれ~~~~いに洗ってくれますので注意。 (笑)