TPPの話題が随分遠くなっているような感じを受けますが、面白いニュースがありました。
2025年までに関税が完全撤廃になったらどうなるかをアメリカ農務省が試算をした結果。
日本農業 一人負け 参加国の輸出増 70%背負い込む 米農務省がTPP試算 ← クリック
この「日本が一人負けする」という試算を出したのがアメリカの農務省だというのが面白いと思います。
このニュースのポイントを抜粋しますと
「TPP」シナリオで合意すると、参加国の農産物貿易は6%、計85億ドル(1ドルは約116円)増えると予測する。うち33%に相当する28億ドルを米国が獲得する。これに対し、日本の輸出増加分は、加工品を中心に8300万ドル。参加国全体の輸出増額分のわずか1.4%に過ぎない。
一方、参加国の輸出増加額の70%に当たる58億ドル分は、輸入という形で日本が背負い込む。日本の輸入額が増える品目は、食肉が半分を占め、米を含めた穀物、その他の加工品、酪農製品などが続く。
出典:日本農業新聞
ポイントをまとめると以下の図のとおり。
今更・・・と思いますが、アメリカの農務省が言うのだから説得力があります。
私としてはこの農業分野に関して言えば、日本の農業を守るべきと思うしTPPには反対。でもTPPの思想そのものには日本が被害者意識を持たずに積極的に利用したら良いと思っています。ただその積極性が日本には欠落しているからTPPを利用できないというのがあるのでしょう。
これに関してはTPPとは関係なく、日本も反省し考えなおさないとならないことがあるのは農業とて同じで、TPP反対の声ばかり上げても「それでいいの?」と感じます。
しかしTPPは一体どうなるんでしょうね。
オーストラリアもマレーシアも参加を表明していますが、私からこの両国を見ると国内の規制が多く、内国民優遇策がいろいろあるように思えるわけで、もしそれを排除しないとならないとしたら日本どころの騒ぎじゃなくて国の根底から変化しないとならないように感じます。細かい個別の交渉がマレーシアやオーストラリアに関してどうなっているのかそこまでの情報は全くありませんが、関税撤廃なんてことになったら(私達は嬉しいにしても)大変なことになりそうですね。例えば、自動車が高いのは両国とも同じで、関税は小さくして違う名目で税を課すとかあの手この手を使っているし、でもそれとて非関税障壁ということで、関税を掛けているのと同じだし、また特定の業種に補助金を出すのも本来インチキなはずで、でもそれを言い出すとどの国もやっていることとなって収拾がつかなくなるのかなと思ったり。
TPPは国の関係と見るから反対だなんて思うわけですが、これが州であったり日本で言えば県によって規制も法律もバラバラ、関税もあるということになったら、そんなのはさっさと撤廃しろ、統一しろと誰もが思うはずで、だとすれば国も同じじゃないかということになる。これは経済の視点をどこにおくかによって違いが出てくるわけで、世界を舞台に動く企業からすればTPP推進せよというのは良く分かる。
でも同じ国内で隣同士の県がそれぞれ違いはあったとしても、同じ国ということは運命共同体で、万が一の時には国が救済に動く。また県民も頑張る。ところが国同士って仲間でもなんでもなくて運命共同体どころか、相手を食わないと生きていけない存在だと私は思うわけで、やっぱり国同士の場合はそう簡単には話を進められては困る。
そんなTPPなのに、マレーシアやオーストラリアが参加しようという事そのものが私には理解が出来ないです。プラスよりマイナスの方が多いんじゃないのかなぁ。いやいや、TPPはみんなで寄ってたかって日本を食い物にする条約なんですよ、なんて説明があれば一番それが納得できる理屈。
このアメリカ農務省の分析結果はまさにそれを暴露したのと同じですねぇ。
随分前にTPPの討論会をたまに紹介する「ちゃんねる桜」で見たのですが、その時の出席者に東大の教授かな?居まして、TPPは賛成だと。農業にしても他の産業にしてもやり方次第でいくらでも海外に出られるっていうんですよ。その例に上げたのがゴディバのチョコレート。オランダのチューリップ。どんな業界、業種でも頑張れば世界を席巻できると。本当にまぁ学者って利口なのか馬鹿なのかわからないと思いました。シャネルやルイビトンみたいに頑張れば良いというのと同じ。日本ならウイスキーの山崎は世界一になったじゃないかとでも言うのでしょうか。こういう人たちが評論をしたり、解説をしたり、あるいは政府の諮問会議のメンバーにいるかもしれないと思うとゾッとします。
大人の中に頭でっかちの子供が混ざっているのと同じで、どうして自浄作用が働かないんでしょうか。そういう人を自分の都合に合わせてピックアップする権力者が動くからなんでしょうが・・・・・。