チャートの見方なんか書いても反応がないだろうと思っていましたが、一通メールが来ました。こういうのは本当に嬉しいです。
全くのチャート初心者の様で、その手のノウハウ本も読んだことがないそうですが、興味が出てきたとのこと。
なかなか簡単には行きませんし、期待が大きすぎるとがっかりすると思いますが、道具は使いようで、どんな時に強いのかそれとも全くダメなのかもチャートを見ている内にわかるようになりますから、勝てるパターンを探してその時だけ出撃するようにすれば良いってことなんです。頑張っていただきたいと思います。
そのメールに書いてあったことなんですが「(USD/JPY)は微妙な場所とはどういう意味でしょうか」とのこと。
要はですね。トレンド転換がはっきりみえない。チャート上では様々な指標が逆のことを示しているということなんです。
チャートで説明します。拡大部分が3つありますが、トレンドの見方を前の日記に書いた時には、この一番上の丸の部分だけを見てどう判断するかということだけでした。
上の部分はまさに「実際の値動き」を見るチャートですが、これではドルの上昇が頭打ちになり、大きく下がって、今はまた戻った状態。ただしもっと大局的に見るとドルの上昇トレンドは全く壊れていません(これは雲で見ます)。
ところが2番め3番目の拡大部分を見ますとかなり雰囲気が違うのがわかります。この部分のチャートは実際の値動きというより、力の強弱を見ると考えるとわかりやすいと思いますが、これで見ると、「下げトレンドの中の小さな反発(上昇)」にしか見えませんよね。つまり、前の上昇トレンドに戻るにはこんな力じゃ戻れないことを示唆しているわけです。
このことから、この中段下段、そして最下段のインジケータで見ると、「トレンドはすでに下げトレンド(円高方向)になっていて、小さな上昇波が陰転し下げに入るところは絶好の売り場」となるんです。
そういう状態になっているのは一番上のチャートからも想像がつくわけですが、中段下段のチャートはそれをもっと視覚的にはっきりわかるようになっているということ。
これがどういうことかというと、それぞれの指標なりインジケータが「違う方向」を示しているわけですから、どちらに転んでもおかしくないと考えられるわけで、ここは「積極的には動くべきではない場所」と判断できます。
チャート分析とはそんな程度のことしかわからないものだと私は考えていて、いつでもどんな瞬間でも「買うべきか売るべきかわかるものではない」と思います。でも初心者のかたは期待が大きすぎるのかチャートという武器を持つといつでも使えるモノと期待してしまう方が多い。あるいは「買いでもない、売りでもない、今は手を出すな」という信号も出ると考えれば、常になんらかのことは見えるということは可能。(笑)
チャートは万能なんてことはないわけです。これは私が使っているのとはまるで違う見方をするインジケータもいろいろあるのですが、でもそれぞれに長所欠点が必ずありまして、「いつも使えるものは存在しない」んですね。だから自分に合うもの、好きなものをピックアップして使うしか無い。
それと一連の私の書き込みを見て気がついたと思うのですが、買いだ売りだと決定できる瞬間ってそうそうないってことなんです。つまり、この見方では「資産を動かすことは出来ない」ことになります。
意味がわかりますかね?
例えば「買いだ!」というシグナルに乗ったとします。そしてそれはそれで良くて、普通のFX投資であれば「利益確定」したり「損切り」するわけですが、では「大きな資産」を動かした場合、数日後にまた替えたり、1年の内に行ったり来たり何度もできるわけがないんですね。かと言って「買ったら買ったまま」にしておくのは非常に危険で、替えた時はそれが大正解でも、その後、ダラダラと大きなシグナルがでることなく、売りシグナルもでなかったら、結局は元の木阿弥、あるいは「何もしなかったほうが良かったじゃん」ということになる。
でも上に書いたように、今のトレンドを見る、変化を見るのは可能だとしても、その変化があるごとに大きな資産を動かすなんて馬鹿なことは出来ないわけですよ。
ですから今まで説明してきたことは、「とりあえずそのうち動かさなくてはならない程度の金額をどのタイミングで替えるべきか」を見るのが精一杯ってことなんですね。でもそれを「目標とする」とは書きましたが、それだけじゃどうも面白く無い。
だから結局はFX市場に参加しないとダメだと思うんです。
FX市場で為替の変化で売買できる状態にあるということは「大きな資産を動かす必要もない」ってことになるんですね。「資産とは現物」で「FXは先物」と考えれば良いと思うんです。そもそも現物を動かした場合の為替交換手数料って大きいのが普通ですし、またその現物を遊ばせている人って少ないはずで、もしそれが定期預金でも債権にでもなっていたら、それを解約、転売してから「為替交換」ということになります。半端じゃなく面倒くさい。
でもその現物はそのままで、先物市場、あるいはFX市場で売買すれば手数料も安く、簡単に売買が出来る。コストはレバレッジが使えますから同額が必要なんてこともない。
要は先物FX市場で「ヘッジ」をするのと同じなんですね。現物は「必要な額を除いて」動かす必要がなくなる。
また私がそうなんですが、「ヘッジしたい資産を全てヘッジする必要はない」わけです。危ないと思った時には「できるだけ損失を減らす」ことが出来れば上出来で、また全額へッジしたければすればよいし、それどころか「かなり自信がある」のであれば、資産以上の金額を売買しても良いわけです。それをやると「円安(円高)で損失が出るはずが利益が出る」ことになります。
また相場は常に上だ下だと動いているわけですから、「動かれては困る方向にヘッジ」するだけではなくて、「嬉しい方向」の時にチャンスがあれば「利益の上乗せ」のチャンスもあるということ。また「嬉しい方向」に動いている時にも「もうここまでだろう」と思ったら先物FX市場で売っておけば良いんですね。そうすればそこで利益(差損)を「固定することが出来る」。つまり相場が上がろうが下がろうが関係ない状態を維持できる。
ですから「資産を動かす」のは得策ではないかもしれない。ただし、通貨を変えると「投資先も変わり」「期待利回りも違う」わけですから、やっぱり大きな資産を動かしたいケースは少なくない。
そういう時にも「動かさない」のではなくて、上に書いたことは「動かした後の手当」と考えれば良いんですね。
つまり、マレーシアで言えば「リンギットの防衛」であり、私で言えば「豪ドルの防衛」であって、決して「円資産の防衛」ではないということ。でも日本在住の外人は逆のことを考えていわけで、視点を変えるといろいろ考えれるんじゃないでしょうか。
今までこれを紹介したことはないと思いますが、私が見ている「長期での大きなトレンド」は週足の一目均衡表を改造した雲との位置関係で見ています。赤と緑が目立つようにしましたが、これがその雲、抵抗帯です。もし資産そのものを動かすとしたらこういう方向性を読み、転換点を探すことは有用だと思います。
USD/JPY Week chart
相場の世界でどんな時にでも勝つなんてのは奇跡と同じで、そんなことはあり得ないわけですが、ここぞと思う瞬間は必ず来ますので、そこで動ける状態を作っておけばどうにかなるもんだと思っています。
でもそんな瞬間は日足のようなチャートでも数ヶ月に一度あるかないかなんですね。そんな瞬間を毎日毎日狙って生活するなんて私には不可能(でもそうする人は少なくない)。スナイパー、狙撃手がですね、何ヶ月も標的を狙い続けるのと同じで、それが出来る人ってかなり変わった人だと思います。でも真剣な人はそれをやるんですね。
私はそんな緊張感を持ち続けるのはイヤですから、デイトレが良いということになります。一日のチャートを見ればわかりますが、その中には日足で言う数年分の動きがあるわけですから。チャンスはいくらでもある。
それを積み重ねていけば「ちりも積もれば山となる」で、数ヶ月に一度の勝負をするより効果的だと私は考えています。そしてここが重要なんですが、数ヶ月に一度の出撃じゃ練習にならないんですよ。やっぱり理屈じゃなくて実戦が大事なのは相場も同じですが、デイトレを真剣にやると、数ヶ月で古いタイプの投資家の数十年分の経験が出来るんですね。でもデイトレだと言って「ルールも決めずに下手な鉄砲を撃ちまくる」ような人には将来がないと思いますが。
それとですね、年に数度の勝負をする場合、どうしても投資金額が大きくなるんですね。そして大きな値幅を取ろうとする。そうじゃなければやる意味がないわけですが、これって精神的にかなりのストレスになるはずなんです。少なくとも私には大きなストレスになる。またチャンスが頻繁にあるわけじゃないですから、無理もするんですね。
ところがデイトレとかの超短期売買は回数が多いですから、投資金額は少なくても回数で稼ぐ方法となり、心理的負担が少ない。だから適当な事をしちゃうとだめなんですが、スポーツで言うと練習試合をしているような感覚でやっていけるということ。これは非常に大事だと思います。
でもそれじゃゴミを集めるような手法のように感じるかもしれませんが、とんでも無い話で、超短期売買でいかに利益を増やすのかは「ロットを増やす」んですね。利益が欲しいから「大きな利幅を狙う」のはアホで、そんなことをしたら難しくなるだけ。大体大手のFX業者ですと3百万ドルまでの注文はどうにか値を大きく飛ばさずに通る様になっているはずなんですが、3百万ドルロットって、常にちょろちょろ動いている10PIPSで3千ドルですから、デイトレはゴミみたいな手法と思ったら大間違い。
逆に言うと、「ロットを決めたやり方はダメ」であって、勝った場合は自動的に「ある割合で増やす」方法を取り、負けた場合はその逆で「ある【大きな】割合で減らす」ようにします。
つまり勝てない限り投資金額も増えないんです。そして調子が悪くなると大きく金額を減らしますから、巷で言われるような「大損」「資産を飛ばした」みたいなことはやりたくても出来ない。(笑)
そして自分が勝てるのか勝てないのかがはっきりわかるわけですから、自分の手法を常にチェックできるんですね。そしてどうしても勝てないのなら諦めるのも良いかもしれない。でも自分の手法を磨くことをせずに、思いつきでいろいろやってみたけれどダメだったなんてのは経験の内に入りません。ここはちゃんと考えるべきで「マラソン」「短距離」「水泳」「卓球」「サッカー」などいろいろやったけれどダメだった、なんてのはお話しにならないわけで、自分の傾向として「野球」が良さそうだと思ったら、その分野での経験、チャレンジを積み重ねないと意味が無いのは誰でもわかるわけで、相場の手法も同じなんですね。
とにかく諦めずに、ちゃんと考えて進んでいけばどうにかなる世界だと思います。
前に「将来を予想すること」と「相場で勝つこと」は全く違うと書きましたが、世の中の大多数の人はそれに気がついていなくて「将来を予想するのは難しい」=「相場は難しい」と考えてしまう。そこから出ることが出来ないから「相場はプロでも難しんだから・・」という言い訳を自分のみならず、周りに言い出すようになる。「将来のことはわからない」のは当り前じゃないですか。
前にも書いた通り、大手企業や機関投資家は「将来を予想」し「将来を当てる」ことが出来ないと困る人たち。テレビや新聞、エコノミストやアナリストもそれを前提で話をしますが、我々一般人は、将来を当てる必要がないんですね。そこに気がついた人は相場で生きる道を見つけることが出来るってことだと思います。
世の中の常識とか、井戸端会議で話されるような内容にはウソ、誤解が多いのは相場に関しても同じだと思います。「将来を予想」「将来を当てる」のは全く違う職業だと考えたらどうでしょうか。