また麻婆豆腐です。我が家では麻辣豆腐と呼んでいますが。好きなんですよね~。
先日、味と香りの違いに関して書きましたが、西洋料理、中国料理には「香りを油に乗せる」という食文化があり、日本ではそれが殆ど無い。この違いをはっきり教えてくれたのが関西食文化研究会という学者や料理会の重鎮が「調理を科学する」立場で更に前進しようという集まり(ここをクリック)。その中で「乳化」がテーマになった研究会があり(ここをクリック)、その中でこの話題が出てきました。
味は水に溶ける(水溶性)。香りは油に溶ける(揮発性)。
これを利用して油に香りを乗せると、口の中で時間差で「余韻」となって出てくる。また油をそのまま食べるケースは少ないけれど、マヨネーズがそうであるように、また豚骨スープがそうであるように「乳化」させることによって油+香りを人は口の中に入れる。
で、西洋料理も中華料理もこの香りを大事にする文化がある。
そもそも油を積極的には使わない日本にはその文化がない(匂いは香りとは違って水蒸気に乗って出てくる)、希薄であることから「香り」に関していうと自分は軽視はしないものの重視はしていなかったような気がします。オマケみたいな。
だから西洋料理を作ったり中華料理を作るにしても、この辺が「手抜き」になる傾向が日本人の料理にはあるんじゃないでしょうか。少なくとも私はそれ。
麻婆豆腐もそうなんですが、ニンニクを最初に油で炒めることは多くの人がするものの、それは「香りを出すため」という認識だと思います。でも実際は「出した香りを【油に乗せる】ため」なんですね。豆板醤や鷹の爪も同じで、プロのレシピを見ると油で炒める。そして麻婆豆腐の命である「麻」である痺れ。これはホアジャオ(花椒)を使うわけですが、やっぱりプロ、ハイアマはホアジャオ(花椒)の種子を油で炒めるんですね。
私はというと、ホアジャオ(花椒)の粉を最後の最後に振ります。ま、そういう調節はプロもするんだろうし、小皿で粉を出し、食べる人が好きに掛けられるようにするケースもあるようですが、基本は「最初に炒める」。これをせずに私のように最後に粉を掛けるのは、ニンニクを炒めることをせずに最後にニンニクパウダーを掛けるのと同じだと思うんです。
ということで、炒めるべきものは油で炒めて、麻辣豆腐を作ってみました。
さて、どこが違うか?
残念ながら私には「全く」違いがわかりません。別々に作って食べ比べをしても私に違いがわかるかどうかは疑問です。
やだね~~~。(笑)
そもそも私は鼻が悪い(アレルギー性鼻炎)し、鼻がかなり詰まっている状態で、鼻だけで呼吸するのが困難なぐらいです。ですから、もともと「匂い」「香り」には弱いのかもしれません。
どうするべきですかね?
ちゃんとやるのが良いに決まっていますし、そうするべきな理屈はわかるものの、自分では違いがわからないことを続けるべきかどうか。
私としては「わからないことはしない」のを信条にしています。そもそも「本にそう書いてあった」「母にそう習った」「親方から教わった」「これが我が家の調理法」ということにして、「自分には違いがわからない」ことをするのが嫌なのです。これって「わかったつもり」でいるだけで「わかっていない」のに変わりはないと思うから。
最終的に同じことをするようになったとしても、自分で理解し、確認しながら私はそういう風になってみたいと考えています。そうじゃないと「借り物の知識」が増えるだけで何の意味もないんじゃないかと思うわけ。
また、私がそうしよう、この線で行こうと思うようになったのは、上に紹介した「関西食文化研究会」を読んでから。ある討論会の中でこういうことが言われていました。
「理由がわからないことをしてはならない」
これを読んだ時に、なるほど、それが当たり前だと思いました。和食の世界は特にそうですが、微妙な調理をすることが多いと思いますが、「なぜ」そうするのかを理解し、「違いを自分で確認」出来なければ意味が無いですよね。ただのロボットと同じ。
ま、そんなこともあって、私の調理実験はそれなりに真剣なのですが、私には「鼻が悪い」「味に鈍感」という欠点があります。これって調理人としては致命的なんでしょうが、ま、調理人じゃないですからどうでもよいとは思うものの、チト寂しい。
そういう意味でヨメさんは凄いと尊敬するところがありますし、不思議なのが長男です。かなり微妙な違いを言い当てます(寿司屋が醤油を変えたのもわかる)。ヨメさんより繊細かも。きっとこういうタイプが調理人として成功するんでしょうし、またグルメと言われる人たちってそうなんだろうと思ったり。
私は10ドルのワインも40ドルのワインも違いがわかりませんし(笑)、今日の麻婆豆腐も作り方を変えても味の違いはわかりませんし、ちょっとがっかりする部分があるのですが、ま、もしかするといつか開眼することもあるやもしれず、どうしようか・・・・・