前から欲しいと思っていたSunbeam社の「MU4000 Duos™ Sous Vide & Slow Cooker」(定価219ドル)を先日入手し、何度か使ってみたのでレポートをします。
一言でいってやっぱり「オモチャ」。(笑)
見た感じはもっと大きいと思っていましたがそうでもありません。でも小さくもなく外寸は240 x 360 x 290で重さは4.43キロ。軽くてペラペラ、いかにも中国製という感じ。大事な内鍋もペラペラです。
低温調理機として使うにあたって一番気になるのは温度管理がちゃんと出来るかですが、やっぱり無理。(笑)
そもそも内容物(お湯とかスープ)の温度を直接測るタイプじゃありませんからしょうがないですね。かなりブレがあります。またワット数は高いよう(マニュアルにも記述なし 笑)でかなり熱くなって(ヤカンと同じくらい)周りは触れません。そのくせ水を60度にしようとすると(量にもよりますが)感覚的に「遅い」と感じます。これはそういうふうに作ってあるようで、説明書でも「急ぐ場合はお湯を入れろ」と書いてある。
設定温度を保てるかどうかですが、ここが駄目だと使えないんですね。
で、設定温度に達するとビープがなって指示待ち状態になりますが、その後も3-7度(笑)温度は上がります(60度で設定)。そこに冷たい素材を入れたと仮定して水を入れますと、また60度になるのに時間がかかる。そして60度でピタリとは止まりません。常に温度はフラフラしていて定まらない感じ。
今も実験中ですが、表示温度は59度。温度計で計ってみたら65度。(笑)
温度調節は1度単位で出来るようになっていますが、そのとおりになっているかどうかは別問題。これはヨーグルトメーカーも同じなようで、かなり誤差があると口コミで読みました。
でも長時間調理の場合は「平均温度」が大事になりますが、きっちり計算はしていませんが、2-3度の誤差は諦めるよりしょうがなさそうです。でも15分勝負みたいな調理の場合は、全く駄目でしょう。
低温調理を知らない人にしてみれば「たった2-3度」でしょうが、低温調理オタクに言わせるとこれでは全く使い物になりません。ミディアムレアで仕上げるつもりがミディアムになったりするわけですから。また温度がもっと微妙な「温泉卵」の場合、どんなものができるか全く想像出来ない。
いや、2-3度の誤差で収まれば上出来かも。それじゃ収まらないみたいな・・・。参った。
初心者用にはこれでいいのでしょうが、これでは「低温調理の面白さ」が全くわかりませんから、いつか飽きると思います。
スロークッカー機能に関しては、まぁ、そこそこ。というかスロークッカーってかなりいい加減な機能しかないのが普通ですし、沸騰点、あるいは沸騰点近くにLowでもHighでもいつか達するわけで、その時間に10分20分の誤差があっても関係ないんですね。それで味に違いが出るとは思えませんし。
ということでスロークッカーとしては、内鍋がペラペラなのが気になりますが、問題なく使えるはず。ということで今のスロークッカーはお嫁に出すことにします。
問題は低温調理機能ですが、そもそもこれが欲しいと思ったのは「蒸し煮」とか洋食で言う「ブレゼ」、素材を65-90度の温度で直接鍋に入れる形で調理をしたかったのが理由ですし、そういう調理の数度の誤差は全く問題がないと思うし、80度で設定して、実際には75~85度の間で収まっていればきっと大丈夫でしょう。
メーカーとは関係ない「レビュー専門サイト」があるのですが、そこに「使いものにならない」と怒り狂ってるユーザーが書き込んでいましたが、そもそもこういう構造を見れば正確な温度管理ができるわけがないのが想像できないほうが悪いと思いました。「こんなゴミは買わずに本物を買え」と書いていましたが、自分に言っている言葉でしょう。(笑)
その他のレビューは概ね良い印象ですが、それって「炊飯器で美味しく出来ました~~」と同じレベルだと思います。
これはあくまで「低温調理っぽいことができる」だけであって、低温調理を真剣に考える人が買うべき器具じゃないのははっきりしています。でもそういう意味では、この手の一般向けの商品は、Sou Videという機種しか市場にないはずで、それは結構高くこれの数倍はするはず。でも構造は非常に似ていますし、大きな期待はできないだろうと想像しています。
これ。この商品の名前はSous Videという低温調理を意味する言葉そのものですが、オーストラリアではBreville社が499ドルで売っています。でも「構造を考えれば」それだけの価値はないと思います。
やっぱり自立型で
◯ 器具そのものが発熱し、
◯ お湯を撹拌する機能があって
◯ 一定の温度をほとんど誤差なく保てる精度
これがないものは低温調理器具とは言えないと思います。
こういうタイプのものですね。これらはプロ仕様。
私のはこれ。最近このタイプがいろいろ出てきています。これは古いタイプ。
Anova(クリック)という製品で199ドル。
低温調理って本当に面白くて奥が深いと思いますが、それとて自分が考える「一番大事な」温度をきっちり管理できての話しであって、「正確な温度はわからないんだよね~」みたいな料理だとしたら、「うまくできた!」と言われても「ラッキーだったですね~」というしかないわけです。
ましてや情報交換も出来ませんし、ローストビーフは55度の5時間だという情報を得ても「それと同じことが出来ない」ことをはっきり自覚するべきだと思います。
ましてやお湯の温度を直接計るタイプだとしても、こういう器具についている温度計ってそれなりなんですね。精度の高い温度計ってこの調理器具より高いんですから。つまり、「XXXは何度だ」なんて言っても、本当は何度か誰にもわからない。ですから少なくとも他の温度計を併用して「キャリブレーション」(調節)しないとなんの意味もないんですね。
これに関して読者の方からコメントを頂いたことがあります。ホテルでは月に一度全ての温度計の調節をすると。ま、当たり前っていえば当たり前ですよね。
我々素人がどこまでこだわるべきかは難しいところですが、少なくとも温度が正確でないと、そして安定していないとどうにもならないわけです。もし正確ではないにしても「安定しない」のは致命傷だと思います。表示している温度が実際の温度と違っていても、それで安定していれば「自分の中では」何度にすればどうなるという経験は蓄積されますから。でも情報交換をしようとすると、「おかしいなぁ・・」ってことが起きて当たり前なんですね。(笑)
ま、結論としてはこの調理器具を買って正解だったとは思っています。でもこれをメインの低温調理機で使う気はゼロ。使い物になりません。
ヨーグルトメーカーとしても使おうかと思っているんですが、設定できる最低温度は40度。常温タイプのヨーグルトは駄目ですね。
低温調理、器具に関してはここにまとめて書いておきました。