シチューはやっぱりスロークッカーで作るほうが美味しい

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このブログでは「スロークッカーは役に立たない」なんて書いてかなりコメント欄が荒れたことがありました。でもそれはこのブログの大きな話題の中心でもある「低温調理」が念頭にあると使い道がないってことなんですね。スロークッカーはLowでもHighでもどちらも結果的にはシマー状態(コトコト煮る)まで行きますし、温度的には限りなく100度近くになりますから。

ではLowとHighってなんだ?と思うわけですが、これはそのシマー状態になるまでの時間の違い。だから本来はSlowとFast、日本語なら強弱とか、その方がわかりやすい。「高い、低い」と書いてあれば誰だってそれは温度の違いだと思うのが普通ですもの。でもその時間の違いは電熱器のパワーの違いだけですからLowとHighという表示でも嘘じゃない。

でもねぇ、やっぱりLowとHighだと温度の高低だと勘違いする人が結構いるんですね。私もそれ。5,6回使うまで気が付きませんでした。低温調理に凝っていて、これなら低温調理が出来ると思っていましたのでLow設定で12時間調理してみたり。ところが出来上がりが酷いことになりました。煮過ぎ。

投入する量にもよりますが、Low設定だと大体4時間ぐらい掛けてシマー状態になります。Highだとその半分の2時間ぐらいですかね。

ですから12時間ということは、私は70度ぐらいで12時間と思っていたのが、4時間掛けてシマー状態になり、その後、8時間コトコト煮続けたのと同じってこと。その時は角煮だったのですが、豚バラの脂もコラーゲンもしっかり落ちて、肉の部分がパサパサで繊維が固くどうにもなりませんでした。

ですから低温調理の延長線上でスロークッカーを考えたらまるでダメなわけで、全く違う調理器なんですね。

では何でそんな時間を掛けてコトコト状態に持っていくかですが、肉でも野菜でも美味しくなる温度があるそうで(60度あたり)、その温度帯をゆっくり通り過ぎることで旨味が増すという理屈。ペチプドがどうたらこうたらという理屈があって、私は「焼き芋」と同じだろうとイメージしています。

焼き芋も電子レンジでチンしたら美味しくないんですね。でもチンするとしたら低いワット数でジワジワ時間を掛ける。これはオーブンでも同じで低温でゆっくり焼く。

つまりですね、スロークッカーじゃなければ出来ないってわけでもないんですね。普通のガスコンロでも同じで、弱火でじっくりゆっくり調理すれば良いだけのこと。

つまりスロークッカーってやっぱり忙しい人向け。手抜きで楽したい派向けだと私は考えています。私は忙しいわけでもありませんが、手抜きが出来る方が嬉しいし、時間はたっぷりありますから、やっぱりスイッチを入れたら放置ってのは助かります。でもそれ以上のものではないと思っています。

でもねぇ、煮込みをやらせたら最高ですね。(笑)

カレーとかシチューは次の日が美味しいなんて良く言われますが、その状態で出来上がる。そしてここが大事だと思うのですが、圧力鍋みたいに素材がドロドロに溶けちゃうなんて失敗がないのね。味が抜けちゃうということもない。これって大事なポイントだと思うわけで、圧力鍋でも時間を上手く調節すればできますが、それって調理時間が短いがゆえに調節が難しいんですね。特に「いつもと同じ量」なら良いですが、倍の量を作ろうなんて思った時にはかなりややこしくなるし、一度途中で圧を抜いて確かめたりしないとなりません。

でもスロークッカーって放置プレイができるし出来上がりにブレが少ないと思います。

先日、中落ちカルビスープを作りました。中落ちカルビって洋食でブリスケットフィンガーとか呼ばれている部位。肋骨の間の肉。これって細いですからフィンガーと呼ばれるんでしょう。

でもこれはかなり長い指(笑)。1キロ10ドルで、これで1.3キロぐらいかな。かなりの量。中国人の肉屋に行けばたいてい売っていますし、シェブロンアイランドの中村さんとこでも買えるはず。でも普通のスーパー、肉屋で売っているのを見たことがありません。

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これを大きめの一口大に切り、小麦粉をまぶして焼いて焦げ目を付けます。これは焦げ目が良い味を出しますからやる作業で、焼けば良いのではなくて、焦げ目をつける。これをしないとなんだかボケるような感じになると思います。コクが出ないのね。

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お約束のミレポア(人参、玉ねぎ、セロリ)ですが、これも焼き目が付くくらいいつも炒めるのですが、これが面倒なんてもんじゃない。ですから今回はオーブンで焼きました。

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でもせっかちですから、じっくり焼けずに焦がしただけ(笑)。これじゃやっぱりダメなんですよね。失敗です。

鍋にチキンストックを入れ野菜を投入。

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肉と基本的なハーブ類を投入。今回は黒胡椒粒とベイリーフだけ。

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Lowで8時間にセットして放置です。

5,6時間するとかなり良い感じなってきますが、そこで味付けをします。今回はトマト缶とマシュルームをたっぷりの赤ワインで煮て、それを煮詰めて投入。あとはいつもおまじないで入れる「シイタケだしの素」「コンソメの素」。それだけ。そしてまた数時間放置。

なぜかこの後の写真を撮りませんでしたが、いい感じに出来上がりました。最終的に塩コショウする程度でOK。肉はトロントロンですが野菜はちゃんと野菜のままで味が抜けていない。ただ玉ねぎは溶けてしまいました。

これって良いと思うなぁ。私はこれと同じものを圧力鍋で作るとしたら・・・。どうでしょう。ちゃんと作れるかな。

今回は調理実験の実験としての要素はまるでなく惰性で作りましたが、こういう煮込みものはスロークッカーが良いと思います。おでんも良いかもしれない。いわゆる煮込んで時間がたった状態のものが出来るってことなんですね。時間はかかりますが、食事時間から逆算して仕込めば放置で良いので楽勝だと思います。

この手のスープで試そうと思っているのが、低温調理での長時間煮込み。

かなり前に65度で長時間煮込んだ時にはかなり衝撃的でした。鶏のもも肉でしたが、高温で長く煮込んだ時のように硬くなることもなくいわゆる低温調理の調度良いもも肉(血が全くでないのは書いておこうと思います。普通、この温度の調理では【骨付きの場合】血が残る)、野菜は野菜でシャキシャキのままでした。でも味はしっかり染みている。こういう野菜って私は食べたことがなくて、非常に面白いと思いました。65度の温度って野菜にとっては中途半端な温度なんでしょうね。セルロースが分解する温度に達していないからまだ生に近い感触が残る。そして味は染み込んでいて、それぞれの野菜がそれぞれの味をも残している。

野菜の50度洗いで有名な平山氏は70度調理も薦めているんですね。野菜が美味しいと。これ、わかりますわ。

私はまだ作ったことがありませんが「土瓶蒸し」もこれに近いのだろうと思っています。煮込んじゃったらダメなんですよね。それぞれの特徴が残ったままで良い味をだし、まとまり感があるように作るわけで、これは土瓶で周りからじっくり温める手法だと思うし、中華料理でも結構ある壺料理も同じだと思います。洋食で言うブレゼがこれになるのかな?

煮るというとすぐグツグツとかコトコトとか、私はそういう煮方しか知りませんでしたが、気泡も全く上がってこない温度でじっくり煮る。これは蒸す方法を取ることが多いのかもしれませんが、是非、低温調理機でやりたいと思っています。

ところが低温調理というのは「密封調理」が普通で、スープ丸のままの低温調理って難しいんですね。鍋の中に壺を沈めるとか、大きなバッグの中に入れれば良いのですが、大量に作る場合はそれじゃ具合が悪い。

ですからスロークッカーのように大きな内鍋があって、それに入れた状態で温度調節が出来れば最高なんですが、そういう調理器はほとんど存在しない。あっても前に買った(日本名)ワンダークッカーのように機能的に問題があったり。でもま、IH調理器があれば簡単にできるんでしょう。

温度調節機能付き、つまり低温調理器とスロークッカーのハイブリッド型のこれですが、あんまり賢くないし、温度の誤差なんて10度近くあるバカタレですが、どうにか使うコツがわかってきたので、これで色々やってみたいです。

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