マレーシアの中古車が安くなる時が来るのか

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マレーシアの中古車が高いのは中古車輸入が自由化されていないのも一つの要因だと思います。これはオーストラリアも同じ。

マレーシアではAPと呼ばれる輸入許可を取らないと輸入ができませんが、MM2Hとか海外在住のマレーシア人が車を持ち込むようなのは別にして、「再販のためのAP」は100社が握っていると聞いています。これはブミプトラ政策の一環で99社がマレー人の会社(個人?)だそうで、彼らからAPを回してもらわないと輸入ができない仕組み。で、彼らはAPを売るだけで100万円ぐらいの利益が生まれる。

これを廃止しようと言う動きがあって、2015年には廃止になると言われていましたが、どうなるかわからないとのこと。マハティールさんも反対している様子。

確かにそのAPが不要だとなると、今はAPホルダーを頂点としたピラミッドのような形になっている輸入中古車業界が崩壊しますよね。新規参入も楽になるし、それこそ一般消費者も自由に輸入が出来てしまう。そしてディーラーも新車が売れなくなるはずで、これって私みたいな消費者サイドから見ると大歓迎ですが、業界としてはとんでもないことなんでしょうね。APが無くなれば輸入業者も自由に輸入ができるようになるし、また安く売れるし良いような気がするわけですが、これって利権の上に構築された業界としてはうまくない。大きな市場ですから裏金も飛び交って様々な工作が行われているかもしれない。

でもマレーシアはTPPに参加するわけで、もしこれが発効すればこういう規制、利権は排除しないとうまくないことになるんじゃないですかね。当然、税金も関係していて、関税は下げたにしても違う名目の税金は「非関税障害」と認定されるはずでこれは基本的には認められない。

でもそのTPPもどうなるかわからず、APが廃止になるのかどうかもわけがわからないのはTPP交渉の遅れとも関係があるのだろうと想像しています。

ではAPは廃止するにしても違う形で利権をどう確保できるのか。それがどんな形であれ「自由市場」ではないとなれば問題になるはず。ま、方向性としては規制緩和、自由化に向かうのでしょうが、いかにそれを遅らせるか四苦八苦している状態なのか?

これはオーストラリアも全く同じで、オーストラリアの車が高いのは「自国の産業保護、育成のため」ということで輸入車には税金を高く掛ける。そして中古車がごっそり入ってこないように規制をかける。私もオーストラリアで中古車輸入業をしていましたが、この許可を取るのが難しくて、ある決まった車種にしか許可がおりません。その車種も大手が大量に輸入する許可をとっている車種は駄目という縛りがあって、普通に売っている車は輸入できないわけです。つまりトヨタだ日産にしてもオーストラリアで売っていない車種じゃないと申請もできない。

そして許可を取るまでに下手をすると1年掛かるんですよ。あそこを直し、この部品を取り換えというようにオーストラリアの安全基準に合わせて改造しないとなりませんし(しっかりしたシートベルトをオーストラリアで認可の取れているペラペラのものに変えたり)、当局の審査(ラッキーな事に衝突テストは無かった 笑)に通って初めて許可が下りる。で、許可が下りればその車種に限って年間25台輸入できるという規制。でも車種と言っても「同じ名前」ということではなくて「同じ型式」なんですね。ですから年月が経つと意味がなくなるという許可。

私は3車種、トヨタのスープラ、ソアラ、そして日産のシルビアの認可を取ったのですが(自動車メーカーとして登録される)、これの販売にはかなり苦労しました。消費者に直接販売するしかなく、卸が全く駄目なんですよ。中古車業界から全く相手にされず、オークションに出したことがあるのですが誰も手を上げません。つまり中古車業界そのものがそういう車を排除したいってことなんですね。私の友人がそもそもこの事業を始めて(それをやるために移住した)、それに感化されて私も始めたという経緯があるのですが、その友人が車を並べて売っていたヤードが放火されたこともありました。

マレーシアでも同じことが起きるはずで、APが無くなったにしても自動車業界全体の既得利権を守るためのなんらかの方策もでるし、妨害事件なんてのも出て来るんじゃないでしょうかね。

ニュージーランドがいつの頃だったか大幅な規制緩和をしたことがありました。あの規模の国って自国の規制・基準を持っているとそれの維持に非常にお金がかかるんですね。これは自動車に限らず、薬もそうで、新薬が出てきてもそれを自国で検査して・・なんてことになったら恐ろしい時間と経費が掛かる。ですからある時、(例えばですが)オーストラリアやアメリカで認可されているのならそれで良いじゃないか、みたいな大改革を行った。小さな政府を目指したってことですね。

中古自動車の輸入も規制が外れて、怒涛のように日本から中古車がニュージーランドに流れこんだ時期がありました。1980年台だったですかね。日本の中古車業界もみんながニュージーランドを向いていたと言ってもいいくらい凄かった。でもこれでニュージーランドの中古車業界は崩壊した。と言いたいところなんですが、業者がこれに乗ったんですね。でも逆に正規ディーラーはかなり困ったんじゃないでしょうかね。その辺のニュージーランド内で何が起きたかの詳しい事情は知りませんが、あれをきっかけにしてニュージーランドの自動車業界は変わった。

でもオーストラリアではそれが出来ないんですね。自国で車を生産していますから大変なことになります。ただ、オーストラリアの自動車生産はどうも2017年には全て終了するようで、規制緩和の話は出てきている様子。かつてはメチャクチャ高かったオーストラリアでの自動車価格も段々と下がってきましたし、またその背景にTPPも関係しているのでしょうし、TPPが発効すると更なる変化が出るかもしれません。ただ「中古車」に限っては規制緩和をする意志はなさそうです。

細部の事情は違うにしてもマレーシアも同様で、このまま続くことは多分あり得ないんじゃないですかね。でも輸入許可もいらない、税金も安くするなんてことになったらプロトン、プロデュアという2つの自動車会社が生きていけるのかどうか。だから規制緩和なんかするわけがないという考え方もあると思いますが、世界の流れはそれを許す方向性ではないですよね。「自由競争」「市場主義」の方向を世界が向いていますから。

かつては日本もそうだったんですね。私がグアムに入り浸っていたのはこのブログに何度も書いていますが、グアムでテレビを見ていた時に中古車のコマーシャルが入るわけですよ(テレビは1チャンネルを除いてアメリカ本土の番組が週遅れで放送されていた)。これがメチャクチャ安いのね。これって商売になるんじゃないかと思って日本に帰ってからいろいろ調べたら、ちょうどその時、「並行輸入」が解禁された直後だったんです。かつては例えばベンツならヤナセとか、キャデラックはどこそことか輸入代理店の権利を持っていないと輸入ができなかったのが、誰にでもできるように法律が変わった。

これに乗ろうとしたのですが、やっぱり壁が厚かった。つまり輸入は出来ても登録が簡単じゃないんですね。私はまだ二十歳で学生だったこともあって世の中のことはよくわからないし、自動車業界にいた叔父や友人を説得して仲間に入ってもらいましたが、やっぱり日本には日本の安全基準、排ガス規制(これが面倒だった)がありますしそれに合わせて改造しないとならない。でもそこをどうクリアするかなんてわかりませんから、私は陸運局に聞きに行ったんですよ。ところが自動車の並行輸入なんか考える人がまだ少ない時代だったんでしょう。陸運局も細かいことがわからないようで、出てきた担当が「自動車の輸入は大手がやることだから諦めたほうが良いよ」みたいなとんでもないことを言い出しました。子供だと思ってバカにしたんでしょう。(笑)

でもそこで諦めたらどうにもならないので、輸入の情報は詳しい乙仲(海運貨物取扱業者)に連絡を取ったんです。すでに自動車の並行輸入を始めている業者がいましたし彼らが情報を持っているに違いありませんから。その乙仲の知り合いに一杯飲ませ、車代を握らせ、いろいろ情報を聞いて大体の筋道と、どの政府機関に許可をもらい、どんな業者に改造を頼めばよいのかもわかりました。でもこれも面倒でした。確か、登録も「少数台数審査申請」とかいうややこしいことをしてやっと自動車を販売して登録できるようになった。

この頃は面白かったんですよ。カーキチは覚えているでしょうが、アメ車ではムスタング、カマロ、ファイアーバードとかありましたでしょ。私はアメリカの知り合いのつてから協力してくれるロスにあるディーラーから新車を入れたんですが、主にファイアーバードを入れました。トランザムって覚えています?455キュービックインチ、7リッターエンジンを積んでいた。

78Bandit

当時、日本ではこれが500万円で売られていましたが(日本車は100万円台の頃)、アメリカでの価格ははっきり覚えていませんが140万円ぐらいだったんです。そしてこれを輸入して税金も払い改造してコストは190万円ぐらいで収まった。ですから昔、環八に並んでいた外車の中古車業者に持って行くと、即金で280万円ぐらいで売れました。

でもこれも長続きしないんですね。皆が並行輸入をやるようになったし、環八にある大手の中古業者も自分でやるようになったし。そして小売値段もあっというまに下がっていった。(笑)

ま、どこの国も同じような歴史を辿るってことだと思いますし、マレーシアも例外ではないかと。

でも国の立ち位置ってのがあるんですよね。そういう規制緩和をしないとならない国なのか、保護貿易みたいなことを続けても諸外国から何も言われない国なのかってあると思います。また車の場合は金額が大きいですし、これによる税収も半端じゃ無いはずですから、簡単にはいかないと思います。ましてや自国で自動車生産をしていたら尚更で、今のTPPでも日本とアメリカで車の関税に関してガタガタやりあってるのもそれ。

特に東南アジアでは自動車って大事な品目で、これを自国生産(組み立ても含め)できるかどうかは国の浮沈にも関わるんじゃないですかね。また生産しなくても税収は半端じゃなく大きいですから、そう簡単には安くならないとは思うものの、ニュージーランドやオーストラリア、かつての日本の例を見ても自由化、市場主義の方向性は間違いないわけで、マレーシアを含めた東南アジア全域で自動車が安くなる時代はいつか来るんでしょう。

とりあえずAPは2015年で廃止と発表したはずですから、今年中に何かアナウンスがあるんじゃないですかね。それとTPPの動き。これによってはアッと驚くような(嬉しい)変化が起きるのかも。

マレーシアの物価の「日本に比べたら3分の1」説はすでに過去のものになっているにしても、やっぱり安いのは間違いがない。でもちょっとした車を買っただけで何年分の生活費が簡単に消えていくって何か納得できませんよね~~。車が安くなったらそれだけで私はマレーシアを大好きになってしまいます。(笑)

せめてオーストラリアと同じくらい、日本の3割高ぐらいならなぁ・・・・・・

 
 
 

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