不動産投資が良いという「信仰」が蔓延している様子

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マレーシアに渡るジジババの多くが「今でも」不動産投資を考えているような話を聞いてびっくりしました。

私は不動産のことはわからないし、そもそも不動産投資ってかなり難しいと思うし、メリットを感じていないのはいつも書いている通り。だから自分では積極的に考えることはなくて、不動産というより「リンギット建ての資産を【持たないリスク】があるかないか」という枠で捉えています。

日本には不動産信仰が根強いと思っています。私もそうでしたが、それって【信仰】だと気がついたのはゴールドコーストに来てからです。日本では不動産の値上がりで儲けた、不動産による資産づくりをした、あるいはその気が無くても知らないうちに大きな資産になっちゃったなんてことはいくらでもありましたので(私も10年でワンルームマンションが5.5倍で売れた経験がある)、不動産投資は良いという考え方を多くの人が持つんでしょうね。

だからまとまったお金があれば、そして「伸びる国、地域」であれば不動産投資がベスト、手もかからないという考えを私も持っていたんです。

ところがですねぇ、国が変われば、地域が変われば話もガラっと変わるという「当たり前のこと」をゴールドコーストで経験しました。そもそも土地は腐るほどある場所ですから、不動産の値上がりより開発のスピードのほうが早いのね。もちろん値上がる不動産もあるし、また「開発地そのもの」やそれに近い不動産を持っていた場合は恩恵を受けることが出来た。だからゴールドコーストでも500万で買った原野みたいな土地が2億になったなんて話もある。

ところがそういう不動産投資の勘が全くない人はコンドミニアムとか一軒家を買うんですね。これもまた伸びる地域をしっかり読んだ人は利益が出たけれど、昔ながらの住宅地、投資用コンドが林立する地域のコンドや一軒家を「ここなら良いねぇ」なんて買っちゃう。これってそこはもう完熟していて伸びしろが無いのに気が付かないのね(私も同じ 笑)。だからそういう場所を買った人たちは恩恵どころか長年、悲しい思いをすることになった。レントを数年保証するなんてコンドもありましたが、それはその分、売値に乗っているわけで、その期間が過ぎたらレントの収入は途絶えたなんてことが普通に起きた。(この話はマレーシアでも聞いた)

私の友人で不動産投資を生業にしているインド人がいました。彼はシンガポール出身のインド人なんですが、不動産投資で財を成した人。

彼の話を聞いていると「なるほど・・」なんて思うのですが、結局彼は「不動産投資が良いと信じているカモ」に売りつけて儲けていたんですね。だから同じようなコンドを買うにしても、タイミングも買値もまるで違うのね。真似しようなんて思ってもその地域、そのビルダー、コンドのことがわからないと全く商売にならない。そして当然、不動産市場の動きは常に注視していて、動くときにサッと転売して逃げるわけで、不動産屋に「この物件は良いですよ~」なんて言われて、「おお、いいねぇ」なんてその気になって買って儲けるんじゃないのね。そういう脳天気な客に転売して儲けるわけです。

でも彼はいわゆる不動産屋じゃなくてあくまで投資家でしかない。

だから話を聞くと、「自分にも出来るかもしれない」なんてことを考えちゃう。

一般的には下手に金があると、「何かに投資しなくちゃ」って思うのもわかります。特に日本円は持っていても金を生まないし、今では外貨預金もたった3-4%にしかならないし(この数字を凄いと思う人は全く世界を知らないかあるいは金利生活、投資生活をしたことがない人)、為替リスクも考えたらもう少し上を狙いたいなんて思うんでしょう。値上がり期待+レント収入があればどうにかなると思う。(ただし自分の居住用不動産はまったく別で、損得は考えないのが平穏に生きる方法だと思っています 笑)

これがまさに「不動産投資教の教祖が言う常套句」だってことじゃないんですかね。

でも他に自分にできる投資があるとは思えないし・・・、って思うのかもしれませんが、ではなぜ他のことは出来ないのに不動産は出来ると思うんでしょうか。ここが不思議なところ。

他に投資方法がわからないから・・ってのは理由にならないんですよね。それって「俺の給料は安いから独立する」ってラーメン屋を始めるのと全く同じだと私は思うんですよ。ラーメン屋をバカにしたらとんでもなくて、素人がどうにかできる仕事じゃない。これは自分が長年いた業界とて同じで、独立してどうにかなるならサラリーマンをやる奴はバカってことになりませんかね。

それと日本ではアベノミクスが始まって、円安、そして株高になって、「株は良いよ~~~」という人が増えた時期がありました。その時、初めて株式投資をしたという人も多かった。これは長年株式市場は右肩下がりで非常に難しく、その中で生き残った個人は非常に少なくて(あるいは塩漬けのまま持っていた優雅な人 笑)、株式投資自体がメジャーじゃなかったからだと思うのですが、何かのキッカケで株に手を出したら儲かっちゃったなんて人が出てきた。

そしてそれが社会現象なると、業界も動き出すんですよね。本屋には株式投資の本が並び、テレビや雑誌でも特集が組まれる。

そうかぁ・・・なんて手を出したら上昇がピタリと止まり、下落を始めて真っ青なんて人も多いんじゃないでしょうか。

そういう話を聞いて、バカだよねぇ、そんな話に乗るからだ、なんて思うわけですが、不動産投資ならどうにかなると思ってしまうってなんなんでしょうか。

不動産投資も株式投資も私は非常に似ていると思っていまして、市場が下がっている時でも上がるものはあるし、では市場は上向きだから何を買っても儲かるってことはないのも同じ。やっぱり選択眼とタイミングが何よりも重要なのは同じで、素人がどうにかできる世界じゃないと思うんです。

だったら専門家の意見も聞いて・・・って思うんでしょうが、これって「競馬の予想屋」に話を聞くのと全く同じなんですね。予想屋はなぜ予想屋をやっているのかってことにどうして頭が回らないんでしょうか。株式投資も不動産投資も同じで、将来の値上がりがわかるなら他人にすすめるより「自分で買う」方がはるかに儲かるんじゃないですか?でも「他人に勧めるのを本業とする」ってどういうことなんでしょうか。

そりゃ資金には限りがあるし、自分でも投資はするけれども仲介、紹介でも儲けるんでしょう、なーーんてことを客が考えちゃう。

これをカモっていうんじゃないですかね。

それとこういう業界の不思議なところは「買いませんか?」という話はいくらでもあるってこと。でも「買ったら駄目です」という話はほとんど無いのね。だからやっぱり不動産屋ってのはなが~い付き合いの歴史があって、人となりもわかる人じゃないと危なくてしょうがない。

でも「乗り換えをしませんか?」という話はいくらでもある。当然、仲介業ですから「動かせばカネになる」わけで、それなのに上がろうが下がろうが関係なく利益が出る立場の人の話を「専門家の話」として聞くっておかしくないですかね。評論家を信じてはならないのは同じ理由。

お腹が空いてちょっと見た目の良いレストランに入って「ここは美味しいですか?安いですか?」と聞くのに似ていると私は思うわけです。

こういうバカなことを株式投資でも不動産投資でも多くの人がやっているってことじゃないですかね。

じゃぁ、損得が関係ない人の話を聞いてみようなんて考える人が出てくる。

これがまた危ないんですよ。専門家でもなく、自分の「読み」を披露する人って凄い数、存在するんですね。人間誰でも「将来を当てる」って面白いですから皆さんそれぞれ勉強もして、ああじゃこうじゃと未来を予想する。そのうち、「きっと間違いない。こうなるはずだ」なんて妄想が確信に変わってくるのね。で、それを「言いたくてウズウズしている人」が世の中にはゴマンといる。当たった時に「凄いですねぇ」と言われたい願望ってヒジョーに強いものがある。自分だけでニヤニヤしているだけじゃ足りなくて、他人に言いたい。

でも、その予想がハズレたら?

当然、知らん顔か言い訳をするんですね。これって自分自身が投資しても同じことが起きる。酷い人は「市場がおかしい」なんてことも平気で言い出す。これって冗談でもなんでも無くて、何十年、株式投資をしていた人でもこういうことを言い出すんですから、本当にこの世界って面白いと思います。

一番困るのは将来はああじゃこうじゃと自分の持論を並べて、最後に「投資は自己責任なのはおわすれになりませぬように」と一言付ける人。ここでオッチョコチョイはウンウンなんてうなずいて、ありがたく御託を聞いてしまう。言う方は言いたいことを言うだけ言って、「私には責任がありませんから」と最後に言うって変だと思いませんかね。言うなら責任を取れと私は思うんですよ。いろいろな見方、読み方があるのを披露するのは良いと思いますが、「将来はこうなる」みたいな神の領域に踏み込んで理屈をこねる人がたくさんいますから、本当に気をつけないと。それも「無料」でそれをやる人のほうが危険だってことなんですよ。有料でやっているなら「結果は自分に跳ね返る」からそれなりに考えますが、「無料アドバイス」ほといい加減なものはない。無料コンサルタントをどこまで信用します?

私はいつも相場のことを書いていますが、「将来はこうなる」って書いたことは一度もないのに気が付きました?もし私がそのアドバイスをするとしたら、「損失が出た場合は5割は補填します」「しかし利益の50%+経費は頂戴します」と言うと思います。(笑)

ま、そんなので喜ぶ人はいないし、自分でやれば良いだけですから私は将来のことは言わない。でも「こういう見方がある」ということは書きます。もちろん違う読み方もその時には書くようにしています。これって「逃げ」じゃないんですよ。将来のことは神様の領域で絶対に誰にもわからないんですね。世界の名だたる企業が天才を集めて考えて考えぬいても失敗するでしょ?それが当たり前の世界なんですよ。(そもそも下手に将来を予想するから負ける。ここに気がつけば勝てるようになるというのが相場の真理だと思っているのはいつも書いている通り)

それとですねぇ、ああじゃこうじゃと言っても、それを聞く方は「聞きたいことだけピックアップ」して聞くのね。例えば「今、日経225は買いだ!」というとするでしょ?それで買う人って「買おうと思っていた人」なんですね。売ろうと思っていた人は聞き流す。そしてもし買ったとしても、時期が来れば、「ここで撤退。あるいはドテンで売り」なんて話も当然出てくるわけですよ。上がりっぱなし下がりっぱなしなんてあり得ませんから。でもここでも「聞きたいこと」しか聞かずに、持ち続けたりする。

結局ですね、他人の読みを聞きたいという人は多くいますが、その本音は「自分の読みを強化したい。確信したい」ってのがほとんどなんですね。何も考えないで聞く人はただの「とっても幸せな人」でしかなくてそういう人は珍しい。だからそういう人に何を言っても無駄なんですよ。そして勝てれば「俺は凄い」となり負ければ「あいつが悪い」となる。(笑)

また他人に売買を薦める場合は、「思惑通りに動かなかったら、どこでどうするか」というのも【必ず】つけないと駄目なんですね。相場は競馬のように短期勝負ではなくて延々続くものですから、手当をしながら前に進むしか無いわけですよ。丁半博打みたいに一発勝負ではない。それなのに日本株は買いですね、とかリンギットは売りですね、当然、マレーシアの不動産は買いですなんてのはお話しにならないわけです。わかりますかね?

お金が欲しいから独立する = 株式投資をする = 不動産を買ってみる = カジノに行ってみる = パチンコ屋に走る = 流行りのFXをやってみる。これらって全てイコールでこれでどうにかなった人って本当に限られたラッキーな人でしかないってこと(あるいはその道の専門家)にまず気がつく必要があると思うんですよ。何をやっても「カモを囲う囲いに入ったまま」ではどうにもならない。

じゃぁ、どうするのか。

これは簡単ではありませんから、私は相場のことを書くくせに「何もしないというのも賢い選択」だともいつも書くわけです。

ポイントはですね、「何に投資するか」ではないんですね。「カモから脱却する」ことが何よりも大事で、カモであるかぎり利益はないどころか損をするのが当たり前で、逆に、カモから脱する方法を見つけた人は「何をやっても利益が出る」のかもしれない。

だから不動産でも株式でもFXでも、利益を出す人は何時の時代にでもいるんですね。

でも欲が突っ張っている人はそういう勝ち組の本質を見ること無く「何をしているのか」「何に投資しているのか」という表面的なものしか見ない。

じゃぁどうすればよいのか?

やっぱり何もしないのも賢い選択だということじゃないですかね。あるいは相場ものがどう動いても損失が出ないようなポートフォリオを考えるのが重要じゃないでしょうか。儲けを追えば負けると思ったほうが利口かもしれません。

でもそれじゃ面白くありませんから(笑)、とりあえず何かを始めてみるのも良いんじゃないですかね。損してもかまわない額でやっぱり「勉強」しないと。そういう点でも不動産投資って難しいと思うのは「じゃぁ100万円でやってみよう」ってわけにはいかないこと。あるいは仮想売買でシミュレーションをしてみるということも出来ない。何年も見ているなんてバカなことはできませんから。だからそれだけに不動産投資は「ギャンブルになる可能性」が高いってことじゃないですかね。

そしてもし100万円だけで試せるとしても、それっぽっち投資してどうする?って思いますよね?

ここがカモがカモである所以なんですね。どうしても欲から離れられなくて「がっぽり儲けたい」という執念から逃れられない。

こういう状態でも儲かるなら、世の中に貧乏人はいなくなる。でもそういうカモを相手にして生きる人は多くいる。競馬に賭けるより競馬新聞を発行したほうが儲かるのと同じ。

私としてはそういう状態の人の場合、ああじゃこうじゃと理屈を考えて自分を正当化するのはやめて、数千万でも数億でも持ってカジノで一発勝負でもしてきたほうが良いんじゃないかと思ってます。これって冗談じゃなくて本当にそう思うんですよ。運が良ければ数分で2倍に出来る。でも運がなければ全てなくなる。

そもそもそのリスクを取りたくないならやっぱり「何もしないのも賢い選択」ってなるんじゃないでしょうか。一発で大損することはないにしろ、チョロチョロと少しずつ削って身ぐるみを剥がそうとする投資話ばかり世の中にはびこっていると私は考えています。不動産投資話も全く同じ。何も勉強もしないで、あるいは聞きかじった程度の知識・経験しかなく、欲の皮が突っ張っているだけの状態で儲けられる投資話なんて過去にも未来にも存在しないんじゃないですかね。だからやっていることはギャンブルと同じなんですね。

だったらカジノへ行ったほうがよっぽど良いと私は思うわけです。あれほどルールが厳格で公平な世界ってないんですから。

そういう意味では相場の世界も同じなんですね。上がるか下がるか(動かないか)しかない。確率は2分の1です。それなのになぜ80%以上の人が負けるのか?この理由がわからない限りいくら努力しても駄目じゃないですかね。

その答えは単純。「欲と恐怖」から逃れることは簡単ではないってことなんですね。それだけのことだと私は思っています。欲と恐怖という色眼鏡を掛けたままああじゃこうじゃやっているのが普通だってこと。それで勝てるわけがない。

 
 
 

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