日本は独立国としてちゃんと(軍事的にも)自立すべきだと私はいつも考えていますが、そういうふうに考える人たちは極々少数派。
左翼がいう「アメリカにくっつくな」「危険が増える」なんてのは、「世界は平和だ」という前提じゃないと成り立たなくて、それってファンタジーの世界でしかなく全くお話しにならないと思うのですが、問題は保守層なんですね。アメリカの言うままの日本ではなくて自立すべきだというけれど、「今はアメリカとしっかり手を繋いで・・・」という考え方が大多数を占めている。
アメリカとどう付き合うべきかという話は出てくるけれど、ではアメリカってどういう国なのか、彼らに取って日本はなんなのか、そこのところの議論はなされない。相手が何を考えているのかもわからずに、「とにかく(自分より)強い相手とは手を結ばないと・・」という考え方は非常に危険。隣の事大主義の国をバカにする風潮が日本にはあるけれど、日本のこの考え方は「事大主義にも劣る」と思うんですよ。相手を見極めることなく、くっついているんですから。
ましてやアメリカは強国ではなくなり、自ら「覇権主義」を放棄しているのはとっくの昔にわかっていて、世界はアメリカの言うとおりには動かないのにも関わらずです。オバマ氏の「平和主義」はアメリカの弱体化に沿っていて、それは世界の問題の解決方法にはならないのはわかっていても、アメリカそのものが世界にそれを発信しないとアメリカの立場もなくなる。「ただ単に弱くなったのではない」という理由付けに「平和主義」が必要なんでしょう。そして次の大統領はより一層「国内」「自国の利益優先」に重きが置かれるであろうことがわかっている。
世界の覇権国として存在するには「世界のGDPの30%」を一国で維持しないと無理だとのことで、第二次世界大戦終了時にはアメリカは「世界のGDPの50%」を持っていたと。ところが今では16%しかなく、そういう意味からも交渉力は落ちていて「各国を押さえることは不可能」なのはあきらか。実際に、この数十年はアメリカが意のままに繰ろうとしてもそれが出来ず、結果的に戦争という形で介入するもことごとく失敗し、世界をコントール出来ていないし、ましてやオバマ氏の時代に入り、口では偉そうななことを言っても「全く行動しない」のがバレて、アメリカの凋落を見切ったロシアや中国が我が物顔で動き出した。
オバマ氏が広島に来た時にほぼ全ての日本人は諸手を上げて歓迎した。これはおかしいんじゃないかと何度もこのブログに書いてきましたが、いや、来てくれたことは良いことだと思いますが、オバマ氏は「平和主義者」としてノーベル賞ももらってしまったし、彼はその線で自分のレガシーを築きたいだけだと思いました。賞賛するべきほどのことじゃない。核廃絶だなんて夢みたいなことを世界のトップが言えば、世界はそう動くだろうと「日本の理想主義者」はオバマ氏に引っ張られる。でも人類の歴史の中で「人類は他より強い武器を手に入れたらば、(使うことは無いにしろ)絶対にそれを捨てることはない」はずで、今になって理想主義、平和主義を何を言い出しても人類は変わらない。たった一国でも核を持てばそれが世界の脅威、あるいはその国の「交渉力」になるわけで、核廃絶は不可能。もし世界に核廃絶の合意があったにしても、それに反する国は必ず出てくるわけで、どうするのか?通常兵器で戦い潰すのか?潰そうとすればその国は本当に核を使って道連れの道を取るかもしれない。また国は核を持たなくてもテロ集団が核を隠し持ったらどうするのか。
そして我々がはっきり認識しないとならないのは、綺麗事ばかり言うオバマ氏は核の予算を増やし新型の核兵器の開発を進めてきたという事実。この表の顔と裏の顔が違うことを日本のマスコミも言論人もほとんどの人が「知っているのに」黙っていた。保守バリバリの人たちでさえも。右翼でさも。夢ばかり見ている左翼やリベラル派は勝手に理想論を言っていれば良いけれど、保守派でも同じってのは大問題だと思うんですよ。
戦後の教育を受けた我々は、「日本が悪い」部分だけ強調されて洗脳されてきたけれど、欧米から見たあの戦争は、「世界の植民地を安全に保ち、永遠にそれを持続するため、邪魔者を消す戦争」であったと思うのです。でも邪魔者は消したけれど、想像以上に強く、アジアの植民地に独立気運が高まり、それがアフリカまで伝わってしまった。そして世界の常識だった帝国主義は終わりを迎えた。
「憎き日本」というのが私は欧米の指導層の根底に今でもあると思っていて、また小さいくせに世界を変える力を持った日本が世界の表舞台にたったら、欧米流の世界統治がまた変更させられる恐怖を持っていると思うんです。だから日本に(ドイツも)絶対に「力」を与えてはならない。当然、日本の核装備なんて絶対に駄目で(私は核武装論者ではない)、日本は常にアメリカの属国の位置に置いておかなくてはならない。
そんなふうなことを日頃考えているのですが、私の大好きなワシントン在住の伊藤貫氏、評論家の西部邁氏がその辺の話をしている動画がありました。
この話の中で、アメリカがある時期から日本の「反核勢力」を擁護するようになったこと。またオバマ氏の広島訪問は緊張が高まる現代だからこそ「日本の核武装を恐れるアメリカ」の「猿芝居」だというところは目からウロコが落ちました。また日本はアメリカの51番目の州になったほうが良いと冗談をいう人がいるけれど、実はアメリカは日本が州みたいな力をつけたら大変なことになるので、それより格下の「テリトリー」あるいは保護領として維持することを考えているってのもなるほどと思いました。日本は、日本人が考えている冗談以下の立場だということ。
人間は誰しも自分の身の回りのことを再優先して考えるけれど、国家がどうあるべきかが一番大事で、そこに問題が起きたら世界の変化に翻弄され、我々の生活自体が成り立たない、とんでもない大きな変化を受け入れるしかなくなると思うんです。「話し合いで」という人は多いけれど、武力に寄る解決も辞さない相手に話し合いだけで向き合うと、「言うことを聞く」しかないんじゃないですかね。「話し合い」をするにもそのバックに武力、経済力、政治力、そしてしたたかな交渉力がない限り、正論を、あるべき論をいくら並べても世界は動かないはず。
ま、世界の読み方にはいろいろあると思いますが、私にはこの二人の考え方が一番すんなり入ってきます。