未確認情報をブログに書くのは気がひけるのですが、逆にこれのはっきりした「根拠」をご存じの方は是非それを教えてもらいたくてここに書くことにしました。
非居住者の5年縛りってなんだ?と思う「海外居住者」はいないと思うのですが(大丈夫?)、日本を脱出して海外に居を移しても、5年以内は「相続・贈与」は「居住者として扱う」って決まりですよね。
詳しいことを知りたい方は国税局のサイトを見ればすぐにわかりますが、海外に出ればその国の税制に従うのが当たり前で、「日本の場合は【属地主義】なので、非居住者は【日本への納税義務がなくなる】」んですね。
ところが「贈与・相続」に関しては【5年間】は居住者として扱うことになっている。つまり、マレーシアみたいに贈与税も相続税もない国にちょっと移住して「贈与をしてしまえば日本に贈与税を払う必要がない」というのを許さない、ってこと。
この5年縛りがいつできたのか私は知りませんが、それがなかった昔はそんな贈与税対策が「簡単にできちゃった」ってことなんですね。
でもそれに歯止めをかけた。それが5年縛り。
ところがですね、どうもそれが10年になると「日経新聞に書いてあった」という情報を先月、聞きました。でもそれを探しても見つかりません。(後述)検索したら偶然、昨日のニュースに出ていました。
ほんとかよ?と思い、先日、懇意にしている銀行マンに聞いたら、「そうなるのは間違いがないでしょう」とのことでした。
でもそれが決定したわけでもないようですし、その意向があると当局がリークしただけかもしれませんし、事実はどこにあるのかわからず。
ま、私としては日本の居住者だったのは26年前のことで全く関係がないのですが、このブログではこの5年縛りのことを何度も書いてきましたので、その流れとしてそれが延長されるという情報は無視できないのです。
もしそのように改正されたとして、「俺が海外に出たのはそれより前だから、俺には適用されないよね?」ってことになるのかどうか。
私としては「贈与・相続」が起きた時点で、海外に出て何年かの計算が初めて行われると思うわけで、その法律を「過去に出た人に適用するのは【事後法である】」とはいえないと思うんです。
つまり、その改正が有効になる日以降の贈与・相続は10年の計算になるんだろうと。
世の中には「国内と海外の税制の違いを利用」して利益を出そうとする個人、企業はゴマンといるわけで、贈与・相続も同様。
そんなのは聞いたことが無いと思うのは当たり前で、そんなことを画策していますと公言するバカはいない。でも海外に長年すんでいますと、そういう人との出会いって結構あるんですね。また自分が海外に出て当事者となると、銀行や公認会計士から様々な情報が入ってきますからわかるようになる。
そして「自分もそれを利用しよう」と思うようになるのが普通じゃないですかね。
贈与・相続税がないオーストラリア、マレーシアにはそういう計画を持った人たちはかなりの数、存在すると思っています。
そんなの俺には関係ないね、って思うかもしれませんが、この5年縛りを知らずに「資産の移動」をしちゃうケースって結構あるんじゃないですかね。だからこのことをいつもこのブログに書いています。
例えばMM2H取得に必要な定期ですが、共有名義にするのが普通ですよね。あるいはリンギットの定期の利率が良いからちょっとまとめて定期にしているとか。コンドを買っても共有名義にする人が多いんじゃないですか?
で、3年ぐらい生活して、やっぱり日本に帰ろうとなったときに、定期は解約する。コンドも売却する。そしてそのキャッシュは日本に持って帰る。
この時にですね、「お金を持ち込んだときの所有者の名義」にしないと、贈与になっちゃうわけですね。
ご主人のお金だった、あるいは奥さんのお金だった。あるいは最初から半々の名義のお金だったものをですね、日本に引き上げたときに、「その比率を守る必要がある」ってことでしょ?
そうじゃなければ贈与になる。
この贈与税を甘く見ると恐ろしいことになるのは誰でも知っていることで、例えばご主人のお金1千万を持ち込んで、日本に帰ってから半々にしたとしたら、それは「夫から妻に500万円の贈与をした」ということになる。
じゃ、500万円の贈与税ってどのくらいか?
定期も他にあった、コンドも持っていた場合、マレーシアに持ち込んだ額が数千万になる方も多くいらっしゃるはず。それを半々にしたり、あるいはどちらかの名義にしたり、あるいは中には「マレーシアって贈与税がないんだよね。だったら息子の名義にしよう」なんて頓珍漢な人もいるかもしれない。
ここで困るのは、その贈与を当局から指摘され、申告してくださいと言われたときに「贈与になることを知りませんでしたので元に戻します。贈与はなかったことに・・」って通用するのかどうか。
また、まだ日本に帰国はしないにしても、すでに定期なり不動産なり「相方、あるいは子供の名義にした」場合はどうなるのか?これは当然、日本に申告納税しなくてはならないわけで、それをしていないとすればそれは租税回避をしてしまっているってことじゃないですか?
残念なことに相続が発生した場合も同様。
つまりですね、「脱税をするつもりなんてまったくなかった」としても結果的にそうなってしまうことが簡単に起きるってことだと思うのです。
もしすでにその場合、もとに戻したら「また贈与が行われた」ことになるんでしょうし、「このままじっと時効を待とう」とするべきなのか?
今の時点では5年ですが、これが10年となればかなりの数のロングステイヤーに関係するようになるはずで、知らなかったじゃすまないんですね。当局は「計画的にやったんじゃないですか?」と聞いてくるかもしれない。
じゃぁ、お金は日本に持って帰るのをやめよう、隠しておこうなんて考える人がまた出てくるはずですが、だからこそ「各国間で(非居住者の)銀行(金融)口座情報を交換しましょう」と各国間で条約を結んだわけですよね。
じゃ、日本に帰ってマレーシアの非居住者になっても「マレーシアで居住者として口座を維持しよう」なんて考える人が出てくるはずですが、緩いマレーシアなら大丈夫なんですかね?あるいはラブアン法人にして・・なんて考える人も出てくるんでしょう。
ま、何を考え、何を画策しようと個人の勝手ですが、「そんなインチキは一切考えていない場合」でも結果的に「租税回避」をしてしまう可能性が大いにあるってことですね。
この5年縛りが10年に延長されるらしいというのを検索してみたところ、こんなニュースがヒットしました。昨日のニュース。偶然です。
相続税逃れの海外移住に網 5年超す居住にも課税検討 :日本経済新聞
海外移住者へ課税強化=富裕層の相続税逃れ-政府・与党検討:時事ドットコム
とにかく「知りませんでした」は通用しませんので、このことに関しては慎重に考えないとまずいんじゃないんでしょうか。