「蒸鶏」のリベンジ大成功~~

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蒸鶏って美味しいですよね。「白切鶏」「紹興酔鶏」「海南チキン」そしてイポーの有名な「もやしチキン」も「蒸鶏」。

ただ蒸鶏と言っても「蒸さずに茹でる」のがほとんどですが、その茹で方で「美味しさが決まる」と思っています。

どうしても自分の家で作りたくて、普通に茹でてみたら全く美味しくもなんともない物ができてがっかりしたのがいつのことだったでしょうか。それからいろいろ研究し、「温度」が重要だというのがわかった。そして「炊飯器の保温機能」を使ったり、スロークッカーを使ったり、そして低温調理の世界にはまって低温調理オタクになったのは読者の方は御存知の通り。

いろいろ実験を繰り返し、これでどうにかOKというのがわかっていたわけですが、先月、イポーのもやしチキンを食べたのがキッカケで帰ってきてから「カンポンチキン」を買ってきて「(低温調理器は使わず)鍋で茹でた」のですが、それが丸っきり駄目で、一体今まで何をやってきたのかとかなり落ち込んでいました。

その時の日記。(ここをクリック)

この時のまずさは本当にがっかりで、「初めて蒸鶏を作ったとき」と全く変わらずでした。鍋のお湯に入れて温度は75度をキープしていたのに、「適当に茹でちゃったレベル」の出来具合。要は「火の入りすぎ」だったわけです。

ま、そもそもなんで75度という「高い温度」でやったのか、自分でもよくわからないのですが、それまでの経験が全く生きていないどころか、過去を否定するような作り方、出来具合でした。

ということで初心に返ってリベンジ。(笑)

使ったのは我が家で鶏と言えばこれ「ドラムスティック」です。

これの骨を外して、紹興酒+塩(軽め)します。

これらを丸めて。

そのまま「真空パック」。

鍋にお湯を入れ、低温調理器は68度にセット。1時間。

これを「冷水」に付けて締めます。そして切って、ソース(醤油+フィッシュソース)、コリアンダーを添えて出来上がり。海南チキン風です。

くっくっく、大成功ですぜ。柔らかくて鶏の味が濃い。美味しい~~~。全く問題なし。

68度でばっちり。でも本当はもう2度程度下げたほうが良いのはわかっているんですが、「中にピンク色が残る」んです。これって私は大丈夫なんですが、ヨメさんも息子も「大丈夫?」って必ず思う。ちゃんとした料理店で出てくるのなら「ばっちりだね」ってことになるんですが、私が作ったものなんか信用しませんから。(笑)

ここでいつものうんちくですが、この68度の温度って「腿肉」だからそれで良いのであって、「胸肉」だと温度が高すぎてパサパサ一歩手前まで行っちゃう。私が思う胸肉のベストは60度だと思うのですが、それもうっすらピンク色になりますので問題あり。(笑)

だから「胸肉の場合」は62度ぐらいが良いはず。

そんな数度で大きな違いが出るのかと思う方が多いはずですが、低温調理を経験した人ならすぐわかるんですね。また牛肉も同じで、例えば「レア」は55度辺り。ミディアムレアは57-8度。60度になるとピンクが残る程度でそれ以上は火が入りすぎ。これはタンパク質が温度で変性するのが58度前後ですので、その辺の温度の1-2度は大きいわけです。これは温泉卵も同じで、黄身と白身と固まる温度が違うのを利用してああいう温泉卵ができるわけですが、1度違ったらまるで違うものが出来上がります。

1個2個作るのならアバウトでよいですが、一度に12個我が家では作りますし、失敗は許されません。ですから温度設定がちゃんと出来る低温調理機を使って(我が家場合は)68度で30分。

この68度というのも覚えて置かなくてはならない温度で、「タンパク質の分水作用が始まる温度」と言われています。つまり58度ぐらいから固くなって68度を超えると水を出して収縮していく。それプラス、脂が溶ける温度、コラーゲンの溶ける温度を考えて、自分が望む「出来上がり」に近づけるにはどうするか決めるわけですね。ただタンパク質も一種ではないし、コラーゲンや脂も溶け出す温度を超えたら一気に溶けるわけでもなく、温度と時間で肉がどう変化するのかは理論的に想像しつつ経験を積むしか無い。

話は鶏に戻りますが、「腿肉」と「胸肉」と丁度よい温度が違うところに素人が作る場合の難しさがあると思います。ネットでレシピをみていますと、一匹丸ごと茹でる時に、胸を上にしてお湯の上に出す料理人までいました。そうすれば胸肉には温度が伝わりにくい。でもプロは丸ごと一匹を茹でてちょうどうまい具合に作る。職人技だと思います。

厳密に言うと「皮」も丁度よい温度が全く違っていて、温度を胸肉に合わすと「皮はほとんど生状態」です。ですから丸ごと一匹茹でる場合は、沸騰したお湯に入れて、出して、氷水に漬ける、みたいなことを何度か繰り返すプロもいる。

ただマレーシアの鶏は「皮が薄い」という特徴がありますので(脂ぎっていない)、私は皮のことは無視して考えても良いと思っています。でも皮付きの胸肉の場合はそれなりに考えないと駄目かも。

美味しいのは腿肉だと我が家の趣向は一致していますので、腿肉だけ使えば調理もそれだけ単純になる。

上の低温調理した腿肉ですが、真空パックしたまま冷蔵庫に保存し、次の日に50度程度のお湯で温めて食べてみました。

一日置いただけで食感がかなり変わっていました。この方が柔らかくて美味しい~~。

また今回のソースというかタレは「ショウガ+ニンニク+(潰した)ネギ」に250度ぐらいの油を注ぎ、シュバシュバシュバシュバっとさしたやつ。それに塩を入れて味を調える。

これを出すお店は多くありますが、私はこれが一番蒸鶏には合っていると思います。

その後、数日してからまた作りました。(笑)

使った鶏肉は「メリーランドの皮付き、骨なし」のもの。いわゆる足一本の開きになっているもの。

それに紹興酒を塗り、軽く塩コショウして丸めました。フォイルで丸め、その上からラップでまた巻いてハムの形を整えます。

そのままでも良いのですが低温調理する時に解けてしまったことがありましたので、その状態で真空パックして調理。68度60分。

氷水で締めてから中身を取り出します。

輪切りにするだけでOK。このときは「青唐辛子の醤油漬け」+コリアンダー。

固く丸めて調理しますとやっぱりそれなりの硬さになりますね。でも「ハム」としてはそのぐらいが丁度よいと思います。

タレは青唐辛子の醤油漬けでこれはこれで大好きなんですが、醤油の味で鶏の味が随分隠れてしまうのがわかります。やっぱり基本は「塩だけ」で良いのかも。そういう意味でも「ショウガ+ニンニク+(潰した)ネギ」に250度ぐらいの油ってのが一番かも。あるいは「紹興酔鶏」みたいに紹興酒+αに浸けて香りを移す程度。鶏の味が生きると思います。醤油を使うとしたらほんの色付け(そういう料理もある)でよくて、タレが醤油だと鶏の旨さが霞んでしまう。

「ショウガ+ニンニク+(潰した)ネギ」に250度ぐらいの油ですが、このソースの名前をご存じの方は教えてください。m(_ _)m

この鶏モモハムも丸めた状態で冷蔵庫に保存しておき、二日後に「韓国冷麺」に入れましたが、かな~~り美味しいと思いました。

低温調理器を持っていない場合、温度を一定に保つ、それもそれなりの時間となるとかなり大変ですが、「鶏モモ」の場合ですと68度が良いとすれば「炊飯器の保温機能」を使えば、(機種によって違いますが)大体70度前後ですのでうまく出来るはず。ただ「胸肉」の場合だと「ちょっと硬いかな」という感じになるはず。ま、この辺は好き好きですが・・・。

しかし、ちゃんと作ったら美味しくできたので助かりました。

やっぱり私は低温調理機みたいな助っ人がいないと蒸鶏もローストビーフ、ローストポークも作れないってことですね。(笑)

 
 
 

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