私にとって海外に住んで一番悲しいことは「家族がバラバラになること」なんです。
せめて同じ国に住んでいれば会うのは簡単ですが、海外だとそういうわけにはいかない。
ま、今の時代、そんなことを言ってもしょうがないのですが、「世界のどこででも生きていける子供たちに育てる」のを目標にやってきたものの、では実際にそう育ったのは良いにしてもそれは「バラバラの家族」を意味するわけで、もしかしたらこれは間違いだったのかもしれないなんて思うこともあるんですよ。
日本では、特に地方では3世代一緒に住んでいるなんてのはいくらでもあるし、仕事は一緒にする家族も多い。そういう家族が寄り添って生きる団らんを見ると、「あれが家族の本質なんだろうな」なんて思うわけです。
でもボーダレスがどんどん進む世界では「自由に移動できて、自由に仕事を選べる」のが「サバイバルに最も大事な能力」のはずで、巣を出て行く我が子を笑顔で送り出せないと駄目なんでしょう。
そんな理屈と感情の葛藤があるわけですが、昔から一つのことを息子たちに言い聞かせて来ました。
「年に一度は必ず家族が集合する」
ってこと。
長男は大学はメルボルン、次男はシドニーで現在の仕事もシドニーですが、私が何を言わなくても「年に一度は家族が集合する」という約束を守り続けてくれています。というか、それは私が彼らに押し付けた希望、約束ではなくて「オーストラリアで育った彼らにとって、オーストラリアの当たり前の常識」だってことなんだろうと思います。
ま、そんなのは世界共通だと言えばそうですが、「皆がそうしている」と「自分もそうするもんだ」って思うんじゃないですかね。
オーストラリアのクリスマスって日本みたいなお祭り騒ぎではなくて、とても静かなクリスマスで家族が揃って過ごす。日本で言えば正月なんでしょう。
これが常識ですから、そしてクリスマスは夏真っ盛りで学校も夏休み中。会社もその時期に休みが集中する。製造業なんてクリスマスから1月半ばまでまるまる一ヶ月「操業停止」なんてのもあるくらい。その夏休みとクリスマスが上手くマッチしているのって南半球の特色だと思うのですが、シドニーにいる次男坊もこの時期、長い休暇を取る。クライアントも同じですから後ろめたさなんて全く無い。逆を言えば「仕事にならない時期で」動きやすいんでしょう。またオーストラリアは基本的には有給休暇は年に4週間ありますから、この時期に大移動が起きる。
そんなクリスマスに「マレーシアに行こう」って思ってくれる次男坊には感謝の気持ちでいっぱいです。私が息子にクリスマスプレゼントをもらったような気持ち。
でもねぇ、「マレーシアって退屈な国だ」と思っているのは間違いがないのね。(笑)
だからマレーシアに来てくれるのは良いのだけれど、来る度に段々と「滞在日数が減っている」んですよ。
今回は4日だけ。ありゃ?違うか。5泊6日かな。
今頃はタイのプーケットで遊んでいるはずで、その後、私達と一緒に住んでいる長男とバンコックで合流する。
長男は先月マレーシアの友人とタイ旅行をしてきたばかりなのに、次男坊に「絶対来てくれよ」と言われたらしく、またバンコックで羽目をはずして遊んでくるんでしょう。
こんな兄弟仲が良いのも私としては嬉しくて、これもまた神様に感謝しないとならないな・・・なんて思ったり。
でもそれぞれが結婚して家庭を持ち、子供も出来るとまた変わってくるんでしょうね。
その時には「おじーちゃん、ハワイに連れてって~~」「おお、ハワイか、よしよし」ってなもんで孫達を釣るしかないのだろうと覚悟はしています。(笑)
年老いて90を超えた私の両親は孫達に会うのを楽しみに生きているようなもんで、「いつ来るの?」「どうするの?」と五月蝿い五月蝿い。
でもあの嬉しそうな両親の顔を見ていると、こうやってマレーシアに住むこと、それが私に出来る唯一の親孝行なのかななんて思ったり。