私も何度か輸入商にお願いして日本からの和牛を手に入れたりしていますが、イマイチなんですよね。って「オージー和牛より安い(日本の)和牛」しか買いませんからしょうがないのかもしれませんが。(笑)
値段的なものは「部位」をうまく選べば安く買うのは可能なのね。
マレーシアのそのへんの話を聞いてみますと「A5なのに・・・」みたいな話がチラホラ聞こえて来ます。
でも普通に考えたって「日本の良いクラスの和牛をマレーシアに送り込んでくるのか?」ってことだと思うんですよ。
去年から、日本の和牛のハラル認証を取りあちこちに輸出が始まったというニュースがありますが、そりゃ「現地の富裕層向け」だとしても「海外の日本人富裕層向け」ってことはないんじゃないですかね。当然、現地を調べてどんなレベルのどんな部位をどんな価格で送り込むのか考えているわけで、「海外の日本人がどう思うか」なんてのは一切考えていないのが当たり前。
そもそも和牛で言う「A5」ってのを「美味しいはず」と思うほうがおかしいわけで、ABCとか543のレベル付けって「歩留まり」や「霜降りの度合いとかの肉質」とが主で、「美味しさのランク」じゃないんですね。でもま、そのランクが高い方が美味しいことはあるんでしょうが、決して「美味しさを表しているわけじゃない」。
ところが日本の富裕層って日本の「良い店」で「高価な」「選ばれた」「A5の肉」を食べるから、どこでも「A5なら美味しい」って思う傾向があるんじゃないでしょうか。
富裕層じゃなくて、良い和牛なんて口に入るチャンスはない人でも「A5って美味しいんでしょ~~」なんてことをいう。
これって業者、特に海外の業者、レストランにしてみれば「カモを呼びやすい」わけで「これはA5です!!」と宣伝する。すると客は「凄いですね~」なんて反応をするし、それを食べることに大きな満足を感じる。
そもそも私みたいに日本の和牛なんて1991年以降はほとんど食べていない者にしてみると(オーストラリアは牛の輸入は禁止)、そして日本みたいに手をかけて育てられたわけでもなく、穀物なんか食べたこともない牛を中心に食べてきた者からすると、「味の善し悪しは【個体による】」としか言いようがないんですね。いつのころからか穀物を食べさせた牛肉(これが日本向けのオージービーフ)もオーストラリアの市中に出回るようになって、それも「何日間食べさせたか」で価格が違うのね。30days fedとか60days fedとかで区別される。
やっぱり穀物を食べさせたほうが美味しいと思うし、霜降り度も高いのね。だから日本人向けであるとは思うのだけれど、だからと言って穀物を食べさせた牛(Grain Fed)の方が間違いなく美味しいかと言うとそんなこともない。そして10年ぐらい前から出来たオーストラリアさん和牛も同じで、全部が全部美味しいわけでもない。
これが現実だと思うわけですよ。日本だって、本当に良い肉って「XXXさんが育てた松阪牛」みたいに血統書付きの肉もあるわけで、「A5」というランクだけで美味しいかどうかはわからない。
でも良い店は良い肉屋と手を結び、良い肉を提供できるようにしているわけで、それがたまたま「A5」であることはあっても、A5が美味しいわけじゃない。
でも逆を言えば、松阪牛みたいな有名な生産地ではないところの肉は安く、お買い得みたいなものもあるんですよね。日本中各地に名前のついた和牛が存在していてそれぞれが頑張っている。
でもその土地の牛は皆同じ様に美味しいのかと言うとそういうこともない。
だから美味しい肉が食べられるかどうかは「行く店」にかかってるわけで、あるいは「肉を買う店」にかかっているわけで、簡単に良い肉を手に入れることは出来ないってのが普通じゃないんですかね。
だからブランドとかランクに惑わされること無く、店で選び、任せるしか無いんじゃないですかね。そしてある時美味しくても、次も美味しいかと言うとマレーシアではそれを店(レストラン、販売店)が維持するのは簡単では無いんじゃないですかね。
マレーシアの輸入牛肉はどんどん増えているようで、インドからのもの、ブラジルからのものとか色々。
また日本の和牛もいくつかルートが有るようで、今年に入ってからマレーシア向けに輸出を始めた業者もある。
私としては「高い肉は美味しい」のは当たり前で、そういう肉を求めようとは思わないんですよ。そもそも霜降りがすごい肉は気持ち悪いと思いますし。そしてやっぱりコスパって大事で、どこかで良い肉がないか探すことに興味があります。
と同時に、食べ方で美味しさは変わるわけで、オーストラリアでは「安い肉を美味しく食べる」ことばかりやっていましたし、そこに楽しみも感じています。
焼き方も同じで、アメリカ・オーストラリア風の「しっかりクラストが付くように焼く」のが美味しいと思うし、最近は「ケイブマンステーキ」(古代人ステーキみたいな)と呼ばれる、人類が野っ原や洞窟に住んでいた頃は「火の中にそのまま肉を入れた」焼き方がきっと何万年も続いたはずで、そんな焼き方にも興味が出てきています。(笑)
ちなみにLot10では「和牛を一頭買いして販売する」みたいなことをやっていたようですが、これもおかしなもんで、普通に売れる部位って大体決まっていて、それの何倍もある部位はいったいどうやって消化するんだろうと心配になります。一頭買いなんてのは一つのキャッチでしかなくて、それの何倍もの量の「売れ筋」を売っていたんでしょうね。
これもそれだと思います。Lot10の田丸屋にあった肉。
美味しそうですね~~。でもこれだけの霜降りだと、脂が和牛の美味しさの原点だと思う私にも無理そうですが。
宮崎産とのこと。これは違う肉の塊に付いていたシール。
1キロあたり1350リンギ。良い値段ですね~。これは202グラムで273リンギ。こういう肉を使った焼き肉だろうがなんだろうがレストランで食べるととんでもない価格となる。
このサーロインはちょっと安くてキロ単価は1200リンギ。これは236グラムで283リンギ。
安いオージービーフも売っていました。これはキロ単価290リンギ。262グラムで76リンギ。
日本からの和牛を見た後では「安い!」なんて思っちゃいますが、見た目でもさほど美味しくなさそうなこのリブアイのキロ単価が290リンギだというのを見落としては駄目ですよね。今まではこのレベルのリブアイなら半額以下、安い店では3分の1の価格で売っていたんですから。オージービーフも店によって値段がまちまちでなかなかコスパの良いものを探すのは難しいと感じています。
そしてですね、日本からの和牛ですが、「F1」って書いてありますよね。この文字も見逃しては駄目で、これって「ハイブリッド」という意味。つまり純粋な和牛ではなくて「交雑種1種」です。「黒毛和種」と「ホルスタイン」との間の子とか。これって安いオーストラリア産和牛への対抗措置かもしれませんが、価格はオージー和牛の倍以上。
結局、どうにかして「良いイメージを保ち、高く売ろうか」と業者はあの手この手を考えているわけで、またこれらが小売店に渡ったときには「交雑種です」なんて言わずに、「最高の和牛のA5です」なんて言われて金持ちは財布の紐を緩めるわけで(私は絶対に買わない 笑)、なんだかなぁ・・・という感じがしてきませんか?「A5という割にはイマイチ・・・」ってのはこういうところにも原因があるはず。
「美味しければ良い」というのは正しいと思っているのですが、産地もよくわからずに、本当の和牛かどうかもわからずA5じゃのA4じゃの言われて高いお金を払うってのは私は面白くありません。
輸入商もいろいろあって様々な和牛も入ってきていて、それはオージービーフ、ニュージーランドビーフも同じで、私としてはそこそこのコスパの良い肉を探して、それを美味しく食べる方法を模索して行きたいと思っています。