楽しみにしていた米朝会談ですが、一体何がどうなったのかさっぱりわからず。
とりあえず共同声明では4つの事柄があった。
(1)両国の関係正常化
(2)朝鮮半島の平和構築
(3)朝鮮半島の完全な非核化
(4)米兵遺骨の送還で合意
ところがこれが会談で話されたということではないようで、なんとこの内容は前日の11日に北朝鮮国営の朝鮮中央通信が全く同じ内容を配信していた。
金正恩氏がシンガポールに向け出発したことを伝える記事で、首脳会談では「変化した時代の要求に応じて新しい朝米関係を樹立(1)して朝鮮半島の恒久的で強固な平和体制を構築する問題(2)、朝鮮半島の非核化を実現する問題(3)をはじめ、互いに関心を寄せる問題(遺骨送還=4)に対する幅広くて深みのある意見が交換される」としていた。
つまりこれらは事前の担当者どうしの会議で、「この線で行きましょう」と決めた内容であって、会談で何が話され、何が決まったということじゃないのね。それともこれらの内容を首脳同士で確認しあった程度の会談だったのか。だとしたら何も決まらなかったのと一緒じゃないですか。
二人が何を話したのかは全くわからないけれど、二人の「顔色」を見ていると、お坊ちゃまがソワソワして落ち着かなかったり、トランプ氏が「俺が手懐けた」みたいな自身顔みたいだったり、今の時点では表に出せない重要なことを話し合った可能性もあるんじゃないですかね。
これって会談前にも何人かの評論家が言っていましたが、トランプ氏に取っての北朝鮮問題ってもっと大きな視野を持っていて、単なる核廃棄やICBM凍結に収まらず、「東アジアの力関係を根本的に変えてしまう案を持っている」というのもまんざら嘘じゃないような気がするんですよ。
つまり、やっぱりアメリカが気になるのは中国であって、東アジアにおいていかに中国の影響力を削ぐかということを考えているんじゃないかと。
北朝鮮は場合によっては韓国以上の親アメリカ国になる可能性も金正日時代に言われていたし、今までの北朝鮮のままで核放棄とかってだけじゃなくて、もう一歩先をトランプ氏が狙っている可能性もあるような気がするんですよ。
今は東西の壁は存在しないし、バリバリの共産主義という国も無くなってきている。まさに中国がそうで、やっていることは資本主義国とどこが違うのかがよくわからない。またベトナムも本来は真っ赤な国だけれど、アメリカと近くなっているわけで、北朝鮮が親アメリカ国になれない理由はないと思うんですわ。人権問題がネックになるのは間違いがないにしてもです。
でも今回、北朝鮮の裏方に立った中国がそんなことを認めるわけもなく、東アジアの秩序は崩壊する。
でも中国が考える秩序の崩壊は日米、あるいは韓国にとっては良いことのはずで、トランプ氏がそれを狙っていたとしても不思議じゃない。逆に北が親中国家として体制維持を続け、もし南北統一、あるいはとりあえずの連邦型国家としての統一だとしても、朝鮮半島が真っ赤になるのはどうしても避けたいのが日本の考え方であり、そういう方向で落ち着かないようにという相談は安倍・トランプでも十分なされているはず。
もしそんなことが起きたら、まさに日清戦争、日露戦争前夜と日本の立場って同じ様になるってことじゃないんですかね。
あの会談で一体何が話し合われたのかは良くわからず、ま、拉致問題に関しては第三国である日本との問題だから、米朝で大きな話題になるはずもなく、それは今後、日朝で片付ける話だとは思うのだけれど、でも不思議なのは「世界中が気にしている核放棄」に関して、トランプ氏は「もう核の脅威はなくなった」と断言していること。
では核廃棄の手順や日程は?というと全く何もわからず、アメリカがしつこく主張してきた「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」への言及もなく、細かいことは今後の協議で煮詰めていくことになるんだろうけれど、でもそれがはっきりしない時点で「核の脅威はなくなった」と断言できるのは、そう言っても良いだけの内容の話があったってことじゃないんですかね。米韓の軍事演習も止めると言ったことに関しても、当事者の韓国もアメリカ国内でも寝耳に水で、なんでそこまでトランプ氏は言い切ることが出来るのか。
やっぱり何か重大なことが話し合われて合意ができたんじゃないですかね。
ではそれは何か、どんな話か?
それは想像さえつかないけれど、お坊ちゃまが「今後、北朝鮮は親米国家になる。よろしく頼む」とトランプ氏に言わない限り、トランプ氏もあそこまで楽天的なことは言わないんじゃないかと。
まさかと思うけれど、世界から日米関係を見ると、「なぜ日本は親米なのか?」不思議に思う人の方が世界には多いわけで、敵国日本が親米になったことを考えれば、北の親米化はありえないとも思えないんですよ。
でもねぇ、そんなことがありうるのか。ないでしょうねぇ。(笑)
ま、親米国家になるというのは大げさにしても、北朝鮮が「中国からの自立」をトランプ氏に宣言した可能性って高いと思うんですよ。そもそも北朝鮮はソ連と中国の間にうまいことやっていたのがソ連が崩壊。となれば中国の言いなりになるわけで、そのカウンターとしてアメリカが欲しかったはず。彼らってそうやって対立の中の真ん中で生きる道を模索してきた国じゃないですかね。だから親米というのは大げさにしても、アメリカとのパイプを太くしていく、つまり韓国に近くなる道を彼らは模索していて、それがこの20年の歴史だったのかもしれない。でもアメリカが相手にしなかった。
でも今回、アメリカの懐に飛び込んで来たとするなら、あのトランプ氏が妥協に妥協を重ねたとしか言いようがない言動をするのも理解できる。でも当然、嘘だったらお前わかっているだろうなという脅しはしっかりしたんじゃなかろうか。
巷ではどちらにしてもアメリカによる北朝鮮への武力攻撃はなくなった。平和の道筋がぼんやり見えてきたという論調が多いと思うのだけれど、私は逆のような気がするんですよ。
お坊ちゃまはアメリカに攻撃される恐怖に我慢ができず、そして制裁も効いていて身動きも取れず、どうしようもなくアメリカに微笑みかけて来ただけのことで、もしどんな約束が米朝会談でなされようとも、それは最終的なトップ同士の約束で、もしまたもやそれが反故にされた場合、アメリカは今まで以上に北朝鮮攻撃をしやすい立場になるはず。
また在韓米軍の撤退にもトランプ氏は言及したけれど、在韓米軍がいなければ戦争がない平和な半島になるのではなくて、米軍がいないからこそ攻撃しやすい状態になるんじゃないですかね。そもそも「核のない半島」ってのもそれは北朝鮮目線の話でしか無くて、核を持っている先進国に取っては「核とはSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)」であって、固定型、陸上移動型の核ミサイルじゃないでしょう。ってことは朝鮮半島という狭い地域に核があるかないかなんてのはアメリカ目線で言えば全く関係がないんじゃないですかね。アメリカからミサイルを撃つことも可能だし、潜水艦からも核を含めたありとあらゆるミサイル攻撃が可能で、そういう戦術を取る今の時代に「核のない半島」って意味があるのか?北にしてみれば潜水艦から発射できないから、半島から核をなくすというのは核の放棄になるけれど、アメリカにとっては朝鮮半島に核がある、無いは全く関係ない。
四項目の共同声明ですが、もしあれが北が用意してきた内容だとしたら、トランプ氏は激怒したはず。でもそうではなくてすんなり共同声明として出てきたということは、あんな内容でもOKな「なんらかの大きな理由」があるからとしか考えられません。
またもし北がアメリカと手を結ぶとなれば、下手をすれば北朝鮮国内にもアメリカのレーダー基地が設置される可能性すらあって、中国にしてみるととんでもない裏技になるけれど、北朝鮮にしてみれば、そういう「交渉材料」を手にして、中国とアメリカの狭間で生きる道を模索したいんじゃないですかね。北が欲しいのは「誰にも繰られることのない国造り」であって、中国が北の生き死にの命運を握っている今の状態からから抜け出て、立ち位置をアメリカよりに移したいんじゃなかろうか。まさかと思うけれど、核開発というのは米に対するラブコールだったのかもしれない。
お坊ちゃまがトランプ氏に言った「今までは障害があって・・」という意味はなんだったのか。北朝鮮をああいう風にしておきたかったのは中国なのは間違いがないし、障害とはまさに中国だったのかもしれない。
そこからの脱却が真意なのだとトランプ氏に話せば、そりゃ、両手を広げて「ウエルカム」をするだろうし、トランプ氏の会談後の妥協の塊みたいな言動も理解できる。
どちらにしても今回の米朝会談では「密約」があったのだろうと私は想像していて、まさか公に発表された4つの項目で合意しました。どうです?やったでしょ?なんてニヤニヤするほどトランプ氏が馬鹿とは思えないんですよ。
彼にはなんらかの作戦がある。でもそれを今は公に出来ない。
トランプ氏は会談は大成功だったと言うし、中国も絶賛している。でもどちらかが騙されているはずで、それはだんだんと見えてくるんじゃないですかね。
そんな感じがしてしょうがないんですが、どう思います?