マレーシアの豚肉は美味しいと多くの人が言う。私もそう思うし、オーストラリアでは四苦八苦した「豚の角煮」もマレーシアの豚肉で作るといとも簡単にできてしまうのに驚きました。そして美味しいと思う。
でも、自分が買っている豚肉が「どの国で生産されたものか」を知る人はほとんどいないんじゃないですかね。
え?マレーシア産じゃないの?なんて思う人もいるでしょうが、マレーシアには世界から豚肉が輸入されている(シンガポールには輸出もしている)。そして自分が買う豚肉がどこ産なのかはわからない。
美味しければ構わないという人も多いと思いますが、それで良いんでしょうか。
なぜこんなことを書くのかと言うと、「台湾が【全ての肉類】の輸入を禁止した」というニュースを見たから。
これの発端は皆さんのご想像の通り「中国の豚のコレラ(African Swine Fever)」。これが中国ではかなり酷いことになっているらしいのだけれど、一般的にはそんなニュースは入ってこない。
このニューをちょっと見てみてください。台湾が輸入を禁止した理由、中国では今何が起きているのかがわかる。大量の豚の放棄や、道路脇のあちこちに倒れて放置してある豚とか。
さて、マレーシアには中国から豚が入ってきているのか?
とりあえず、今の時点では「輸入禁止」になっているのはわかりました。
今年の9月に輸入禁止になった対象国は以下の通り。
China, Poland, Russia, Hungary, Moldova and Ukraine
では今までどういう国から輸入されているのかと言うと
the United States, European Union, Canada, China, Vietnam and Australia など
残念ながらどの国からどのくらいの量が輸入されているのか、その統計資料は見つかりませんでした。もしご存知の方がいらっしゃったら是非教えてください。
マレーシア好きの日本人は多く、物価が3分の1説にしても、治安は良いとか、気候が良いとか、なんでもかんでも良い方向へ話を持っていく傾向があります。その気持はよくわかるけれど、「豚肉が美味しい」というのも同じで、自分が食べている豚がどこの豚なのかもわからず「マレーシアの豚は美味しい」となってしまう。
そもそも豚肉って産地で味がどう変わるかってのは私には全くわからなくて、輸入する国によっては「高級豚」が中心だったり、「普及品」が中心だったりするんじゃないですかね。
日本人同士で「マレーシアの豚は美味しいですね」「うんうん」なんて会話をしつつ、実は食べている豚は全く違うものだったりするんでしょう。
今、思い出したのは、ある日本系の「ラーメン屋」に行ったときのことです。その店のチャーシューが美味しかったので、「マレーシアの豚って美味しいですね~」とそこの日本人マネージャーに言ったんですよ。すると彼は「マレーシアの豚肉は美味しくないので、このチャーシューは【ベルギーからの豚】を使っています」と。
え?マレーシアの豚って美味しくないの?なんて私は面食らったのですが、いろいろ食べ比べたこともないのでわからず。
これは鶏も同じで、「マレーシアの鶏って美味しいですよね」なんて和食店の板前さんに言ったら、「ええ~~?全然美味しくないですよ」と二軒のお店で同じことを言われたことがあります。
ま、自分が美味しいと思っていればそれで良いのですが、真実はどこにあるのか。
そして自分が食べているのは一体どこで生産された、どういうレベルのものなのか。私がTTIDで買う豚肉って「いやに柔らかい」のだけれど、あれもどこのどんな豚なんだろうか。
海外から美味しい豚肉や鶏肉が入っているとしたら、それは一体どこで手に入るのか。
そして私が気になるのは「食の安全」。マレーシアの飛行場の「検疫・税関」はほとんどがノーチェックで多くの人が「実質的な密輸」をしている。そんなチェックも出来ない、しないマレーシア政府が、国内物、輸入物の食品安全基準は作ったにしろ、それの検査さえまともにできずにザル法になっているであろうことは簡単に想像できます。
ウェットマーケットの商品は新鮮で安いと絶賛する人は多いけれど、それで全く問題がないのかどうか。そこそこ安全基準には五月蝿い先進国からマレーシアに来た場合、「ちゃんと安全管理はされているだろう」という前提になってしまいがちですが、本当にそれで良いのだろうか。
マレーシアの「オーガニック」も調べてみるといろいろで、ちゃんと公的機関が決めた基準があって「適合証」を出しているけれど、それを無視した「自称オーガニック」が反乱しているらしいことはネットを調べてわかりました。でも農家に行ってそのオーナーと話をし、その夢ややる気を聞くと「ここのは安全だ」と思ってしまいがちですが、では「認証を取っているか」というとそれはなかったり。でも「うちはもっと基準が厳しい」なんていうのかもしれない。オーガニック基準を調べてみると、その土地が過去どういう土地であったのか、また農家だとしたらどういう栽培、あるいは養鶏をやっていたのか、かなり細かくて厳しいのね。「今年からオーガニックにします」なんてことは出来ないのね。
じゃぁちゃんとオーガニック認証をとった鶏肉を探しても、全く売っていなかったりする。多分、鶏肉に関してオーガニック適合証をとったのは一軒だけのはず(DQ Farm)で、ここの鶏は「DQ Clean Chicken」としてジャヤゴローサーやビレッジグローサーで売っている。
また我々は「フリーレンジチキン」とか「カンポンチキン」は自然の綺麗な環境で育てられていると考えてしまうけれど、内情は全く違うのはやっぱりネットを調べてみるとわかる。これは世界共通で卵もフリーレンジとか言っても我々が想像するフリーレンジとは随分違うのね。でも我々が望むフリーレンジもあるわけだけれど、その差を見極めるのはまず不可能。ブランドを指定して買うしか無い。
まぁ、本当にわからないことばかり也。