マレーシアで買う肉類ですが、残念だと思うのは「すじ肉」を手に入れるのが難しいこと。
すじ肉なんて・・・って思う人は多いかもしれませんが、これってゼラチン質が豊富で煮込みには最高だと思います。
でも売ってないんですよね~~。
スーパーではたまに「Soup Meat」として売っていますが、これってすじ肉というよりクズ肉なんですね。いわゆる「分厚い筋(スジ)」とか「アキレス腱」みたいな部位はなくて、大きなブロックを掃除した時に出てくるクズ肉。
でもマレーシアでは、ましてやスーパーですと「枝肉」ではなくて「ブロック」で仕入れているはずですから、本来、我々が欲しい「すじ肉」って無いんだろうと思います。ただし「アキレス腱」はNSKで冷凍で売っていました。買ったことはありませんが。
ま、このクズ肉ですが、それなりにスジの部分もありますから「すじ肉の雰囲気」はあると思います。そして書いてある通り「Soup Meat」として使えるのは間違いがない。
私はこの肉でカレーとかシチューを作るのが好きなんですわ。やっぱりゼラチン質が好きなのね。トロンとした歯ごたえってなんとも言えない。だから肉々している部位を使って「柔らかくするだけ」みたいなのは好きじゃない。
ところがこの「Soup Meat」ですが、いつでも売っているかというとそうでもないし、売っていても量が少なかったり。
あああ、Lot10の地下の田丸屋では「すじ肉っぽいすじ肉」を売っていましたし、スタッフに聞くと奥の冷蔵庫から出してくれたりなんてことがありました。でもこの1年ぐらいは全く無くて、聞いても「無い」と答えるばかり。
B.I.G.に買い物に行った時に、フト、このすじ肉もどきを思い出しまして、スタッフに「Soup Meatはある?」と聞いたんですよ。するとちょうどブロック肉の掃除が終わったところだったのでしょう。かなりの量のすじ肉がテーブルに乗っていました。
「どのくらい必要なのか?」と聞かれましたので、「全部」と答えました。
1.4キロぐらいありますが、この肉って煮込んじゃうと「消えてしまう」と言ってもいいくらいで、3人で1.4キロでも決して多すぎるってことはないのね。ちなみにキロ単価はRM35。
これを家に帰って出してみるとやっぱりかなりの量。多すぎたかな?(笑)
この肉はいわゆるすじ肉ではないので、一度茹でこぼしをする必要もないと思うのですが、一応やります。かなりアクも出ますのでそのままキッチンにあけて流水で掃除。そして大きめのぶつ切りにしました。
最近、我が家のブームになっていることは「【大量の】野菜を細かく粉砕してスープに入れる」ということ。
カレーやシチューだとまず多めの玉ねぎを飴色まで炒めて・・・とかやるわけですが、我が家では「玉ねぎ+セロリ+人参」のいわゆるミレポアですが、「3:1:1」ぐらいの量をフードプロセッサに掛けて粉砕します。そしてそれを炒めるわけですが、この方が簡単で早いのね。特に最近使うようになったIHで炒めると火力が強いのであっという間に炒められます。
でも飴色にまですることはなく、量も3分の1ぐらいになってトロリとしてきたらそれでOK。
すじ肉を使うカレーですが、結構真面目に作ります。(笑)
トマトペーストを入れて炒め、赤ワインも多めに入れて煮込み初めます。煮詰まったところでトマトピューレを入れ、これも煮詰めてそしてカレー粉を投入。ちょっと炒めて香りが立ってきたらスープストックを入れ、そして肉を投入して煮込みます。
この時にダークブラウンルーも作りますが、私はケイジャンスタイル(フランス人を祖先に持つアメリカ南部インディアナに住む庶民の料理)とでもいうのでしょうか。かなり濃い目に火を入れます。この焦げている風味が強いほうが好き(焦げ臭くなる一歩手前)(焦げ臭くなったらやり直し)。(ブラウンルーをしっかり炒めると【小麦粉の粘度】が弱くなるので、もっと粘度が欲しい場合にはこれとは別にルーを作ります)
実はこういうダークブラウンルーにすると「素材の肉を焼いて焼き目を付けない手抜き」も出来るので良いと思っています。
これをスープで溶いてからスープ本体と合わせて、3時間ぐらい煮込みましたかね。圧力鍋を使うと簡単なんですが、「鶏の白湯スープ作り」の時に書いたように、圧力鍋を使うと「匂いがこもる」のがはっきりわかりましたので、美味しい煮込みを作りたい時には圧力鍋を使わない(蓋をしない)ようになりました。でも素材を一気に柔らかくしたり、スープをすぐに取りたい場合、「臭い匂いがこもらないであろう時」には圧力鍋を使います。(圧力鍋を使わなくても普通の鍋で【蓋をする】と水分が蒸発しないのと同時に臭い匂いもこもる)
脂が結構浮いてきますので、しっかり取り除きます。
そしていつもは市販のカレールーをこの時点で何種類か混ぜるのですが、今回は「業務用のカレー粉」を使ってみました。これを投入するのはミレポアを炒めた直後でカレー粉も炒めます。
いい感じにはなったのですが、基本的なスープに「牛肉の風味」が足りません。韓国調味料の「ダシダ」を入れようかと思ったら、ヨメさんが「せっかくここまで作ったのだからダシダは止めたほうが良い」と言い出したので、もったいなくてあまり使いたくない「グラス・ド・ビアン」の缶詰を投入。
出来上がりはやっぱり「市販のカレールー」で作ったのとは違った、「カレー専門店の味」みたいになりました。
そして大量のミレポア(玉ねぎ+セロリ+人参)が入っていてかなりドロっとした感じのカレー。野菜は全て溶けていて、塊は一切ありません。
面白いものであれだけあった肉は半分ぐらいどこかに行っちゃったみたいな感じ。
そしてそして、最近、食物繊維を多く摂りたいという我ら家族3人の共通した思いがあるので、ご飯は「もち麦ごはん」。(もち麦は正直屋で売っている)
結構美味しかったです。肉はクズ肉ですが。(笑)
でもやっぱりクズ肉を使う時に他の材料にお金をかけるってのもやっぱり変だと思いました。普通の「日本のカレー」で良いと思う。
またこのクズ肉「Soup Meat」ですが、1.4キロも使って煮込んだのに、牛肉の味の弱さはちょっと意外でした。なんなんでしょうねぇ。
だからやっぱり本格的に作る時にはスープ用としてのこの「Soup Meat」と、スーパーでも売っている「Neck Bone」とか「Marrow Bone」でしっかりスープを作るべきだと思いました。そして肉は「リブロース」でもミディアムレアに焼いて、カレーに添えるみたいなのが一番美味しい。カツカレーじゃなくて、ステーキカレーみたいな。
マレーシアはゴールドコーストみたいに美味しくて安い牛肉、部位も見当たらないので、それなりの使い方をしないと駄目だと思ったカレーでした。
きっとマレーシアでトロっとした牛肉のカレーを作るなら、牛骨やSoup Meatでスープをしっかり取って、肉は「Short Rib」か「OX Tail」が一番いいかもしれないと思います。あああ、「牛タン」も良いかもですね。
以前は牛の「頬肉」も売っていて、これのゼラチン質って半端じゃなくて煮込みには最高なんだけれど(でもちょっと癖があると思う)、最近は売っていない。