マレーシアの景気って良くないの? 将来性は?

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私はマレーシアに住んでいながらマレーシアの景気動向は一切わかりません。様々な指標を見ればわかるのかもしれませんが、正直なところあまり興味がありません。

でも株価を見ると、大丈夫かよって思う。

私はマハティール氏を「偉大なる政治家」と思っていて尊敬していますが、うまく行ってないのかな?また1MBD問題の影響?今は米中経済戦争が勃発し、これによる世界各国への影響が言われているし、中国と経済的にはべったりのマレーシアにその影響が大きく出る?

でもクアラルンプールの街なかを見ていると、相変わらず大規模プロジェクトが進行中で、こんなにたくさん、それも巨大、巨額プロジェクトを進めていて「見た目は絶好調」な感じ。

でもどこのモールへ行ってもガラガラでテナントで埋まっていないなんてのは普通。どんどん建てているコンドにしても供給過剰に思える。ただ不動産事情ってどうも一般的な国とは違っていて、我々が考える不動産って「住む人がいるのかどうか」を重視するけれど、どうもマレーシアってのは「投資対象として不動産を買う投資家がいるのかどうか」が焦点になっているような感じがします。つまり住む人がいなくても「買う投資家」がいればそれで完結しちゃうのかと思ったり。

これは私達が長く住んだゴールドコーストも同じで、夜になると「真っ暗でユニットに電気がついていない」コンドばかり。つまりオーナーは投資家であって住人ではない。彼らは値上がり期待で購入するのか、あるいは別荘として使うのか。ただこれはゴールドコーストという観光地特有の現象だと思っていましたが、マレーシアでもそれと同じとはどうしても思えない。大都会そのものが観光で食ってるわけでもないし、広範囲に渡って実需が少ないコンドが林立するってのも理解に苦しみます。

でももし「投資効率が良い」、つまり値上がり期待だけでこれだけの大量の不動産を作り、売るとしたら、あまりにも短絡的過ぎませんかね。デベロッパーは完成前に売り切ってしまえばそれでOKなのかもしれないけれど、買った投資家はどうなるんですかね。そもそも金余りの外国人がターゲットだとしても不動産を買う場合には価格的、量的制限があるわけで、どうにも大量にさばけるとは思えず。

また投資効率が良いにしても、私に言わせると「発展途上国は浮き沈みが大きいだけのこと」に思えるんですよ。発展すればガンガン行くけれど、潮が引くととんでもないことが起きるってのが全世界共通の「発展途上国のあるある」じゃないんですかね。この「良い部分」だけを強調して広告宣伝をすれば、「なにかうまい話はないか探している金持ち」は簡単に釣れちゃう。

そして発展途上国が息切れを起こすと、それはそのまま為替に大きな影響が出る。だからタイミングを見るのに長けている投資家はしっかり利益を出せても、「マレーシアは良いらしいね」程度の読みで投資をして面白いような利益がでるわけもない。ま、投資ってそれを言えばなんでも同じですが・・。

ちなみにマレーシアリンギットの推移ですが、大きく見ると「リーマンショックを乗り越えて大きく発展した」時期を過ぎたら、ジリ貧続きで、これじゃ海外からの投資家も「投資の儲けが為替差損で食われた」なんてことが起きているのかもですね。

2006年からの対米ドルのリンギットの動き。

同じく、対円の動き。

私が思う「発展途上国の為替の動き」ですが、これって世界情勢に合わせて動いている主要国の通貨とは違うと思っています。いわゆる発展途上国の栄枯盛衰の非常に大きな流れがあって、「待てば戻る」ということってあまりないんじゃないですかね。だからタイミングが非常に重要になるんじゃないかと思うんです。つまり、電車に乗り遅れた場合、待っても次の電車は来ない、みたいな。

ま、これは私の偏見だとは思っていますが、やっぱり発展途上国への投資ってギャンブル性が高いと思っています。為替も同じ。

そしていつも書いていますが、マレーシアリンギットの持つ問題点。つまり「世界で通用する通貨ではない」ということ。リンギットって単に東南アジアの小国のお金というだけじゃなくて、「為替管理がされている通貨(non-internationalised currency)」なんですね。これって国の通貨さえ投機対象としてグチャグチャにするハゲタカから守る政策でこうやっているわけですが、逆を言うと、FXもない、先物もない、オプションもないですから、「ヘッジの方法が無い、限られている」。

一般的な外国への投資であるなら、その国の通貨の下落に対してヘッジが出来るんですね。だからヘッジの経費を差し引いたにしても、将来の利益を確定させることも出来る。

ところがそのヘッジがリンギットの場合できませんから。「投資を引き上げる時の為替相場を受け入れるしか無い」ということが起きる。本来、投資を引き上げるタイミングと、為替交換が有利なタイミングって同じではありませんから非常に困るわけですよ。でもプロの投資家は「こういう手がある」という引き出しがいろいろあるんでしょうが、一般にはそれがわからない。

ま、それが私がマレーシアリンギットのキャッシュを多く持ったり、定期やその他投資も積極的にやる気が出ない理由でもあるのはいつも書いている通り。

そして今、世界経済はカオスの時代に入ろうとしている。

ま、その不透明な将来が株価に現れているのかなとも思うのですが、どうなるんですかね~。

マレーシア、世界経済の変化が我々日本人にどういう影響があるんですかね。

MM2Hだとすれば、年金が確実にもらえて、定期預金金利もこのまま推移すれば「関係ないね」ってことになるんでしょうが、いや、逆に不景気になって「今までの日本のようにデフレに突入してくれたら万々歳」ってのが本音かもですね。

でも投資家・起業家はどうなるんだろう。現地採用組は?

私がマレーシアに住もうと決めた時ってまさにリーマンショック時だったのですが、あの時のマレーシアはかなりひどい状況になったと聞きました。外資の撤退、縮小が相次いで、とんでもない数の「駐在組」が帰国した。あるいは長年勤めた会社のマレーシア支店でも人員整理が進み、日本に帰るあてもないのに職を失った日本人も多いと聞いています。当然、中心部の主だったコンド、つまり駐在組が好むようなコンドは空き室が増え、賃料は大幅に下落した。そしてあちこちのコンドの価格も下落した。

同じことが起きるのかな?

ま、大きな流れには逆らえないと思って生きている人は多いし、その時はその時なんでしょうか。

株価ですが、週足で長い期間、2006年ごろからの推移(週足)を見ると、この株価の変化とともに、「私の目に見えたマレーシアの変化」が映画の早送りみたいに頭に浮かんできます。

始めて来たのは2007年だったはずですが、クアラルンプールは発展しているとは思ったものの、やっぱりマレーシアは途上国だ、アジアの一国だとイメージが強かったです。

綺麗で近代的な部分はあるけれど、古くて汚い部分も多く、走ってる車はポンコツばかりで、オートバイの数も半端ではなく、そして大型のバスではなくてハイエースみたいなせいぜい10数人しか乗れないような車が、一般の足として走り回っていた。アジアだなぁと思いましたわ。

ところがそれがあれよあれよという間に変わって、近代化は進んだ。すごい速さだと思いました。でも「無理があるなぁ」とは感じていましたが、「無理でもやってみる」という成長期のいさぎよい決断ができる経済界を羨ましいとも思いました。日本には絶対に真似ができない。そして皆がイケイケモードに入っているのに、投資を躊躇するのは負けに繋がったんでしょうね。

でもその成長もいつまでも続くわけがなく、巨額の借金を抱え、1MBD問題も表面化し、中国の援助に見えるけれど実態は乗っ取りの罠にもひっかかり、そして今の米中経済戦争を考えると、「良き時代は終わった」のかなみたいな感じもします。

私が凄いなぁと思って注目していたプロジェクトは「Tun Razak Exchange(TRX)」プロジェクトです。場所はKLCCのすぐ近く。

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ここに何を作るかというと、アメリカのウォール街みたいな街。ここを金融の中心地にして、香港、シンガポールに挑戦し、将来的にはウォール街、シティと肩を並べるようにすると。ここに出来るビル群はなんと25棟で中心になる超高層ビルはツインタワーには負けるものの380メートルかな。世界中の金融関係の会社に税金軽減などの優遇措置を設けて250社、スキルのある人才を4万人集めるとのこと。

Tun Razak Exchangeの構想がわかるビデオ。

今はどこまで完成しているのかは知りませんが、正直なところ、夢を持つのは大いに結構だけれど、身の程を知ることも重要じゃないかと思ったプロジェクトでした。香港シンガポールという金融の中心地にチャレンジするのは良いにしても、香港とシンガポールがどれほどの実力があり、どのようにこの2つの都市が競っているかを考えると、そこにマレーシアが割り込むスキなどないんじゃないかと私は思いました。ロンドンのシティにしても歴史的な様々なものの蓄積があってシティが機能するのであって、フランクフルトがEUの中心になろうとどんなに頑張っても無理なのと似ているような気がします。ましてやマリーシアは金融立国となるべき法的整備も進んでいないのに、金融の中心地となるべく箱物をまず作ってしまうなんてあまりにも先行投資の額が大きすぎるし無謀に見えました。

でもこの構想が立ち上がった時って、まさに同じ様に中国が各地に莫大な投資をして恐ろしいスピードで発展していた時代。中国とのつながりが深いマレーシアで、中国資本も多く入っているから「中国に続け」と考えたのは間違いがないと思うんですよ。

でもその行き過ぎた投資の「残滓」と言っても良いものが中国のあちこちに出現し、超巨大なゴーストタウンが各地に出現したのは誰しも知っている通り。

これと同じようなものが、マレーシアの「都心部」に出来るんじゃないですかね。私はここが中国とは違う、マレーシアの問題だと思うんですよ。

その傾向ってもう何年も前から見えていて、多くのモールが苦戦していて、閑古鳥が泣いている、テナントが入らないモールがあちこちにある。

これって経済が順調に伸びていればどうにかなるのだろうけれど、経済が停滞し、後退するようになるとクアラルンプールそのものがとんでもないことになるんじゃないかと思ったり。

先月、ゲンティンハイランドに行きましたが、ゲンティンハイランドのど真ん中に「ゴーストタウン」みたいな建物があったのを思い出します。

この真ん中の建物。

この建物の異様さって写真からはわからないぐらい凄かったです。

これに近い状態ってのはクアラルンプールのあちこちにすでにありますよね。建設途中で投げ出されたままみたいなところ。

こうやって建物が廃墟みたいになるのはまだ良いと思うんですよ。でも近年のプロジェクトは建物だけじゃなくて「街づくり」と言ってもよい大型プロジェクトが乱立していて、地域そのものが廃墟となる可能性もあるんじゃないですかね。

マレーシアが発展する中でイケイケムードになるのもわかるんですよ。これは人間個人も同じで、「やれる時にはとことんやる」と「特に若者」は考える。そして出来る時にやらないと出来ないというのも真理なんでしょう。皆が走っている時に、自分だけ止まるのは走り出すとき以上の勇気がいるんじゃないですかね。

そしていつかそのバブルもはじける。

日本は「バブル恐怖症」に罹ったままだと思いますが、マレーシアの「イケイケ病」の結果、何が起きるのかを考えると怖いと思います。1MBD問題もその残滓じゃないんですかね。

これからのマレーシアが一体どうなるのか、この目でしっかり見てみたいと思います。

そして最後に毎度のことを書きますが、是非とも「トレード」に感心を持っていただきたい。株式投資は長い経験があるという方なら、「買って持ち続ける」だけではなくて「空売りをする」ことも覚えたら良いと思います。

言葉を変えれば、「不景気でも利益を出す技術」と言っても良いと思います。相場が上がろうが下がろうが、どちらでも利益を出せる(どちらでも損が出る)。

特に海外在住ですと「為替で笑い、為替で泣く」ことが嫌でも起こるわけですが、それも運を天に任せるのではなくて、そして積極的に利益を出そうと思わなくても、資産や収入をヘッジするためにも、そして必ず為替交換を日頃から行うわけですから多少でも有利な交換を目指すとか、できることは多くあるんですね。トレードを専業とする必要もなく、ギャンブルに似たようなイメージを持つ方も多いですが、私に言わせれば、「為替の動きは運に任す」ことのほうがギャンブルだと思うくらいです。

特に日本の教育ではトレードは一切教育しないし、そういう世界に足を踏み入れてはならないという巷の価値観もありますが、それはあまりにも古い考え方だと思うんですよ。ちなみにオーストラリアで教育を受けた私の子どもたちですが、「為替売買の実践」が授業であったときいて、さすがだなと思ったくらいです。また「起業家精神を養う」のはどの学校でも力を入れていて、「自らの足で立つ」「自分で決めて勝負する」ことを常に考えるのも重要だと思います。

世の中の「価格」というものは全て相場で動いていますよね。ガソリンもコメも同じ。給料も同じ。そして仕事で仕入れる原材料も、製品の売値も相場で変化する。貿易業に携われば「為替動向はさっぱりわからない」なんて言えるはずもなし。

それなのに「相場観が無い」「相場を無視する」「その時の運に任す」というのがいかにおかしなことか、考えれば誰にでもわかるはずなんですね。

「トレード技術」は現代人に取って必須の技術じゃないんでしょうか。当然、ちょっと教本を読めばどうにかなる技術じゃないのは、他の技術と全く同じですが。

久しぶりにマレーシアの株価推移を見ていて、そんなことを考えました。発展途上国という相場の動きが大きい(ボラティリティが大きい)からこそ、必要なスキルってあるんじゃないかと。

 
 
 

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