マレーシアの感染者数ですが、4月3日時点で3333人。
私がいつも見ているデータですと、その内訳が5の項目で書いてあります。赤枠です。それぞれがどういうグループかと言うと、簡単に言って、左から「そこそこの症状が出ている人」「濃厚接触者」「スリプタリンの宗教行事関連」「風邪のような軽度の症状が出ているひと」「Humatitarian Misson(意味わからず)」です。
そしてそれぞれのグループのなかで、
◯ トータル
◯ 陽性
◯ 陰性
◯ ペンディング
の4つに細かく別れている。
これをよーーーく見てください。何かおかしいのに気が付きませんか?
ペンディングの数字が大きいですが、これは「検査結果待ち」のようです。でもこれもおかしいですね。検査の結果が出るのにそんなに時間がかかるんでしょうか。ですからこれは私達が考える「検査結果待ち」とは違う可能性がある。
私がおかしいと思うのはそれじゃありません。
もーーーっと大事なものが「抜けている」のに気が付きませんか?
それは「無症状の感染者数」です。
どこにもないでしょ?
一般的に言われているのは、「無症状の人はそれなりに多い」ということ。4月3日のフォーブスには17.9%という数字が出ている。(ここ)
なんでマレーシアの統計にはこの「無症状感染者」の数字がないんですかね?
私の想像ですが、マレーシアの「感染者」の定義が違うんじゃないかと。「感染者」ではなくて「患者」を「Confirmed cases」としているんじゃない?
そしてPending「検査結果待ち」の数字が非常に大きい。これと関係があるんじゃないですか?
なおかつ、「検査の精度が低い」ことを考え合わせると、一つの仮説が成り立つ。
1 「検査は陽性」をそのまま「感染者の数字」には入れない(偽陽性が多いから)
2 「検査は陽性」の中で「症状が出たひとを感染者」とする。つまり「患者」を「感染者とする」。
3 「検査は陽性」でも発症していない人はPendingの中に入れて、「観察中」とする。
こう考えると辻褄が合うんじゃないですかね?
もしも検査に誤判断がなければこういう面倒なことは起きないわけですが、精度が低いですから陽性と出た人を全て入院させて隔離し、治療するには問題が多すぎる。ましてや「症状がない」としたら、「単に症状がない」のか「偽陽性で感染していない」のかもわからない。だからペンディングに入れる。
そしてペンディングの数字はそれなりに大きい。画像を見てください。ほぼ4000人。
この人達は「検査で陽性」であっても陰性かもしれないので様子見。
病院には当然キャパシティがあるし、検査、観察するだけでもそれなりの人材リソースが必要。
それらを加味しながらペンディングの人たちを精査すると「感染に間違いがない人」がわかってくる。
そしてその人達は入院するなりなんなり治療法を決めて「感染者の数字にいれる」のではないか。
今一度、画像を見てください。一番下のグラフが「毎日の感染者数」ですが、大体横並びですよね。それもMCOの前も後もほぼ変わらない。
これって他の国と比べても異常なんですね。普通は伸び続けて、ある程度のところでピークを打って減る動きをするわけで、横並びというのは非常に稀。
でも上のように仮定をすれば説明はつく。
つまり、ペンディングの人たちの中から「病院のキャパシティ」「確認検査のキャパシティ」を考え、大体、毎日200人ぐらいしか処理できないんじゃないかと。
だからこれを見ていても、真の感染者数の増減はわからないのかもしれない。
では、見るとしたら?
ペンディングの数じゃないですかね。これの変化が実数の変化かもしれない。そしてもしMCOが効いていれば、まずはペンディングの数字が減ってきて、そしてある程度経ってから「確定感染者数が減り始める」のではないか。
だとしても今の時点でもペンディング数って結構な数字で、もしかしたらこれら全員が真陽性で、「確定感染者」の方へ数字が移るかもしれない。もしそうなると感染者数は今の2倍以上に膨れ上がる。まさかと思いますが、これがマレーシアの実態で、どうにか表面上の感染者数を低くしようと苦心している可能性は間違いなくある。だってそもそも「無症状の感染者数が存在しない」のだから。おかしいじゃないですか。
ま、このへんはアホなオヤジの想像でしかありませんが、少なくとも間違いがないのは「症状が出ていない感染者をマレーシアはカウントしていない」ということ。
日本と同じ様に「症状がない人は検査もしない」方針なのかもしれない。ここは私にはわからず。
ところで話は変わりますが、私は「むやみやたらに検査をするとそれだけで医療現場は大変なことになる」というのを理解できました。なんせ検査の誤判断が多すぎますから。
だから「症状が出ている人の確認のために検査をする」のは正解だと思っています。
ところがですね、先日、こんな話がありました。
「症状が出ていない人でも感染を広げるわけですが、重症者の方が感染力は強い」と言われていました。同じ陽性でも「持っているウィルスの数」も違うのでしょう。ウィルスの増殖が激しいと症状は重くなると。
ところがですね、「ウィルスの増殖が激しいのに発症していない人もいる」と。こういう人が「スーパースプレッダー」になって感染を広げるわけですが、どうも愛知県にはそういう人が複数いるであろうことが「感染者の調査で見えてくる」というのです。
でもその人を特定することはほぼ不可能で、そしてその人は発症していないので検査を受けることもないと。本人も気が付かない。野放し状態。
こういうのを聞くと、やっぱり広く検査をしたほうが良いと思いますが、この数人をあぶり出すために大量に検査をすると、何千何万単位の「偽陽性(陰性なのに検査では陽性と出る)が出る」わけで、あぶり出しは事実上不可能とのこと。
それともう一つ不思議な話。
上に書いたように「陽性でも症状が出ない人は17.9%いる」という報告がある。
ところがですね、アイスランドでは【陽性者の半数に症状がみられない】と。これって変だなぁと思うわけですが、ニュースを読み進めていくと、「国立大学病院では高リスクのグループや症状のある患者を対象に検査を実施しているが、約半分は保健当局の委託を受けたバイオ医薬品会社で(中略)【だれでも受けられる】」とのこと。(ニュースはこれ)
これってまさか、「検査で陽性と出たら、陽性として扱う」事をアイスランドではしているのかもしれない。だとすれば、「半数は症状が出ない」のも当たり前。本当は陰性なのかもしれないのだから。
なーんて、そんなマヌケなことはしませんよね。
でもとにかく「検査で陽性と出たら陽性として扱う」のも「医療リソースが足りている」のなら良いと思うんですよ。でも本当に感染が広まり真陽性が増えたら医療崩壊が起きますね。
しかしま、検査にしても、感染者の数え方、発表の仕方もそれぞれで統一したルールがないから比べるのも意味がないと言えば意味がないですよね。
これは日本国内も同じで、今は検査をあちこちで出来るようになりましたが、「それを集計するルールが決まっていない」そうで、土日が入れば月曜にまとめて連絡するようなところもあれば、検査結果ではなくて検査をした日を確定日として報告したり、毎日の報告締切時間もなくて、メチャクチャだとのこと。
そしてその発表された数字を見て、私達は一喜一憂する。
やっぱり数字は「移動平均線」で見ないと駄目ですね。例えば5日間の平均ラインを表示させて、それで見る。そうすれば凸凹は無視して、傾向がよく分かる。