検査を早く、もっとやれ!という声は最初の頃から大きかった。
私もダイアモンドプリンセス号の時にそう思ったし、なぜやらないのかが全く理解できませんした。
ただPCR検査の的中率に関して問題があって、それを知った時にはなるほどと思ったのはここにも書いた通り。
簡単に言えば、PCR検査にはいろいろ尺度があって「感度」と「特異度」が重要らしい。
◯ 感度とは「陽性の人が陽性と出る率」で、60-70%と言われる。つまり1000人の陽性の人がいたとして、陽性と出る人は600人。陰性と出る人が400人。
◯ 特異度とは「陰性の人が陰性と出る率」で90%と言われる。大量検査をすれば陰性の人が多いわけで、10万人検査をすると(全員が陰性だとして)1万人が陽性と出る。
これを知っただけで、なんだ?この検査はと思ったわけで、ましてや日本の場合は「陽性の人は入院措置をとる」のが法律で決まっているわけで、大量検査をして出た「陽性と出た陰性の人たち」、上の例で言えば1万人も入院対象となる(日本の感染症のための病床は全部で自衛隊も含めて2000床)。また陽性なのに陰性と出た人たちは「安心して野に放たれる」わけで、こりゃうまくないと。そういう意味で、私としては「全員が【自分は陽性かもしれない】という不安」を持っている状態が一番良いような気もするわけです。
だから医療現場では「症状」を大事にするのが当たり前で、検査の結果を重視することは出来ない。陽性だとしても入院が必要ではない無症状の人もいるわけだから。
また「医療現場は感染の広がりを考えるのが仕事ではない」わけで、「治療が仕事」。感染の広がりを考えるのは違う部署。
でもこの状態だったら「検査を重視しない」理由はわかったにしても、一体世間にどれだけの感染者がいてどう広がっているのか、それをどう抑えるのかがわからない。
日本にはクラスター班があって、それがクラスターを追っているのはわかる。では感染経路がわからない人たちはどうなるのか?私はこの部署が強すぎる決定権を持っているような気がする。
PCR検査を積極的にやっている国も「的中率が低いのは同じなはずで」、それをどうコントロールしているのかの報道は見たことがない。不思議ですよね。
でもまだ一般的には「PCR検査をすれば陽性・陰性がわかる」と信じている人は多く、海外のようにやれという声は静まらない。
ところが海外のケースでも、実は「誰でも検査を受けられるわけではない」のはアメリカの報道を見てもわかる。
おかしいじゃん?
ただし、PCR検査もいろいろで、日本でも「楽天が検査キットを売り出す」とか、マレーシアでも「自費で検査を受けることは可能」。こういう「私的な検査」も「公的な検査」もごちゃまぜで「海外では検査をやっているじゃないか」ということになっている。
でも「私的な検査の結果を、医療現場では使わない」のはどこも同じじゃないですかね。だとしても「検査が多いのは海外の場合、間違いがない」。
そして最近わかったことですが、「PCR検査とは【新型コロナウィルスの陽性、陰性を調べる検査】」だと思っていたら違うんですね。少量のRNAを増殖してそこに「コロナウィルスがあるのかどうかの検査」であって、【陽性と出たコロナウィルスが、新型のコロナウィルスではないケース】もあると。今回の新型コロナウィルスを特定するのは簡単ではないらしい。新型コロナウィルスはコロナウィルスの一つでしか無くて、SARSやMERS、インフルエンザもコロナウィルスで、インフルエンザのコロナウィルスに反応している可能性も大きいそう。
また検体を取るのも簡単じゃないらしいじゃないですか。誰でも綿棒みたいのを鼻から突っ込んでチャチャッとできるような検査ではない。だから「検査所を増やすこと」に医療現場は懸念を持つんじゃないですかね。もしドライブスルーや通販等、私的な検査が増えても、それは「目安」であって「試験結果」として医療現場が重視することは無いんじゃないですかね。そもそも公的なちゃんとしたPCR検査でも的中率が低いんですから。
これじゃ全然駄目じゃんと思うわけですが、日本には「海外には無い秘密兵器がある」んですね。それはCTスキャナーで世界の3分の1にあたるCTスキャナーが日本にあるそう。
そしてCTスキャンをすると「新型コロナウィルスの肺炎と他の肺炎の違いはすぐにわかる」んだそう。無症状者でもCTスキャンをすると感染がわかることもあるらしい。
つまり、「感染しているかしていないかの判断」をPCR検査だけだと思ってしまう我々一般と医療現場とはかなりのズレがあるんじゃないですかね。でも「感染の確定のための検査」はする。
それと各国のデータですが、非常に不可思議な点がある。それは【国によって回復者の%がまるで違う」という点。
これはそれぞれの国で「感染者が増えた時期が違う」から、最近、感染者が増えたところは【回復者の%が低い】のは当たり前。
ところがですね、この数字を3月の始めから見ている私としては、「回復者の%が違う」のが目立っていたのは間違いがないのね。
日本は11.78%。マレーシアは61.09%。
国によって「回復するまでの日数が大きく違う」なんてことがあるんですかね。おかしくない?
ここで一つの仮説が出てくる。
まず、「退院させる基準が各国バラバラ」であろうことと、私が気になるのは他国の新型コロナウィルスの感染者数の中に「インフルエンザなどの肺炎の患者」も入っているんじゃないかということ。あるいは「本当は陰性の人の風邪」も入っているんじゃないかということ。でも日本のようにCTスキャンをするとかなりの精度でわかる。
的中率の悪いPCR検査を重視したとすれば、そして「陰性でも陽性と出る率が10%ある」とすれば、「回復も早い」のも当たり前じゃないかと。
私は決して日本のやり方が良いとは思わないけれど、「海外を引き合いに出して良いの悪いの言う」のは筋違いじゃないかと思うわけです。各国は各国の事情があるわけで、それに沿って検査をしているわけで、また検査も私的、公的もあって、最近、中国からヨーロッパに送られたPCR検査試薬が粗悪品で返品をしたなんてニュースもあるし、基本的にはPCR検査そのものを重視するのも問題があると私は思うわけです。
でも陽性陰性の判断をPCR検査に頼るしか無い国は、当然、それを重視するしか無い。
だから日本には日本のやり方があるのだろうとは思うのだけれど、日本の場合は「PCR検査をする」のが大事な人もいるのに、そういう人も検査を受けられない日本は異常と言って良いのかもしれない。
ま、我々みたいなド素人でも「現実を知りたい願望がある」のは当然で、それに対するちゃんとした「説明」を政府や厚労省はすべきですよね。でも専門家の中でも言うことがバラバラって一体どうなっているのか。
ただ、手一杯で頑張っているのは間違いのない医療現場に今以上のプレッシャーを掛けてああせいこうせいとド素人が言うのは筋が違うと思う。
そもそも日本では毎年13万人が肺炎で亡くなる。一日350人。
そういう意味では、コロナの死亡者は圧倒的に少ないわけで、コロナだけを最優先できないという現場の事情もあるんじゃないですかね。でも気を緩めると院内感染が広がる。でもこれもまた、もしかしたら「他の肺炎で死ぬ人が、たまたまコロナで死んだ」ということもできるんじゃないですかね。高齢者で合併症、持病がある人が肺炎で死に至るのは昔から同じ。
だからこの辺も、我々一般と医療従事者と考え方に差があるかもしれない。「感染爆発が起きたら大変」という点では同じでも、毎年インフルエンザで死ぬ人は8000人はいるのに、今季はインフルエンザとコロナと合計しても3000人に満たないことは医療従事者は皆知っているわけだし。でもメディアは「新型コロナウィルスの出現で、全体の感染症での死亡者が減っている」ことは報道しない。
今、日本は検査数を増やそうとしているし、楽天が検査キットを売り出すこともするそうで、それで「検査結果を知りたい人たちの要望は満たされる」にしても、それが理由で医療現場が混乱しないことを祈るばかりなり。
今、日本の医療現場は、野球で言えば「最終回、ツーアウト満塁の大ピンチの時」。それなのにピッチャーに対して、「お前、フォームがなってないぞ」「投げ込みの練習が足りないんじゃね?」「準備が足りないんだよ」というのと同じ様に思えるんです。
最近、興味があるのは検査は検査でも「抗体検査」。どうもこれを試験的にやってみたら「抗体を持つ人が意外に多い」のがわかったそう。つまり、知らない内に感染して、治ってしまった人ってことになるわけですが、逆を言えば、世の中には「とんでもない数の感染者がいる」ことになる。
それをいう専門家も出てきていますが、それが事実なら、今までの各国のデータからみても「重篤化する患者」「死亡者」が指数関数的な伸びをしても良いはずなのに、日本ではそれが起きていない。
「不思議な国、日本」
世界からバカにされている「緊急事態宣言」「自粛要請」でも、「収まってしまった」という【快挙】を世界に見せてほしいなぁ・・。
「政府や自治体が決めたことだから・・・」じゃなくて、「個人個人がコロナウィルスがどこにいるかの想像力を働かすだけ」で感染は収まると思っている私。それができれば自粛も営業停止もしないで済むだろうし(でも生活様式は一変する。New Normal)、そういう将来を目指さないと経済は破綻し、弱者はとんでもないことになる。今回のコロナを撲滅することは不可能で、「集団免疫を獲得するまで」政府がいくら保証をしても何年も続けられるわけがないのだから。
日本で何十万人も死者が出るようになれば、逆に免疫を持つ人も増えて「感染の広がりは抑えられる」にしても、「一度罹患すれば免疫ができて、再度感染することはない」という確証はまだ得られていない。
ましてや「コロナウィルスが変異を続ける」とした場合、免疫もどうなるかわからない。そして何年も前から専門家が「ウィルスと戦う時代になる」と警鐘を鳴らしていて今日があるわけで、「自然に任せて終息を待つ」ことが得策とは思えず。
明治維新で【数年の内に】日本人の生活様式はガラッと変わったわけだけれど、それと同じ様なことが今、人類に求められているのかもしれないという想定は大事だと思う。
前にも紹介しましたが、「NHKスペシャル【MEGA CRISIS 巨大危機3 ウイルス大感染時代】2017年」をまた見ながら、私達の将来を想像するのも良いと思う。
ビル・ゲイツの2015年の講演(TED)。
2019年にはアメリカで、「南米からコロナウィルスの感染が広まったらどうするか」という大きなフォーラムが開かれて多くの専門家が集まってシミュレーションをし、対策を話し合われたのは、前に紹介しましたよね。(Event 201 Pandemic Exercise)