マレーシアを満喫して満足している方々も多いし、また「こりゃダメだ」とすぐに帰国を決めた人もいると思う。それってどの国も同じで、合うか合わないかはその人次第。
私達家族が25年暮らしたゴールドコーストも同じで、移住してから数ヶ月で「ここの食事情では暮らしていけない」と日本に帰った夫婦もいました。(日本では白金在住だったセレブ 笑)
さて、私がマレーシアに拠点を移して早6年。今どう思っているかというと・・・。
フト、ゴールドコースト時代を思い出すことが多いんですよ。あの頃は良かったなぁと。
今、マレーシアで良くないのかというと、「住む目的が違う」わけですから、良いか悪いかの判断は簡単ではないのね。
我が家の場合は、マレーシアに来た理由は「経済的な理由のみ」ですから、そもそも楽しみに来たんじゃないのね。言葉は悪いけれど「儲けに来た」というのがピッタリ合っている。それまではしっかり課税されていた我が家の収入は「マレーシアでは課税されない」こと、そしてゴールドコーストに比べたら「物価が非常に安い」こと。だから5年も頑張れば面白いことになると思っていたわけです。
ところが現実的にはとんでもない大きなお金を「債券投資」で無くしてしまいましたし(初めての経験)、ボーッとして生活するのが可能なマレーシアだから、どうしたってそんな生活に甘んじてしまうのね。いつの日か、「頑張って稼ごう」なんて気持ちも薄れてダラダラと生きてきたわけです(コロナも大いに関係あり)。これって「それが出来る環境である」からマレーシアの良さなんだけれど、私が自堕落な生活に陥ってしまったということ。
これってやっぱり収入に課税されないこととマレーシアの物価安で「実質的な手取りが二倍になった」のが大きいかも。そういう環境下では切羽詰まった感がなくて、やる気も段々と薄れていったのだと思う。
普通、「所得倍増」を狙ってもそう簡単には行きませんが、「マレーシアに住む」だけで「手取りが倍増」を実現してしまうって本当に凄いことだと思う。
ではダラダラ生きる生活が楽しいかというとそれもなくて、私はマレーシアで楽しみを見つけられないでいます。
私はやっぱり幼い頃から「アメリカ的な生活」が好きだったし、オーストラリアに住んだのもそれの延長なのは間違いがないのね。でもこれを言うと怒られると思うけれど、アメリカってやっぱり裕福な国で、そして自然豊かでなんでもある国。ところがオーストラリアは自然は豊かだとしても貧しいというか非常に質素で選べるものが限られているし、そもそもオーストラリア人って質素な生活を好む人達が多いのね。
だから自然が多く、住む地域の近くに大自然があったとしても、【楽しみ方がアメリカとオーストラリアとは違う】んですよ。ま、場所によるといえばその通りなんだけれど、アメリカって「サービスがとんでもなく充実していて、自分にあったものをいくらでも選べる」のね。ところがオーストラリアって「自然を大事にして質素に遊ぶことの一択しかない」みたいな。
それはそれで好きな人がいるのは間違いがないのだけれど、例えば「ハワイの面白さ、出来ることの多さ、華やかさ、様々なサービス」みたいのはゴールドコーストにはないのね。でも「大自然の中でボーッとするには最適」だと思う。当然アメリカでもそれは出来るわけで、「選択肢の多さがまるで違う」というべきか。
ま、そんな感じで、オーストラリアの私にとっての「物足りなさ」ってあったのだけれど、生活の基盤としての「大自然に囲まれている」のは間違いがなくて、ゴールドコーストだとそれこそ30分も車で走れば「大自然の真っ只中」に行ける。空も海も空気も綺麗で、自宅から15分で街の中心地に行けるのだけれど、その街はゴールドコーストの海岸沿いにあるわけです。
街の目の前の海の綺麗さがこの写真から伝わると良いのですが・・・。これってシドニーも似ていて、日本で言えば「汚染されていない湘南海岸が都心にある」みたいな。
マレーシアに来る直前に借りていたコンドの眼の前はこんなだし。
そして地元の人間しかいかない「秘密のきれいな場所」みたいのもあったし、子どもたちが幼い頃に家族旅行でニューカレドニアに行ったのですが、子どもたちは「ゴールドコーストのほうが良い」と言ったのが忘れなれないし、私も正直なところ、ニューカレドニアもこんなもんかと思ったんですよ。
ま、それはゴールドコーストの環境の話ですが、家での生活でもゴールドコーストのほうが今のマレーシアよりはるかに恵まれていて充実していました。
アメリカ人、オーストラリア人の生活ってどんな生活をイメージしますかね。
大きな家に住んで、プールがあって、頻繁に庭でバーベキューをやってパーティ三昧、ガレージには日曜大工が出来るような工具をズラーッと並べていて、旦那のお決まりの仕事は「プール掃除と庭の芝刈り」とか。休みの日には好きな車の下に潜って、油まみれになりながら車いじりとか。また、家の裏庭は湖とか川に面していて、自分の家の桟橋から釣りができるとか、ボートも持っていて、休みの日にはボートで遠くに釣りに出るとか。
そして仕事は基本的に9時5時で残業はない、単身赴任や突然の転勤もない、有給休暇は3週間はあるのが普通。
私が持っていたイメージってまさにそれで、ゴールドコーストに渡ってからはそういう生活を私達もしていたわけです。我が家はクルーザーもボートも持ちませんでしたが、そういう生活をする日本人も多かった。
そういう環境って決して一般的ではないにしても、「家にプールがある」なんてのは普通で、「プールがないと査定が低くなる」という土地柄。
こういう生活、環境って日本的には「マジ?」となりますが、ここで特筆すべきことは「我が家は金持ちでもなんでもなかった」ってことなんです。金持ちで無くてもこういう生活環境が手に入る。だからこそ、私達はゴールドコーストに渡りました。
我が家がお願いしていた「芝刈りのおっさん」ですが、自分のクルーザーで釣りをするのが趣味で、年に一度は3週間の休暇を取って世界旅行をするような生活をしていました。ゴールドコーストって、そういう場所だったんですよ。そうじゃなければ、右も左もわからない、友人さえもいない、仕事もない状態で私達家族でオーストラリアに渡るわけがない。
物価もハンパじゃなく安くて(ちょっと前のマレーシアみたいな感じ)、私が情報を集めていた1980年代は【贅沢をしなければ家族四人で月15万円で生活できる】と言われていたんですよ。嘘みたいでしょ。プール付きのウォーターフロントの家が1500万円程度から買えた時代。今はとんでもないことになっていますが・・・。でも収入も大きく上がり、30歳前後で年収1千万円は普通だし、シドニー在住の次男坊は33歳で年収1900万円。でもシドニーでの生活は苦しいという。
これって、円安と長い日本経済の低迷があったからこういうことになっているわけで、他国と同じ様に日本経済も大きくなっていたら「日本人の平均年収は1千万円超え」になっていたはず。でも物価が高ければ意味がない。
我が家の寝室からの眺めはこんなでした。
眼の前はネラング川の本流で(運河というべきか)、裏庭にある桟橋から釣りをすれば「クロダイ、キス、マゴチ」は一年中釣り放題で「マッドクラブ」も大型のがいくらでも捕れる。たまに「イルカ」も入ってくるような運河。その運河を伝わって降りていけば大海にも出られる。近所の家はボートというかクルーザー、あるいは大型のヨットを自宅の桟橋に係留しているのが普通で、「自然の中で生きている感」が満載でした。
こんな感じで、ウォータフロントの家がごっそりある。
それを今、思い出すと、私達ってマジで恵まれていたんだなと思うんです。
マレーシアに上陸したときに、前からSNSで知り合いだったマレーシア在住の方々が「ウェルカムパーティ」を開いてくれたんですよ。そしてその席上で何度も同じことを聞かれたのを思い出します。
「オーストラリアのほうが良いと思うけれど、どうしてマレーシアに来たの?」って。
オーストラリアのほうが良いかどうかは人によるし、多くの日本人がマレーシアでゴルフを楽しんでいることを考えると、そりゃゴルフ環境はゴールドコーストのほうが良いと思いますが、私達は「マレーシアの方が良い」と思い、それは我が家の経済的な理由によるものだとしても、そう思うからマレーシアに来たのであって、その質問に違和感を感じたのを思い出します。「そんなにゴールドコーストって良いと思っているのか?」なんて思った。
でももう6年も経つと、ゴールドコーストを思い出してはため息をつくようになってきてしまった。ゴールドコーストでは「やりたい」と思うことはほぼ全て出来ていましたから。
私達が今住んでいる住まいの環境としては、そこそこ良いコンドでそこそこ高いレントを払っていますから決して悪くはないのですが、自分の持ち物ではなくて賃貸ですから「好きなように部屋をいじれない」のね。そして「家具や備品も備え付けのもの」なわけですが、正直なところ「どれ一つとしてまともだと思えるものがない」んですよ。
でも「そもそも短期滞在だからそれでも構わない」みたいに思っていたのね。いわゆる「駐在組」みたいなもので、「住めれば良いんじゃね?」みたいな。
でもその考え方も段々と変わってきて、家具も安物、ベッドも酷いものだし、多くはIkeaで買ってきたものなんでしょう。せめてこのコンドが「オーナーが住んでいた物件」なら良いのだろうけれど、【賃貸目的の部屋】だから良いものなんか一つもないんですよ。(オーナーは半端じゃないケチで困ってます)
部屋そのものには大満足で、引っ越しをしたいなんて考えたこともないのですが、QOLを考えると「なんだかなぁ」と思うようになりました。でも私もヨメさんもそのことは一切口に出しません。やっぱり頭の中に「私達はどうせ短期滞在だから」という考えがあるからでしょう。
私達には「移住してきた」という感覚もないし、やっぱり6年経っても「たまたま今、住んでいるだけ」の感覚なのね。
でも結構高いレントを6年払ってきて、そしてまだまだこれからも住み続けることを考えると、買ってしまったほうが良かったかなと思うこともあるんですよ。それなら自由に部屋をいじれるし、家具や電気機器も好きなものを入れられる。
今はダイニングの半端じゃない(多分Ikeaの)安物の椅子でも壊れたのを直しながら使っていて、「俺たち何をしているんだろう」なんて思いながら生活しています。安物のベッド、マットレスで寝るのももう慣れています。(笑)
でも今更、この生活を変えようとも思わないのね。やっぱり自分が70歳になってしまったってのが大きくて、我慢するしか無いなと思っています。そもそも、最近は「いつマレーシアを出ることになるかな?」とか、「あとどれぐらい生きられるのだろう?」という思いのほうが強いわけで、今更マレーシアの生活環境を良くしようなんて考えられないのね。
私達がマレーシアに来たのは「金銭的な理由」でしかありませんが、そういう意味での恩恵は十分受けていますが、今、フト思うと、「税金も高い、物価も高い。冗談じゃない」と思っていたゴールドコーストで、「負けずに頑張って生きていこう」と決心したほうが充実した生活を送れたような気がしないでもない。
私達がマレーシア行きを決めた時に(その時点では姉はもうマレーシアに渡る寸前だった。でもそのことを私達は知らなかった)、それを聞いた両親が「俺たちも行く!」と言い出して、あっという間にMM2Hを取り、リーマンショックの影響で瀕死状態の我が家より早くマレーシアに来て住みだした。
母は2019年に他界しましたが、父は今年96歳になる。当然、今更日本に帰るなんて考えは皆無で「俺はマレーシアで死ぬ」と決めています。「飛行機に乗るのも嫌だ」と言います。そんな父の面倒を見ているのは73歳になる姉で、姉も人生が狂ってしまっているのは間違いがない。かつてはハワイに長く住み、その後サンディエゴに移り、「もうアメリカはダメだ」とアメリカの永住権も返納してマレーシアに移ってきた姉ですが、まさか姉も「介護生活になる」なんて想像していなかったはず。2泊3日の旅行さえも行けない生活を続けている。
私達一族は、かつては皆が世界でバラバラに生活していたのが、今はマレーシアで集結して住んでいるのは「良いこと」とは思うけれど、本当にこれで良かったのかは疑問。
そんなことを考える今日このごろ。
上を見ればキリがない。下を見てもキリがない。わがままを言い出せば止まらない。
困りましたねぇ。
でもね、一つだけ確かなことは、「今、私は間違いなくヒジョ~~に幸せだと思っている」こと。
それだけで十分なんだろうとは思うけれど、言いたい愚痴は山のようにある。(笑)
今回、こんなことを書こうと思ったきっかけですが、「我が家では焼肉もできない。BBQなんかとんでもない」なんてことを考えだしたのが始まり。馬鹿だよね~~。(笑)
「最近の卓上コンロで煙が出づらいのもあるよ」「コンドにBBQができる施設があるでしょ」ってか?
そういう問題じゃないの!!
私に取っての焼肉、BBQってこれなんですよ。
私は調理実験や低温調理、そしてローストビーフを良くやりますが、「私の頭の中にあるもの」ってこれなのね。
この人はカナダ在住。
マレーシアでも「一軒家」に住めばかなりのことが出来るけれど、ヨメさんは「一軒家?絶対に嫌。ゴールドコーストで苦労したから」と言います。
ま、家の維持に責任を感じる「主婦」の立場だとそうなるんでしょうね。「俺がちゃんとやるから」なんて言っても、絶対に信用しません。(笑)
しかし、今日書いたことは多くの人から反発を受けるんだろうな~。
でもこれが本音であり、そして事実。