無い物ねだりをしてもしょうがないですが、マレーシアリンギットの動きをチャートで見るたびに何度も何度も同じことを考えます。
FXでも先物でもあればなぁ・・・、って。
我が家は米ドル中心の生活をしていますが、マレーシアに住んでいますからやっぱり一番使うのはマレーシアリンギット。
去年まではタイミングを見ながら米ドルをリンギットに交換していましたが、去年の「海外の収入をマレーシアに持ち込んだら課税する」というニュースには本当にびっくり。
それも施行開始は数カ月後から、なんてのも驚きで、とりあえず数年間は海外からマレーシアにはお金を持ち込まないで済むように、多めにマレーシアに送金しておきました。
でもよくよく考えてみたら、私達がマレーシアに持ち込んだ外貨が「収入なのか、資産なのか」を判別することはマレーシア当局もほぼ不可能なはずで、どうにでも出来ちゃいますよね。
そりゃ「虚偽の申告は犯罪」ですが、お金に「これは収入、これは資産」と書いてあるわけでもなく、自分の中でも区別なんかしない。
例えば海外で毎月100万円の収入があったとして、それを毎月マレーシアに送金すれば課税対象になるにしても、ではその収入は収入として「海外で貯蓄あるいは運用する」ようにしていて、マレーシアには「満期となった定期預金分を送金する」としたら、このお金って収入なのか資産なのか。利息分だけが収入?
そもそも「収入とキャピタルゲインは別」で、キャピタルゲインには課税しないということらしいのですが、【このお金は収入。このお金はキャピタルゲイン。このお金は前から持っていた資産】なんて分けて管理しているわけでもないじゃないですか。
【資産の移転】にまで課税されたらとんでもないですが、【資産はかつての収入】でもあるわけで、私の脳みそでは一体何がどうなって課税対象となるのかがさっぱりわからない。
多くの国がそうであるように【全世界所得に課税する】というのならそれなりの対処は出来るし、また収入が発生する源泉国での納税が最優先されるわけで、納税をしていれば、そしてその国とマレーシアが「租税条約」を結んでいれば、【納税した分はマレーシアで税額控除】を受けられるはず。
でもそういう意味での【普通の国】になったとしたら、マレーシアの税制にはメリットが無くなるので私としてはマレーシアから出ていくことになる。
かつてはどの発展途上国も「海外で稼ぐこと」を推奨していて、特に【出稼ぎで稼ぐ国】って今でも多いですよね。かつてフィリピンではそういう「外貨を稼ぐ人たち」にはバリックバヤンという称号まで与えていろいろ優遇していた(今は知らない)。
これはマレーシアとて同じなはずで、そして「貯金をしましょう」「投資をしましょう」ということで【利益には非課税】という特典を作った。出稼ぎに出た人たちからは「母国に送金する」ことで、国の経済も家族も潤うわけで、今でもインドネシア人が日本に来て働いて、そのお金で「故郷に家を建てる」なんてのは盛んに行われている。
だから「海外での収入を持ち込んだら課税する」ってのは国を挙げての大騒ぎになるはずなのね。
でもそういう騒ぎはマレーシアでは起きていない様子。
私には全く意味不明。
ただ世界の動きとしては「似たような税制にしましょう」という動きがあって、タックスヘイブンの締め出しとか、優遇税制がある国はマークされる。そしてマレーシアもマークされたと聞きました。(その後、マークは外されたという情報もある)
ま、タックスヘイブンにしても優遇措置が厚い国も、「そこへ移住しよう」という人たちや企業は増えるわけで、これって脱税ではないけれど、節税策としても認めたくないのはよく分かる。
今はどうか知りませんが、アップルのiTuneが莫大な売上と利益を生んでいるけれど、事業主体はどこの国か忘れましたが、そこで非常に低い税率で納税していてアメリカは税収入とならないと結構騒いでいた過去もありますよね。
日本のamazonも、とんでもない売上を上げているのに【日本に納税していない】と騒ぎになったのを思い出します。それは日本amazonは「注文の受け継ぎ」をしているのであって、【販売する主体は日本にはない】ということだったと思います(要確認)。その後、納税するようになったという話も聞いていますが、詳しいことはわからず。
だから「世界の税制は似ている」方向に持っていかないと、優良企業や金持ちがどんどん海外に出てしまうわけで、タックスヘイブンも昔のような使い勝手の良さは悪くなってしまった。日本ではタックスヘイブンにある子会社も【合算】されて課税するような法律を作ったけれど、まだまだ抜け道はある様子。
またタックスヘイブンでは「居住者でなければ銀行口座も開けない」様になってきたし、マレーシアも居住者ではなければダメという決まりも同じ流れなんでしょう。
ま、そういう世界の動きを見た上での、「マレーシアの税制改正」ってことなんだろうとは思うわけですが、【頑張っているフリをしているだけ】の様に思えてきます。
マレーシアでは「居住者でなければ銀行口座を開けない」というのもいい加減で、では居住することをやめたら、つまりMM2Hで住んでいたのをやめて日本に引き上げるとなれば、【居住者でなければ銀行口座を持てない】ことになっていますから、「銀行口座は閉鎖する」決まりになっていると誰でも思うじゃないですか。
でもある時、そのことをHSBCで確認したところ、【口座はそのまま保持できます】という返事。なんだこりゃ?ですよね。でもま、それを利用して、マレーシアに隠し金を残して置く「元MM2H」が多くいて、当然、日本の当局には知らせず、運用益も申告せず、贈与や相続でもうまくやろうということなんだろうけれど、それができるマレーシアってまだまだ発展途上国なんだなと思います。
でも日本側もそれを放置することはありえないわけで、ま、どの国も同じですが、まずはOECD諸国内での「非居住者の金融口座の内容を交換するシステム」を作った。私も息子もそのシステムに引っかかってマレーシア当局から通知が来たことがありますが、我が家は法律厳守ですので全く問題にはならず。
でも課税する権利を持つ国はそれぞれ厳しい対策を考えていて、海外を利用した節税・脱税は年々難しくなっているのは間違いがない。海外に出て贈与対策するのは、かつては非常に簡単だったのが、今では日本を出国してから10年以内の贈与・相続は「日本で申告納税する義務」があるとなったのもその一環。
でもまだまだ抜け穴はあるし、確信犯の「無申告」を見破るのは簡単ではない。
そういう意味で、様々な企みが成功してしまうのがマレーシアで、贈与税も相続税もないことからまだまだ確信犯にとっても【魅力がある国】なんでしょう。
MM2Hを改定して「もう貧乏人はいらない」みたいなことを言われて腹を立てたMM2Hも多かったと思いますが、「これからは金持ちを対象とする」というのも、「マレーシアにはまだまだ抜け穴を残しておく」というのが【国策】なんじゃないかと私は疑いたくなってしまいます。
そして「海外での収入を国内に持ち込んだら課税する」というのも、【国内に投資してください】という意味なのかもね。
でもある日突然、「変更を告知する」ような国が信用されるとは私には思えず。
世の中には「グレーであること」を好む人も多いわけで、マレーシア的ないい加減さこそがよいところだと考えることも出来るのかもしれない。
こういうブログを書いていると「何かうまい手はあるか?」とか「こんな方法を取れば見つからない」とか、そういうコメントやメールを貰うことも多く、確信犯的な考え方を持つ方が多いのに驚きます。
あらためてここに書きますが、私としては「法律厳守」の考え方を持っていて(そうじゃなければマレーシアまで来ない)、その中での節税や資産構築を考えています。もちろん「危ない手」を昔から調べたり研究したりしてきましたが、それは【法律を知るため】であり、【合法的な節税をするため】なわけです。
そしてそれに挑戦するから意義があるわけで、どんな大きな資産を作ろうと子どもたちに「オヤジ、うまくやったねぇ、いひひ」なんて絶対に言われたくないわけです。
だから日本の住民票はそのままにしておいて、社会保険庁には「海外在住」と届けて、【年金は無税で手にして、国民健康保険は使えるように維持する】とかそういう日本の縦割り行政を利用した違反行為(今でも通用するのかどうかは知らない)に関して「うまくやってますね」なんて私は絶対に言わないどころか、「こいつ、通報してやろうか」「ネットに晒してやろうか」と思うタイプであることをお忘れなきよう。
私は「脱税談義」には一切入りませんし、お仲間だと思われたくもありません。でも「節税」の話なら是非とも入れていただきたい。
話を戻しますが、マレーシアではTun Razakで大規模開発をやっているじゃないですか。クアラルンプールを「金融都市にする」という壮大な計画がある。香港やシンガポールに追いつき追い越して、遠い将来にはアメリカのウォールストリートやイギリスのシティの様にしたいと。
それに合わせて税制なり、商慣習なり変えていくってことなんでしょうが、もう建物だけは凄いのを作ってしまって、話の進め方に「中国的な安直さ」を私は感じています。これは巨大なモールやコンドミニアムの開発ラッシュも同じで、今、JBのフォレストシティが問題として浮上してきていますが、マレーシアの「慌てているように見える開発ラッシュ」も【裏に中国の影】が見えるような気がしています。
ということは「中国経済の衰退」の影響をマレーシアはモロ受けることになるのかな?
毎度の長い話になってしまいましたが、壮大な計画を持っているマレーシアとしては、やっぱりしっかりした税制構築と環境整備が必要じゃないんですかね。
私はそれの大事なことのトップが、「マレーシアリンギットの自由化」だと思っています。
かつてのアジア通貨危機をきっかけにして、マレーシアリンギットがハイエナの餌食にならないように「箱入り娘」のようにしてしまい、【マレーシアリンギットは世界通貨とはしない】と決めた。マレーシアという国の中だけで流通させる【ローカル通貨】のまま。
だからFXもなければ先物も無い、オプションもない。そしてリンギットを自由に国外に持ち出して運用することも不可能。
この状態で、マレーシアに直接投資をして欲しいとか、Tun Razakを「金融都市にする」とか、なんだか夢ばかりが先行したチグハグさを私は強く感じています。
まずは「マレーシアリンギットを自由な通貨にしてほしい」。これが私の一番の願い。
この数年のマレーシアリンギット・日本円のチャートを出します。
今は日本円がかなり安くなっていますが、かつて日本円をリンギットに替えて投資した、不動産を買った様な人は、【今、現金化して日本円にしたら結構大きな利益が出る】と考えている人もいると思うんです。
でも「現金化」なんて簡単にできるわけがないじゃないですか。だから「今の円建てで考える含み益が大きくてもそれは【絵に描いた餅】で終わる」かもしれない。
でもFXや先物があれば、今の時点で「(為替上の)利益確定」ができることになります。
これはリンギットで「定期預金を持つ」人も同じで、円安による含み益を手にするためには「定期預金を解約するしか無い」ってなんだかあまりにも【時代遅れ】だと思いませんかね。
こういう自由度がないと「ハゲタカからリンギットを守ることは可能」だとしても、【リンギットが高い時には外資は出てしまう】【リンギットが安い時には外資が多く入ってくる】という【縛り】ができてしまうんじゃない?
投資する方だって「為替動向」は非常に重要なのに、【ヘッジする方法がない】んじゃ、どうしたって二の足を踏むことが起きるんじゃないですかね。
日本円を主として生きている人には「円安、リンギット高」が気になるはずで、「円に替えるチャンス」と見るかもしれない。
ところが米ドルを主としていますと、「ドル高、リンギット安」なのね。今、記録的なリンギット安に向かっている最中。だから一方では「リンギットを売るチャンス」であり、もう一方では「リンギットを買うチャンス」なっている。
これは「持っている通貨によって違う」「為替の動きが大きく影響する」ことを意味しているわけですが、「マレーシアに投資資金を呼び込む」とした場合、為替の動きの影響をコントロールする術があれば「時間的縛り(為替変動)」を乗り越えることが出来るのね。
「今が投資をするチャンス」ということは、「今はチャンスではない」ということも起きるわけで、また為替の動きによっては【撤退が促進される】【富が海外に出ていく】なんてうまくないじゃないですか。これがマレーシアにとっては良いこととは私は思えないのね。
「為替を見ると撤退する、投資資金の一部を外へ出すチャンスだ」なんて外資が考えるなんて悲しいことだと思う。でもFXでも先物でもあれば、それを緩和することは可能。
だから投資を呼び込むには「マレーシアリンギットに自由を与える」ことが非常に重要だと思うわけです。
でもま、大手の投資家には我々のような雑魚にはわからない様々な方法があるのでしょうが、少なくとも私達にはそれが可能とは思えない。
私が「最低必要なリンギットしか持たない」と決めているのはそれが理由だし、当然、マレーシアへの国内投資なんて絶対にしたくないと思います。
たまに巷の声として「今、リンギットが高いから、撤退するチャンスかも知れない」というのが聞こえてきます。
私はこれって本当に馬鹿げていると思っていて、そんな為替の動きで【重要なこと】を決めるって本末転倒のような気がするわけです。
【今、リンギットが高いから日本円に替えるチャンスだ】と思ったら、FXや先物で【リンギットを売れば良い】だけの話ですよね。でもFXも先物もない。当然、オプションもない。
この一番重要なところが開放されること無く、「投資をして欲しい」ってマレーシアは自分で自分の首を絞めているとしか私には思えないのです。
世界には「投資対象」なんて腐る程あるわけで、別にマレーシアに投資しなければならない理由もないわけで、「いやいや、マレーシアはまだ伸びますよ~~」なんて言われたところで、【為替による損失をカバーする手立てがない】としたら、意味がないじゃないですか。
「投資によって20%のキャピタルゲインがあった」なんてのも良いとは思いますが、その時点で為替が20%安くなっていたらどうする?高くなるまで「引き上げ」を待つ?でもFXや先物があればそんなことを考える必要もない。ビジネスチャンスはあるのに、為替がネックになることも減る。
為替って本当に大事で、輸出入をしている人たちは強くそれを感じているはず。為替変動を読み間違えただけで、簡単に「小さな利益は吹っ飛んでしまう」のですから。
でもFXや先物、オプションがあるだけで、「どうにか出来るチャンスが生まれる」はず。
私はマレーシアの成長戦略は「リンギットの自由化なくして成り立たない」と考えています。