【新新MM2Hの条件】ってわけがわからない

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MM2Hの申請条件が改悪されてハードルが高くなりましたが、やっぱりそれじゃ駄目なんでしょう。緩和された【新新MM2H】の条件が発表された。

プラチナ、ゴールド、シルバーと3種類に別れ、それぞれ「人質定期預金」の額が違い、プラチナは「永住権の取得」への道があり、ゴールドは15年有効、シルバーは5年有効とのこと(更新可能)。

この辺のことはキャプチャープロジェクトさんのサイトを見るとわかりやすい。(ここをクリック)

ただ、興味のある方はマレーシアの新聞である「The Star」の報道内容を見る必要があるはずで、いくつかの興味深いことが書かれています。

それぞれ英語ですが、GoogleなりDeepLで全体翻訳が簡単にできますので、それを見れば良いでしょう。

The Star

PETALING JAYA: The Tourism, Arts and Culture Ministry has un…

The Star

PETALING JAYA: Positive changes are coming soon for the revi…

The Star

IPOH: The government is hopeful that the revamped Malaysia M…

私がまず気になったことは、

1 発表者が観光芸術文化省の大臣であるということ。

以前から観光省とビザ発給の官庁である内務省と「主導権争いがある」ように見えました。2年前にとんでもないハードルの高い新MM2Hを発表したのは内務省で、「貧乏人はいらない」という主旨をはっきり言われたような内容。でも今回は観光省からの発表。3種類のハードルの違うビザを用意したのは「内務省の顔を立てた」形に見えます。

2 やっぱりターゲットは中国人。

この観光省大臣が発表した時点で、大臣はまだ中国にいた。「中国側との二国間協議」の後に速攻で発表。でも「中国側とは誰なのか、どの部署なのか」の発表はない。これって結構気になるところで、今、中国から大量の人、資金が国外に逃げている真っ最中で(日本への移住も増えている)、なおかつ「アメリカは中国人排除に動いている(留学生も)」ことから、マレーシアも早く受け皿を作ろうと必死なのが見える。でも当然、中国政府は「海外流出を抑える」わけで、海外への送金も簡単には出来ない状態。

ということは「中国政府」はこの動きは面白くないはずで、どういう横やりが入るかはわからない。

3 この新新MM2Hはこれで決定ではなくて、【刷新されたプログラムは試験的に1年間実施される予定】であること。

つまり、中国政府の出方一つでまた変更する可能性はあるんじゃないですかね。ビザの設定はその国の権利であるからして中国にガタガタ言われても関係ないわけですが、中国とマレーシアの関係は深く、ビザには良くある「国別の割当」を決めるなんてことは起こりうるかもですね。どちらにしても日本人は関係ない。というか「日本人なんか眼中にない」んじゃないですかね。

当然、マレーシア国内でも保守的な考え方を持つ人、政治家、政府の部署もあるわけで、内務省も騒げばまた変更になるであろうことは簡単に想像できる。

4 一番グレードの高い「プラチナ」には永住権取得への道が開かれた。

これは今回の条件発表の中で一番注目するべき点だと私は思っていて、やっぱり「どの国に住むにしても永住権は非常に重要」で、「国民とほぼ同等の権利を持てる」のは良いことだと思います。一番のキモは【就労の自由】でしょう。いくらMM2Hだろうが他のビザだろうが、「就労の自由がない」となればその国で長く生活し家族を大きくすることは【ほぼ不可能】ですから。

自分達(夫婦、年寄り)は良いにしても、子どもたちが育ったらどうなるのかが問題で、どの国に住むにしても子供がいる場合は「その国の永住権を取る」のは【親の義務】だとも考えています。その国に育った子どもたちには「その国が故郷」となり、「日本は外国」という認識を持つのが普通だから(我が家の子供達もそう)。だからもしも子供が「この国が好き。この国に住み続けたい」としたら、それが可能なようにするのが親の義務だと思うわけで、「お前はお前、好きにすれば?」じゃあまりにも可愛そうだと思うわけです。あるいは「いつか私達は日本に帰る」と子供が小さい頃から言い聞かせるか。私も子どもたちに「いつ、日本に帰らないとならないかもしれないから、日本語はもちろん日本の教育レベルを保て」と言い続けていた時期があります。でも25年間、ゴールドコーストに住み続け、今、長男は私達と一緒にマレーシアに住み、次男はシドニーで就職し、30代になった彼らは「ゴールドコーストが故郷。日本に住む、日本で働くなんて考えられない」と言います。

でもそれは「オーストラリアの永住権がある」からそれが言えるわけで、永住権が無ければ「就労の自由もなく」「国の保障も援助も住民サービスもなく」、浮草のように世界を放浪することになるわけです。そういう生き方を「国際人なのだ」と無理やり自分に言い聞かせるしか無い子供に追い詰めてはならないと私は考えています。

また「住んだこともない」「好きでもない」国の永住権を取っても(取れる国がある)【全く意味がない】わけで、「どの国だとしても永住権があればOK」と考えたら、「そこで思考停止しているだけ」としか私には思えません。ポイントは「その国の永住権が取れたら【心が喜ぶかどうか】が重要」じゃないんですかね。

ところがですね、今回の新新MM2Hのプラチナは「永住権の申請が可能」というだけのことで、「永住権が取れる」とは言っていない。今までは「外国人が永住権を取るのはほぼ不可能」と言って良いほど難しく、マレーシア人と結婚しても「簡単に永住権は取れない」と言われていたわけで、永住権への門戸は開かれたにしろ、【申請、取得条件が全くわからない】状態ではただの絵に描いた餅でしかなくて、そんな程度の話にホイホイ乗る人が増えるとは思えず。

では永住権は取れない、取らない状態で【何年住めるのか】の発表はない。

5 ゴールドとシルバーに必要な「人質定期」の額は違い、MM2Hビザの有効年数も15年、5年の違いがある。

この辺が今回の発表の一番訳の分からない部分で、【どちらも更新が可能】ならば条件が厳しいゴールドを申請する優位性が全くない。

でもこここそが日本人には理解が難しい「コロコロ変わるマレーシアの法律」への【対処ができる】ってことなのかもですね。2年前に「新MM2H」が発表された当初、「既存のMM2Hの更新も同じ条件」だと言われていた。これって「更新は可能」にしても、条件的には多くの人が「絶対に無理」と思ったはずで、それと同じことが今後も起きるかもしれない。【だから15年は確実に住めるゴールドを設定しました】ということかもしれない。

これを逆に考えると、「5年有効のシルバーは、更新時にどうなるかわかりませんよ」と言っているのと同じに私には見えます。

6 帯同者の枠が広がった。

なんと配偶者と未成年の子供、両親だけではなくて、「配偶者の両親」も【21歳から34歳までの未婚の子供】もOK。まぁ、喜ぶべきことだけれどマレーシアの焦りが強く出ていると感じました。

7 新新MM2Hを維持するには「年間60日以上の滞在が必要」となった。

新MM2Hでは90日となっていたはずですが、60日に減った。でもそれってどういう時点でそれを計算し、どう影響があるのかはわからない。きっと「更新時」にそれをクリアしていないと【更新は不可】となるんでしょうが、この条件は「有効年数が明示されておらず、永住権申請可能」というプラチナの場合はかなりややこしいことになるんじゃないですかね。

また有効期限が15年のゴールドでは、15年間の出入国の履歴を見るのでしょうが、そんなことが簡単にできるとは思えず。また15年間の内の1年でも「60日以上マレーシアに滞在していない」事がわかったら更新不可となるのも現実的とは思えず、それなら「5年更新のシルバーの方が優位性がある」と判断できるかもしれない。

そもそもこの60日の説明に関して、こんな記述がある。「現在の最低90日間の滞在要件について、リュー氏は、雇用主から休暇を取得するのに問題が生じる可能性があるため、母国でまだ仕事を持っている人々に影響を与えるだろうと述べた。」

ここにも私は違和感を感じるわけで、マレーシアの「マレーシアに住まなくても良いんですよ」という本音が見え隠れしているように思えます。本来「滞在ビザ」は【滞在したい人に出すビザ】であって、「実際に滞在しなければそのビザは失効する」のが世界の常識。これは永住権も同じで、「住んでいない人に永住権は出さない。取り上げる」のが普通。そしてそれを基準に考えると「年間60日滞在すれば良い」というのは非常に甘い基準で、【海外の国々から出るであろう批判を避けるギリギリの選択】みたいに思えます。

8 今まで申請時に必要だった【海外での収入】の条件がない。

これって申請者にとっては【大きな改善】だと思いますが、「やっぱりね」としか言いようがない。そもそも「海外での収入はマレーシアに移住後は無くなる」のが普通で、そんなことを調べても意味がないと思っていました。現実的には「マレーシアに移住後の収入は十分にあるのかどうか」が重要なはずで、「全く見込みがない」人達は後々「問題を起こす」かもしれず、またその人達の「安全な定着」を考えれば【移住後の収入を問う】のが普通ですよね。

そういう意味ではどこの国でも「安定した年金がある老人を優遇する【退職者用ビザ】を作った」わけで、サラリーマンが仕事をやめてマレーシアに移住するのに、【過去の収入】を聞いても全く意味がない。あえて言えば「それだけの収入を得ていた人物だ」というのがわかるだけのこと。でも「マレーシアに渡ったら収入がなくて悪事に手を染めるようになった」なんてのは良くある話じゃないんですかね。これはどの国でも同じで「日本人が日本人をカモにする」ことが横行しているのはまさにそれでしょう。

だから「多額の人質定期預金を作らせる」こともやるわけで、基本的には「その金利でどうにか生活は成り立つ」のを目処にするんじゃないですかね。

人質定期預金が少なくて、「過去の収入しか聞かない」なんていう【長期滞在ビザ】はその国に取っても移住者に取っても全く良いことはないと思います。でもそれが初期のMM2Hだった。日本人の多くは真面目ですから「生活が難しい」という計算なら移住は考えないでしょうが、「マレーシアは稼げる国だ」と考える国からの移住者は「簡単に移住できればOK」なわけで、不法就労を含む犯罪に手を染める人は少なくなかったのかもしれない。

ですから2年前に内務大臣が新MM2Hを発表した時に、かつてのMM2Hビザホルダーは「犯罪が多い」とか「貧乏人」呼ばわりしたのも私には理解できます。

でも新新MM2Hで必要な「人質定期」は下位のシルバーではRM50万(約1500万円)で、収入に関する条件は一切書かれていないし、【それだけのキャッシュがあればOK】だとしたら、マレーシアに取っても申請者本人にしても「危険なビザ」と言えるかもしれない。

これって世界の犯罪組織からすれば、「マレーシアに乗り込む最良のビザ」となるのは間違いがないと思います。また「マレーシアに渡ってからも稼げる見込みがあった」人でも、基本的にマレーシアでの就労は認められないわけですから、【稼げない場合】はどうにか海外から稼ぐか、あるいは違法行為に走るしか無いわけで、こういう「ビザの設計」をすること自体、問題があると私は考えます。

でもそれでも「どうにか外貨を稼ぎたい」というのがマレーシアの本音なんでしょうね。で、犯罪行為があれば「捕まえて追い出せば良い」ということなんでしょう。

これはどの国でも同じと考えては駄目で、移民大国のオーストラリアでは「ビザを取るのが難しい」と言われていますが、逆に「ビザを取った人の面倒も見る」という一面があるのを無視してはならないと思います。結局、後々まで面倒を見ないと「移民国家は成り立たず、犯罪の温床となる」のを歴史的に経験してきたからでしょう。

 

 

とまぁ、全体を俯瞰してみると「はっきりしたことは何も決まっていない」のと同じだし、「深く考えて練られたビザ」という感じは皆無。そして【刷新されたプログラムは試験的に1年間実施される予定】であることからも、またいつどう「変更」になるかわからない。

また私は「内務省」がこれを黙って見逃すとは思えず、「内務省vs観光省」の力関係で簡単に変更が起きるだろうと思っています。

どの国でも「ビザの変更はある」にしても、前回の新MM2Hの発表にしても今回の新新MM2Hにしても、【見切り発車】感が満載で、我々としては遠い将来のことは考えずに、「とりあえず確定しているビザの有効期間だけは大丈夫」と考えるしかないんでしょうね。

そういう意味では3つのMM2Hビザの中の「ゴールド」は15年間有効で、パッと見た目は「ゴールドの必要性ってあるのか?」と思いますが、マレーシアはマレーシアであることを考えれば、「ゴールドを取る意味はある」のかもしれない。

ま、とにかく「海外流出が増えているリッチな中国人をどうにか早いところ掻き集めよう」という慌てぶりがよく見える発表だと思いました。

私としては「今のMM2Hを継続していればOK」ですが、何が起きるかわからない将来のことを考えますとやっぱり「永住権は取れるものなら取りたい」と思います。

今、シドニー在住の次男坊がマレーシアに遊びに来ていますが、「将来マレーシアに住む可能性は無くはない」なんて言っていますし、そうだとしたら当然、「子供のこと」を考えれば【永住権は必須】と考えますから、その時には「私のMM2Hは返上」して、次男坊の帯同者として「一緒に永住権を取る」ことも視野に入れるべきかもしれないと思っています。

でも「永住権の申請が可能」となっているだけで、永住権が取れる確約はない。また「永住権が取れないケース」はどうなるのか記述もない。そして「永住権が取れた」としても、【その維持の条件】もわからない。「永住権さえあれば、好きなだけ住めて、また海外に住んでも永住権の維持が可能(普通それは出来ない)」となれば【取って損はない】どころか【取るべき】だと考えることも可能。

今回の発表で「大筋」はわかりましたが、詳細はわからないことばかりで困ってしまいます。

「早く中国から脱出しよう」と考えている中国人には【とりあえずシルバーでも手に入れておこう】となるにしても、長い将来、家族のこともちゃんと考えないとならない立場としては「この発表からは何も決められない」と感じました。

なおかつこれは【刷新されたプログラムは試験的に1年間実施される予定】でしかないんですから。

でもま、「とりあえず5年間だけでもマレーシアに住んでみたい」と考える人達には【そこそこのキャッシュさえあればビザは取れる】わけで、歓迎すべき新条件なんでしょう。

当然、そういう中国人を「できるだけ多く取り込みたい」という本音が見えますね。【早く唾を付けないと他国に取られる】焦りもミエミエ。

こういうマレーシアを批判的に見ていた私ですが、近年は考え方が変わってきました。

それは中国も同じですが、「とにかくやってみる。駄目ならすぐ変更する。走りながら考える」という【日本には無い考え方】が今の世界では重要なんだろうと。

ここは「日本も見習うべきこと」の様に感じています。

 

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