日本の新NISAがかなり盛り上がっているみたいですね。
アメリカも日本も「株価は絶好調」ですから、その気になる人は多いんでしょう。
口座数はどんどん増えて、皆さんやる気満々。
それ自体は私は良いと思うんですよ。リスクのないところに利益もないですし、皆がリスクを取って資産を増やそう、豊かになろう、老後に備えようと考えるのは良いと思う。
でも昔からそうですが、「投資を始めよう」と思い立つと【すぐに何か買ってしまう】のね。これは株でも不動産でも、新規事業なんでも同じだと思う。「やろう」と思い立つと【すぐに始めないと置いていかれる】気がするのね。今までは平気だったのに。
これは実は私も同じで、過去にそういう経験は何度もしました。
本当に不思議だと思うけれど、【心理はそういう風に動くもの】と今ではわりきっています。でもそれをコントロールできないとうまくないのも【経験】としてわかるのね。だから私は「これからはXXXをするべきだ」と考えても、実際にはなかなか手を出さない【優柔不断】になったのね。ま、性格的に昔からそうなんだろうと思いますが。(笑)
株式投資も面白いのは、「よし、始めよう」と思って500万でも1000万でもあるいは100万でも用意するとするじゃないですか。本来は「では次に銘柄とタイミングをじっくり探そう」となるべきなのに、「口座にお金が用意できると、一週間以内に何か買ってしまう」ような事が起きるのね。
これって人間の習性だろうと私は思っていて、「スタートラインに並ぶと、早く走りたくなる」んでしょう。「ドライブに行こう」と決めて、行き先は決めて無くても【車に乗ってとりあえず走り出す】のに似ている。
飼い犬の目の前に「ご飯」を置いて【待て】状態を想像すると、それと同じことが我々にも起きるのがわかる。【食べたい。早く食べたい】とそれ以外考えなくなってしまう。
でも投資でそれをしてうまくいくのだろうか。
「積立NISA」ならまだ良いかもしれないけれど、一体何を買うのか。買う対象をしっかり吟味して買うのだろうか。巷で良いと言われるものに「飛びつく」ようなことをしてしまうのではないか。
こういう時の心理って「積立を始めることが大事なんだ」と思っているんじゃなかろうか。
これって過去に良くあった「積立式の保険」も同じで、将来のことをちゃんと吟味しないで、「今までやっていなかったのが駄目なんだ」という心理状態になっていたと思う。
販売側はそういう「客の心理」を熟知しているから、必ずそこを攻めてくる。これって営業畑を長く歩いてきた私にしてみれば「当たり前のこと」なのね。そして客が「教えてくれて有難う」「勧めてくれて有難う」と言うように持っていく。
でも「売る側」にしても、「今がチャンス」と信じているし、そういうタイミングに売り込みを掛ける。だから客を騙したという感覚はない。
私も長い間生きていると、そういうことが何度もあったのを思い出します。「最初は儲けさせてくれる」なんてことも多い。
思い出すのは生まれて初めて「(日本の)商品先物」に手を出した時がそうでした。いわゆる赤いダイアモンドと呼ばれた「小豆相場」とか、そういう名前を知っている人は多いと思う。私の場合は確か【砂糖】だったと思う。見ず知らずの営業マンが飛び込みで入ってきて、投資話は嫌いじゃないから話を聞いていたんですよ。で、「経験してみるのは良いだろう」と思ってとりあえず7万円ぐらい投資した。40年以上前の話ですが。
それが1-2週間の間に2倍になったのね。すると営業マンがまた来て、「おめでとうございます。うまく行きましたね」と【次の投資話】を持ってきたんですよ。その内容はもっと詳しくて額も大きくて「500万投資するとああなってこうなって」と美味しい話の羅列。
もし私が世間も知らない純真さがあって、お金に余裕があったら「よーしやってみよう」となったかもしれないけれど、私は「なるほど、これが彼らの手口か」と思ったのね。当時すでに「株式投資」の世界ではそういう事が行われているのは聞いていましたから。
え?と思うかもしれませんが、かつての証券会社は「相場を作る」ことをやっていたのね。わかりやすく言えば「株価操作」なんでしょうが、「花形に見える株」を自社で集中的に買って作った。あとで聞いた話は「商品先物」の場合は、それはもっと簡単に出来る(市場が小さいから)とその業界の人が言っていた。
で、「面白そうに見える銘柄」を作って、営業マン全員にそれを集中的に売らせる。当然、値は上がるし「もっと魅力的に見える」わけで、客も増える。うまく行けば市場でも注目されて「買いが集まる」こともあるわけで、でもそれは「虚構である」のを知っている人達は空売りを仕掛けるのね。で、我々ど素人は【狩られる】ことになる。そしてその仕掛けの本尊は証券会社そのものだったりする。
ま、そんな時代もあったわけですが、私はこの業界の体質は変わっていないと思っていて、証券会社は「我々から儲ける」のを忘れてはならないと思うんですよ。でも私達を儲けさせないと彼らの商売も続かないわけだけれど、客は客で「今回は失敗したけれどしょうがない」と思う心理になっているのね。パチンコやギャンブルにハマるのと同じ状態になっていて、これで証券会社はミッションコンプリートとなる。
新NISAにもその危険性があると私は思っています。
「これを飲むと元気が出る。疲れも吹っ飛ぶ」と【覚醒剤を格安でばら撒く】のに似てる。
まさかと思うだろうけれど、若い人たちは日本のバブルの頃を体験していないからわからないかもしれないけれど、不動産投資に猫も杓子も飛びついたのね。株式投資も同じ。喫茶店でコーヒーを飲んでいる若い女性が「どの株を買うべき?」なんて話を普通にする時代だった。
買い物かごを下げたおばさん、OL達が株を買いだしたら「そこが売り時」というのは昔から言われていましたし(彼らが買った後に一体誰が買うのかってこと)、私は当時持っていた株を全て売りました。でも時期は早すぎて、その後の値上がりが凄いのを「早過ぎたか」と悔しい思いをしながら見ていましたっけ。
そして銀行も「いくらでも貸します」という時代で、その気になった医者が不動産投資に一生懸命になったなんてことが普通に起きていた時代。バブルの頃、「値上がりに喜ぶのじゃなくて売ったほうが良い」と私は考えて、当時持っていたワンルームマンションを買った値の5.5倍の値で売りました。売りに出したら一週間以内に売れた。それも「(汚い)現状のまま」で。驚きましたよ。異常だと思った。
で、父にも「我が家は売れたら売ったほうが良い」と提案して、その気になって売りに出したら、「ロールスロイスに乗った医者の母子」が内見に来たのを思い出します。何件の家を買ったと言っていたか忘れたけれど、【我が家は不動産投資家です】と胸を張っているような母子だったっけ。でも旦那の本業は医者。
結局、彼らが買うことはありませんでしたが、彼らはバブルが弾けてどうなったのかなと思い出すことがあります。また知っている方も多いだろうけれど、演歌歌手の千昌夫が何百億もの借金をしてホノルルのホテルを何件も買ったりして、後に大変なことになりましたよね。
冷静に考えると、なんでそんなバカなことをと思うけれど、「人は雰囲気に飲まれる」んだろうと思います。そして「この波に乗らなくてはならない」という強迫観念に囚われると言っても良いような状態になるんでしょう。
そして、「今の状態」もそれになりつつあると感じるわけです。
特にアメリカですが、【まだまだ上がる】と投資家の多くは考えている様子。ところが経済の実態はかなり悪くなり始めていて、アメリカの株式市場は「マグニフィセント・セブンが牽引している」だけで、彼らに陰りが出たらどうなるかということさえ想像していない。
「夢を買う」のは良いと思いますが、【実態を無視する】のはうまくないと思うわけです。
だからいつもこのブログでは、アメリカの経済指標の分析をする「レバナス一本リーマン」さんのユーチューブ動画を紹介しています。
ただし、ここからが重要なところですが、「将来に危険を感じるから、今、売ろう」とするのは早とちりだろうと思うわけです。
これって「大地震が来る」というのに似ていて、では「今、逃げるべきかどうか」と同じなのね。
私は株式市場は「必ず予兆が出る」と思うわけで、地震のように突然来るわけじゃない。
だから「予兆が見えたら、とりあえず撤退して様子見をする」ので十分だろうと思っています。その予兆とは、上に紹介した動画で言うような「経済指標」の話ではなくて、【株価そのものに予兆が出る】という考え方です。
天気予報が雨だとしても、雨が降っていないのに傘を差すことはないのと同じで、「雨が振り始めたら傘を差せば良い」という考え方。
この辺は単純に考えれば良いと思っていて、【雨がふるぞ~~】【いや、雨はふらない】という議論には全く意味がないと思うんです。でも世の中の大半の人は「予想が好き」なのね。まさに「お化けが出るかもしれない」と真剣に討論しているのに滑稽さを感じるわけです。お化けが出たら逃げれば良いだけじゃないんですかね。
でも絶対にうまくないのは「地震が来ても、お化けが出ても逃げない」と決めること。
いわゆる「保持し続けることが重要だ」と考える人達。
特に暗号通貨好きにそういう人達が多いと感じますが、それは「アメリカのインデックス投資なら問題ない」というのも同じ。
「下げたら買増するチャンスだ」というのも正しいと思いますが、では下げだした時に「どこが買い場なのかわかるのか?」ということと、【値が戻るのにどのくらいの年月が掛かるのか?】という大きな問題はあるはずなのね。
これって地震が来た時に、「逃げなくても大丈夫なのか」「津波は来ない?来る?来るとすればいつ?」「どのくらいの被害が想定される?」というのと同じで、それって「勝手に予想するのは簡単」だけれど、実際にどうなるのかは誰にもわからないはずなのね。
だからやっぱり「地震が来たら逃げる」のが正解で、「来る前に逃げる必要もない」ということじゃないんですかね。
私がたまに出す、日本の日経225の40年以上のスパンのチャートですが、これを見ると「考えるべきことがいろいろある」のがわかる。
Aの時代に皆が何を考えていたのかなんてすぐにわかるはず。そしてバブルが弾けてからのBの時代って20年も続いたわけです。「ここが底だろう」なんて買い増ししても【もっと下がった】わけで、バブル時の5分の1という価格にまで下がった。
もう日本は駄目だと皆が思ったとき、安倍総理の誕生。そして元の値に戻るのにそこから更に10年の歳月が必要だった。
バブルが弾けてから元の値に戻るのに30年以上の年月が掛かった。それなら「定期預金のほうが良かった」じゃないですか(当時6~7%で回った)。転換社債も良くて、今で言えば、【債券投資も吟味すべき】かもしれないし、ETFならインデックスではなくて「高配当株ETF」も良いのかもしれない。あるいは分散する。
「良いことはいつまでも続かない」「悪いこともいつまでも続かない」とは思うけれど、「それがどれほどの年月続くのか、またそれはいつ変わるのか」はわからない。
だから「保持し続ければよいのだ」というのは私は自殺行為だと思うし、逆に「株式投資なんかしない」というのも短絡的だと思うわけです。
要は「タイミングが全て」なわけで、でも【タイミングを見るのは簡単ではない】わけで、だから私は単純に考えます。「下げだしたら売る」「上げだしたら買う」と。これって「雨が降り出したら傘を差す」「雨が止んだら傘は差さない」のと同じこと。
そしてこの延長に、【下げてる時に利益を出す方法はないのか】を考える必要があるわけで、ETFにしても【インデックスが下げたらETFは上がる】と設計されたものもあるわけで、どうせ投資をするなら【その使い分けが出来る】ようになるべきなんだろうと。
そうなれば、上に出した日経225のように株価が動いても【常に利益を出すチャンスを掴める】ことになる。
そりゃ簡単じゃないのは当たり前ですが、かと言って「宝くじを買うような投資のやりかた」ってあまりにも酷いんじゃないですかね。
私はそういう人に「投資の神様は微笑まない」と思っています。