私はいわゆる世間一般で言われる「長期投資」はしていません。株式投資も不動産投資もしていない。ま、金(ゴールド)は持っていますが、全体の数十分の1で、比率としては何もないのと同じ。
でもやっぱり「大きな流れとしての将来」は常に考えていて、大きな「それぞれの国の立ち位置の変化」とか「為替の変化」は自分の資産を直撃しますので、無視は出来ない。
でもどう考えたところで、どう予想をしたところで、「大ハズレ」になるのは常ですから、それを元に行動をしようとは全く思っていないのはいつも書いている通り。
でも「XXX、YYY、ZZZが起きるかもしれない」という想定は非常に大事で、「それが起きたらどうするか」は考えておきたいわけです。
私の今の一番気になることは「米ドルの崩壊」です。
2018年にほぼ全ての金融資産を「米ドルに替えた」から、今のドル高は非常に大きなプラスとして作用していますが、巷で言われているように「米ドルの覇権は終わる」という考え方には一理も二理もあると思っていて、それは「アメリカの株式市場が瓦解する」どころか、「アメリカの時代そのものの終りが来る」と見ています。
それは「裏付けとなる軍事力」であり、「アメリカが占める世界経済の中の比率」であり、オバマが「もうアメリカは世界の警察ではない」と言ったころから、「アメリカ、米ドルの世界的地位は明らかに落ちている」と見ています。
でも「今はまだ好調」ですが、これは「そう見えるだけ」であって決して実態は良くない。そもそもが「借金に支えられた経済」で、遡ればリーマンショックから「膨大なお札を刷り続けた」わけで、それでどうにか動いていたところに「コロナショック」で今まで以上にお札を刷りまくって市場に流した。
これで景気が悪くなる方がおかしくて、でも良くなったのは「見た目」であり、実態はかなり悪そうに見えます。株式市場も同じで、どんどん上がってきましたが、それを支えて来たのはGAFAMと呼ばれる企業群プラスアルファの「一部の企業」だけであり、AIが主役と言える今の状況にしても「そこにあるのは期待」であって、【実際に収益を上げているわけじゃない】のは明白。
S&P500という株価指数は上がっていますが、アメリカでマグニフィセント・セブンと呼ばれる企業群を除いた、S&P493を見たら大したことはない。
またアメリカのインデックスの一つである、Russell2000を私はいつも注目していますが、これはいわゆるアメリカの【小型株指数】と言って良いインデックスで【時価総額が上位1001位から3000位までの銘柄】の指数。
私はこれが「アメリカの実態を表している」と考えていますから、常にそれを見ています。
2021年から今までの日足。
バイデン政権があれだけお金をばらまいても、こんな程度の効果しか出ていない。
E-mini Russell CME 日足
膨大な借金をし続けるとどうなるのかですが、これは日本も同じで、近年流行りのMMT理論では「大丈夫」と言われていはいるものの、「無制限にお金を刷ってばらまいても大丈夫」という意味ではないし、ある時点で「政策変更が迫られる時は来る」と思っています。日本ではずーっと財務省は「財政健全化と増税」に注力して来ましたし、宿敵の安倍さんが暗殺され、岸田政権に変わってから日本はそちらに大きく動こうとしているのは明らか。
アメリカも「もしトラ」で、トランプが今年大統領に返り咲くとしたら、アメリカも大きく変わるであろうことが予想される。
またアメリカの横暴に辟易してきた諸外国は、アメリカの衰退をチャンスと見て、結集し、アメリカ+米ドルの排除に動いているのは周知の事実。
でも私はBRICSがどう頑張ろうと、世界の貿易で米ドルの利用率が下がろうと、それがBRICSがアメリカに変わるほどのことはないと思っています。それどころかBRICSがその中で米ドルを排除したとしても、では彼らが儲けたお金をどうするかというと、やっぱり米ドルで持つだろうし、逆に借金をする場合、自国通貨建てでは資金調達は難しいという「米ドルによる呪縛からは逃れられないという現実」に変化はないだろうと見ています。
つまり、米ドルの、アメリカの弱体化はあったにしても、アメリカ、米ドルに代わる存在は出てこないだろうと考えているということ。
では米ドルが弱体化する、あるいは米ドル基盤の経済が縮小する時に、【どの通貨が力をつけるのか】ということ、それも全く思い浮かばない。
私は「金額ベースで見ていると錯覚してしまう、実質的な世界経済の縮小が起きる」と見ていて、どの国も順風満帆ではない時に「アメリカが弱体化する」と、逆に他国の方が影響が大きいかもしれず、為替を考えた時、「為替とは相対的な比率である」ことから、「米ドル優位は変わらないかもしれない」と思うのね。
つまり、米ドルも日本円もユーロドルもボンドも下がれば、「今の比率に大きな変化はない」のかもしれない。それどころかまだ米ドルは【相対的により強くなる可能性】も捨てられないのね。
これは「US Dollar Index」の週足で、世界の通貨の中の「米ドル」の価値。ユーロや円などの主要通貨に対する米ドルの総合的な価値確認できる米ドル指数ということ。
世界を見渡しても「勝ち組がいない」となれば、アメリカ、米ドルが衰退しても、各国も同じなら、「米ドルの位置は変わらない」のかもしれない。逆に「世界が衰退する」時には「米ドルが重視される」かもしれない。いわゆる「有事のドル買い」と同じ発想。
でもそれは決して「アメリカが、米ドルが強いという意味ではない」状態。
だから「為替変動」という観点からは「米ドルが暴落することはない」かもしれなくて、私が気になるのは「世界情勢」なのね。
歴史的に「食えなくなると戦争をする」のが世界の常識だし、「一発勝負を仕掛ける国が出てくる」のが怖い。それは中国であり、北朝鮮であり、それは「混乱を起こしてお金儲けをしよう」と考える【軍産複合体】も発想は同じかもしれなくて、アメリカは「正義、自由」を振り回して世界で戦争を起こし、他国の政権を潰し、「金銭的に利益を得ようとする国」なのは間違いがないと私は思っていて、今のウクライナ戦争を見ても、「誰が一番恩恵を受けているのか」という視点で見る必要があると思っています。
イスラエルとイランの関係を見ると、「どちらも大ごとにしたくない」ように見えますが、彼らは相手を地球上から抹殺するのが「国是」であって、「お互い平和で仲良くしよう」という考えは全く無いはず。ただただ「自国が勝てるチャンスを常に探っている」だけで、イランも「アメリカは動かない」と確信したらイスラエルに何をするかわからない。
今でもホルムズ海峡に不穏な動きはあるわけで、もしもイランがホルムズ海峡を封鎖したら、それだけで世界は大混乱。当然、ウクライナ戦争の行方も大きく関係していて、「石油価格」の動きは注視せざるを得ない。
私が見ているのはアメリカのNYMEXのCrude Oilの先物ですが、イランやロシアの動き一つで、簡単に100ドルは超えてくるはず。そしてそれが世界にどういう影響を与えるか。想像しただけでもゾッとします。
一体これからの世界に何が起きるのか、そんなことは全くわからない。だから下手に予想をして行動しても「大ハズレ」になる可能性は高い。
でも「想定する」ことは重要で、それが起きたらどうなるのか、そしてどうするのかの「頭の体操」はいつもしています。
日本も「金利を上げたらどうなるのか」を考えなくてはならず、円安がまだ進めば、「日銀が介入すれば良い」なんてことで済むわけもなく、それをやる時もあるのだろうとは思いますが、「日本が金利を上げなくてはならない時」を想定することは非常に重要で、当然、「日本経済には大打撃となる」にしても、私が気になるのは「為替の動き」の方です。
これは世界情勢の変化も同じで、もし日本の金利が上がると「円キャリートレードは解消される方向へ動く」のは間違いがない。つまり「金利の安い日本円で資金を調達し、金利の高い通貨で投資をする」動きが止まる。これは世界情勢に大きな変化が出た時も同じで、いわゆる「リスクオフ」の状態になる可能性がある。
これは「借りていた日本円を返す」ことであり、「国外に投資していた資金を日本に戻す」ことであり、巨額の日本円が買われるということ。
今、世界の投資家がどれほど金利の安い日本円で資金調達をしているのかはわかりませんが、一説では「20兆ドル」ともいわれる。20兆ドルって、日本円にするといくらなんでしょうか。3000兆円?
2022年の為替介入に使われた金額は3度の介入で過去最大級の9,2兆円と言われている。つまり10兆円規模で日本円が買われるとそれだけでとんでもなく大きく為替は動くわけで、「円の還流」が起きたら「ダムが決壊するがごとく円高になる」のは間違いがない。
でもそれは「一過性の動き」であって、その動きが落ち着くと、また円安に戻るのでしょう。円安の構造そのものは変わらないわけですから。
当然、日本の株式市場だけではなくて経済そのものが大混乱するのは間違いがなくて、その後に考えるべきことは「大きなインフレに襲われるだろう」ってことなのね。
でも何が起きるのかはわからない。
日本はインフレどころか、経済は衰退し、またデフレの時代に逆戻りをするシナリオも考えられるわけですし。
だからそれらを予想して、行動することも不可能。
でも何が起きても「相場の動きに短期売買でついていく」ことだけはしっかりやろうと私は思っていて、資産防衛という観点では「リスクの高い債券とは距離を置こう」と思っているわけです。基本的には、巷で言われるような「長期投資」なんて大金を持ってジェットコースターに乗るのと同じで、怖くて一切やろうとは思わない。少なくともアメリカの大統領選の結果と、その後、アメリカがどう動くのかが見えない限り、動きは取れない。
そんなことを考えています。
さて、今後どういうことが起こりうるのか。頭の体操。
アメリカの現状。