日本の食料自給率が低いのは問題であると言われて久しいですが、でもそれでどうにかなっているし、大きな問題がすぐ起きそうでもないし、みんな慣れちゃってますよね。大きな問題だと言う人は決して多くない。
でも内容を見ていくとかなりヤバそうだと私も思うようになりました。
たとえばですね、卵ですが、私は日本の卵は生で食べられるように安全に生産され、洗浄、消毒も他国とは違うし、「国産卵がほとんど」だと思っていました。
ところがですね、「国産卵」であるのは間違いがないものの、【親鶏に食べさす飼料】がほとんどが輸入であることと、な、な、なんと親鳥の96%が【ヒナ】の状態で輸入されているんですと。
つまり「海外産の鶏が海外産の飼料を食べて【日本で卵を産んでいる】」という状態。
また野菜類は「国産が多く、自給率は75%」と言われていますが、【ほとんどの種子は海外産】とのこと。トマト、レタスはもとより日本野菜と言っても良いような大根、ほうれん草、人参、そして「九条ネギ」の種子も海外産ですと。近年の種苗法の改正で、農家はそういう種子を使って育てた後に「種を取って栽培すること(自家採種)が禁止された」じゃないですか。いわゆる著作権と同じで、その野菜を栽培したければ、その都度、種子を買わなければならい。
ほんとかよって思いますよねぇ。
そして「肥料の多くも輸入もの」で、リンの75%は中国、カリウムはほぼ100%カナダからの輸入。
そういうものを計算して、本当の「日本産の野菜」を計算すると【自給率は3.8%】程度になるらしい。
石油は戦略物資と言われ、「止められたら大変なことになる」のは常識で、日本が真珠湾攻撃をしたのも「ABCD包囲網」で戦略物資の輸入ができなくなったのも大きな要因ですよね。そして日本がすぐに東南アジアに出たのも「石油」などの資源確保のため。
「鶏のヒナ」や「トウモロコシ」が入らなくなったり、高くなれば卵も市場から消えることになりますね。中国がリンやカリウムを出し渋れば日本の農業は壊滅。まさかと思うけれど、実際に「レアメタルの輸出規制」で大騒ぎになりましたが、それと同じことが起きる。
そして今、世界中の人口増加と多くの国が経済成長し「食料や飼料、肥料」も高くなり、「日本が買い負ける」ことも起きていると。
日本の食料自給率はカロリーベースで38%とか言われた時に、私は「日本人は贅沢だから輸入物が多い」と考えていたんですよ。だから実際に食糧危機になればお米を食べればよいし、贅沢をしなければかなり改善するんだろうぐらいに思っていました。
またお米も「肥料は輸入」と考えた場合、「コメの自給率は11%」でしかないと。
そういう計算をすると、全体の日本の食料自給率は10%となると。
でも国が発表する数字はこれ。自給率が低いと「安全保障上に問題がある」というのは、輸入ができないときのことを言うわけで、それなら【飼料、肥料、種子も同じ】じゃないですかね。
「野菜の種子や肥料」まで輸入しているとなると、万が一の時にはまさかと思う物まで市場から消える可能性があるってことですよね。少なくとも価格は暴騰するんでしょう。
「台湾有事は日本有事」だと私も思いますが、もしも中国が台湾侵攻を始めたらまず「日中貿易は止まる」のは間違いがない。その時に「入ってこなくなるもの」ってとんでもなく多いし、その影響は計り知れないものがある。異常気象も同じで、実際に小麦の輸出国だったアルゼンチンが「輸出を止める」こともあった。
石油は本当に大事だから備蓄をしていて、官民合わせると240日分程度はあるらしいけれど、同じ様に他のものも備蓄するなり、日本での生産を増やさないと本当に大変なことになるんでしょうね。
アメリカは中国と距離を置こうとしていますし、この前の中国の重要会議「三中全会」では「中国を中心としたサプライチェーンの構築」も始めるようになりましたよね。かつては「世界の先進国を追いながら発展する」のを目指した中国が、これからは「第三国を向いて中国流のやり方で進める」と。つまり、昔の「ブロック経済」へと世界は動いているわけで、当然、「食料、飼料、肥料」もかなり重要な戦略物資になるのは間違いがないんじゃないですかね。
そういうことを考えれば、「やっぱり中国と仲良くしないとうまくない」と経済界や政治家が考えるのもわからなくもない。
これからどんな世界になるのか。
食料自給率とか、資源があるとかないとか、そんなことを真剣に考えて「住む国」を考える日が来るのかもしれない。
マレーシアの食料自給率に関してですが、公の発表は見つからなかったのですが、「全食料の24%は輸入」の様子。また2023年に「モハマド・サブ農業・食料安全保障相は11月9日、マレーシアの食糧の自給率100%の達成は不可能と述べた。国内生産が不可能なものがあるためと説明した。」というニュースはあって、100%は無理だけれど、そこそこ良さそうに見えます。
私達は「平和で安全な世界」に慣れきっていますが、【平時を前提にした社会】ってもしもなにか起きた時には恐ろしいことになるような気がします。宮崎で地震があって「南海トラフが危ない」と言われていますが、災害時も特に大都会ってどうなっちゃうのかと思う。便利だからと都会に集中するって危ないんでしょうね。
ま,気にしだしたら気になることばかりなわけで・・・。
そんな事を気にしたら生きていけるか、とも思うけれど、何かが起きた時にはそういう人から消えていくことになるのは世界の常識だと思う。