トランプは日本にも文句を言い出しましたね。
私が「やっぱり・・」と思ったのは、自動車のこと。
【ワシントン時事】トランプ米大統領は12日、ホワイトハウスで記者団に「日本(からの自動車輸入の規模)はあまりに大き過ぎる。しかし、日本は米国の自動車を受け入れない」と改めて批判した。
【ひと目でわかる】主なトランプ関税と日本政府の対応
米政権は4月2日、関税や非関税障壁の高い国・地域に相応の関税を課す「相互関税」を導入する計画。それとは別に、輸入車への25%関税も検討している。
1970年代だったか1980年代にもアメリカは同じことを言って日本を責めた。
そしてアメリカ車が日本で売れるように日本政府は特恵を与え、なおかつ「日本車の輸出を自主規制した」のね。
アメリカにおいてはそれでも「日本車人気」は凄くて、プレミアムまで着いて日本車が売れるという現象が起きた。では日本で何が起きたかと言うと、「アメリカ車は売れないまま」が続いた。
当たり前ですよね。アメリカってあの頃も「偉そうに・・」と思いましたっけ。
日本は左側通行で、ハンドルは右側についていないと運転がしずらい。それなのにアメリカは「ハンドルが右側のアメリカ車を作らなかった」のね。そして車体が大きすぎるから駐車スペースも困る。立体駐車場には入らない。これで売れるわけがないじゃないですか。ただ外車は「左ハンドルだから良い」という考え方が日本では強くて、左ハンドルがステータスだったのね。そんな時代。
私は当時グアムに入り浸ってグアムでも零細企業を立ち上げていたのですが、面白いことに気が付きました。それは日本車の輸出は自主規制をしていたけれど、「グアム用」はその規制から外れていたんですよ。グアムってアメリカであってアメリカじゃなかった。だから、グアム経由でメリカ本土に売るという商売が成り立ったんですよ。その代わり、一度グアムで登録して中古車として本土に送るという方法を取る。
当時、私はカリフォルニアからアメリカ車(ファイアーバードトランザム等)の新車を日本に輸入していましたので、自動車を扱うことそのものには抵抗が無かったので、私もそれをやろうとしたのね。
ところがですねぇ、やっぱり世の中って怖いのね。私がそれをやろうと「日本車の手配」をグアムでやり始めたらすぐに同業者が私に連絡を取ってきたんですよ。日本人です。
いわゆる「ヤクザに脅かされた」のと同じで、「お前がグアムの街を歩いていたら何が起きるかわからないぞ」と言われました。
私にはグアムの知り合いは多くいましたが、ヤクザ系の知り合いはいないし、グアムにはフィリピン人労働者も多く入っていましたし(当時のフィリピンは怖い国だった)、「余計なことはしない方が良い」とやっぱり思って、アメリカ本土への輸出は断念しました。
ま、そんなことを思い出すのですが、結局、アメリカが日本に「アメリカ車をもっと買え」というのも結局はその通りにならなかったのね。「日本人が買いたいと思うアメリカ車を作るべき」なのは当たり前のことじゃないですか。でも当時のアメリカは「小型車も右ハンドルの車も作らなかった」のね。
私はこの経験があるから、ちょっと前の日記にも「相手国を叩いてもアメリカ国内は良くならない」とトランプの関税政策に関する考え方を書いたわけです。
下手をすれば、その関税の増税分を「アメリカ国民が払うことになる」のだろうと。
アルミ製品や鉄鋼に対する関税も同じで、「日本製品の代替がなかったら、高くても買うしか無い」ことになるじゃないですか。
でもま、そんな単純なことをトランプや取り巻きがわからないわけはなくて、わかっていながら「文句を言う」のがまさにヤクザ式でありトランプ式。「貿易不均衡がある」のは間違いがないのですから。
そういういちゃもんを付けて、「ではアメリカ製軍用品、ジェット機をもっと買います」とか、「日本でのアメリカ軍駐留費用の支払いを増やします」とか日本が折れてくればオッケイで、関税に関してはそれをアメリカ人が支払うことになろうが誰が払おうが「アメリカ政府の収入になる」のは間違いがないんですから。つまり「インフレが起きても政府のせいにはならない」というところが重要なところで、「日本が悪い」という方向へ国民の目を向けることができれば大成功なんでしょう。
当時、アメリカでは日本車を燃やして鬱憤を晴らすなんてことも頻繁に起きた。
「アメリカは世界一」という自負があるから、「売れないのは製品が良くないから」という発想にはならないのかもね~。それがわかっていても「努力をするより相手を脅すほうが簡単」なんて考えていたりして。ま、「強者の論理」で動いているのは今も同じ。
ウクライナ関係もトランプのやり方は同じですよね。
ヤクザと同じ「マッドマンセオリー」を使ってくる。メチャクチャだと思ってもやっぱりアメリカの大統領だから無視は出来ないし、本気かもしれないから何らかの対策を考えないとならない。
トランプって「誰の味方なのかがわからない」わけで、やっぱり「アメリカ第一主義でアメリカに良いことをする」だけのことなんでしょう。
でも「外国をイジメてもそれがアメリカのためにはならないぞ」なんてトランプに忠告をするのも「理想主義者の言い分でしかない」と私は思っていて、トランプが「あ、そう?じゃ好きにすれば?」と言われたら困るのが世界の国々。
やっぱりアメリカって強くて「鎖国をしても生きていける国」だからそれが言えるのだと思うわけです。そして「それが言えるのも今の内」だからトランプはより強気で行こうとしているのだろうと私は思うのね。アメリカにはチンタラしている余裕はないのをトランプ政権はわかっているのだろうと思う。
もし外国勢が対決姿勢を鮮明にして「じゃぁアメリカ国債も買わない」と言い出したらアメリカは破綻するわけで、でもまだ「日本を脅せば日本が買う状態」でしょ。(注:ちょうどカナダがアメリカへの報復のために【米国債をすべて売る】と言い出した。カナダが持つ米国債は外国が持つ米国債の4%と言われていて、それだけが売り出されても大きな影響はない。でも各国が足並みを揃えるとどうなりますか。ちなみに現在、米国債は下落して金利は上がった)(カナダはカナダで米国債の裏付けがなくなるのでカナダドルの信用が下がるはず。米国債を売るのは諸刃の刃だと思う)
トランプって過去には破産経験が何度もあるらしいし、極論を言えば「死ぬか生きるかの瀬戸際を経験した男」としてみるべきで、つまりナイフや銃をお互いに向け合いながら交渉するなんてこともやってきた「ヤクザ」だと思う必要があって、他国の多くの政治家のように「口だけ良いことを言って当選してきた連中」なんて眼中にないと言って良いと思うんですよ。
そういう意味でトランプが対応に頭を悩ませているのはやっぱり私は「プーチン」だと思うわけで、プーチンは「核を使うかもしれない」という恐れをトランプは持っているはずなのね。結局、どの国の代表、大統領が何を言おうと「実際にアメリカを困らすことはしない、出来ない」とトランプは見ているはず。もしそんな動きが見えたら「トランプはその上を言って脅かす」だろうから、その国の国民がまずビビるんじゃないですかね。
そういう意味でもロシアはやっぱり対応が難しくて、ロシアを完全に敵に回すと、ロシア国民さえも「やるならやろうじゃないか」と言いかねない。パレスチナ、あるいはアラブ諸国もそうで、「脅しが通用しない国々」もある中で、【力関係】を見ながらトランプはタイトロープを渡る人だと思う。まさにヤクザと同じで、彼らとてガチでぶつかり合う戦争好きならいざしらず、「どこまで強気で出たら何が起きるか、その結果どうなるか」を常に考えるはずで、日本みたいに「おい!日本!」と言っただけで「はい、すいません。どうすればよろしいでしょうか」みたいなことにはならない。ま、その言い方は日本をバカにした言い方だけれど、でも満更外れているとも私は思っていなくて、「本当にそれで良いんだな?」とアメリカに言われればいうことを聞くのが日本だと思うし、国民がそもそも日本政府を信用していないから、「国民が騒ぎ出す」と私は思うのね。
私はそのへんの「状況分析はしっかりトランプ政権はやっている」と思っていて、ヴァンスがミュンヘン安全保障会議でヨーロッパを敵に回すようなことを発言したのもそうで、ゼレンスキーとの対談決裂もそうで、私には「彼らはトランプ政権の手のひらの上で転がされている」ようにしか見えない。
では同じ様にプーチンをコントロールできるかと言うと「違う」と思うわけです。
ロシアは無視すればよいと考えるならまだしも、「どうにかロシアをこちら側に引き込む、少なくとも中国とくっつくことは阻止する」とした場合、やっぱり「ロシアに秋風を送る」ところからスタートするしか無いんじゃないですかね。これも「ヤクザの手口」でそんなことはプーチンもわかっているにしても、「最初から対決姿勢をあらわにして交渉する」という馬鹿げたことは回避するべきだと思う。そもそもそうやってアメリカはロシアをとことん追い込んできたのだから。「トランプは今までとは違う」のは強くアピールしたいところなんじゃないですかね。私にはやり過ぎに見えますが、大げさなのもトランプ流なんでしょう。
でも「手のひら返しをする」のもトランプ流で、トランプって本当に何を言い出すか、やりだすかわからない。でも私は今の困難な時代を乗り越えるには「本心を見せないトランプ流」は良いと思っています。「まずは大げさに言って相手の反応を見る」ところからトランプはいつもスタートする。それで「慌てる相手」はトランプの思う壺にハマる。
ただ私達も「世界地図」を見ながら、自分がトランプだとしたらどうするかを考えると見えてくるものがあるんじゃないですかね。それと「アメリカ政府の懐事情、アメリカの経済の実態」を感情抜きで見ていると「トランプ政権がやるべきこと」も見えてくる。と同時に「全てが良くなることはありえない」から、「切るとしたら、あるいはしわ寄せがどこかに行くのは仕方がない」とした場合、その対象は何かと考えてみればトランプの行動の予想はできるかもしれない。
そういう意味でも私は「全く日本には期待できない」し、【日本が受け皿になるしかない】し、それが日本のあるべき姿なのかもしれない。
まさに「同盟とは何か」「友好国とは何か」「女房役に徹するべきか」を日本が真剣に考えるべきときで、日本もアメリカと同じようなつもりで「我が国も独立国で我が国のことは我が国で決める」なんて息巻いても【それだけの実力はない】という現実を直視する必要があると思う。
私は日本政府は「中国に近寄りすぎる」と思っているのだけれど、それは私自身が中国が嫌いだし、中国と付き合う必要がないからそう思うだけのことで、「日本国としてどうあるべきか」を考えたら、「中国ともうまくやっていく必要がある」と考えるのが【弱小国としてのリアリズム】なのかもしれない。
中国には強く出ろなんて思うけれど、それって蚊帳の外、安全な場所から文句を言うだけの理想論者でしかないのかもね。
私だったら中国と距離を置くけれど、もし私が日本の代表だとしたら・・・、中国を完全に切るのはあまりにもリスクが高すぎると思う。
でもそれをトランプが日本に迫る時があるんじゃないかと思う。
ただし、日本を責めすぎて「日本が今より中国の方を向く」ようなことがあるとアメリカは非常に困るし、それがアメリカの命取りにもなるはずで、でも「日本には甘いことを言うわけもない」し、どうなるんでしょうね~。