またカメラの話で申し訳無い。
ここのところ私の趣味の一つであるカメラのことをいろいろ調べていますが、また世の中が大きく変わりつつある「潮流」が見えてきました。
カメラと言ってもピンキリですが、かつてスマホの写真や映像がどんどん良くなってきて、いわゆる「コンパクトデジカメ」の世界が大変なことになった。昔はみんな小さなカメラを持っていたのが、その手の「小型軽量で安価なカメラ」が【スマホに完全に駆逐された】と言っても良いくらい。2~3万円で売っていたコンパクトデジカメなんて、今ではどこを探しても売っていないと言って良いくらい。
でも数年前までのスマホって「やっぱりスマホの写真でしか無いね」なんて言われていたから、「もう少しまともな写真、映像を撮りたい」という人は多くいて、安いコンデジは消えていったけれど、「高級コンデジの世界」と変わっていった。この傾向ってこの10数年でしょうか。だから小さなカメラなのに「10万円以上は当たり前」で、売れ筋は15万~18万ぐらいだったりして。
それと時期を同じくして、世の中では「ユーチューブ」「Tik Tok」が大流行。
この影響って半端じゃなく大きくて、そもそも写真や映像って私達一般人にしてみれば「個人や家族、友人知人の中の小さな世界のもの」だったじゃないですか。全く関係ない他人のそれを見るのが好きな人っていないと言っても良いくらい。ところがユーチューブやTik Tokって「赤の他人の写真や映像」なわけで、最近はテレビを全く見ない人もいるぐらい(我が家も同じ)で、他人の映像や写真を見る機会が増えた。
当然、その中では「競争」があるわけで、一般人の動画や写真の「質」がどんどん上がっていったのね。そしてそういう「良いもの」を見ることが広がった。
自分もユーチューブやTick Tokを始めようと思う人もとんでもない数で、とりあえず自分のスマホや小型カメラで撮ってみると「全然、違う」のに気がつくのね。
素人のろくでもない映像や写真を好んで見る人っていないわけで、ましてや「収益を目的に始める」人もいて、「どういうカメラ、どういうレンズでどう撮るのか」を多くの人が勉強しだした。
これがまた大きな潮流となって、「Vlogカメラ」が爆発的に売れるようになった。当然、「カメラ+レンズ」で10万円以上は当たり前で、そこそこの質を得るには20万円前後の出費をする人が多い。これで「半端じゃなく大きな市場が形成された」のね。だからどのカメラメーカーも「Vlogカメラ」を売り出したし、それもまた10万円ちょっとのものから30万円以上するものまでいろいろ。
売れっ子のユーチューバー達の中でも「競争は益々過激」になってきて、彼らは稼いでいる人たちでもあるから、カメラは3台体制なんてのも普通になって、100万円以上の機材をつぎ込むなんてのも「当たり前」になった。そして競争は益々激化するから、中には「プロ用の機器」を使い始める人も出てきた。当然、その費用は200万円、300万円と上がっていく。
そういうお金をかけている人たちの写真や映像と同じものを手に入れたいと思っても、「お金をかけずに同じことをする」のはほぼ不可能で、当然、「この辺で十分じゃない?」的なカメラ・レンズが瀑売れ。でもやっぱり「カメラはレンズ交換式」で「レンズ選びも難しい」状態は続いた。
ここで重要なことは、私達、見る側の「目も育ってきた」ということだと思うんですよ。
昔から使っていたデジカメとかスマホの写真や映像に「我慢できない」と思う人も増えてきた。
これが今の状態だと思っています。
要は「山は高くなって、裾野も広がってきた」と言っても良いと思います。
ところがですね、この10年ぐらいは「コンデジが駆逐された時代」なわけで、レンズ一体型のコンデジで「ちょっと良いものを買おう」と思っても【無い】のね。かと言って凝り性の人達が使っているレンズ交換型の良いカメラを複数台、レンズも5,6本買おうなんて思わない。
そういう目線でカメラの市場を見てみると、「古いものしか無い」ことに気がつく。
だから何が起きているかと言うと、もう何年も前のカメラなのに「価格が落ちない」どころか【中古市場で争奪戦】まで起きるようになった。中古なのに「ほんのちょっと足せば新品が買える」みたいな。
つまり「安いコンデジではない」「レンズ交換型・レンズ」でもないところにぽっかり穴が空いたような状態。
だから「レンズ交換型・レンズ」がやっぱり売れているのだけれど、ユーチューブやTick tokをやるにしても、もう「大きくて嵩張るものは持ちたくない」「レンズ一体型で性能が良いものが欲しい」という中間層が買うべきジャンルのカメラがない。
ということで「高級コンデジのジャンル」がまた復活しそうな気配。
つい最近、キヤノンのコンデジで「大きなセンサー」で「Vlogにも最適」「良い写真も撮れる」【Canon Cyber-shot V1】なるコンデジが発表されたのね。
これって今までの常識の上を行くカメラで、というか「市場のニーズ」をしっかり押さえたカメラで、かつてコンデジの世界では「1インチセンサーを積んでる」のは【コンデジとしては大きなセンサー】と言われていたのが、その上のAPS-Cサイズのセンサーの大きさに近い1.4インチの新型センサーを積んできた。そしてユーチューブや旅ログでも広く言われてきたのは、「自撮り」をするには【かなりの広角のレンズが必要】ということ。そうじゃないと「自分の顔ばかりが大きく写ってしまう」のね。でも「広角ズーム」「オートフォーカス」「小型軽量」のレンズを積んだ一体型なんてないし、交換式カメラと「広角レンズを買う」のが広がった。
ところが今までのカメラ業界では「自撮りを基準に考える」なんてことはなかったわけで、そういう「ニーズ」を無視してきた。「自撮り?スマホで良いじゃん」みたいな。でもキヤノンは今まではあり得なかった広角で写るズームレンズを搭載。これで自撮りをすると2,3人が並んだ状態でも「画角内に収まる」という【画期的なカメラ】となった。その他、「マイクを別に使う必要がない高性能マイク」を積んだり、Vlogを撮るにしても「機能にこだわる人たち向け」の機能満載。
たとえば映像でも、普通の人は「log撮影」とか「編集時にLUTを当てる」なんて聞いたこともない人が大半のはずだけれど、今の時代、素人でもそれに拘って「自分の好みに仕上げたい」という人が増えてきた。というか「皆が高級機を使ってそれをやりだした」のを多くの人が知りだしたのね。そしてこの【Canon Cyber-shot V1】はそれにも対応。当然、映像だけじゃなくて「写真そのものにこだわる」人も多いわけで、コンデジとしては今までにはなかったレベルの「皆が欲しいと思う機能をほぼ全て搭載したカメラ」にキヤノンは仕上げた。
定価は15万円ぐらいなのだけれど、これが世界中で大ヒット。
日本では4月25日ごろから発売開始だけれど、予約がすごい量で、今から注文すると「6ヶ月待ち」と言われるほどの大人気。
私としては、良いな、欲しいなとは思うものの、小型のズームレンズであるからして「私の大好きなボケ感」はほとんど期待できないのね。でも旅行やお散歩にはかなり使えると思う。また「後でソフトで好きなように補正する」という前提があるなら、買っても良いかと思う。
また「ド素人」が撮った下の動画はこのカメラのレポートだけれど、このカメラの「長所欠点」がわかりやすいと思う。特に「自撮り」に関しては普通の今までのコンデジだとこのような広角で撮れるカメラを私は知らない。家族皆で並んだ自撮り画像・映像って見たことがないくらい。また、自分ひとりでも「背景を広く入れられる」から良いと思う。普通のカメラだと「写している本人の顔ばかり見せられる」事が多くてイラッとすることも多いじゃないですか。(笑)
また「欠点」としては非常に大事な「手ぶれ補正が弱い」のも間違いがない。でも多くの人は「歩きながら撮ることは少ない」し、自分は動かずカメラだけ動かす程度なら大きな問題はない。また歩きながら撮る人は「スマホ」「アクションカメラ」「ジンバル付きのOsmo Pocket3がベスト」なのは皆が知っていること。つまり、その手の手ぶれ補正に強い小型カメラとこのようなコンデジの2台持ちを考えている人が多い。あるいは「スマホの手ぶれ補正も強力」だから、歩きながら撮る時にはスマホで撮るとか、その辺の分担をもう初心者レベルで理解しているのが最近の傾向。あるいはこの動画でも実験しているように「手ぶれ補正が強力なジンバル(が着いている自撮り棒、小型三脚)」を持っていれば、これ一台でOKとなるんでしょう。
ここで注目すべきことは、キヤノンは「今まで注目されていなかった競争もないブルーオーシャン」に【Vloger、カメラ好きの様々な要望を取り入れたカメラを投入してきて、それが大当たりした】ということ。
このカメラは「これからユーチューブを始める」とか「旅行Vlogを撮りたい」という人たちの注目の的で、すでに何台ものカメラやレンズを使っていて「プロ並み」の映像や写真を撮る人たちも「このキヤノンの一台があれば撮影環境は大幅に良くなる」「機動性も高くなる」と【必ず買う】というハイアマも続出。でも当然、「メイン機として使うのではない」のであって、サブのサブ、3台目のカメラとして持つみたいな感じ。
これを他社が黙って見ているわけがないのね。
キヤノンがそういうカメラを開発しているころから情報は他社にも流れるし、他社も準備はしていたはず。
ここが私が気になる一番のポイント。
つまりですね、良い高級コンデジをかつて出していたのに、世の中の変化によってそれが売れなくなって「10年近く新型も出さずに放置されていた機種」も多くあるわけですよ。でもそれに「今どきの機能を足せば売れる」ことに他社も気がついたってこと。その「ニーズの隙間を埋める機種」って決して主流じゃないからどのメーカーも構想はあってもそれを世に出す自信がなかったのだろうと思う。
でもキヤノンがやった。
キヤノンにしてみれば「これこそがこれからの主流」と読んだのかもしれないし、「良いカメラは重くて大きい」「レンズも良いレンズを出す」「映像は映像に特化したものを出す」という古くからのカメラ業界の常識が壊れた瞬間だと思う。そもそもvlogに適したカメラを出すのでさえも多くのメーカーは躊躇していたのは見えるわけで、キヤノンはそれさえも乗り越えて、一歩前に出た。
では他のメーカーには技術的に出来ないことかと言えばそんなことはないわけで、要は「市場をどう読むか」の違いがあるだけだと思うのね。またコンデジの世界でも30万円近い高級コンデジもあるのだけれど、初心者向きではないし、キヤノンが狙った定価15万円ぐらいというところが、大ヒットの要因だろうと思う。
キヤノンのこの新機種に焦っているのは、私はソニーだと思っていて、ソニーはVlog用のカメラを牽引してきたのは間違いがないのね。だから「専用機器」としては良いものを何機種も出している。ところが、「そこまで良いものはいらないし、持ち運びが簡単で万能に使えるコンデジが欲しい」という「初心者を卒業したレベル」のニーズをソニーは逃した(初心者用のはある)。だからといってキヤノンの後追いをすると「自社の製品と食い合いが起きる」のも間違いがなくて、難しいところなんでしょう。キヤノンはキヤノンという「vlogカメラ」のジャンルでは遅れていたメーカーだからこそ出来た快挙かもしれない。
私が次に出てくるとしたら、実はパナソニックだろうと思っていて、かつてパナソニックもLumixブランドで素晴らしいコンデジを出していたのね。
Lumix LX100という名機を出していて、これの評判も良かったのだけれど、2018年にマーク2を出したあとは市場の変化に乗れず、今では生産終了で後継機も出していない。
でもこれの後継機を待ち続けている根強いファンもいて、私もそうなのだけれど(笑)、マーク3が近々発表されるという最近の噂はかなりの信憑性がありそうで、それは今までの進化とは違って、今回の【Canon Cyber-shot V1】寄りの進化をしているんじゃないかと思っています。そもそもパナソニックは映像にも強いわけで、今の時代の流れを無視して「良い写真が撮れます。映像も撮れます」という古くからのカメラに固執するとは思えず。
コンデジの世界がまた変わりそうな雰囲気。
その原点にあるのは、「スマホで十分だ」という時代になったものの、多くの人達が「良い画像、良い映像を見る」時代になって【目も肥えてきた】のだと思うんですよ。で、自分もやろうと思ったときに「スマホじゃ全然駄目じゃん」ということに気が付き始めたんでしょう。スマホの映りは良くても使い勝手が悪いから作品としての良いものを作るのは簡単ではない。
何年か前に、子どもが生まれるというのに「写真はスマホで良い」なんてバカみたいなことを言っていた次男坊に「絶対に後悔するぞ」と言い、お嫁さんがカメラ好きなのがわかって、「じゃ、買ってやるわ」とそこそこのカメラとレンズを買って上げたのだけれど、世界がやっぱり変わってきたのは私は本当に嬉しいと思う。
世の中には趣味の人が満足する機材は十分存在している。でも「初心者を卒業したばかりの人たち」「ちょっとだけ真剣に写真と映像に向き合いたい」「でも高価で大きくて重いのは駄目」という【初心者++】みたいな人たち用に合うレンズ一体型で多機能のコンデジはなかったと思う。
これって「日本の家電」と同じで、日本のメーカーは良いものばかり作ろうと頑張っている内に、「いくら高品質でも高かったら買えない」「もう少し品質が落ちても手頃なのが欲しい」という世界の市場を逃したのと同じだと思う。でも私は思うのね。日本企業は卓越した技術を使って「安くて良い競争力のある中級品だって作れるはず」だって。
実はカメラじゃなくて「レンズ」の世界でも異変は起きていて、日本人カメラマンとしては「レンズは純正」で、他社のレンズとしては(特殊な、あるいは高級レンズは別にして)【シグマかタムロン】ぐらいしかなかったのね。ところがですね、最近は「無名のレンズメーカー」がいくつか出てきて、これが馬鹿にできない性能で、価格は3分の1、4分の1みたいなのが出回るようになってきた。もちろん「完成度が違う」のだけれど、私はプロでもないし、ハイアマでもないし、万年「初心者」としては決して最高のものを使おうとは思わないんですよ。逆にいくつかの欠点があっても「安くて小さい、軽い」方が私は嬉しい。そういうレンズは当然、新興国では絶大な人気があるわけで、日本のメーカーも「良いもの」ばかりに拘らずに「ニーズに合わせる」ことをやればよいのにと思う。
カメラって「キモ」だから良いものを欲しいけれど、レンズって揃えだすとかなり増えるのね。だから私は「欠点があっても自分が欲しい長所があれば、安くて小さいほうが嬉しい」と思う。
実は「カメラ業界も大きく変わるだろう」というプロもいて、彼は私が前に書いたように「ソフトの進化の凄さ」を気にしているのね。
今どき、写真を撮ってそのまま使う人って珍しいぐらいで、「補正ソフトを使って補正する」のは常識と言って良いと思う。
で、そのソフトの進化が凄くて、そして最近「AIが搭載されている」のも普通で、今まで考えられなかったレベルの「ノイズ除去」「解像感」等が出せるのね。古くてボケボケの写真でもかなり誤魔化せるようになってきた。でもそれは「始まったばかり」なわけで、「これからの進化」を考えると今までの常識が覆される時が来るとそのプロはいう。
私もそう思うけれど、やっぱり自分のカメラとレンズ、そして自分の技量で撮った写真が良いと満足度はかなり大きいし、だからこそ「趣味」なんだろうと思う。
でもプロは趣味で写真を撮るわけじゃないし、「仕事として良い写真が必要」だとした場合、【結果が重要】なわけだから、良いソフトが出てくれば当然それを使うという。
私もその辺は十分理解できるし、普通なら没にする写真でも「ソフトで使えるようになる」なら使いたいですもの。でもま、「厚化粧より薄化粧が良いな」なんて思う程度。(笑)
私は映像にはほとんど興味がないのだけれど、写真がこれからどんなふうに変化していくのは非常に興味があります。
残り少ない人生だけれど、「写真が趣味で良かった」と思えるようになりたいと思う。
忘備録として、今(2025年4月)のソニーのAPS-C機としてはトップクラスのA6700と上級のレンズ、スマホではカメラが良いと言われているアンドロイド機であるグーグル Pixel9との比較動画をあげておく。
細かいところの比較を見ていくとやっぱりソニーのA6700が良いとなるけれど、個別の映像だけを見たらPixel9も全く悪くはないどころか、パッと見ではその差は大きく明らかと言うほどでもないし、手ぶれ補正に関してはPixel9の方がかなり良い。
これならPixel9で良いじゃないかと思うのも無理はない。価格的にはカメラ+レンズの方がPixel9よりはるかに高価だし、持ち運びの手軽さを考えたらPixel9の圧倒的勝利。
私が思うに、決して遠くない将来にはこのようなスマホ、あるいは「補正ソフト」に「自分の好みのカメラとレンズ、そしてその設定」を入力すれば「そのカメラとレンズで撮ったような画像・映像が出力される」時代は来ると思う。あるいは、被写体のポルシェを何年型の真っ赤なフェラーリに替えるなんてことも可能になるはず。ましてやもうすでに「元の画像も映像もない」のに文字で命令文を入れるだけで「まるで本物のような画像・映像をAIが作る時代に入った」のだから。
あら~~~~~~~、このブログにはほとんど書きませんが、私は昔からアクションカメラ(Go Proみたいな)も好きだし、360度カメラもよく使うんですよ。
ついさっき、また「新型」が出たのがわかった。「Insta360 V」です。第5世代ね。センサーも大きくなって映りも良くなったし、新しい機能も付いた。
毎年、新型が出るっておかしくね?
進化が早いのは嬉しいけれど、新型が出る度に買えるわけじゃないから痛し痒し。どうしよう、良いなぁ新しいやつ。
360度カメラを使うようになってもう10年以上経つけれど、いつかもっと進化して映りも良くなれば良いなと思っていたのがもうそんな時代になってしまった。やっぱり進化をさせたのはAIなのね。凄い時代になったと思う。でもAIの時代はまだ始まったばかり。
画質もかなり上がってきたので、「自撮りは360度カメラ」という動きも広がるかも。広角もなにもそもそも360度を映せるのだから。