マレーシアの医療費って安いと思うこともあれば高いと思うこともある。
それはどんな病気でどんな医者にかかってどんな治療を受けるかによる。
ちょっと具合が悪い程度なら町医者で良いかもしれなくて、その場合はローカルプライスでメチャ安い。高級私立病院に行っても大した額にはならないかもしれない。
ところが「ちゃんとした医者に掛かりたい」と思うような病気や怪我の場合どうするか。「日本に帰ったほうが良いかな」なんて思う様なケース。
マレーシアの医療を信用できるか出来ないかというのと、日本に帰りたくても帰れないケースもある。
私はマレーシア在住9年ですが、14年ぐらい前の旅行で来た時も私立病院に入院して「高くて驚いた」こともあった。それはお恥ずかしい話なんだけど「おしりに出来たオデキがパンクした」時。当時はオーストラリア住まいだったけれど、そんな程度のことでオーストラリアに帰ろうとは思わないし、でも「ホテルで治療、あるいは放置するにはちょっと…..」という感じだったので「日本人看護師がいる私立病院」に行ってみたんですよ。
診察してもらってチョチョイのチョイの治療で済むかと思ったら、なんと「手術をする」という。それも「入院」ですと。一泊の入院手術ですが、そんな必要があるのかもわからないけれど、医者がそういうのだからそういうふうにするしかなかった。
この時に驚いたのは、おしりのオデキの手術ですが「全身麻酔」をしたこと。そして一泊したのですが、その時に支払ったのは12万円ぐらい。自費でしたが、おしりのオデキで12万円には驚いた。でもま、その後は、オーストラリアに帰ってからほぼ毎日、1週間ぐらい医者に通って傷口の消毒と手当で行くたびに1万円ぐらい掛かった。でもそれはオーストリアの保険でカバー。
マレーシアに渡ってきてからは何度も私立病院に行ったけれど、大した問題があったわけではなくて「バネ指の治療」とかそんな程度。入院もしないし診察と治療で数万円。これは「日本の海外旅行者保険」を使った。
なぜマレーシアの保険に入らないのかと思うだろうけれど、年寄りは入れないのね。若い頃からの「継続」なら歳をとっても大丈夫らしいけれど、我が家には関係ない。
この海外旅行者保険は我ら家族3人で、2年毎の契約更新で当時は「2年で145万円」。年間73万円ぐらいだったと思う。
この金額はリーズナブルだと思っていて、でも支払い累計って計算してみると結構な額で、6年間で435万だけれど、ではその間、3人家族でどの程度の保険を使ったかと言うと、せいぜい15万円程度。これじゃ割に合わないと思うけれど、大きな病気や事故にあう可能性もあるわけで、入らないわけにはいかない。
ところがですね、この保険料があるときから「値上げ」となった。
悩みどころですが、これは必要経費だと思って、値上げを受け入れて継続。
ところがですね、再び「値上げする」との連絡。
これが恐ろしい値上げで、家族3人で掛け金は「2年で360万円」。1年で180万円。これは私たち夫婦が「歳を取って高いカテゴリーになった」ことも関係している。
このときはマジで悩みました。保険は入らなくても良いんじゃないかと。
でもねぇ、歳を考えるとやっぱり無保険って非常に怖いですし、受け入れるしかない。
でもその決断は大正解で、立て続けに2度の入院で2度とも手術。最初は前立腺の手術。次は心臓の冠動脈にステントを入れる手術。これらは全てその海外旅行者保険でカバー出来て、自己負担は大した金額ではなかった。ではそれらの手術が自己負担だとどのくらいになるのかですが、支払いに関しては病院と保険会社と直でやり取りしていて、その詳細はわからずじまい。でもちょっと聞いてみたところ、両方で400万円を超えたはずですと。 ( ̄口 ̄∥)
嘘~と思って一般的にどのくらい掛かるのか調べてみたら、「妥当」というか安いくらい。日本でも全額自費負担だとやっぱり2つの手術で400万円は超える様子。でも健康保険に入っていればメチャ安い。
やっぱりマレーシアでも保険に入っていてよかったと思いますが、でも大きな手術や入院ってそれだけで、毎年の保険料を考えてみるとやっぱり保険料のほうがはるかに高額。
悩みますよね~。
なおかつ、その保険は一つの病気で保険が効くのは6ヶ月間。つまりもし「再発」しても6ヶ月なんてとっくの遠に過ぎていますから、これからは自費となる。でも高額の保険料は払い続ける。
今までの9年間で保険を使ったのは私だけ。ヨメさんも息子も一度も保険を使うようなことは起きていない。そしてこれからはまた私の具合が悪くなっても同じ病気なら保険はおりない。
このままだと誰も保険をつかうことなく、毎年、結構な保険料を払い続けることになる。
なんだかおかしいと思うけれど、考えても考えてもどうするべきかの結論は出ない。
最近は、MM2Hでマレーシアに来てた日本人も多くは引き上げたにしても、皆さん今まで「保険」はどうしていたんですかね。
何かあったら日本に帰るにしても、帰れないことだってあるはずで「事故にあった」なんてことが起きたらどうするんだろうか。あるいは突然倒れて即、入院。手術も必要だとなった時には日本に帰ることも出来ない。
また年寄りのMM2Hじゃなくて若い人たちのMM2Hも増えていますが、彼らはどうしているのだろうか。
私がまだ30代だった頃にオーストラリアへ家族4人で渡りましたが、何かあったら大変だと保険もしっかり入りましたし、家族4人で毎年100万円以上の支払い。これはフルカバーの結構手厚い保険でしたが、「持病でも保険は降りる」タイプ。つまり今の海外旅行者保険みたいに、持病は駄目。一つの治療で保険が降りるのは6ヶ月間なんていう制限もない。
だから保険としては安心でしたが、オーストラリア在住の25年間を考えてみると、トータルで保険料だけで2500万円以上は支払っていて、実際にそれを使ったのは家族4人、25年間で2,3回だけ。トータルで20万円分ぐらいじゃなかろうか。
でも入らないという選択肢はなかった。
オーストラリアって福祉も充実していて、その保険に入らなくても「国費で治療を受けられる」のね。でもその場合は「公立病院だけ」で私立病院は駄目だし、医師の指定もできない。そして常に大混雑で医療レベルも問題があるような話は良く聞いていました。だから「ちょっとした病気や怪我」ならそれで良いにしても、大きな病気や怪我だったらやっぱり有名な病院や医者に掛かりたいと思うのが普通で、その場合には保険に入っていないとうまくない。保険がなければ全て自費で、私達が加入していた保険は至れり尽くせりの保険。でも25年間で2500万円以上支払っても殆ど使っていない。
保険に入ったら損、なんて思うけれど、年間500万円以上かかる病気なんていくらでもあるわけで・・・・。私の友人でもガンになったり大病を抱えた人はいたし。
マレーシアに家族で渡ってきた人たちでまだ若い場合は、私達のゴールドコースト時代と同じで、そもそも病院にも行かないとか、行っても風邪だとか小さな怪我とかそんなものかもしれない。だから「保険の重要性」に気が付かないかもしれない。
でも万が一の時には大変なことになるし、なおかつ「長い治療が必要」だった場合、日本の海外旅行者保険に入っていたとしても6ヶ月後からはその保険は効かない。そして「保険も大事だよね~」なんて思う頃は歳を取っていて掛け金も全く違う高額となっている。
しっかり稼いでいるのなら、毎年100万円以上だとしても「必要経費」だと割り切れるけれど、収入が低かったらそれの支払いはかなりの負担になるはず。
でも若ければマレーシアの保険に入れるから、それで良いってことなのかな。「入院時だけ保険を使える」様なタイプは保険料も安いし、またマレーシアの企業に勤めていればまた違うのかもしれない。
今になると「マレーシアは移住希望先の1位だ」なんて長い間、もてはやされたけれど、病気になったら、年老いたらどうなるかとか保険の話なんて聞いたこともなかった。なんだか「ディズニーランドは楽しいよ~~~」という話に乗らされていたような感じがしなくもない。
MM2Hで渡ってきた人もいろいろで、以前、収入は年金しか無くて、裕福でもなく、日本の財産は全て処分してマレーシアに来ました~~~なんて人もいたけれど、今頃あの人はどうしているのかと思う。具合が悪くなって初めて「自分が置かれた状況に気づく」なんてことにもなったかもしれない。
また私の知り合いに「具合が悪くなっても病院には行かない」と豪語する人もいた。
なぜそういうふうに決めつけていたのか私にはわからないけれど、もし事故にあって大きな怪我をしたり、後遺症が残るようなケースだってあるわけで、そうなったらどうするつもりだったんだろうか。もし救急車で搬送されても、保険もない、デポジットの十分なお金がなければ病院はその人を受け入れない。
でも考えてみれば、日本の医療や保険システムが世界的には「異常なほど良い」わけで、「日本基準で考えるほうがおかしい」のは間違いがなくて、アメリカに40年以上住む私の友人も「医療費がメチャクチャ高いからよっぽどじゃないと病院に行かない人は多い」と言っていたし、「大きな病気や怪我」だと「持ち家を売る」のは普通に起きると言っていたっけ。それは「保険がそもそも高すぎて払えない」人が多いからと言っていた。
でもその友人はかつてアメリカの大企業に勤めていて、退職後もその保険を継続できて保険料も高くないからどうにかなっていると言っていた。
私の姉もハワイに長く、もうハワイは駄目だと言ってサンディエゴに移ったけれど、もう15年以上前の時点で、何もかも高いし、保険料も馬鹿げているくらい高額でやっていられないと「永住権を返納」してマレーシアに渡ってきた。不思議なもので、その頃、私達もマレーシアへ渡ろうと考え出していたのね。本当に偶然で、姉弟で同時期に同じことを考えていたなんて「何か目に見えない存在の導きがあったんじゃないか」なんて思ったくらい。で、それを聞いた両親は「自分たちもマレーシアに行けば、家族が何十年ぶりかで集合して同じ地に住める」と判断したのね。で、あっという間にMM2Hを取ってマレーシアに渡った。でも私達家族はリーマンショックでの大打撃から立ち直ることが出来ずに7年近く遅れてマレーシアに渡った。それが2016年。
今のアメリカの一般の生活はかなり厳しいようで、普通に仕事をしている人でもホームレスや車の中で生活する人も多い様子。そんな人が病気や怪我をしたらどうなるのかと思う。あああ、アメリカの場合は「貧しい人の方が救われるシステムが有る」というのも言っていたっけ。
ちなみに私の両親も高齢になってからマレーシアにMM2Hで渡ってきて、二人共マレーシア在住10年以上でも大きな病気も怪我もなかった。ただ年齢が年齢なので病院には定期的に通って「薬」を処方してもらう程度。そして両親は二人共「保険には入っていなかった」。そして二人共マレーシアで最後を迎えましたが、最後はやり入院して母の場合は1000万円ぐらい、父の場合は500万円弱の病院への支払いがあった。これは自己負担で高額と言えば高額で、保険に入っていればカバーされたけれど、70代でマレーシアに来て90代でなくなるまで保険料を払っていたらそれの総額はとんでもない額になっていたはず。
マレーシアでは高齢者は新規で保険には入れないけれど、若い頃からの継続なら90歳でもカバーされる。ところが保険料は一人年間200万円を超えるはず(要確認)で、現実的ではない。
やっぱり日本は凄いと思う。医療費そのものも欧米諸国に比べると安いし、また国民皆保険で保険が効く。なおかつ自己負担分が大きくなっても高額療費制度によって自己負担額が一定額に抑えられる。
でも日本政府は大赤字で医療費の負担が半端じゃない。
どうなっちゃうんですかね~~。
日本に移住する外国人が増えているのもわかるような気がする。