オーストラリアの永住権について

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オーストラリアの永住権に関して質問があったのでそれに関して。質問に答えると言うより一般論としてちょっと広げて書きます。

まず私は今のシステムがどうなっているのか全く知りません。またこのシステムは頻繁に変わるので、去年のことが今通用するのか、また今の条件が来年通用するのかも全くわからないくらいです。私が取得したのは19年前ですから今とは全く違うし、私が取った永住権のクラスは確かクラス123と言われる物ですが、今はそれも無い。

一般論としてどういう人に来てもらいたいかというのはどこの国も同じだと思います。日本も同じ。とりあえずオーストラリアの永住権として書きますが、

○ 将来性のある若い人
○ 特殊技能を持ってる人

まずこの二つが中心になるはず。若いというのは学校卒業して数年という意味で、30代はもう若くはありません(若ければ若いほど有利と言うこと)。ちゃんとした学校でちゃんとした成績を収め、学位なり資格なり持っていて、なおかつそれなりの実務経験が要求されます。学校出たてでは駄目なはずです。でもオーストラリアでよくいわれる実務経験というのは何十年ではなくて2,3年です。この辺は日本人の感覚と違うと思いますが、2,3年も十分な実務経験という見方をこちらではします。

特殊技能や学位、資格ですが、当然オーストラリアが認めるそれであって、日本で良いと言われる物がオーストラリアでも良いとは限らない。どういう技能保持者をオーストラリアが求めているかは毎年リストが出るはずです。面白いのはこの中には美容師とか調理人、電気技師、プラマー(水道工事)そういった技能も含まれていること。日本だと特殊技能というとそれはそれは凄い物を想像しますが決してそうではありません。

ただし、そのリストに載っていなければ駄目ということ。そしてその内容も頻繁に変わります。ここで大事なことはその人の学歴や技能、英語力が重視されますが、お金を持っていなくても大丈夫というのがこのカテゴリーの特徴でしょう。

その他、永住権でも投資家・事業家向けの違うカテゴリーがあります。

○ 自国が弱い産業に携わってくれる人
○ 投資をしてくれる人
○ 雇用拡大に貢献してくれる人

オーストラリアは第一次産業が発達しています。石炭や牛肉、穀類を輸出して稼いでいるのはご存じの通り。ところが製造業がアウトなんですね。例えば羊毛を輸出しているけれどそれから作られる生地は輸入している。アルミニウムの原料であるボーキサイトも輸出しているのにアルミニウムは輸入するという感じの国。豊かな大地から簡単に取れる物を大量に輸出して、その代金で製品を輸入し優雅に生きてきた国だというのがわかります。だから製造業が弱い。この分野を強くしてくれる起業家は大歓迎ということです。そして輸入超過の国ですから、輸出関連事業も優遇されます。

自分で事業を興さなくても、国内産業に投資してくれる投資家も歓迎される。ただ、どの産業に投資をして欲しいかはオーストラリアの事情によって決まるわけで、単に銀行預金しておけばいいと言うことではない。そして雇用の拡大。これはどこの国でも今の時代大切なことで、これが見込める事業は歓迎されます。

これらひっくるめて全て投資家と言って良いと思うのですが、その必要金額も定められています。私はその金額は知りませんが、かつては50万ドルが最低ラインでした。今は70万ドルとか、そういう数字だと思います。

ここで気をつけなくてはならないことですが、ではお金があればいいのかって事。これは微妙なところで、表向きには今までの経営者としての経験が問われることになっていますが、本音の部分ではどうなんでしょうか。

私が永住権を取ったのは19年前ですが、その前はとにかくお金を持って入れば良いという時代があったようです。1ドル110-120円の時代ですが、5-6000万円のお金を銀行に入れておくだけでも良かったそうです。また当時はそのお金の出所やあるいは行方を詳しく調べなかったらしく、そのお金を見せ金として回して何人もが次々に永住権を取れた時代もあったと聞いています。

私の場合は、事業家ビザと言われいていたビザで、起業するのが条件でした。ただし、現実的に考えてみても起業するチャンスや規模は簡単に決められるわけではありませんし、永住権が取れました。ハイでは起業しましょうとはいかないわけですね。様子を見ている内に世の中はどんどん変貌するわけですがそれに応じて計画も変わるのは当たり前のこと。私はオーストラリアでは商業パソコン通信事業を立ち上げるという計画で渡りました。いわゆる昔のパソコン通信です。あれの草の根はオーストラリアにもありましたが、日本にあったアスキーネット、ニフティ、あるいはアメリカのコンピュサーブ、デルファイみたいな商業パソコン事業は存在せず、海外に依存していた状態でした。だからオーストラリア初の商業パソコン事業を始めようとしたわけです。

ところがオーストラリアへ渡って市場調査だなんだやっている間に、アメリカで通信の自由化が行われ、かつては狭い範囲の人達だけで使われてたインターネットが公開された。これが世界に一気に広がったわけです。つまり私が計画したパソコン通信なんてもう時代遅れ。ですから予定通りの起業はしませんでした(もしもう少し早くオーストラリアに渡って起業していたら大変なことになったはずです。一瞬にして倒産でしょう)。その後、世の中の様子を見ながら、私は小さな会社を立ち上げ、自由化された通信事業の中の電話に目をつけ、その仕事を始めました。またそれと同時に、趣味で車が好きですので日本からの中古車輸入も始めました。ここで面白いのは、当局は私が提出した計画通りに事業を始めたのか、また一体今何をしているのか、そういうことを一切調べなかったと言うこと。つまり、ビザ申請時の計画書なんかただの絵に描いた餅で良かったと言うことになります。

ところがですね。私がオーストラリアへ渡った時に、「良く永住権が取れたね~」という話を聞きました。何を言っているのかと思いましたが、ちょうど私たちがオーストラリアへ渡った頃に永住権の投資家ビザに変更があったんです。内容が厳しくなったんですね。

その後は、私の時がそうであったように直ちに永住権を発行することがなくなり、なんというのでしょうか予備永住権みたいな感じで、その人がちゃんと事業を興したのを確認してから永住権を発行するという形になったようです。

それからまた10年以上経つ間に何度も何度も変更があったはずで、最初に書いたように今の永住権がどうなっているのかわかりませんが、簡単になることだけはないはずです。ただ、上に書いた過去の例のように、オーストラリアの本音としては海外からわざわざ大金を持ってきてくれる人を断る理由がないってことがあるような気がします。厳しいようで厳しくない部分があるんじゃないでしょうか。甘いかな?

オーストラリアが指定した企業や債券に投資すると永住権が取れるというカテゴリーがあるようですが、それこそそれはお金だけ持ってきてねというのと同じに聞こえます。その永住権にも英語力だとか過去の経営者投資家としての経験実績が条件として入っていたとしても、それが厳しい内容だとは私には思えないのです。

この辺はインターネットで調べてもわからないでしょうから、ビザコンサルタントに聞く必要があります。私が適当なことを今書いていますが、オーストラリアではビザに関するアドバイスはビザコンサルタントの資格を持った人でなければやってはいけないことになっています。そして今までの経験上ではこのコンサルタントによって力のあるなしが存在するということ。経験と実績のあるコンサルタントはちゃんとツボも心得ていて、ビザの許可が下りるのも早いのを今まで何度も見てきました。

ではどこのコンサルタントを使うべきでしょうか。私としてはオーストラリア内に事務所を構える大手のコンサルタントが良いと思います。弁護士事務所がビザコンサルタントを抱えているケースも多いし、良いところはいくらでもあるんじゃないでしょうか。ただ、大事なポイントですが、投資家ビザの場合はマレーシアのMM2Hみたいに簡単にはいきませんから、絶対に自分でやろうとしないこと。コンサルタント料も永住権ですと100万以上の事は言ってくるかもしれません。私の時は150万円掛かりました。後で聞いた話だともっと高いコンサルタントはいくらでもいるようですがそれなりの事はあるようです。

それと耳が痛い事かもしれませんが、永住権を取るのに必要な資金を持っていたとしてもそれを投資しなくてはならないわけで、では家はどうする?生活費は?子どもの学費は?これ用の資金(収入)も潤沢に持って入る必要があるわけです。つまり、投資用の資金は凍結されてしまうと考えるべきで、場合によっては投資資金と同額、あるいはもっと多く持って入らないとまともな生活は出来ないかもしれません。あるいは小資金でもしっかり稼げる能力が必要でしょう。

もう一つ、多くの人が意外に考えていないのが税金です。オーストラリアは金利が高いし、債券でも7%8%つくものがあります。これだけ付けばどうにかなるだろうと考える人がほとんどですが、当然これに所得税が掛かるわけです。そしてその所得税は決して安くないということ。日本と同じ金額を稼いだとしたら支払う税金はオーストラリアの方が多いかもです。そして日本のように分離課税もありませんから銀行に入れて置いたら利子所得は20%の税金だけとなんてこともありません。全て総合課税です。そして額がちょっと大きければ税金ですぐ半分持って行かれます。

私が見てきた人の中に結構多かったのが、永住権を取るための資金プラスちょっとの総資産で来た方々。こちらに来てから、まず家を買う。車を買う(非常に高いです)。頭に血が上ってる人はプール付きだ、ウォーターフロントだと飛びついて買う人が少なくなかったです。そして挙げ句の果てはクルーザーまで買っちゃう。自宅の庭が海に面していて桟橋があったとして、そこにボートがあれば絵になりますからね。バカみたいだと思うだろうけれど、頭に血が上るとそういうことも平気でするようになるんですね。

当時のオーストラリアの金利は短期金利で16%もあったんです。長期金利でも12%。これじゃ利息が使い切れないよ、なんていう笑い話もあった時代ですが、上に書いたように資金もどんどん使って減らしオーストラリアの生活を満喫して喜んでいる間に金利も下がってきて4%なんていう冬の時代(日本では万々歳でしょうが)もありました。さて資金が潤沢に無い人、稼ぐ能力が無い人がどうなったかは簡単に想像できますね。

それと金利が高い国は当然インフレも凄いということを絶対に忘れるべきではないと思います。つまりそこそこの投資から産まれる収入があっても高い税金、高いインフレ率があるわけで、単に投資のリターンがそこそこだと安心してそれを生活費に充てると大変なことになります。

資産運用で食うとしたなら、まず税金で半分取られるのを前提で考えて、なおかつインフレ対策としてまた資産は増やしてあたりまえだとすればそれだけで少なくとも3%は確保しなければなりませんね。税金が半分だとすれば6%でツーペーってこと。だから資産運用だとしたら12%以上は狙って、6%は税金、3%は元金に入れ、残った3%で生活するしかありません。そうなるとどれだけの資金が必要で、どれだけのリスクを取らなければならないのか考えるとゾッとするはずです。12%で回しても使えるのは3%なんですから。この基本的なことを理解しないとたとえ何億あっても10年20年の内には破綻すると思います。お金って使うと無くなるし、放って置いても無くなるんですね。(笑)(と当時に、無税のマレーシアがどれだけ凄いメリットがあるかということもわかる)(同じく年金という収入がどれだけ凄いことかというのもわかる。月々25万の年金はキャッシュで1億以上の価値がある)

だから私が大事だと思うのは資産じゃありません。やはりいつの時代になってもどこでも稼げる能力があるのかないのか。これに尽きると思うんです。これが出来ずに多額の資産のほとんどを投資と事業で無くし、挙げ句の果ては家族にも見捨てられ、最後は小さなアパートで一人寂しく死んでいった友人もいました。食えないから引き上げると帰った人はいくらでもいます。そんな中で思うことはやっぱり運です。人生の泣き笑いって運しかないんじゃないか、そんな事を考えるようになりました。私もどうにか生きてこられたのも振り返ってみると運以外の何物でもないというのが実感としてあります。

それと非常に面白いのは、昔から頭に血が上らないように注意を喚起する人はいくらでもいたし、仲の良い友達同士でもチェックし合うというか助け合ってやってきたわけですが、誰しも自分は絶対にヘマはしないと信じていたって事です。失敗するヤツはバカだと、そう言いながら結局資産を減らして帰った人が多いってこと。だから私は自分はバカでいつか必ずヘマをするという前提で考えることにしています。(笑)

ただ一つ良いことがあります。永住権ですから働きに出ることが出来るんですね。夫婦で勤めに出る人も多くいます。また最悪の場合はオーストラリアの社会保障を受けることもできる。これが日本では想像できないくらいしっかりしていますから、また永住権を取って10年経つと年金受給資格がもらえますのでオーストラリアだったらどうに生き延びることだけは出来ると思います。

ここがマレーシアのMM2Hとの大きな違いだと思います。マレーシアで万が一食えなくなったら野垂れ死にするしかないんですから。

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