オーストラリア&マレーシア

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オーストラリア人の処分所得に関してコメントでご質問がありましたが、私にはその辺はまったくわかりません。ただ一人当たりのGDPで見ますと近年の躍進は目を見張るものがありまして、日本を抜きどんどん上がっています。この一人当たりのGDPが何を示すのかよくわかりませんが、国の豊かさのバロメータにはなるのではないでしょうか。

(2010年。単位は米ドル。)

1 ルクセンブルク 104,390
2 ノルウェー 84,543
3 カタール[4] 74,422
4 スイス 67,074
5 デンマーク 55,113
6 オーストラリア 54,869    ←オーストラリア
7 スウェーデン 47,667
8 アラブ首長国連邦 47,406
9 アメリカ 47,132         ←アメリカ
10 オランダ 46,418
11 カナダ 45,888
12 アイルランド 45,642
13 オーストリア 43,723
14 フィンランド 43,134
15 シンガポール 42,653
16 ベルギー 42,596
17 日本 42,325          ←日本


65 マレーシア 7,775      ←マレーシア

1987年には日本はアメリカを抜き世界第一であったなんて今では信じられませんね。

物価も高い、税金も高いこのオーストラリアで一般的なオーストラリア人がどうやって生活しているのか私は全く分かりません。謎と言ってもいいくらいです。これは20年前オーストラリアに来た頃から不思議だと思っておりまして、当時はマネージャークラスの給料が年間300万円と言われていた時代なのに、町には2000万円級のベンツやBMWが走り、当時はロールスロイスの普及率が世界一だったそうです。また車はマレーシアほどではないにしろ非常に高く、高級車は日本の倍はするといっていいかもしれません。そんな車がそこここに走っているのですから不思議な国だと思いました。そして家の前の桟橋にはクルーザーを係留している。売買される居住用不動産平均価格は4000万円を超えているそうで、本当に謎です。

ただ、インフレ率も慢性的に高い国ですからいくら預金金利が高くてもインフレには歯が立たず、貯金をしてもいつになっても何も買えません。ですからローンを組んでとにかく物を買うという習慣が根付いていて貯蓄率は著しく低いのではないかと思います。昔、ちょっと興味があって、町にあるATMの回りに計算書が落ちていますので随分拾って見てみたことがあります。そこには残高も出ているのですが、なんと残高数万円程度というのが圧倒的でした。そして引き出し額が数千円とか。特にこちらは給料を二週間ごとに出す事が多く、その中でカツカツでやりくりするのが一般的なのかもしれません。

私の居るゴールドコーストはかつては退職者の国内移住先として発展してきた経緯がありますし、その後、ブリスベンでのエクスポが切っ掛けで世界的に注目され急激に発展し、今では南半球最大のリゾート地になり、町としては50万人ぐらいいるのでしょうか、しかし産業らしい産業がなく、一体みんな何で食っているのか本当に不思議です。例えば私の家の通りには家が11軒ほどありますが、毎朝勤めに出ている家はあるのかな、ないのかなという感じです。それでいてベンツやBMWは普通に持っていますし、大型のクルーザーを自宅の前に係留している家も少なくありません。一体どうやって稼いで食っているのでしょうか。でも、これはきっと彼らも私に対して同じことを考えているのかもしれませんが、いわゆる給料取りは非常に少ない地域かもしれません。ただオーストラリアの税制には贈与・相続と言う概念自体がありませんので、金持ちは金持ちのままです。また自宅のキャピタルゲインには税金が掛かりませんので、時代の流れにうまく乗って自宅をグレードアップするオーストラリア人は多いです。

私はこの20年の間に3つほど小さな小さな仕事を興しオフィスを構えていた時期もあり、スタッフにオージーもおりましたが、みんな非常に質素であるという感じを持っております。非常に保守的で無駄遣いはしませんし、日本人のように新しい物に飛びつく事はない人たち。だから時代の先端を行く新製品には目向きもしませんし、良いものだからと言って高いものは買わないのが普通。食事も非常に質素。ただ、家、車、ボートには金を掛けるという感じでしょうか。

社会保障は日本とは比べ物にならないほど充実しておりまして、失業者は仕事が見つかるまで一生失業保険が出ます。また65才になれば老齢年金。共に国民の掛け金負担はありません。教育は高校まで無料(公立)、医療も公立ならほとんどお金は掛からないはずです。ただ10数年前、国の保障だけでは安定した老後は難しいという事で年金の上積みであるスーパーアニュエーションが義務化され、給料取りには給料の9%を雇用主が負担して積み立てます。また自分で余計に支払う事も可能。これでかなり良くなってくるのではないでしょうか。日本の消費税に相当するGSTは10%ですし、所得税もちょっと稼ぐと50%は行ってしまいます。ですがその分社会保障が良いと言うこと、そして慢性的インフレがありますので貯蓄はしない、できないという事だろうと思います。しかしわけのわからない金持ちがごっそりいるし、庶民は豊かに見えますから本当に不思議です。

このオーストラリアのインフレに翻弄されてきた私としてはマレーシアが心配です。どうも今の日本人はこの20年デフレであった日本に慣れすぎている部分があると思います。そして日本の低金利も普通だと思っている。でも世界的に見ても、また日本の歴史から見ても、デフレや低金利がこれだけ長い間続くのは異常であって、その感覚を持ったままマレーシアで生活するのは非常にまずいと思っています。私はマレーシアも発展途上国の常としてインフレが進むと見てますし、発展すれば為替が強くなるのも我々日本人が一番良く知っている事でもありますし、インフレ対策はきっちりしたいと考えています。ただ為替に関してはいつもここに書いているように、マレーシアリンギットは世界的な通貨恐慌を経て、狼のようなヘッジファンドに狙われる事が無いようにかなり強い規制が掛かっています。つまり海外では両替できない、そしてデリバティブが一切存在しないのです。これは通貨を守るという意味では良いと思うのですが、逆にデリバティブがないということはヘッジも出来ないという意味でもあるわけです。これは非常に頭が痛い問題で、ではリンギット資産を持ったほうがいいのかということになりますが、少なくとも定期預金はまるでお話にならないレベル。この点もしっかり考えるべきで、多くの日本人がどうしてこのマレーシアの金利に喜ぶのか私には全く理解できないのです。日本よりいいのは間違いがないですが、デフレの日本に住むんじゃないんですから違う考え方が必要だと思います。ちなみにマレーシアがどういうインフレを経験してきた過去のデータを見てみましょう。

[世] [画像] - マレーシアのインフレ率(消費者物価指数)の推移(1980~2010年)

[世] [画像] - マレーシアのインフレ率(前年比)の推移(1980~2010年)

そして今の各銀行の定期預金金利を見てみます。これは泉SNSで頂戴しました。

Maybank  ←クリック

HSBC  ←クリック

OCBC  ←クリック

RHB  ←クリック

CIMB  ←クリック

AmBank  ←クリック

これらの銀行を見ると1年もので2.85%、良くても3.20%。これと上のインフレ率の推移と比べて何を感じますでしょうか。多分定期の金利に手をつけなければインフレに負ける事は無いでしょう。税金も払う必要がありませんし。ただ金利を食う場合はどうなるのか。金利分が毎年目減りするのは間違いがないはず。我々が経験した角栄の列島改造論、ドルショック、オイルショック、そしてバブル。この20年はデフレといいつつ、過去に恐ろしいインフレは何度も経験してきました。でも当時はほとんどの人が現役ですからインフレと共に収入も増えた。ところが退職したらインフレと共に収入が増えるわけではないですから、今まで経験した事の無い事態が起きると言うこと。そういうインフレがマレーシアに起きるのか起きないのか。起きたら自分をどう守るのか。それをしっかり考えたいと思います。

ただ、変な話ですが、我々には遠い将来を考える必要がないというアドバンテージ(?)があります。これから何十年も生きるわけじゃないですから。ですからインフレで目減りはしても自分たちがこの世からおさらばするまでは大丈夫だろう考えるのは間違っていないかもしれません。

私はマレーシアの金利は安すぎるといつもここに書いていますが、マレーシアは今低金利で景気刺激策を取っていると考えるべきではないでしょうか。ですから、この金利を高いと喜んでいるのは日本人だけで、多くは安い金利で金を借りて投資して儲けようと考えているはずで、またそうであるからこそ事業家も一般庶民も不動産不動産と大騒ぎをしているのだと思います。需要があるとは思えないのにあちこちに大型モールが出来、賃貸で貸す当ても無いようなコンドミニアムがどんどん建っているのもそれが理由でしょう。

マレーシアの金利が日本と比べて高いと喜ぶのではなくて、ファイナンシャルプランナーにしっかり相談するのが大事かと思います。ただ、FPはやりくりの理論には長けていますが、実際に投資をする意味においては素人と全く同じで、下手をすれば我々長年実社会の中で生きてきた者の方がしっかりした目、腕を持っているケースが多いですし、FPの言うことをそのまま聞くのは無用だと思います。ただ、考え方を知るのは重要だと思っています。

私はあてに出来る年金もありませんし(日本の国民年金の試算では65歳からの受給で年間39万円のみ)、あるいはオーストラリアの年金を受ける資格もスーパーアニュエーションもありますから最悪の場合はオーストラリアに逃げる手もありますが、この頭がボケて使えなくなるまで攻撃的にやっていこうと思っています。

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