またマニアックな話題で申し訳ないのですが、カメラの話。
ソニーのミラーレスカメラであるNEXシリーズはそれなりに売れていますし良いカメラだと思います。私も予定外だったのですが思わず買ってしまいました。
ところが何度も書いていますように、カメラは良いのにNEXはレンズに問題があると思っています。良いレンズが少ないんですね。これってソニーの事情というか、そもそもNEXがコンデジからのステップアップ層を狙っていること、そして世の中の一眼レフなどのレンズ交換式カメラを買っても交換レンズを買い揃える人たちは実は少ないという現実。ですからそもそもNEXに良いレンズを期待してはいけないのかもしれません。ソニーには一眼レフのアルファシリーズがあり、やっぱりアルファシリーズの位置づけが上であって、より良い写りが欲しいのならアルファをどうぞということなのでしょう。
でもNEXは良いカメラだしこれに良いレンズが組み合わされれば鬼に金棒。もったいないと思います。
では全く良いレンズが存在しないのかというともちろんそんなこともないわけで、ただ中には糞みそに言われるレンズもありますのでユーザーとしてはどのレンズがどういう傾向なのかを知っておくことは大事だと思っています。
私はというととりあえずNEX-7のズームレンズキットを買いましたが、基本的にはレンズ資産を増やそうという考え方はありません。今のところはないと言うべきでしょうか。その理由として、どうしても欲しいと思うレンズがないのは上に書いたとおりですが、NEXシリーズの長点であるセンサーが大きいということ、すなわちレンズも大きくなるという欠点があります。だから小型でなければ意味が無いNEXとしては中途半端なレンズしか作れないのでしょう。
私としては出来るだけ小型軽量の線で行きたいので小型のレンズが出せないソニーには期待ができません。またカメラの性能そしてレンズの豊富さという点でやっぱりマイクロフォーサーズ機は馬鹿にできないと考えています。特に最近発売になったオリンパスのE-M5はマイクロフォーサーズ機としてはかなりの出来栄えで、これならセンサーが小さいというハンディはないと言ってもいいくらい。ということで、私はこのE-M5をメインにしたいと考えていました。
でも売れ行きが凄くてなかなか手に入れるのが難しい。また、本音を言うとあの一眼レフのような形は好きではなくて、E-P3のようなPen型が私のスタイルに合っていると考えています。そしてきっと遠くない将来、E-M5と同等の実力を持ったPENが売り出されるでしょうし、それまで待つべきかどうか考えているところです。
と同時に、どういうわけか最近凝りだしたタイムラプス撮影ですが、今後ももう少しこれをやって行きたいと考えています。そしてタイムラプス撮影ですがカメラで撮った一枚一枚を繋げて映像を作るのも良いのですが、どうしてもシャッターというメカニカルな部分が心配です。つまりほんの10秒のシーンを作るだけで300枚の静止画が必要なわけで、タイムラプスをやっているとカメラのシャッターの耐用シャッター数を簡単にオーバーしてしまうという問題点があります。私がちょっと撮ってみようと思っただけでも1日に2-3000枚なんてすぐです。
ですので、メカニカルなシャッターではない電子シャッターを搭載したカメラが良いと思いました。そんなときに発売されたのがペンタックスの超小型のQです。これには電子シャッターが搭載されていまして、電子シャッターすなわち映像を撮るシャッターと同じで機械部分が動きませんから何十万回シャッターがおりても全く問題がないわけです。そしてこれにはタイムラプス撮影の機能が搭載されていましたので飛びついてしまいました。ところがですねぇ、宣伝文句ほどのカメラではなくて、レンズ交換が出来るデジカメ程度のカメラでしかなかった。私が絶対に必要なシャッタースピード2分の1秒で、1秒毎の撮影は不可能です。設定そのものはできますが、カメラはその通りには動かない。こればかりはカタログを見てもわかりませんし、レビューを見てもタイムラプス用に使う人なんかいないわけで、まさか出来るのは設定だけとは想像もしませんでした。カメラ屋でテストしてみればよかったと反省しています。
そして他のタイムラプス映像の制作方法としてはビデオの活用があります。これを考えるタイムラプス屋さんはかなりマイナーだろうと思うのですが、私はこれを大いに利用するべきだと考えています。ただビデオは1920X1080のたったの200万画素でしかなく、またフレームを取り出して比べるまでもなく精細感という点では静止画の足元にも及ばないのがわかりました。これは映像用としても好評なキャノンの5D2や5D3でも同じで、我々が手に入れることが出来るデジタル映像の限界を感じました。でも、細かいことを言わなければ十分だともいえるわけで、そういう点で使えるカメラは今のところパナソニックのGH1かGH2しかありません。
何が違うかというとまずシャッタースピードです。タイムラプスではスムーズな動きを出すためにかなり遅いシャッターを使う必要があるのですが、普通のカメラ、ビデオ機ではそれが不可能。でもパナソニックのGH1,GH2では2分の1秒という、まさにタイムラプスのためにあるような遅いシャッタースピードで動画を撮ることが可能なのです。またこのカメラの動画のポテンシャルには凄いものがあって、ファームウェアをハックして書き換えてしまい、そして性能を向上させるというのが流行っています。ハッキング後の画質はキャノンの5D2よりも上だと言い切るユーザーも決して少なくないほど性能が向上します。私はタイムラプス中心にこのハックを利用して、AVCHDではなくてMJPEGの方を使っています。画質の向上プラス2fps(一秒に2コマの映像)。こんなことが出来るのもパナソニックのこの機種だけなんです。
私はGH1は持っていますが、今後もタイムラプスを続けるとしたらやっぱりGH1,GH2の後継機を入手しなくてはならないと思っています。あるいは中古でも良いと思っています。で、この機種はマイクロフォーサーズ機であるということ。つまり、タイムラプスを考えても私としてはマイクロフォーサーズとは縁を切ることが出来ないということでもあります。
ソニーのNEXは、基本的には以前から集めて持っているかなり古いレンズ専用にしようと思っています。またタイムラプス用としてもNEX-7は十分な機能を持っているのでタイムラプスでも使っていくつもりでもあります。
ということでNEX用としては私は今のところレンズ資産を増やそうとは思わないのですが、では本当にキットレンズと古いレンズだけでいいの?と聞かれれば、やっぱり欲しいレンズがなくはない。ではどんなレンズがいいのか。
つい最近、NEX用のレンズの評価が出ているサイトを見つけました。この比較は実際に私が多くの作例を見て感じたこと、また巷のレビューでも言われていることを端的にあらわしていて、非常にわかりやすいと思いました。NEX用のレンズ選び、そしてNEX用のレンズはどういう感じなのかを掴むには非常に参考になると思います。
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レンズの性能を現すのにMTFというのがありますが、その数値での比較です。
まずはそれぞれのレンズの開放値での値。MAXとは中心部でAVGは写りの悪くなる周辺部を入れたアベレージと考えれば良いと思います。
この表からわかるのは、糞みそに言われる16ミリのパンケーキ。これがやっぱり数値として出ていますし、作例でもそれがかなりはっきりわかります。意外なのはベストと言われている24ミリf1.8。あのカールツァイス銘のレンズですが、開放ではかなり甘いんですね。
次はF2.8の場合。F2.8より大きな値のF値の場合は開放値ということ。
カールツァイス銘の24ミリは突然良くなりますね。ライカの50ミリはEマウントではありませんがこれもF2.8に絞り込むとかなり良くなる。
次はF4.0。各レンズはこの辺まで絞り込むとかなり良くなるのがわかります。
開放値から良い数値なのがシグマの30ミリです。これは作例を見てもそれがわかりますがやっぱりこのレンズは欲しいと思います。30ミリというと換算45ミリで使い手がある焦点距離だと思います。また私はワイドが欲しいので16ミリを入手する予定です。上に書いたようにこのレンズは糞みそに言われているレンズですが、絞り込めばそこそこ良さそうですし、そもそも換算24ミリのレンズを開放で使わなくてはならないケースはほとんど無いと思います。また私の写真は四隅もきっちりしていなければならないという構図じゃないほうが多く、返って四隅はボケてくれるほうが嬉しいかもです。
この換算24ミリはタイムラプスでも多用する焦点距離なのですが、そもそもタイムラプスでは絞り込むことが多いので問題なし。そしてこのレンズは中古なら1万円前後でヤフオクで入手可能ですから持っていたほうが良いと思ってます。また糞みそに言われていたのは発売当時で、そのころはカメラにレンズ補正の機能がなかった。今は補正された画像が出てくるので前ほど悪くないと言われていますし、最近の作例を見ても私レベルでは問題なし。
この比較表を見て意外だったのは30ミリのマクロレンズです。結構良いんですね。それと違う意味で意外だったのが50ミリです。これって作例を見ると結構良いと思っていましたが、MTFの数値だとたいしたことは無い感じ。でも大体50ミリの明るいレンズってそういう傾向なのが普通だし、このレンズはボケが大事でましてやポートレートに使うケースが多いでしょうからこのMTFの数値は関係ないかなと思いました。
実際に自分で使ってみない限りカメラやレンズの良し悪しなんかわかるわけがないのですが、でもそんなことは出来ませんし、ましてやゴールドコーストなんてのはカメラ、レンズを触ることも見ることも出来ないような僻地ですからネット情報が頼りとなります。でも口コミみたいなものは人によって基準や感性が違いますからさほどの意味はないんですね。では科学的な数値が大事かというと、これまた数値と自分が感じるものとは大きな差があるのも普通。
私が一番重視するのはネットに出ている作例です。主に見ているのはフリッカーとガンレフです。ただフリッカーは玉石混交。ガンレフはうまい人が多いのでレンズの良さを引き出した良い写真が多いと思います。でもこれがまた問題でもあるわけで、うまい人がうまく使いこなして撮った写真を見て、自分も同じように撮れると思ったら大間違い。そういう意味では玉石混交のフリッカーの方が実態を表しているような気がしています。
私もスタイルとしては町歩きのポイントアンドシュートですから、ましてやしっかりカメラもレンズも使いこなして真剣に撮るということはありません。だからろくでもない写真が多い。ではだからといってどんな機材でもいいかというとそんなことはなくて、やっぱり一般論としての良し悪しは別にして自分が思う良い写真が撮れる可能性があるのかないのかは大事だと思うんです。だからやっぱり良い物を欲しい。
そんなことを考えてみると面白いのが、では私の今までの経験でこのカメラとこのレンズの組み合わせが最高と思うものがあったかというと、それはもうかなり古いペンタックスのistDSというカメラとシグマのf2.8通しの18-50ミリズームの組み合わせでした。ペンタはたったの6万画素だし、でもシグマの18-50はかなり評判の良いレンズで、すっきり抜けの良い写真が撮れるのが不思議に感じたくらいです。それと意外なのがコンデジであるフジのX10。このカメラって、結構良く写ってるじゃんという写真が出てくる歩留まりが良い。ああ、忘れてはいけないカメラがありました。シグマのDP2。今ではほとんど使いませんが、写真と真剣に向き合おうと思わせてくれたカメラでした。コンデジですが、恐ろしいほど凄い絵が(たまに)出てきます。
逆に駄目だこりゃと思ったのがパナソニックのGH1と14-140ミリの組み合わせ。今ではタイムラプス用に使っていますが、正直なところこのカメラは静止画で使う気が起きません。タイムラプスをやるまでに買ってから1000枚ぐらいしか撮ってないはず。でも最近手に入れたオリンパスの12ミリ/f2.0というかなり良いレンズがあるのですが、これを使うとそこそこかな。もし、パナの20ミリ・f1.7(あるいは25ミリ・f1.4)、オリンパスの45ミリ・f1.8があればそれなりに良いシステムになるはず。この3種のレンズとオリンパスの新機種E-M5があれば私としては文句なしかな。
まぁ、どのカメラが良いとか悪いとか、レンズもそうですが、要は自分に合うのかどうかそれだけなんでしょうね。こればかりは使ってみないとわからない。
今楽しみにしているのはソニーのNEX-7用に注文したマウントアダプターの到着です。とりあえずM42を二種類、ペンタックスKマウントを1つ、エグザクタマウントを1つ。どんなレンズをつけるかですがとりあえずは
○ カールツァイスイエナ フレクトゴン35mm/f2.4(大好きなレンズ)
○ キルフィット マクロキラー(世界初のマクロレンズ)40mm/f2.8
○ ペンタックスM 50mm/f1.4(一番お世話になったレンズ)
○ 富岡 マクロ 60mm/f2.8
その他、50ミリ前後がゴロゴロありますが追々装着して使ってみるつもり。
しかしオールドレンズって面白いと思います。自分が昔から使っていて今ではオールドになったレンズも良いですが、中古で手に入れたオールドレンズにも新しいレンズ以上の愛着を感じています。性能で言えばなんてことないのでしょうし、欠点も多いですが、それは欠点じゃなくて個性だと思えるから不思議です。ほとんどのレンズは30-50年、あるいはそれ以上古いレンズですが、人間と同じように年輪を重ねてそのレンズを通して世界の歴史を見てきたのだろうと思うのです。物を擬人化するのが趣味の楽しみでもあるわけですが、それらのレンズも全く人間と同じで長所欠点があってそれを乗り越えて長い間世の中を見つめてきたわけですよね。レンズに記憶があったら是非その一端でも見せて欲しい、なんてことをレンズに話しかけています。(笑)